法人向けデビットカードのメリットとは?デメリットやカードの選び方などを紹介
法人向けにデビットカードは作れる!メリットをチェックしよう
経費を精算する方法は、現金やクレジットカードなど様々です。
中でも法人向けデビットカードは、銀行口座から直接引き落とされるので、小口現金のやり取りをする手間が軽減するといったメリットがあります。
そこで今回は、法人デビットカードがどういったカードなのかを解説すると共に、クレジットカードとの違いを解説していきます。
また、法人向けデビットカードを使うメリットやデメリット、選ぶポイントについてもご紹介していくので、デビットカードの導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
法人向けにも作れるデビットカードとは
まずは、法人向けデビットカードの概要やクレジットカードとの違いを解説していきます。デビットカードについて深く理解していない方は、チェックしてみてください。
法人口座と連動する決済用カード
法人向けデビットカードは、法人口座と紐づけて利用するカードで、商品を購入した際に即時で利用した代金が引き落とされるシステムとなります。
そのため、法人銀行口座の残高の範囲内で決済が可能です。ただし、中には1日500万円までといった利用限度額が設定されているケースもあるので注意が必要です。
法人向けデビットカードを使用した際には、休日や早朝、深夜の時間帯であっても、手数料はかからないので無駄な費用もかかりません。
お金を引き出す必要なく経費の精算に利用できるため、様々なメリットがあります。
クレジットカードとの違いを比較
法人向けデビットカードの導入を検討した時、クレジットカードとの違いで悩む方もいるかもしれません。
同じカードなので仕組みも一緒だろうと考える方もいますが、以下のようなポイントに違いがあります。
-
- 引き落としのタイミング
- ポイント還元率
- 利用限度額
- 与信審査の有無
- 付帯サービス
- 年会費
- 分割払いの有無
それぞれの違いを表にまとめたのでチェックしてみてください。
デビットカード | クレジットカード | |
---|---|---|
引き落としのタイミング | 利用後、即時引き落とし | 後払い(カード会社によって異なるが1~2カ月後が一般的) |
ポイント還元率 | ポイント付与されにくい | ほとんどのカードで付与される |
利用限度額 | 口座残高が上限(稀に1日の限度額が定まっているケースもある) | 審査によって設定 |
与信審査の有無 | なし | あり |
付帯サービス | クレジットカードよりも少ない(カード会社によって内容は異なる) | デビットカードよりも充実(カード会社によって内容は異なる) |
年会費 | 無料もしくは安価 | 年会費がかかるものが多い |
分割払いの有無 | なし | あり |
法人向けデビットカードを使うメリット
法人向けデビットカードとクレジットカードには異なっている部分がありますが、法人向けデビットカードにはクレジットカードにはないメリットが多数あります。
利用するとどのようなメリットが得られるのか詳しく解説していきます。
すぐに決済が行われる
クレジットカードとの違いでも解説したように、クレジットカードは後払いとなるため、支払いは翌月以降です。
そのため、支払日をあらかじめ確認しておき、引き落とされる金額を用意する必要があります。
一方、法人向けデビットカードは利用したら即時決済されます。クレジットカードのように一律の支払日がないため、事務処理の手間が軽減する点が大きなメリットです。
経理でも「未払金」を処理することなく仕訳が可能なので、経理の負担軽減にも役立ちます。
残高不足によって引き落とされないといったトラブルを防ぐことにもつながります。
年会費無料または安いことが多い
法人向けデビットカードは、前述したようにクレジットカードと比べると年会費が抑えられる点がメリットです。無料もしくは安価なため、コストを抑えて利用できます。
一方、クレジットカードは年会費がかかるものが多いです。
たとえ利用額が少ない場合でも毎年数万円ほどの年会費を支払うケースもあるため、コストがかかる点がデメリットとなります。
コストを抑えたいのであれば、法人向けデビットカードの導入を検討してみてください。
与信審査なしで発行までが早いことが多い
クレジットカードを作る場合、審査に時間がかかるため発行するまでに3週間程度かかるケースが一般的です。
そのため、すぐに利用したくても利用できない点がデメリットです。審査の結果によってはカードを発行できないケースもあります。
しかし、法人向けデビットカードは基本的に審査がありません。これは、銀行口座の範囲内での利用が基本となるため、審査をせずとも発行可能なためです。
審査がない分、発行までの期間も短く、用意する書類も本人確認書類や銀行口座番号があれば申し込みができるため簡単に申請できる魅力もあります。
法人向けの場合は利用限度額が大きい
法人向けデビットカードは、利用限度額が大きいこともメリットです。
クレジットカードの場合、審査で限度額は決定するのでその範囲内でしか利用ができません。1カ月数百万程度となるため、場合によっては使えなくなるケースもあります。
利用実績によっては限度額をアップさせることも可能ですが、その場合は時間がかかる点がデメリットです。
一方、法人向けデビットカードの利用限度額は、口座残高が上限と定めているケースが一般的なので、クレジットカードの1カ月の限度額を1日で利用することもできます。
利用限度額が定まっていても、1日数百万円と設定されているため、金額の大きな支払いにも利用しやすいです。
決済額が大きい場合、クレジットカードを複数枚使う方法もありますが、管理に手間がかかってしまいます。
年会費も発生するため、デビットカードのほうが使い勝手が良いと考えられます。
法人向けデビットカードを使うデメリット
即時決済や発行までは早いといったメリットのある法人向けデビットカードですが、下記のようなデメリットもあります。
あらかじめリスクを把握しておくと良いでしょう。
資金繰りに活用できない
クレジットカードの場合は、支払い日まで1~2カ月程度の猶予があるので、キャッシュフローにゆとりがあります。
しかし、法人向けデビットカードは利用すると即時決済です。そのため、支出が重なっている状態だと資金繰りが難しくなってしまいます。
資金に余裕があれば問題ありませんが、前払いが多いといった事情が重なれば利用できなくなるケースもあるため注意してください。
国際ブランドや発行枚数に制限がある
クレジットカードの場合は、目的に合わせて国際ブランドが選べるケースも増えています。
しかし、法人向けデビットカードではカードごとに国際ブランドが定められているので、基本的には自分の都合に合わせて選ぶことができません。
カードの発行枚数に上限が定められているケースも多いです。追加で発行しない場合は、年会費や利用料が発生することもあるので注意してください。
また、社員全員にカードを持たせたい時、部署ごとや用途別にカードを分けて使いたい場合は、カードが不足するケースもあります。
あらかじめ上限やコストを考慮してから導入を検討してください。
ポイント還元率や付帯サービスが弱い
ポイント還元率や付帯サービスが弱い点もデメリットです。クレジットカードの場合、利用すると0.5%~1.0%ほどのポイント還元を受けられます。
貯まったポイントはマイルに移行ができるほか、オフィス用品と交換できるサービスがあるなど、カードごとに様々な使い方があります。
しかし、法人向けデビットカードでは、例えポイントが還元を受けられても低めに設定されているケースが多いため、恩恵を受けることができません。
また、クレジットカードは付帯サービスも充実しています。
-
- 空港ラウンジサービスを受けられる
- グルメやレジャーの優待特典
- ETCカード
- 旅行傷害保険 など
法人向けデビットカードには基本的に付帯サービスは用意されていないため、充実した優待特典を受けたい場合は、導入は向いていないといえます。
引き落とし口座を変更できない
クレジットカードは引き落とし銀行口座の変更が可能ですが、デビットカードは銀行口座付帯サービスなので、引き落とし銀行口座の変更ができない点がデメリットです。
もし引き落とし口座を変更したい場合は、口座に対応した新しいデビットカードを発行する必要があります。その場合は、カード番号も変わるので注意してください。
引き落とし銀行口座の変更が多いのであれば、クレジットカードの活用がおすすめです。
法人向けデビットカードを選ぶ際のポイント
法人向けデビットカードの導入を決めたのであれば、維持費やポイント還元率などを考慮して選ばないと恩恵を受けられなくなってしまいます。
経費にも影響を与えるため、自社に合ったカード作りが欠かせません。ここでは、法人向けデビットカードを選ぶポイントを解説していきます。
年会費や発行手数料・枚数の上限を確認する
法人向けデビットカードは、基本的に年会費は無料です。年会費がかかる場合は、コストに見合ったサービスの導入がされているか確認してみてください。
また、初年度は年会費がかからなくても、2年目以降は年会費がかかるケースもあります。
年会費を抑えたいのであれば、永久的に年会費が発生しないカードを選んで作ることを検討してみてください。
複数枚のデビットカード発行を想定しているのなら、発行枚数の上限もチェックする必要があります。
上限が定まっていないのであれば問題ありませんが、上限があれば利用する従業員すべてに渡すことができません。
上限以上のカードを発行する場合、手数料が発生するものもあります。
手数料はそれぞれ異なるので、無駄な費用を増やさないためにも前もって確認し、比較してから導入を決めてください。
キャッシュバックやポイント還元率が高いカードを選ぶ
利用金額に応じてポイントが還元されるカードもあります。還元率は0.5%ほど~1.0%などがあり、利用する頻度が高ければポイントも大きく付与されます。
利用金額が少額だと還元されるポイントも少ないですが、法人で利用する場合は利用金額が大きくなることも予想できるため、ポイント還元率のあるカードは魅力的です。
還元されたポイントはキャッシュバックされるものも多いので、翌月以降の利用金額から割り引かれます。
経費削減に役立つサービスなので、利用する頻度が高いと予想されるのであれば、ポイント還元の有無や還元率の高さによって選ぶことも大切です。
付帯サービス・保険や国際ブランドを確認する
付帯サービスのないカードは年会費がかからないものも多いのでコスト削減に効果的です。
しかし、年会費を支払ってでも価値のある付帯サービスがあるのであれば、年会費のかかるカードを利用しても問題ないといえます。
また、付帯する保険や国際ブランドもチェックすることをおすすめします。出張が多い事業を展開しているのであれば、保険があると安心できるでしょう。
国際ブランドに関しては、どの銀行のカードかによって決まっているため、自社の業務に合ったものを選択してください。
おすすめの法人向けデビットカード4選
最後に、おすすめの法人向けデビットカードを4種類ピックアップしてご紹介していきます。比較をして自社に合ったカードを導入するためにも役立ててみてください。
楽天銀行 ビジネスデビットカード |
住信SBIネット銀行 法人デビットカード |
GMOあおぞらネット銀行 ビジネスデビットカード |
りそな ビジネスデビットカード |
|
---|---|---|---|---|
国際ブランド | JCB | Visa Mastercard |
Visa Mastercard |
Visa |
年会費 | 1,100円 | 無料 | 無料 | 【メインカード】 初年度無料 2年目以降1,100円 【サブカード】 550円 ※年1回以上の利用で翌年以降年会費無料 |
発行手数料 | 無料 | Visa:1,100円 Mastercard:無料 |
無料 | 要問い合わせ |
発行可能枚数 | 最大9.999枚 | 最大1枚 | 最大20枚 (サブカードは最大9.998枚) |
要問い合わせ |
ポイント還元率 | 1.0% | 最大1.0% | 1.0% | 0. 3% |
楽天銀行ビジネスデビットカード
楽天銀行が発行している法人向けデビットカードです。
国内外のJCB加盟店であれば利用可能で、インターネットを利用しての支払いもデビットカードの番号を入力するだけで支払いができます。
年会費がかかりますが、ポイント還元率の高さが魅力です。利用限度額も制限がないため、口座残高の範囲内で利用できます。
カードごとに利用限度額を独自に設定できるため、使い過ぎを防止することも可能です。
住信SBIネット銀行 法人デビットカード
住信SBIネット銀行の法人デビットカードです。国際ブランドをVisaもしくはMastercardから選択可能で、それぞれでポイント還元率や発行手数料が異なります。
貯まったポイントは、1ポイント1円で現金に交換できます。
また、利用した場合、その都度お知らせメールを受信するため、リアルタイムで支払金額を確認することが可能です。
明細は、スマートフォンやパソコンからいつでも確認できるので支出管理の負担も少なくなります。
GMOあおぞらネット銀行 ビジネスデビットカード
GMOあおぞらネット銀行の法人向けデビットカードです。年会費だけではなく発行手数料が無料にも関わらず、ポイント還元率は1.0%と魅力の高いカードとなっています。
国際ブランドはVisaもしくはMastercardから選択可能で、Visaの1日あたりの限度額は500万円、Mastercardは1,000万円です。
カードごとに1日あたり、1カ月あたりの利用限度額を設定することもできるので、使い過ぎを防ぐことにも役立ちます。
また、最大1,000万円の不正利用補償が付いています。
りそなビジネスデビットカード
りそな銀行の法人向けデビットカードです。年会費は、メインカードは初年度のみ無料となっており、サブカードは550円です。
しかし、年1回以上利用すれば翌年度の年会費は無料となっています。
VisaビジネスオファーECサイトの構築や広告宣伝、クラウド会計といったサービスを優待特典として利用することも可能です。
また、サブカードはバーチャルカードを発行することもできます。インターネットショッピングで利用することができ、券面がないので紛失や盗難の心配もありません。
国際ブランドはVisaとなっています。日本のみならず世界にあるVisa加盟店で利用でき、ATMから現地通貨の引き出しも可能です。
法人向けデビットカードのメリットを知って導入を検討しよう
法人口座と連動する決済用のカードとなっており、利用すると即日決済となります。年会費も無料もしくは安価となっているため、コストを抑えた利用が可能です。
ただし、国際ブランドや発行枚数に制限があるほか、ポイント還元率や付帯サービスが弱いといった点がデメリットです。
それぞれのカードごとに特徴が異なるので、導入する際には必ず比較をしてから自社に合うデビットカードを選んでください。
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(編集:創業手帳編集部)