【2024年】50歳以上の雇用には助成金を利用しよう!制度の種類や詳細まとめ

創業手帳

50歳以上の従業員を雇用したら助成金を申請しよう


50歳以上の従業員は、経験やスキルを持つ企業の戦力として活躍が期待されます。しかし、50歳以上の従業員が活躍するために働きやすい環境の構築が必要です。

条件を満たすことで受け取れる助成金は多くあります。ここでは、代表的な助成金を紹介していきます。

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50歳以上を雇用した時に利用できる助成金は?


日本は急速に高齢化が進み、多くの企業がシニア雇用を推進しています。
健康寿命も長くなり、能力やスキルを現場で活用したいと考えているシニア層は、人材不足に悩む企業にとっての救世主になるかもしれません。

ここでは、50歳以上の求職者を雇用した時に利用できる助成金について紹介します。
これからシニア雇用の活発化を考えている企業は、助成金の利用を検討してみてください。

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

シニアが意欲や能力がある限り年齢に関係なく働き続けられる、生涯現役社会を実現するための取組みを促進する企業に対して助成金を支給する制度です。
65歳超雇用推進助成金は、65歳超継続雇用促進コース、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コースの3つのコースで編成されています。

ここでは、50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を、無期労働者に転換させた事業主が助成を受けられる高年齢者無期雇用転換コースについて紹介します。

受給要件

65歳超雇用推進助成金 無期転換コースの受給要件は以下のものです。

①無期雇用転換計画の認定
有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する計画を作成して認定されること。
無期雇用転換計画とは、有期契約労働者を無期雇用労働者に転換するために策定する計画で、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の理事長からの認定が必要です。

②無期雇用転換計画の実施
無期雇用転換計画に基づいて、計画期間内に雇用する50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換することが求められます。
高齢者の雇用について別の補助金を使っている場合には対象外です。

対象となる人

対象となるのは以下の条件を満たす人です。

①支給対象事業主に雇用される期間が転換日において通算して6カ月以上5年以内で50歳以上で定年年齢未満の有期契約労働者であり、無期雇用転換後に65歳以上まで雇用される見込みがあること
②転換日において、64歳以上の者でないこと
③派遣労働者でないこと
④有期労働契約が繰り返し更新され通算5年を超えて労働者からの申し込みにより無期雇用労働者に転換した者でないこと
⑤無期雇用労働者として雇用すると約して雇い入れられた有期契約労働者でないこと
⑥転換日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所において無期雇用労働者として雇用されたことがない者であること
⑦無期雇用労働者に転換してから支給申請日の前日において、当該事業主の事業所の雇用保険被保険者であること

申請方法

高年齢者無期転換コースを申請するには、以下の手順で申請してください。

①事前相談
②申請書の提出
③必要に応じて補正
④審査
⑤認定/不認定、支給申請書については支給/不支給決定の通知
⑥指定の金融機関の口座に助成金の振込

助成額

助成額は、対象労働者1人につき 30万円(中小企業事業主以外は 23万円)です。
さらに1支給申請年度度(4月~3月)1適用事業所当たり10人までが限度となっています。

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)は、中途採用の拡大を通じて生産性の向上に取り組む事業主をサポートする目的の助成金です。
常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は、中途採用率を公表していることが要件となっています。

受給要件

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)は、(A)中途採用率の拡大と(B)45歳以上の中途採用率の拡大の2つに区分されています。

(A)中途採用率の拡大は、中途採用率を20ポイント以上上昇させた事業主に支給されます。
(B)45歳以上の中途採用率の拡大では、以下の要件をすべて満たさなければいけません。
①中途採用率を20ポイント以上上昇させた
②上記のうち、45歳以上の労働者で10ポイント以上上昇させた
③当該45歳以上の労働者全員の賃金を、前職と比べて5%以上上昇させた

(A)中途採用率の拡大と(B)45歳以上の中途採用率の拡大はそれぞれポイントの計算式が異なるので、詳しい内容は厚生労働省のホームページをチェックしてください。

対象となる人

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)の対象となるのは以下の人です。

①中途採用により雇い入れられた人であること
②雇用保険で、一般被保険者または高年齢被保険者として雇用されている
③雇用期間の定めが設けられていない
④雇い入れ日の前日から以前1年間に、雇用関係、出向、派遣、請負または委任に
よって当該事業主の事業所で就労したことがない
⑤雇い入れ日の前日から1年間、申請事業主と密接である事業主に雇用されていない
⑥雇い入れ時点で年齢が45歳以上であること((B)45歳以上の中途採用率のみ)

申請方法

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)の申請は雇い入れ前と雇い入れ後の2段階に分けられます。

【雇い入れ前】
①中途採用計画の作成
②中途採用に関する情報の公表(常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主のみ)
③中途採用計画を労働局に提出

【雇い入れ後】
④中途採用者の雇用管理制度の整備+対象となる人の雇い入れ
⑤申請

申請には助成対象になる人を雇い入れる前日までに中途採用計画の提出が求められるため、計画的に作成してください。

助成額

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)で助成される額は、実施区分によって金額が変わります
助成額は、以下の通りです。

(A)中途採用率の拡大
助成額50万円
(B)45歳以上の中途採用率の拡大
助成額100万円

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、一定の就職困難者をハローワークなどの紹介で継続雇用として雇い入れる事業主に助成されます。
ここで対象となる高年齢者は、60歳以上を指します。

受給要件

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を受ける要件は以下のものです。

①ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れる
②雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、確実に継続雇用すると認められること

上記以外にも支給要件があります。詳しい内容は厚生労働省ホームページを確認するか問い合わせてください。

対象となる人

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象は、様々なケースが想定されています。

①高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母など
②重度障害者などを除く身体・知的障害者
③重度障害者など

申請方法

特定求職者雇用開発助成金は、以下の流れで申請します。

①ハローワークなどからの紹介
②対象者の雇い入れ
③助成金の第一期支給申請
④支給申請賞の内容について調査と確認
⑤支給・不支給決定
⑥助成金の支給

助成額

助成額は、採用する労働者によって異なります。

助成金申請時の注意点


現在、日本では少子高齢化が進み労働人口の減少が問題視されています。若手人材の確保が難しい企業にとって、50歳以上の労働者は重要な人材です。

政府により、雇用制度を見直すことで、シニアがより長期的に働き続けられる環境整備を進めています。
上記で紹介した助成金もシニア雇用促進のための取組みのひとつです。
しかし、助成金の申請は慣れていないと難しく感じることも多くあります。ここでは助成金申請時の注意点について紹介します。

事業主や対象労働者の要件を確認する

助成金について調べる時には、まず支給対象になる事業主や対象労働者の要件を確認します。助成金制度ごとに事業主や対象労働者の要件は異なります。
対象労働者の年齢も要件となる上、雇い入れ前に助成金の利用を計画しなければいけません。

また、同じ制度であっても改訂されて要件が変わることもあるので、必ず最新の情報を確認するようにしてください。

複数の助成金が申し込めないこともある

助成金や補助金は、国や都道府県がそれぞれ制度を設けていることもあります。中には内容や目的が同じで、どちらも申し込めるようなケースも珍しくありません。
しかし、複数の受給が認められていないことがあります。よって、複数の助成金が利用できる場合には比較検討が必要です。

助成金の要綱には併給の可否も書かれているため、細かくチェックしてください。

申請スケジュールを間違えない

申請する助成金によって、申請のためのスケジュールや申請期限の取り扱いが異なります。また、対象労働者を雇用する前に認定を受けなければならないものもあります。
申請期限を過ぎてしまえば助成金は受けられません。スケジュールを確認して申請してください。

高齢者を雇用する時のルール


50歳以上のベテランの雇用は、今後も増加していくと予想されます。高齢者を雇用する時のルールを知らなければ法令違反となってしまうかもしれません。
ここでは、高齢者を雇用する時のルールについてまとめました。

70歳までの雇用機会の確保

高年齢者雇用安定法では、事業主が定年を定める場合、定年年齢は60歳以上にしなければいけません。加えて、65歳までの雇用確保措置が求められています。
また、定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの高年齢者雇用確保措置を講じなければいけません。

①65歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③65歳までの継続雇用制度の導入

継続雇用制度は、再雇用制度・勤務延長制度があげられます。継続雇用制度の適用者は原則として希望者全員です。

70歳までの就業機会の確保

2021年の3月改正では、65歳までの雇用確保義務だけでなく、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置としての措置を講じる努力義務も新設されました。

高年齢者就業確保措置としての措置は以下のものです。

①70歳までの定年引き上げ
②定年制の廃止
③70歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度・勤務延長制度)
④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
(a)事業主が自ら実施する社会貢献事業
(b)事業主が委託、出資(資金提供)する団体が行う社会貢献事業

中高年齢離職者に対する再就職の援助

事業主は、中高年齢離職者に対する援助が必要です。
45歳以上70歳未満の従業員が希望する時には、求人の開拓のように本人の再就職の援助として必要な措置を実施するように努めなければいけません。

さらに、希望があれば「求職活動支援書」を作成し、本人に交付します。
求職活動支援所は、在職中の早い段階から高年齢者が主体的な求職活動を行えるように、職務経歴書を作成するための参考となる情報を記載した書面です。
具体的には、職務の経歴や職業能力などの再就職に資する事項を記載します。求職活動支援書は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

高年齢者雇用に関する届け出

事業主は、高年齢者の雇用に関する状況(高年齢者雇用状況等報告)をハローワークに報告しなければいけません。
毎年6月1日現在の内容で、必要事項を記載してから7月18日までに提出します。
65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置の実施状況などを把握し、ハローワークによって助言や指導を行うための基本情報として使われます。
厚生労働省のホームページで、動画での説明と記入例、Q&Aが公開中です。電子申請でも報告可能です。

また、1カ月以内の期間に45歳以上70歳未満の者の中で5人以上を解雇などで離職させる場合には、あらかじめ「多数離職届」をハローワークに提出しなければいけません。

無期転換ルールの導入

無期転換ルールとは、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた時に、労働者の申し込みで期間の定めのない無期労働契約に転換できる無期転換申込権が発生するというものです。
高度な専門的知識などを有する有期雇用労働者や、定年後引き続き継続雇用される有期雇用労働者については、一定の条件と手続きのもとで無期転換申込権が発生しない特例があります。

無期転換ルールの紹介や無期転換制度の導入促進に関する情報発信を行っている「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」もあるので、制度導入の際には参考にしてください。

70歳以上を雇用する際の社会保険の届け出手続き

高齢者と働く時には、社会保険についても考えておなければいけません。厚生年金保険の上限年齢は70歳、健康保険の上限年齢は75歳と定められています。
以前は、雇用保険についても65歳の上限年齢がありましたが、2017年1月に撤廃されました。

新しく70歳以上の従業員を雇用するケースやすでに働いている従業員が70歳以上になった時には、社会保険について一定の届け出が求められます。

まとめ・助成金が活用できる50歳以上の雇用を推進しよう! 

少子高齢化が進み、企業もシニアを中心に据えた労働環境の構築が求められます。法律によって必要な措置が定められているほか、多くの補助金も設定されています。
これから50歳以上の人材を採用を考えている場合には、活用できる助成金があるかどうかや、受け入れる職場が働きやすい環境になっているかどうかも確認しなければいけません。
助成金の申請や新しい人事制度の導入は、専門家に依頼することも検討してください。


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(編集:創業手帳編集部)

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