副業でも開業届の提出は必要?提出が必要なケースやメリット・デメリットを解説
開業届は提出しなくても罰則はない

副業で新たに事業を始める場合に、開業届を提出してからスタートするのが一般的な流れです。
事業を開始した日から1カ月以内に税務署への提出が求められていて、届け出をしたことで国に事業を始めたことを知らせます。
中には「副業なのに開業届が必要?」と考えるかもしれませんが、本業でも副業でも開業届の提出は義務です。
ただし、義務であっても未提出による罰則はありません。それなら出さなくていいというものではなく、出さないと受けられないメリットやデメリットが生じるケースがあります。
そこで本記事では、副業でも開業届の提出が必要なケースと、開業届を提出するメリット・デメリットについて解説します。
副業を始めようと考えているものの、開業届を提出すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
副業で開業届の提出が必要になるケース

開業届は、個人事業を始めたことを申告する書類であり、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
会社員として働きながら副業で個人事業主になる場合は、所得の種類によって提出の有無が変わります。
「事業所得」は開業届の提出が必要
副業でどのような事業を行っているかによって、開業届の必要性が変わってきます。
事業所得は「独立・継続・反復」する事業で所得を得ている場合に該当し、会社員を本業で行っていたとしても個人事業主に該当するということです。
計算方法は、「総収入金額」-「必要経費」=「事業所得の金額」で算出できます。
事業所得に該当する可能性が高いケースは、以下のとおりです。
-
- 自分がオンライン講師となって定期的に講義を行っている
- フリーランスでWEBデザインの仕事を継続して行っている
- 投資用の賃貸物件を複数所有している
- YouTuberとして定期的に動画投稿している
- UberEatsなどの配達員として週2回程度配達している など
上記の場合は、事業所得に該当する可能性が高いので開業届が必要になります。
「雑所得」は開業届の提出が不要
副業をして所得を得ている場合でも、以下に該当する場合は雑所得に該当し、開業届の提出が不要です。
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- 不動産所得
- 事業所得
- 子配当
- 配当所得
- 給与所得
- 退職所得
- 譲渡所得
- 一時所得 など
単発での仕事や一時的な収入については、一般的に雑所得に該当するからです。
例えば、以下のような収入は雑所得に分類されます。
-
- 趣味でイラストを描いてSNSで販売した
- 友人からの依頼で一度セミナー講師を受けた
- ハンドメイド作品をフリマアプリで定期的に販売した
- WEB小説や漫画の投稿をした際の報酬
- YouTube投稿やアフィリエイトの収入 など
本業が会社員の場合、副業による所得が1年間で20万円以下であれば所得税の確定申告も不要ですが、住民税には特例が設けられていないので申告の必要があります。
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副業で開業届を出すと会社にバレる?バレない方法は?

本来であれば、開業して1カ月以内に開業届の提出が必要です。
しかし会社員が副業を始めた場合、開業届を提出すると「会社に副業が知られてしまうのでは?」と不安になる人もいるでしょう。
所得の分け方によって税金の区分が変わってきますが、開業届の提出だけで会社に連絡が行くことはありません。そのため、副業を知られる可能性は低くなります。
ただし、税金が高くなった場合は会社に副業していることがバレる可能性があります。
その理由は会社に勤務している場合、税金に関しては会社が中心となって行われるからです。
住民税は給与天引きなので、副業の所得が20万円超えた際には本業の給与控除と合わせて確定します。
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副業で開業届を出すメリット

副業で事業を始める時、開業届の提出を面倒に感じるかもしれません。しかし、開業届を提出すれば受けられるメリットもあります。
ここでは副業の開業届提出の必要性やメリットについて説明します。
青色申告特別控除を受けられる
個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告があります。
複式簿記と呼ばれる青色申告では、日々の売上げや経費などの金額を帳簿に付けると税制上のメリットが受けられる仕組みです。
開業届の提出後、青色申告特別控除を受けるには、開業届および青色申告承認申請書を税務署に提出します。
複式帳簿で記帳や作成、保存を行い、損益計算書や賃借計算書を添付して確定申告の期限内に提出する流れです。
これによって、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。
ただし、複式簿記などに加え、e-Taxでの確定申告か優良な電子帳簿として保存していないと、受けられる控除が最大55万円までになってしまうので注意してください。
経費計上の範囲が広がる
会社員として働いている場合の副業は雑所得として考えられますが、開業届の提出により、不動産所得や事業所得の選択が可能となります。
個人事業主の所得の多くは事業所得に該当するため、収入から必要経費を差し引いても良いと認められています。
必要経費は、事業を営む際の必要な支出であり、経費として計上することが可能です。
-
- パソコンの購入費用
- 事業で使用する携帯電話料金
- 事業に関する書籍の購入費
- 打ち合わせ先に向かう交通費
- レンタルルームを借りる費用 など
ほかにも、青色申告者と生計を一にしている親族や家族に事業を手伝ってもらった際に給与支払いをしている場合は支払金額を必要経費として算入できます。
開業届を提出することで、様々な部分が経費として認められるようになります。
損益通算ができる
損益通算は青色申告者の事業所得で赤字があり、損益通算で控除しきれない金額が生じた場合は、損失額を翌年以後3年間繰り越すことができます。
対象の所得となるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得です。
通算損益により、総所得金額が少なくなるので所得税の節税も可能となります。
ただし、雑所得は損益通算の対象外であり、赤字になっても繰り越しできないので注意してください。
公的支援制度を申請できる
開業届の提出によって、国や自治体などが実施している補助金や助成金といった各種支援制度に申請できるケースがあります。
個人事業主が都道府県や市町村の企業支援金申請を行った場合、開業届が提出されているかが条件に含まれます。
ほかにも、各地方自治体が行っている創業助成金でも開業の事実が確認できる書類の提出が求められるため、開業届の提出が必要です。
開業届の提出をしておくと、補助金や助成金を申請する際に書類の準備がスムーズになり、手続き期間も短縮できます。
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副業で開業届を出すデメリットや注意点

副業で開業届の提出をすると、多くのメリットがあることがわかりましたが、一方でデメリットになる点や注意したい内容もあります。
ここでは、副業で開業届を出すデメリットや注意点について解説します。
失業手当を受け取れなくなる可能性
会社員であれば、失業した際に再就職までの支援制度となる失業手当を受けて再就職を目指します。
しかし、開業届の提出により、会社員であるものの個人事業主とみなされるため、原則として失業手当の受給対象外になってしまうのです。
会社員として働きながら副業を始め、開業届を提出後に本業の勤務先を退職して収入が減ったとしましょう。
このような場合でもすでに個人事業主とみなされてしまうため、手当を受け取ることはできません。
本業を退職後に事業を始めてから開業届を提出すれば、再就職手当が受給できるケースもあります。
しかし、個人事業を始めたことを申告しないまま失業手当を受給しようとした場合は不正受給とみなされ、給付金を受ける権利を喪失する可能性があるので注意してください。
扶養から外れる
社会保険の被扶養者が個人事業主となって開業届を提出すると経済的に自立したことになり、扶養から外れます。
個人事業主にならず、社会保険上の扶養となっていれば健康保険料は個人で負担することはありません。
しかし、個人事業主になったことが独立と判断されるため、国民健康保険や社会保険の被保険者として保険料の支払いが生じます。
ほかにも、開業届の提出に関係なく所得や収入の状況で社会保険の扶養から外れることもあるので、扶養者が加入している健康保険組合に確認を取っておいてください。
青色申告の手続きが必要
開業届を提出したことで今後は青色申告となり、確定申告時に税金などが安くなるというメリットがあります。
その一方で青色申告では、日々の帳簿付けやお金の管理という手間が増えていき、経理の知識がない場合は難しさや面倒を感じやすいです。
また、青色申告を行う場合は期限内に所得税の青色申告承認申請書の提出が必要です。これは事前申請なので、税務署へ提出しなければなりません。
新規で開業する際の申請書提出期限は、1月1日~15日までの間の開業なら確定申告をする年の3月15日まで、1月16日以降の開業なら開業日から2カ月以内です。
このような手続きをしないで期限が過ぎてしまうと、その年は確定申告が白色申告になってしまうので注意してください。
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副業で開業届を提出すべき目安

会社員として働いているものの、副業をしている場合はどのような期間や収入から開業届の提出を判断すべきでしょうか。
副業で開業届を提出すべき目安になるのは「いくらから」と「いつから」の2点になります。
まず、金額面で開業届の判断になる基準は20万円です。これは、会社員の副業所得金額が20万円以下であれば確定申告をする必要がないからです。
そのため、確定申告の必要性がないのに開業届を提出したことがデメリットになる可能性も考えられます。
開業届を検討するタイミングは20万円以上になった時を目安にしてみてください。
続いて、開業届提出の判断として納める税金が発生しそうな時も検討の必要性があります。
開業届提出後に個人事業主になった場合、青色申告を行うことで青色申告特別控除が受けられます。
この青色申告特別控除では青色申告で一定の要件を満たした際に最大65万円の控除が受けられるものです。
副業で65万円の所得があれば、青色申告特別控除を受けて副業分の税金が控除されるためお得になります。この2つの目安を覚えておくとタイミングもわかりやすいでしょう。
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開業届の提出方法

もし、副業で個人事業主になる場合は開業届の提出が必要です。ここでは、開業届の提出方法について解説します。
必要書類
個人事業主となる場合に開業届が必要ですが、以下の書類に関してはすべての人が準備をしておく必要があります。
・開業届
開業届の正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。提出期限は開業日から1カ月以内に税務署に提出します。
事業を始める本人が所定の期限内に提出しますが、提出が遅れたり提出していなかったりした場合の罰則は特にありません。
しかし、開業届が未提出の状態では屋号付きの銀行口座の開設や補助金、助成金などの申請はできないリスクがあります。できるだけ早めに届け出が必要です。
・事業開始等申告書
事業開始申告書も開業時に必要な書類です。
事業開始申告書の正式名称は地域で異なっていて東京都では「事業開始申告書」ですが、ほかの都道府県では「事業開始・変更・廃止申告書」「個人の事業の開始等の報告書」と呼ばれることもあります。
個人事業の開業を届け出るための書類ですが、開業届とは提出先も目的も異なるものです。
事業開始申告書は、個人事業税の納付意思を都道府県に提出する書類です。一方の開業届は所得税を納める意思を税務署に提出します。
手順
開業届を作成して提出する手順についてです。以下の手順通りに行っていきます。
1.開業届の入手
2.必要項目の記入
3.税務署へ提出
国税庁のWebページから「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」をダウンロードします。
ここでダウンロードできなかった場合は税務署でも入手可能です。
e-Taxを使って提出する場合はオンライン上でe-Taxのソフト申請・申告等一覧から「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」を選択できます。
続いて、開業届に必要事項を記入してください。開業日は事業開始日やオープン日にすることが多いのですが、ある程度柔軟に日にちが選択できます。
開業前の準備期間中の日を開業日にもできます。
必要事項を記入したら、作成した開業届を提出しましょう。税務署への提出は窓口、郵送、e-Taxから選択できるので提出しやすい方法を考えて行ってください。
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まとめ・副業の開業届はメリット・デメリットを踏まえた上で提出を判断しよう
開業届の提出は義務ですが、未提出のままでも罰則などはありません。
しかし、受けられるはずの補助金や助成金の申請ができなくなるなどのデメリットも受けやすいです。
すべての副業で開業届の提出が必要ではないものの、条件に合っている場合や必要性を感じる際には提出するようにしましょう。
本業と並行して副業をしている場合、開業届の提出によってバレないか不安になるかもしれませんが、知られたくない場合は副業の所得調整を視野に入れるのがおすすめです。
(編集:創業手帳編集部)






