最大1億円の事業再構築補助金7つのポイント|審査に通るコツや注意点を現場から分かりやすく解説
なぜ事業再構築補助金が注目され、なぜこの補助金を活用すべきかがわかります!
事業再構築補助金はいま話題の補助金です。上限が1億円と補助金の金額としては大きく、予算総額1兆円というのも重要なポイントです。
予算総額が小さい補助金の場合、すぐに枠がなくなってしまう、あるいは競争倍率が高すぎて通りにくいということがあります。一方、事業再構築補助金は、予算総額も1社あたりの上限も、どちらも大きいというかつてない補助金のため、専門家含め業界が注目しているのです。
そんな事業再構築補助金が通るためのコツや注意点について、多数の起業支援、資金調達支援をしている創業手帳と税理士で分かりやすく解説していきます。
【最新情報】2次公募が開始!
2次公募の申請受付が始まりました。5月29日から7月2日18:00までとなっています。
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この記事の目次
ポイント1 事業再構築補助金が注目の理由
Q.なぜ事業再構築補助金が注目されているのか。また経営者や起業家が検討するべき理由を教えて下さい。
まず金額が大きいということが挙げられます。補助金は数十万円ぐらいのものも多いですが、今回は、コースによって6,000万円や1億円という金額の大きさが特徴です。
また、予算枠が少ないものはすぐいっぱいになってしまう傾向があるのですが、今回は総額1兆円という枠です。
複数回締切がありますので、ぜひトライして欲しい補助金です。
2次公募は5月10日頃から公募を開始し、7月上旬まで申請を受け付ける予定となっています。
令和4年3月までに合計5回の公募の実施が予定されています。
おおよその今後の予定は以下の通りと言われています。
第3次:8月頃、第4次:10月頃、第5次:11月頃
ポイント2 事業再構築補助金の対象と注意点
Q.申請できる対象は?どういう人に向いていますか?やり方次第で申請の対象から除外されてしまうこともあると聞きました。
まず知っていてほしいのは、これは補助金なので、支払が先で受給は1年先であるということです。コロナで困っている方向けではありますが、持続化給付金や一時支援金などの困った方へのバラマキの給付金とは異なり、リスクをおかしてチャレンジする事業者のための補助金です。
支払が先行しますので、そのための資金繰り(融資など)も考えておかないといけません。
また、「事業再構築」というだけあって、今やっている事業をそのまま続けるという甘い考えの方は通らないと思ってください。新分野にチャレンジしたり、事業を大きく転換するために投資を考えているという人に向いている補助金でしょう。
対象者の要件は、コロナでの影響を受けている事業者を優先する政策から、申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることです。
この期間のとり方で、申請対象外となってしまうケースもあるので注意が必要です。
ですが「任意の3カ月」は連続している必要はありません。単月や連続3カ月だと売上10%減に当てはまらないが、ばらばらの3カ月だと当てはまるという方もいると思います。
コロナ対応だけでなく、これを機会にDXを含めた新しい領域へのチャレンジをしてもらいたいと思います。
ポイント3 事業再構築補助金の制度の選び方
Q.事業再構築補助金の中でも、目的と制度が別れていますよね。選び方次第で通る通らないなど明暗が分かれそうな気がします。
新分野への進出なのか業態転換なのか?という違いがあります。一見同じに見えますが、新市場を創出するのが新分野への進出ですね。手法を変えるのが業態転換です。
実はこの2つは枠が違うので、審査基準や金額も変わるわけです。
コースの選び方次第で、落ちてしまう・あるいは通ることもありうるわけです。
以下の枠があるので、自分にあったものを選びましょう。
- ■中小企業 通常枠
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- 補助額: 100万円~6,000万円
- 補助率: 2/3
- ■中小企業 卒業枠
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- 補助額: 6,000万円超~1億円
- 補助率: 2/3
※400社限定。事業計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金 又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠
- ■中堅企業 通常枠
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- 補助額: 100万円~8,000万円
- 補助率: 1/2(4,000万円超は1/3)
- ■中堅企業 グローバルV字回復枠
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- 補助額: 8,000万円超~1億円
- 補助率: 1/2
※100社限定。以下の要件を全て満たす中堅企業向けの特別枠。
① 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15% 以上減少している中堅企業。
② 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を 達成を見込む事業計画を策定すること。
③ グローバル展開を果たす事業であること
緊急事態宣言特別枠
対象は、通常枠の申請要件を満たし、さらに緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者。
緊急事態宣言特別枠の補助額
従業員数5人以下 | 100万円~500万円 |
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従業員数6~20人 | 100万円~1000万円 |
従業員数21人以上 | 100万円~1500万円 |
緊急事態宣言特別枠の補助率
中小企業 | 3/4 |
---|---|
中堅企業 | 2/3 |
ポイント4 事業再構築補助金で提出する経営計画の資料と準備
Q.経営計画の資料はどれくらい作りこめばでしょうか?雛形などはあるんでしょうか。
経営計画を分かりやすくまとめ、市場分析や今後の見通しなどを整理していきます。
そして肝は、新しい取り組みでどうやって売上を伸ばしていくのかという点です。
細かい点としては、雇用維持についての項目などでしょう。DXで事業を伸ばすということであって、リストラではない、前向きな計画が求められるといことです。
ポイント5 「GビズID」など事業再構築補助金の申請に必要なこと
Q.申請の際に、GビズIDプライムアカウントが必要と聞きました。そこで時間のロスもありそうです。簡単に取れるものでしょうか?
政府系の補助金や申請には今後、このGビズIDが必要になってきます。
GビズIDは申請から取得まで少し時間がかかります。「※GビズIDの取得には2~3週間ほど時間がかかります。」とGビズIDのHPに記載されています。
実際に申請したところ、2週間かかりました。必要書類は印鑑証明書(個人事業主の場合、印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書です。
やってみた感想としては、手続自体は難しくないですが、時間がかかるので早く申請しておたほうが良いなということです。
なお、GビズIDプライムアカウントの取得に時間がかかるため、本事業に限り暫定GビズIDプライムアカウントでの申請が可能となりました。申請書や印鑑証明書などの郵送を省略し、発行されるまで最大48時間程度(土日祝日除く)に短縮したものです。
ただし、採択公表後の交付申請には正式なGビズIDプライムアカウントが必要となるため、準備を進めておきましょう。
ポイント6 金融機関、専門家の支援
Q.金融機関や専門家(中小企業診断士や税理士など)と連携が必要とのことです。どう連携するのですか?
事業再構築補助金は、経営革新等認定支援機関の助言を受けながら、事業者自身がしっかりした計画を立てる必要があることも特徴です。
経営革新等認定支援機関とは、税理士や行政書士、中小企業診断士などの士業、または、信用金庫や銀行などの金融機関で中小企業庁により認定をうけた、いわゆる中小企業向けの経営コンサルティングを行う人たちです。
今回の補助金申請に関わらず、超長期の経営計画を立てることで会社の経営が定まり成長が促進され安定しますので、経営計画を立てること自体を面倒がらずに、この機会にしっかり作成しましょう。
資料の作り込みは会社にもよりますが、代表自身がかなり時間をとって、複数回、専門家や金融機関と打ち合わせをしていきます。
補助額が大きいゆえに、専門家と金融機関との二人三脚の制度だというのも大きな特徴です。
この機会に経営を見直すことで、成長のヒントがみつかるかもしれません。
ポイント7 その他のコツ
Q.申請にはどのような意識で取り組めば良いでしょうか。
使い方次第で大きなメリットのある補助金です。
一方で、売上基準やどのコースを選ぶのか、などの注意点もあります。
ポイントは、
①どの経営革新等認定支援機関と一緒に事業再構築に挑むか
親身で良心的な認定支援機関、実績のある認定支援機関は人気があり、枠が限られます。
どうやって探したらいいかとお困りでしたら、創業手帳で創業・事業再構築などのコンサルティングを担当しているアドバイザーがご相談に乗れます。創業コンサルティングよりお問い合わせください。
②事業者が主体的に計画を練る
認定支援機関はあくまで助言サポートです。今回の補助金は、丸投げで受給できるものではないです。
補助金事業に採択されて高い成功報酬を払ったものの、支出が補助対象事業とみなされずに受給額がゼロという場合も多くあるようです。
しっかり実際に取り組む事業について、事業者自身が責任と自負をもって計画を練る必要があります。
まとめ
早めに着手しておくとブラッシュアップの時間が取れるので、より良い計画が立てられます。
補助金の申請も大事ですが、外部の専門家や金融機関と会社の長期の計画を立てて、会社を生まれ変わらせるチャンスです。
積極的に活用することをおすすめします。
(編集:創業手帳編集部)