脱サラ前に必要な事前準備とは?準備を怠った場合のリスクも解説!

創業手帳

脱サラをするなら準備が大切


サラリーマンを辞めて起業したくても「どのような準備をすればいいかわからない」「会社を辞めるリスクが心配」といった不安から、なかなか行動に移せず悩んでいる方は多いかもしれません。

そこで今回は、脱サラ前にしておきたい準備について解説します。
準備せず脱サラした場合のリスクについてもご紹介しているので、脱サラ起業を検討している方はぜひ最後までお読みください。

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脱サラ前に必要な準備


まずは、脱サラ前に必要な準備をご紹介します。脱サラが失敗しないためにも、事前にしっかりと準備をしておいてください。

稼ぐためのスキルを身に付ける

脱サラした場合、自分で稼ぐ能力が求められます。営業スキルや知識やノウハウなど、稼ぐために役立つスキルを少しずつでも身に付けることが大切です。

そのために、副業を試してみるのがおすすめです。脱サラ前に副業をしておくことで、自分が持っているスキルではどのくらい稼げるのか確認できます
副業がある程度軌道に乗ってから独立すれば、脱サラ後に「思っていたのと違った」「思うように稼げない」と失敗するリスク回避にもつながります。

税金に関する知識を身に付ける

脱サラした場合、税金の支払いや管理も自分でする必要があります。個人事業主と法人では支払う税金も異なるため、税金に関する知識を身に付けることが大切です。

個人事業主が支払う税金の種類

個人事業主が支払う税金は、所得税・事業税・住民税・消費税です。所得税と住民税に関してはすべての個人事業主、消費税と事業税は条件に該当した人が対象となります。

所得税は、1年間の事業で得た所得に対して課せられる税金であり、所得額が増えるほど税率も高くなるため、特に負担を感じやすいでしょう。
所得税と消費税に関しては、自分で計算し、申告や納税をしてください。

一方、事業税や住民税は、住所のある市区町村から送られてきた通知書に従って納税します。
ほかにも店舗などの土地や建物を所有している場合は、固定資産税も支払う必要があります。

法人が支払う税金の種類

法人が支払う税金は、法人税・法人住民税・法人事業税・消費税・地方法人特別税・所得税・固定資産税などです。
課税方式は税金によって異なるため、正しく理解することが大切です。
税金に関する知識を身に付けると、どの程度お金を用意する必要なのかがわかり、支払いの目安になります。
詳しい計算方法は国税庁のホームページで確認できるので、チェックしておいてください。

事業が軌道に乗り、課税される所得金額が増えている場合、個人事業主として事業を続けるよりも法人化したほうが高い節税効果を得られる可能性もあります。

社会保険に関する知識を身に付ける

脱サラをするなら、今後の社会保険に関する知識を身に付けることも大切です。以下では、個人事業主や法人の代表が加入できる社会保険をご紹介します。

個人事業主が加入できる社会保険

個人事業主が主に加入できる保険は、国民健康保険と国民年金保険です。
会社員の場合、健康保険は勤め先企業が加入している組合に入っているのが一般的で、保険料は加入者と会社が折半して支払います。厚生年金に関しても同様です。

国民健康保険の場合、保険料は全額自己負担であり、保険料も前年の所得によって変わります。そのため、収入が増えれば保険料も高くなり負担は大きくなります。
国民年金に関しても、自分で加入や脱会の手続きが必要となるほか、配偶者の扶養もないため厚生年金とは違い2人分を支払わなくてはいけません。
ただし、業種によっては健康保険組合が設立されており、個人事業主でも加入できるケースもあります。

法人の代表が加入できる社会保険

会社を設立した場合、例え自分以外に従業員がいなくても社会保険に加入する義務があります。
社会保険とは、健康保険と厚生年金のほか、労災保険や雇用保険を含む労働保険などで、加入義務がある事業は次のとおりです。

  • 常時従業員を使用する法人事業所(事業主のみの場合を含む)
  • 常時5人以上の従業員がいる事業所や工場など

健康保険と厚生年金保険は、会社を設立し登記が完了したら加入が義務付けられています。上記にあるとおり、たとえ自分以外に従業員がいないひとり社長も対象です。

民間の保険を見直す

脱サラをする前に現在加入しているものも含めて、民間保険の見直しを行ってください。民間保険への加入は必要とはいえません。
個人事業主になり国民健康保険や国民年金に加入する場合、サラリーマン時代の社会保険に比べて受けられる保障が少なくなります。

万が一、怪我や病気で働けなくなったとしても最低限の生活ができるようにしたいなら、収入保障などがある民間保険への加入を検討するのもひとつの方法です。
最近は、個人事業主やフリーランス向けの商品を取り扱っている保険会社も増えています。
保障内容が重複していないか、負担が重くなっていないかなどを加味しながら、自分にとって必要と思える保障を備えた保険を選ぶことが大切です。

開業資金・運転資金に必要な費用を貯蓄する

起業前には開業資金はもちろんのこと、ある程度運転資金を用意しておくことが重要です。以下では、開業資金・運転資金に関する情報をまとめたのでご紹介します。

生活費を把握する

まずは1カ月生活するのにいくらあればよいのかを知るために、生活費を計算します。
家賃や食費、スマートフォンやインターネットの通信費や水道光熱費など生活に関する費用をはじめ、年金や健康保険料などもチェックしてください。

国民健康保険や年金に加入する場合、脱サラ前とは金額が異なります。
サラリーマン時代とは違い自分で支払わなければならないほか、ボーナスもなくなるため、金額を把握することが大切です。
毎月どのくらいのお金が必要かを知ることで、起業に向けてより綿密な計画を立てることができます。用意する生活資金の目安は、3~6カ月です。

開業資金は業種によって異なる

開業に必要な資金は、業種や事業規模によって異なります。カフェなど飲食店を始める場合、500万~600万円ほど費用がかかるといわれています。
物件を借りる費用をはじめ、内装や外装費、備品購入費、仕入費用、人件費、広告費など、理想のお店をオープンするには様々な費用がかかるためです。

飲食店だったところをそのまま活用できる居抜き物件を選べば、設備投資にかかる費用や内外装費を抑えられるので、100万~200万円程度で開業することもできます。
一方で、インターネットビジネスのようにパソコンがあれば自宅でも開業できる業種なら、少ない資金で始められます。

このように開業に必要な資金は事業によって異なるため、起業する際は、事業計画をしっかり立てた上で、どのくらい開業資金が必要なのか計算してください。

資金を集める方法

開業資金は、自分で貯蓄して用意するほか、融資制度や補助金を活用したり、クラウドファンディングを利用したりする方法があります。
以下では、それぞれの方法についてご紹介します。

融資制度の活用

融資制度は、銀行などの金融機関からお金を借りる制度です。借金なので当然ですが返済が必要となります。

融資制度を活用するには事業計画書を作成し、厳しい審査を通過しなくてはなりません。
自己資金が少なかったり、事業計画や返済計画が曖昧だったりすると審査に通るのは難しいです。
審査に通って借りられたとしても、返済計画に無理があった場合、その後の事業や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
融資制度を活用する際は、負債を背負うことになることをしっかり理解しておくことが重要です。

国や自治体の補助金の活用

融資制度とは違って返済する必要がないのが補助金や助成金です。補助金や助成金は、国や各自治体によって様々な種類や支援が用意されています。
それぞれ適用条件や支援内容、金額や審査方法も異なりますが、助成金は要件を満たしていれば受給できることが多いです。
一方で、補助金は予算も決まっており応募も殺到するため、難易度は高い傾向にあります。

最初にご紹介したように補助金や助成金は返済義務がないものの、支給は後払いが基本です。
制度によっては支給まで半年~1年かかることもあるので、活用する際は資金計画をしっかり立てておくことが大切です。

補助金に関する詳しい情報を知りたい方は、創業手帳の「補助金ガイド」もあわせてご覧ください。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金を調達する方法です。
ひとりひとりからの出資は少額でも、応援してくれる人が増えるほど調達できる資金も多くなるのが特徴です。

クラウドファンディングは誰でも利用できます。
「このようなビジネスを始めたい」「このようなことをしたい」といったアイディアに支援者が共感した場合、支援者からの支援を受けられるかもしれません。
代わりに支援したい・応援したいと思えるようなビジネスやサービスでなければ、資金を調達するのが難しいという点がデメリットです。

会社員のほうが審査が通りやすい手続きを済ませておく

脱サラをすると社会からの信用度が下がる可能性があります。脱サラをするなら事前に必要な手続きをしておいてください。

クレジットカードの作成

個人事業主や自営業は、会社員に比べて社会的信用度が低くなるためクレジットカードを作るのが難しくなります。
新たに契約したいクレジットカードがある場合、高い信用度のある会社員のうちに作っておくことをおすすめします。

事前に事業用のクレジットカードを作成しておけば、手元に現金がなくても費用を支払うことが可能です。
資金管理も楽になるため、仕入れや支払いでクレジットカードを使う予定があるのなら、作っておくとよいかもしれません。

住宅ローンや賃貸契約を結ぶ

起業したばかりの時は、住宅ローンや賃貸契約の審査にも通りにくくなります。
安定した収入のある会社員とは違って収入が不安定とみなされ、社会的信用度が低くなりやすいからです。
特に住宅ローンは長期にわたって返済が必要なことから、社会的信用度に加えて年収や勤続年数など様々な情報が加味されます。

個人事業主や自営業であっても長期間に渡って事業が安定していることを証明できれば、徐々に社会的信用度を上げることは可能です。
ただし、それには時間がかかるため、引越しやローンの契約予定があるならサラリーマンのうちに済ませておきましょう。

家族からの同意を得る

脱サラすると、会社員のように安定した収入が得られなくなります。
これまでのように生活できなくなる可能性もあるので、脱サラする際は、事前に家族や配偶者から同意を得ることが大切です。

なぜ起業したいのか、脱サラしても大丈夫なのか、きちんと家族に理解してもらうにはそれなりの根拠が必要です。間違っても同意なく、話を進めないように注意してください。

準備をせずに脱サラした場合のリスク


最後に、準備をせずに脱サラした場合のリスクをご紹介します。勢いだけで脱サラをするのはリスクが高いです。
脱サラしてから後悔しないためにも、どのようなリスクがあるのか、しっかり理解しておくことが大切です。

生活費が足りなくなる

事前準備もせずに会社を辞めた場合、事業がうまくいかなければ生活費が足りなくなり、生活が苦しくなる可能性があります。
脱サラする人の中には、「辞めてから考える」「とりあえず試してみる」と起業を安易に考えている人もいるかもしれません。

事前にしっかりとした計画を立てずとも何とかなっているのは、もともと高いスキルや人脈のある人が多いです。
ほとんどの人は事前準備や計画もなく稼ぐのは難しいため、脱サラ起業は計画的に行うことをおすすめします。

信用がなくローンが組めない

脱サラすると社会的信用度が下がるため、ローンを組むのが難しくなります。
会社員の頃は問題なく通っていた審査でも落ちる可能性があるため、不便に感じることが増えるかもしれません。

ローンを組んだり、銀行から融資を受けたりする予定がある場合は、脱サラ前に相談しておいたほうがスムーズに通りやすいでしょう。

家族の関係が悪化する

なかなか事業が安定せず生活が苦しいと、家族や配偶者との関係が悪化しやすくなります。
お金がないことで精神的余裕がなくなり、イライラして喧嘩が増えてしまうためです。
最悪の場合、離婚に至るケースも少なくありません。
脱サラをしてうまくいかなかった場合、家族との関係が悪化しやすいため、起業する際は事前によく話し合うことが大切です。

まとめ

脱サラすると、会社員の頃に比べ社会的信用度が下がります。
さらに、事業が安定するまで時間がかかり、生活が不安定になることも考えられます。脱サラをするなら事前に準備を進めておくことが大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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