5w2hでワンランク上のビジネスを目指す!その意味や実際の使用方法について解説
5w2hはビジネスで「報連相」や事業計画立案に有効。その意味合いや、実際の使い方を解説します。
ビジネスを効率的に進められて、ワンランク上の上級者になれる有効なフレームワークが「5w2h」です。5w2hは、上司や部下、同僚への「報連相」やプレゼンの場面などで、自分の意図を順序立てて伝えたり、事業計画や方針決定のための課題をあぶり出したりするために役立ちます。
そこには、話し方や仕事の組立てをロジカルに進められる仕組みがあり、5w2hをマスターすればビジネスをスムーズなものにできるはずです。今回は、ビジネスの様々なシーンに活用できる5w2hについて、具体的な活用法を含めて詳しく説明します。
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この記事の目次
5w2hとは何か
5w2hを覚えておくと、ビジネスを円滑に進めることが可能です。5w2hを生かすために、まずはその意味合いを把握することで、今後のビジネスシーンに広く役立てることができます。こちらでは、5w2hの概要を説明します。
5w2hの意味とは
5w2hは、フレームワークとして7つの必要要素を明確化し、それぞれ詳細に決めることで目標達成までの道筋を具体的にするものです。5w2hの各要素とは、以下のとおりです。
・what
これは、仕事における行動や商品・サービスについて「何を」するのかを示すものです。これにより、仕事の目標とするものは何かを明確にします。
・why
仕事の目標やゴールを達成するために、「なぜ」それを行うかをはっきりさせます。目標に対して意味や根拠を明らかにし、目標への道筋を作るための要素です。
・when
目標を達成するまで、もしくはそこまでに必要な各プロセスの期限・期間が「いつ」かを決定します。
このような期限を決めておくことは、目標達成の最適な時期を算出するために必要です。
・who
「誰が」目標に向けて動くのか、目標までのプロセスを担当するのは誰かなどに加え、商品やサービスを「誰に」提供するのかを明確にするものでもあります。
・where
仕事において「どこで」行うかも、目標達成には重要な要素です。
各プロセスはどこで実行するか、商品やサービスの提供を行う場所はどこかを決めることで、仕事に具体性が増します。
・how to
目標を達成するために、「どのような」方法が最適かも明らかにすべきです。この時、目標に向かう手段を決めておけば、最適かつ最短の道筋が見えてきます。
・how much/how many
目標達成のために「いくら」の費用が必要か、また商品やサービスの価格をいくらで「いくつ」提供するかを決定します。
価格や数の見積もりを行うことで、資金繰りや利益を見通すことができます。
5w2hと5w1hはどう違うか
5w2hと似たフレームワークに、5w1hがあります。5w2hは、5w1hに「how much/how many」の要素を加えたものです。
「how much/how many」のように、費用や価格・個数の数値を具体化すれば、利益を出すための分析や方法をはっきりさせることができます。
目標達成のために明確にすべき各要素に数値が加わることで、目標までの期間やプロセス数、宣伝方法や商品の生産数に至るまで変更・最適化することが可能です。
そのため、5w2hは特に商品やサービスを提供するためのマーケティング活動に向いたフレームワークでもあるといえます。
5w2hの重要性について
5w2hを実行することにより、仕事の進捗にもはっきりとした計画ができ、迷うことなく仕事を進めることが可能です。
具体的には、以下のような場面で役に立ちます。
伝える内容がより具体的になる
上司や部下、同僚への「報連相」において、例えば、何らかの報告をした際に「なぜそうなったか」「いつまでに終了するのか」といった質問をされ、言葉に詰まるケースもあります。
このような時、話を伝える相手が疑問に思う点をすべて解消させ、順序立てて話すために5w2hを活用するのが有効です。
5w2hにより、物事を伝えるのに必要な要素を盛り込み、話の構成を作って伝えることができます。
相手が様々な疑問を抱くことなく、要素の認識にもずれが出ないことから、スムーズに内容を把握することが叶います。
そして、お互いの認識を正しく共有することで、すれ違いや報告内容への誤解を生むこともありません。
事業戦略を現実的なものとする
5w2hの利点について、利益を出すための具体策を講じられることは、前述のとおりです。
これにより商品やサービスの価格について、どのラインが適切かつ利益を上げられるかなどの分析を行った上で、事業戦略を立てられます。
また、利益を出すために有効な宣伝や販売方法の方針を固めることにつながり、事業戦略がより現実的に見えてきます。
このような事業戦略を現実的なものにすれば、売上げ目標も立てやすくなり、目標に向かうモチベーションを保つ要素にもなります。
各要素をより深堀りできる
5w2hでは、ビジネスに必要な各要素を具現化することはもちろん、要素ごとに深い分析を行って最適解を探すことにも使えます。
例えば、「how much」を分析するにあたっては、他の6つの要素を絡めて考えます。
「その価格で何を行うか」「なぜその価格なのか」「その価格を適用するのはいつか」「その価格で誰に販売するか」「その価格でどこで販売するのがよいか」「どうやってその価格で販売するか」などです。
このように、ひとつの要素に対して他の6つの要素から考えていけば、目標達成までつまずくことなく、計画を遂行させやすくなります。
5w2hを活用する主なシーンについて
5w2hが役立つシーンは、ビジネスの現場で多数存在します。その主な活用シーンを知っておけば、日常的にフレームワークとして取り入れることができます。
5w2hの活用シーンについて、主なものをあげていきます。
5w2hはこんなところで使える
5w2hは以下のように使うことができます。
議事録や報告書で読み手にわかりやすく伝える
議事録や報告書のように、社内の関係者や上司が閲覧する書類においては、5w2hの活用でよりわかりやすく内容を伝えることができます。
それぞれの要素を具体的にするだけではなく、盛り込まれた情報は客観的なものであるため、主観的であいまいな表現をすることもなくなります。
さらに、内容を整理してロジカルに構成することで、読みやすさも加わり、無駄なく読み手に伝えることが可能です。
5w2hを使って書類の内容をまとめるには、自身で5w2hのフォーマットを作って、それに該当する内容を埋めていく方法もおすすめです。
企画や事業計画でやるべきことを明確にする
プロジェクトの企画や事業計画においては、5w2hにより目標達成までにやるべきことを明確にすることも大切です。
何がしたいのか、どこを目指すのかといった内容が不明瞭では、せっかくいい企画や計画が思いついていても実際にどう動けば良いのか、どのようなプロセスが必要かがわかりません。
そのため、企画や事業計画で5w2hに当てはめながら構築することで、具体性やコンセプトが伝わりやすくなり、提案が採用される近道にです。
これは、社内のみならず取引き先への提案でも役立ちます。取引き先担当者がその上司に内容を伝える時、提案が有益なものかどうかをアピールする要素にもなります。
作業の段取りを効率よく立てる
5w2hは、プロジェクトや事業計画のように大きな規模で活用するだけではなく、そこに至るまでの細かなプロセスや日常業務にも生かすことができます。細かな仕事でも、段取りを立てて進めることは、効率を上げるために大切です。
そこで、「何をするのか」「なぜしなければならないか」「締切りはいつか」「ほかに携わるメンバーはいるか」「どこで進めるか」「どうやって進めるか」「費用対効果は優良か」のように考えます。
これらを、ひとつずつピックアップすることで、頭の中が整理でき段取りを効率よく立てられるようになります。
5w2hを活用した「報連相」の例文を紹介
ここからは、ビジネスに必須となる「報連相」について、実際に5w2hを使った例文を紹介します。
・プロジェクトの進捗を報告する時
「新商品の販売方法について(what)、明日の13時に(when)〇〇社(Where)で打ち合わせを行います。
〇〇社の販売担当者には(who)、××個を目標に販売してもらいたい(why)、売り場の構成は、できるだけ広く取って欲しい(how to)と打診する予定です。
これにより、〇〇社での売上げを△△万円とする(how much)ことを目標とします」
この例文には、5w2hの要素がすべて含まれています。
ここまで具体的に説明できれば、聞き手が知りたい情報を網羅できるだけではなく、スマートに整理することも可能であるため、一連の文章だけで報告が終了します。
・部下に書類作成を依頼する時
「〇〇くん(who)、明日の14時に会議があるから(why)、13時までに(when)資料を作ってほしい(what)。
作った資料は20部印刷して(how many)会議室(where)に1席1部ずつ並べておいて(how to)。」
部下に指示をする際にも、5w2hを盛り込むことで、書類作成をする意味を部下にきちんと理解させることが可能です。
これにより、部下は仕事の順序を組立てられるだけではなく、優先順位やスピードも概算することができ、仕事を効率的に進められます。
5w2hの具体的な活用例を紹介
5w2hを有効に活用するために、実際にどのように使うのかの実例を見ると理解しやすいです。
5w2hの活用シーンは多岐に及びますが、こちらでは、新商品・サービスの販売・提供を行う事業計画を立てる際を例にとり、活用法を見ていきます。
目的を明確にする
これは、「why」にあたる部分です。商品を販売するためには、顧客がその商品を求める理由を明確にすることが大切です。
そのためには、顧客のニーズや属性を分析し、なぜ顧客が商品を購入してくれるかといった要素から、商品開発の目標を明確にします。
どのような商品・サービスを打ち出すか
上記のように、事業の目的を明確にした後に、その商品・サービスをどのようなものにするかについて精査します。これが、「what」に該当します。
商品やサービスにつける付加価値について、顧客のメリットを分析してどのような需要を生み出すかを考えることは、付加価値に対する自社の意思を確認することにもなるでしょう。
ターゲットを明確にする
次に、顧客の中でどの層をターゲットにするかを明確にします。商品やサービスの特徴や付加価値について、どの層に一番ヒットするかを考える作業です。
つまり、ここが「who」になります。
ここでは、ターゲットの年齢、性別に加えてライフスタイルの属性も細かく分析し、ターゲット層を絞っていきます。
この作業については、事業計画立案の序盤で考えても良いです。
キャンペーンや発売日などの日程や時期を決める
この過程は、「when」となる部分です。
商品やサービスの方針が決定し、製造作業が進めば、商品やサービスの宣伝やキャンペーン、発売日など、適切なタイミングを決定します。
宣伝やキャンペーンについては、商品・サービスの販売日・提供日が決まってから、適切な時期を逆算するのが良いです。
さらに、ターゲット層の興味が高まる時期についても精査します。
どのような場所で商品・サービスを提供するか
「where」の過程では、商品やサービスの提供場所の設定において、ターゲット層により受け入れられやすいところにすべきです。
実店舗で販売するか通販を選ぶか、商品の製造から販売までのルートは確保できているか、様々な要素を組み合わせて、ターゲット層に響きやすい場所を設定します。
商品・サービスの価格・量を 決定する
「how much」となる商品やサービスの価格、「how many」となる量の決定では、開発・製造にかかった費用と市場価格相場を鑑み、いかにして利益を上げられるかを分析します。
どのような価格・量で販売するかは、今後の資金繰りや事業成功による業績見込みのように、先を見越して設定することをおすすめします。
販売・提供はどのように行うか
販売する商品や提供するサービスにおいて、どのように顧客に周知させるか、購買や利用に対する意欲を促進するための方法は何かを考慮します。
これが、「how to」となる箇所です。
販売・提供場所は上記で決定しているため、それを実現する方法や宣伝の手段について、SNSやマスコミの利用、キャンペーン内容でよりターゲット層に刺さる内容を決めます。
5w2hと合わせて活用したいフレームワーク
ビジネスにおける5w2hは、汎用性が高く様々なシーンで活用しやすいです。
そして、以下に紹介するフレームワークと組み合わせれば、さらにスムーズにビジネスを進めることができます。
では、5w2hと合わせて使えるフレームワークを紹介します。
「PREP法」で文章を整理する
「PREP法」とは、「point」(結論)、「reason」(理由)、「example」(具体例)、「point」(結論)と、4つの構成要素で文章を整理する方法です。
最初に結論を持ってくることで、何が言いたいかを最初に提示し、その次に結論に至った理由と具体例を出して詳しく説明します。
説明の結果、最初に出した結論に行き着くことを示す方法です。
5w2hで文章を組立てた後、PREP法を当てはめて再構築すると、さらに簡潔でわかりやすい文章ができあがります。
「PDCAサイクル」で計画から改善までを順序立てる
プロジェクト管理などによく活用されるのが「PDCAサイクル」です。
これは、「plan」(計画)、「do」(実行)、「check」(評価)、「action」(改善)のサイクルでプロジェクトを精査するものです。
事業計画を実行する際、5w2hで立てた計画をPDCAサイクルで管理し、再度検討する際に5w2hのどの要素に問題があったかを分析することで、次回につなげられます。
「ガントチャート」を作成して工程を可視化する
プロジェクトの進行管理を行う「ガントチャート」では、目標達成までのプロセスについて期限やタスクを可視化できます。
5w2hそれぞれの要素を決めて、必要なプロセスが明らかになったとき、ガントチャートでやるべきことを一目で確認できれば、目標までの流れを具体的に理解できます。
5w2hを活用して成功した事業を紹介
実際に、5w2hを活用して事業を成功させている例は多くあります。5w2hは多様なビジネスに活用できることから、成功している事業のジャンルも幅広いです。 以下では、5w2hにより事業を成功させた実例をあげていきます。
マーケティング戦略で成長したスクール
5w2hを活用したマーケティング戦略を打ち出したのが、経営マネジメントを教えるスクールです。
「why」では、将来の経営者を育てるにあたり、心得の周知や人脈形成の場の提供をするスクールという理念を設定。
「who」で入学者の条件、「when」では生徒がいつでも学習できるシステム構築、「what」では具体的なメソッドについて、より有効な経営者育成計画を立てています。
さらに、「where」では自宅などでのオンライン学習、「how to」はオンラインコンテンツの充実、「how much」では安価な価格を決め、社会人が週末に学習しやすい環境を作りました。
その結果、スクールに通えず潜在する優秀な人材の発掘に成功し、全国的に多くの生徒数を獲得したのです。
ネットショッピングで事業拡大に成功
ファッションに特化したネットショッピング事業を行う会社では、着ることでサイズの採寸ができる画期的なシステムを打ち出しました。
この事業においては、「why」について顧客の体に服が合わせていくことを提案し、「who」で定めたのは20代~30代前半の女性です。
「when」ではwebでいつでも購入できるようにし、「what」はブランド中心のファッションアイテム、「where」はオンラインすることで、ショッピングサイトの特徴を生かした戦略を立てました。
そして、「how to」では自社で発注から納品、メーカー共通サイズの設定の施策を立て、「how much」では下取り制度や出店店舗からの手数料の徴収のシステムを構築しています。
その他にも、独自の手法を次々に取り入れたことで、ファッション通販業界に新風を巻き起こす企業となっています。
シェアオフィスを全国に事業展開
シェアオフィス事業を世界展開している会社では、「why」を快適かつ満足度の高いオフィススペースの提供とし、「who」は個人事業主やスタートアップ、出張で訪れたビジネスマンなどを対象としました。
「what」は、オフィススペースや人材ネットワークの提供。
「when」は24時間体制でいつでも利用できることを打ち出しています。
そして、「where」は世界各地の拠点、「how to」に関しては専用アプリによるネットワーク構築やワークショップの実行を行いました。
「how much」では、月額制をはじめ豊富なプランを用意し、同業他社よりも高い価格を設定しましたが、これはビジネスマンが享受できる様々なメリットに見合ったものです。
このシェアオフィスを利用することで、世界中の会員によるコミュニティに参加でき、ビジネスの拡大や双方のモチベーションアップ、新たな発想の創出に役立っています。
まとめ
ビジネスにおいて、5w2hの活用はとても有効です。社内外の「報連相」をはじめ、事業計画やマーケティング、作業の段取りに至るまで、5w2hの出番は多いです。
これを使いこなすことで、つまずきやすいビジネスの過程をスムーズにこなすことができるでしょう。
ビジネスシーンにおいて、相手に自分の意思が伝わりにくい人、具体的な計画を立てるのが苦手な人は、5w2hを覚えておいて損はありません。
仕事の効率アップのために、ぜひ5w2hを活用してください。
(編集:創業手帳編集部)