スリープテックとは?市場規模や関連企業について解説!
スリープテックの市場規模は拡大中!関連企業に注目が高まる
「寝てもなかなか疲れが取れない」「うまく寝付けない」など、睡眠に関する悩みを持っている方は少なくありません。
そのため、スリープテックに関するサービスや製品の市場規模は拡大傾向にあります。
そこで今回は、スリープテックとはどのようなものか詳しく解説するとともに、スリープテック関連企業の商品やサービスなどをご紹介します。
スリープテックについて知りたい方はもちろん、どのような製品・サービスがあるのか興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
スリープテックとは?
ITやAIなどデジタル技術を活用し、睡眠の質を改善するサービスや製品のことをスリープテックといいます。
睡眠を意味する「Sleep(スリープ)」とテクノロジーを意味する「Tech(テック)」を掛け合わせて、スリープテックと呼ばれています。
これまでもデジタル技術を活用した睡眠改善技術はありましたが、主に研究機関や医療機関が中心でした。
しかし、インターネットが発展し、スマートフォンやスマートウォッチの普及が進み、個人でも自身の睡眠状態を把握できる手段が増えています。
最近は寝具や家電以外にも、ウェラブル機器やアプリを使った様々な睡眠を改善するスリープテックが登場しています。
スリープテックは現在も様々な企業や大学で研究が進められていることから、今後さらに多様化した商品やサービスが開発される分野です。
日本人は先進国の中で最も睡眠不足
日本人の睡眠不足は世界的に見ても短い傾向にあります。
2021年に経済協力開発機構(OEDC)が発表した統計によれば、日本は先進国33カ国の中で最も睡眠時間が短く、最も長いアメリカに比べて約1時間30分少ないことが明らかになりました。
実際、厚生労働省が発表した「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」では、1日の平均睡眠時間において、最も高い割合は6時間以上7時間未満で、男女ともに30%を超えています。
次いで、6時間未満という結果が出ていることからも、日本人の睡眠時間は短い傾向にあることがわかるでしょう。
睡眠不足がもたらす影響・課題を解消するスリープテックの種類
十分な睡眠がとれない状況は、身体に様々な悪影響を及ぼします。
ここでは、睡眠不足がもたらす影響を紹介するとともに、それらの課題を解消するスリープテックをご紹介します。
1.集中力や注意力が低下する
睡眠不足は、「眠たすぎて収集できない」「寝不足で頭がうまく回らない」など、集中力や注意力を低下させます。
そのため、睡眠が足りていない状況は、作業のパフォーマンスが落ちたり、交通事故や怪我を引き起こしたりと、仕事や日常生活に支障を来たすリスクが高まるのです。
また、十分な睡眠がとれず、質が悪い状態が続くと、脳が委縮して認知機能が低下、認知症を発症する危険性もあります。
集中力や注意力に影響が出ていると感じた時におすすめなのが、熟睡しているかを可視化できるアプリです。
動きや呼吸音をもとに睡眠中のデータを記録するため、眠りの深さを知ることできるほか、入眠に適したサウンドにより、リラックスした状態で心地良く眠られるようサポートしてくれます。
2.体の疲れが取れない
睡眠には、脳や身体の疲れを取り、身体を修復や回復をさせる働きがあります。
そのため、睡眠不足の状態が続くと、脳や身体の疲れを取りきることができず、慢性的に疲れていると感じる原因になります。
身体の疲れを取る良質な睡眠には、時間だけでなく質も重要です。
寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなど不眠症状を感じた時は、スリープテックを活用した寝具がおすすめです。
例えば、睡眠科学を活用して開発されたマットレスなら、ボディラインに合わせてフィットするため、耐圧負荷を分散し、自然な寝姿勢をキープします。
寝返りもスムーズにできるため、途中で目覚める回数を減らし、睡眠の質向上が期待できます。
3.生活習慣病のリスクが高まる
睡眠が足りない状態は、ホルモンバランスが乱れたり、睡眠リズムが崩れたりする原因となり、活習慣病を発症や進行させるリスクが高まるといわれています。
なぜなら、睡眠不足の状態は食欲を抑えるホルモンの分泌が減少し、かわりに食欲を促進するホルモンの分泌が増加するからです。
寝不足の時ほど食欲が増大するため、肥満になるリスクが高まります。肥満は生活習慣病を発症や進行させる危険因子のため、慢性的に寝不足を感じている方は注意が必要です。
スマートウォッチなど、手首や腕に装着するウェラブル端末を使えば、脈拍数や脳波を常に計測し記録できます。
データに基づいたアドバイスやサポートを受けられるため、睡眠の質を高めることにつながります。
4.経済損失を招く恐れもある
日本では、睡眠不足による経済的損失が年間15兆円にも上るという試算もあります。なぜ、睡眠不足がこれほどまでに経済的損失を招く恐れがあるのでしょう。
それは、寝不足による慢性的な疲れや注意力の低下は就業中のパフォーマンスを落とし、生産効率を低下させるからです。
また、睡眠不足時は、本人すら自覚をしていないマイクロスリープ(瞬間的な眠り)が起こっているという研究結果もあるように、集中力や注意力が散漫となり、事故を引き起こすリスクも高まります。
経済損失を少しでも回避したいなら、マイクロスリープが起こらないよう睡眠の質を向上させることが大切です。
例えば、ゴーグル型のスリープテックは、頭に装着することで脳波を検知し、睡眠状態に合わせてオーディオトーンを流します。
深い睡眠時の質や時間さらに高められるほか、アプリと連携すれば、睡眠の持続時間などもデータとして把握できます。
睡眠・スリープテックの市場規模
2021年におけるスリープテックの市場規模は45億円です。2022年には60億円と1年で15億円も増えており、2025年には105億円にまで増加するという試算が出ています。
厚生労働省の調査では、30~40歳代男性は仕事、30代女性では育児が睡眠の妨げとなっていると回答した人の割合が最も高いです。
適切な睡眠時間を確保するには、仕事や育児など睡眠不足の原因そのものを解消する必要があります。
しかし、同時に寝つきを良くする、深い眠りを取るなど睡眠の質を高めることも重要であると考えられます。
経済損失が15兆円ともいわれるように、睡眠不足による損失は大きいです。もはや個人だけではなく、社会問題へと変化しています。
今後は企業や自治体の関与が増え、健康状態を高める風潮が社会全体に広がることで、さらにスリープテックの市場規模は拡大するのではと注目を集めています。
スリープテック関連企業に注目!商品・サービスをご紹介
最後に、スリープテックに関連する商品やサービスを提供する企業をピックアップしてごご紹介します。
1.株式会社カドー・体内時計を整える睡眠補助機器
株式会社カドーは、“暮らしの展開の支えになる製品を生み出したい”をコンセプトに、空気清浄機や加湿器、布団乾燥機といった日常家電をはじめ、理美容やアロマに関する製品を手掛ける企業です。
様々な場所や時間に調和する確かな技術力と美しいデザインが魅力です。
カドーでは、スリープテック製品として「BRAIN SLEEP CLOCK(ブレインスリープクロック)」を提供しています。
ブレインスリープクロックは、カドーと睡眠医学とIT技術を活用し睡眠の質を高める様々なサービスやプロダクトを提供するブレインスリープと共同開発した製品です。
光・香・音のリズムを自由にカスタマイズすることで、崩れやすい体内時計を整え、心地良い睡眠へ導きます。
2.株式会社アテックス・ムレを低減し快適な睡眠をサポートするマットレス
株式会社アテックスは、こころとからだに癒しと感動を届けるウエルネスカンパニーとして、マッサージ器や美容機器、寝具など、健康や美容に関する製品を手掛ける企業です。
アテックスでは、テクノロジーを活用し、快眠環境を整えることのできる寝具を提供しています。
中でも、「快眠マットSOYOシングル」は、マットの中に小型ファンで風を通し、汗や体温による寝具のムレを低減できる製品です。
熱や湿気を抑え、快適な温度や湿度をキープすることで、快適な睡眠をサポートします。梅雨時期や夏場など寝汗や寝具のジメジメによる不快感が気になる季節におすすめです。
3.株式会社フィリップス・ジャパン・ヘッドバンド型睡眠補助デバイス
株式会社フィリップス・ジャパンは、電動歯ブラシや電動シェーバー、美容機器など幅広い電化製品を手掛ける企業です。
一般向けの製品から医療現場向けの製品まで、幅広い製品を取り扱っています。
フィリップス・ジャパンがより良い睡眠でより豊かな暮らしを実現すべく提供しているのが、「 SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」です。
ヘッドバンド型の本製品は、頭に装着して眠ることで脳波から睡眠段階を検出します。深い睡眠時に内臓のスピーカーからオーディオトーンを発生させ、睡眠の質を高めます。
専用アプリと連携することで、睡眠状態や深い睡眠の持続時間を可視化することも可能です。
4.株式会社oneA・首元に装着しいびきや呼吸レスを改善するウェアラブル機器
株式会社oneAは、アミューズメント事業や金属切削加工事業、産業機器事業など、多様な事業を手掛けています。
その中のひとつ、ウェルネス事業にてスリープテック製品の開発を行っています。
「Sleeim」は、大阪電気通信大学医療健康科学部医療科学科と共同開発された睡眠時に首元に装着するタイプのウェアラブル機器です。
いびきや呼吸レスを検知すると、振動によって物理的に刺激し、通常呼吸へ回復します。
いびきや呼吸レスの時間を減らすことで、快適な睡眠時の呼吸を増やし、心地良い睡眠をサポートします。
専用アプリと連携すれば、睡眠時の呼吸状態を簡単に確認することが可能です。
5.株式会社C2・睡眠を可視化できるアプリ
株式会社C2は、独自性を移設に、スマートフォンやタブレット向けアプリやWebコンテンツの企画・開発などを手掛ける企業です。
美容や健康をはじめ、ゲームやツール、プロモーションなど、様々なジャンルのアプリの開発実績を有しています。
株式会社C2の提供するスリープテックサービスは、睡眠が見える目覚ましアプリ「熟睡アラーム」です。
熟睡アラームでは、睡眠時間や睡眠効率、いびきの時間や音量など睡眠に関する記録ができる機能に加え、入眠に適したサウンドを流す熟睡サウンドや、睡眠の浅い状態を感知した時にアラームを流すスマートアラームなど、睡眠の質向上をサポートする機能を備えています。
アプリを使い続けることで、睡眠の傾向がわかり、より良い眠りへのヒントも得られます。
6.株式会社ニューロスペース・睡眠をパーソナライズ化するサービス
株式会社ニューロスペースは、「睡眠の不安をなくし、持続的に発展する社会へ」をビジョンに掲げ、睡眠を軸としたサービスを多数提供する企業です。
株式会社ニューロスペースでは、たった5分のアンケートに答えるだけで、パーソナライズ化された睡眠レポートを提供するサービス「My Sleep」を手掛けています。
My Sleepは、メンタル不調者の早期発見ツールをはじめ、健康無関心層の低減施策や睡眠・健康への関心増大ツールとして活用できるため、大手企業や健康保険組合など多くの組織で導入されている睡眠サポートサービスです。
あわせて睡眠セミナーを受講することで、睡眠改善メカニズムや自身の睡眠の特徴や課題を理解し、セルフケアが可能となります。
7.パラマウントベッド株式会社・入眠と目覚めをサポートするベッド
パラマウントベッド株式会社は、医療・介護用ベッドの製造・販売事業をはじめ、福祉用具のレンタル卸事業やベッドのメンテナンス事業など、ヘルスケア分野を中心とした事業を展開する企業です。
パラマウントベッド株式会社では、睡眠をサポートするベッド「Active Sleep BED」を提供しています。
眠りやすい角度は人によって違うという考えのもと、眠ったら自動でベッドがフラットになる入眠の自動運転機能と、ベッドが動いて目覚めを促す起床時の自動運転機能を兼ね備えています。
専用アプリを使えば、自動運転のスケジュールをはじめ、マットレスの硬さやベッドの角度の設定や、睡眠時の心拍や呼吸なども記録も可能です。
まとめ・スリープテックはこれからの発展も期待できる分野
日本は、世界的に見ても睡眠時間が短い傾向にあります。睡眠不足による影響や課題を解消するスリープテックは、これからの発展が期待できる分野のひとつでしょう。
さらなる市場規模の拡大が見込まれることから、今後の動向に注目が集まります。
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(編集:創業手帳編集部)