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GeNiE 齊藤 雄一郎|「エンベデッド・ファイナンス」の事業で注目の企業


非金融企業が既存サービスに金融機能を組み込むための仕組みである「エンベデッド・ファイナンス」の事業で注目なのが、齊藤 雄一郎さんが2022年4月に創業したGeNiE株式会社です。

銀行APIの開放により、英国などの欧州や米国におけるFintechでは、非金融事業者のアプリやサービスが金融機能(決済機能など)を組み込んで金融サービスを提供する、「エンベデッド・ファイナンス」がトレンドとなっています。

日本においても様々な金融サービスが登場していますが、ローン事業を始めるためには貸金業ライセンスの取得や厳格な法対応、金融庁による監督指針などを遵守する必要があり、参入障壁が高いという現状があります。

しかし、金融サービスの管理・運用をGeNiEが担うことで、非金融企業は専門的なスキルが必要な金融ビジネスを貸金業ライセンスの取得やシステム開発をすることなく提供可能となります。

今回は、GeNiE株式会社の齊藤 雄一郎さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

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・この事業の特徴は何ですか?


金融以外の事業を展開する非金融企業が、既存サービスに金融機能を組み込んで金融サービスを提供することを「エンベデッド・ファイナンス」と言います。

当社はレンディング領域におけるエンベデッド・ファイナンス事業推進のため、2024年度に、非金融企業が既存サービスにローン機能を組み込むための仕組みを提供開始予定です。

ローン事業は、貸金業ライセンスの取得や厳格な法対応、金融庁による監督指針などを遵守する必要があり、参入障壁が高いビジネスです。

しかし、当社の金融機能を既存サービスに組み込んでいただくことによって、非金融企業は体制整備に加え、貸金業ライセンスの取得やシステム開発をすることなくローン事業を開始できます。

また各サービスのエンドユーザーは、普段使い慣れたサービス上で、面倒な操作や手続きをすることなく借入を行うことが可能となります。

・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?

生活者向けのモバイルアプリやウェブサイトを展開されている企業、ローン機能を備えたサービスの提供を検討されている企業です。

金融サービスの管理・運用は当社が担うため、パートナー企業には、既存サービスのUX開発に専念できたり、専門的な資格・スキルがなくとも金融事業をはじめられる、といったメリットがあります。

また、金融収益の獲得、本業の売上増加などに貢献できると考えております。

・この事業の解決する社会課題はなんですか?

消費者金融の世界では、借入の申し込みを6割以上断らざるを得ないのが現状です。これには、与信情報不足によりお断りするケースも含まれています。GeNiEはこの課題解決に貢献します。

エンベデッド・ファイナンスを通じて得られたデータ(非金融企業が保有する顧客情報)を審査に活用することにより、今以上に高い精度で与信判断が可能となり、機会損失を減らせます。これまで信用力の証明ができずにお金が借りられなかった人の証明に役立つことができます。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

エンベデッド・ファイナンス自体の認知度が日本ではまだ低いことです。

2022年4月の会社設立以降、さまざまな企業とお会いし、当社の事業構想についてお話ししてきました。その結果、2024年度のエンベデッド・ファイナンス事業開始に向け、企業との提携も進み、少しずつ足場を固めています。

・今の課題はなんですか?

当社のエンベデッド・ファイナンス事業は、生活者向けのサービスを展開されている企業すべてがパートナーになりうる事業です。

今後事業を加速させていくためには、より多くの志を同じくする仲間が必要と考えています。未来のパートナー企業と仲間に向けて、エンベデッド・ファイナンスの可能性と当社の提供できる価値を発信し続けていきます。

・今後、どのような会社、サービスにしていきたいですか?

「データによる個人信用の見える化」は、金融サービスに限らず、各企業のサービス開発やマーケティング施策にもプラスに作用し、ひいては生活者の便益にもつながると考えています。

例えば、生活者一人ひとりの解像度が上がることで、金融サービスにおける信用力の判断は高度化し、与信枠の増加や金利優遇が実現できます。また、企業は顧客に対し、より精度の高い商品のレコメンドなどが可能になります。そして、生活者は与信のための書類提出などの工数を削減できます。

当社は、エンベデッド・ファイナンスを通じて、新たな”信用のカタチ”をデザインしていきます。

・読者にメッセージをお願いします。

GeNiEは、消費者金融のリーディングカンパニーであるアコムの社内ベンチャーとして誕生しました。アコムで培ったノウハウを活かし、エンベデッド・ファイナンス事業に先駆け、レンダー企業向けにローン・クレジットカード事業に関する業務支援も行っています。

既存サービスに金融機能をプラスしたい、ローン・クレジットカード事業の管理・運用を任せたい、と思ったときには、GeNiEを思い出していただければ幸いです。

会社名 GeNiE株式会社
代表者名 齊藤 雄一郎(さいとう ゆういちろう)
創業年 2022年04月
社員数 20名
所在地 東京都中央区
サービス名 2024年度にサービス提供開始予定
代表者プロフィール 2005年成城大学卒業。2022年3月慶応義塾大学大学院経営管理研究科修士課程(Executive MBA)修了、経営学修士号を取得。
大学卒業後、アコム株式会社に新卒入社。支店勤務を経て経営企画部へ。以降、企画部門を中心に全社戦略の立案やマーケティング業務に従事。2016年、フィンテックが日本で注目され始めた頃、テクノロジー活用を推進すべく、イノベーション企画室を立ち上げ。デジタル領域におけるサービス企画・立案、新規事業開発などに取り組む。マーケティング部門の責任者を経て、2022年4月、アコムの社内起業家としてGeNiE株式会社を設立。
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カテゴリ 有望企業
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