浅田真央×エアウィーヴの影の立役者が伝授!お金をかけずに効果を生むPR方法【その3】
【SNS編】いいね!だけじゃない、良い反響を生むためのSNS活用法
(2020/05/21更新)
国民的アイドル浅田真央さんをイメージキャラクターにして、エアウィーヴの売り上げを大幅アップさせた影の立役者笹木郁乃氏が、PRについてノウハウを惜しみなく語るシリーズの第3弾。
今回はSNS編です。今や若い世代を中心に、コミュニケーションツールとして欠かせないものとなったSNSですが、使い方を間違うと「炎上する」怖さを秘めています。会社の公式アカウントを運用するときの注意点や、SNS活用によるメリット・デメリット、良い反響を生むコツについてお聞きしました。
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「PRをより身近に、PRの力で人生に感動を」を信念に活動を続ける。山形大学工学部機械システム工学科を首席で卒業後、「アイシン精機株式会社」に研究開発職として勤務。さらなる自分の可能性に挑戦するため寝具メーカー「株式会社エアウィーヴ」へ正社員1人目として転職し、営業・マーケティング・PRを兼務。社長と二人三脚でPRの力で年間売上1億円の会社を5年で115億円へと急成長させることに貢献。その後数社を経て現在は独立し、PR講師として3年で1200名の起業家・経営者に指導する実績を持つ。「0円PR」(日経BP社)が好評発売中。
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この記事の目次
一方通行の情報発信ではなくコミュニケーションツールとしてのSNS
笹木:総務省によると2006年までの10年間で情報量は530倍にまでなったそうです。そして今も増える一方です。そんな膨大な情報にさらされている消費者たちはどんどん賢くなり、企業が直接提供する情報に懐疑的になっています。
それは、企業が提供する情報が宣伝のようにしか聞こえなくなってしまっているのが原因です。企業はどうしても企業イメージを守ろうとしてしまいがちなため、一方的な情報提供になってしまいます。
「同業他社に比べて劣っている部分は見せたくない」
「完璧な情報発信しかしたくない」
そういう固定概念が邪魔をして、人の心に訴えるSNS投稿が苦手になってしまうのです。SNSは柔軟さとスピード感がとても大切です。
会社公式アカウントだったとしても、担当者が都度上司の確認をとっていたらスピード感が失われてしまいます。
ですので、公式アカウントを作るときは、信頼できる担当者にお任せし、人の心を動かす双方向コミュニケーションを心がけるようにしてください。
笹木:例えば、文房具メーカーのキングジムはTwitterのフォロワー38.5万、Instagramのフォロワー5.9万です(2020年5月現在)。キングジムは2010年にTwitterアカウントを開設し、着実にフォロワーを伸ばしていきました。
フォロワーと会話し始めたことが転機になったそうです。「製品に関する質問に答えるところから始まり、双方向コミュニケーションを増やしていったことで1万フォロワーの壁を超えることができた」と担当者の方がインタビューに答えていました。ここで分かるのは、宣伝のためのSNSは好まれないということです。
つい先日も、企業のTwitter担当者が解任されるというニュースもありました。一企業のTwitter担当者が解任されるだけでニュースになったということがSNSで話題になっていました。この企業のTwitterはユーモアにあふれていて1万人以上のフォロワーがいました。報道によると企業側の担当解任理由は「Twitter担当者による会社批判の投稿があったため」と説明しています。
今回の報道はネガティブなニュースになってしまいましたが、会社の動向がとりあげられるほどSNSを育てることができたという意味では成功していると言えるのではないでしょうか。
しかし、ほとんどの企業はSNSを使って未だ成功していないと言っても過言ではありません。
キングジムのSNS担当者は特にルールを設けず、上司の確認もなし。担当者にお任せだったことが成功の秘訣と述べていますが、上司が介入せずにSNS投稿を担当者だけに任せる企業はほとんどないのが現状です。
まだまだSNSの力を知っている企業が少ないからこそ、今がはじめ時です!
上手にSNSを育てて、影響力を手にしていきましょう!
SNSの効果的な運用に必要なこと
笹木:企業の公式アカウントを運用し始めるにあたり、重要なのは「誰がPRを担当するか」です。既にプライベートでSNSを使いこなしている人がいいのか、若い人がいいのか、経営者としては悩みどころです。
私はPRや広報を担当する人ほど、心から自社の商品やサービスを愛し、魅力を熟知していてほしいと願っています。これはSNS運用でも同様です。
PR塾や個別でPRのことで相談を受けたときに必ず聞くことがあります。それは「PRしている商品(会社)のことを愛していますか?」ということです。愛していないものをPRする、というのはあまりにも酷です。
加えて、自己開示が得意な人や会社のミッションを語れる方が向いています。共通するのは情熱を届けることができる人。PRとは、人の心を動かすこと。人の心を動かし、他の人から「この人の会社を応援したい!」「一緒に取り組みたい!」と思ってもらえるようにすることです。自分のキャラクターを開示して情熱や社会的ミッションを伝えられる人こそ、会社の代表としてSNSアカウント運用者に適していると言えます。
逆に適さない人は、あまり自分を表に出したくない人や会社に良い印象を持っていない人です。やはり会社や商品に魅力を感じていないと、他の人に良さを伝えられないですよね。たとえ担当者になっても、情熱を持って取り組めないと発信が続かなくなってしまいます。
笹木:一口にSNSと言っても、ツールによってそれぞれ特徴が違います。ビジネスでSNSを使う場合には主なユーザー特性を把握するだけでなく、本質的な違いを理解する必要があります。
以前にもお伝えしたAISAS(※)を意識することが大切です。SNSすべてに共通するのは情報の共有や拡散(シェア)がしやすいこと。しかしそれ以外の機能には大きな違いがあります。
Twitterは文章が短く、インスタグラムは画像がメイン。この2つは1秒で目を引く、瞬発力が強いのが特徴です。お客さんをファン化することにも向いています。それに対してFacebookは、文章と複数の写真を組み合わせてしっかりじっくりと伝えることができます。
また、最近企業導入が進んでいるのが「LINE@」です。LINEに組み込まれているメルマガのようなものです。注目してくださった方がお友達になってくれるので、興味を引くのに向いています。
SNSは、消費者の注目や興味を引き、情報を拡散するのに非常に向いている反面、それだけで売り上げにつながるわけではありません。商品やサービスに興味を持った人が「検索」して、思わず「買おう!」「参加してみよう!」となるような情報提供の場(SNSや自社HPなど)となるSNSと、実際に購入できる場所(ECサイトや店舗など)をセットで提供することで売り上げアップにつながっていきます。両方用意することを忘れないでくださいね。
※AISAS(アイサス):attention注目、interest関心、search情報検索、action購買行動、share情報共有といった一連の流れ
SNSによる段階的プロモーションでVIP顧客を増やす
笹木:段階的プロモーションとは、反響が反響を呼ぶことで長くその影響を持続させるプロモーション活動のことです。
私のPR塾ではシャンパンタワーをイメージしてもらっています。はじめは1つのグラスに注がれますが、そこから複数のグラスにシャンパンが流れていく。そんなイメージです。
まずは、あなたの会社の顧客を3段階くらいに分けます。分ける基準はあなたの会社との心理的な距離、関心の深さです。
・「VIP顧客」最も近くにいる。
・「既存顧客・リピート客」商品やサービスを利用したことがある。
・「リスト顧客」商品購入には至っていないもののメールアドレスがリストにある。
これらのリスト顧客は、会社に興味を持っている人たちです。
そして、その外側にいるのが「一般顧客」です。
どうしても「一般顧客をどうVIP顧客にするか」と考えがちですが、実際にはどんな商品・サービスでも売り上げの約8割は「VIP顧客」と「リスト顧客」の人たちが買ってくれているのです。一般顧客が買ってくれるのは2割ほど。いかに「VIP顧客」と「リスト顧客」が大切なのかがわかりますね。
段階的プロモーションをして、一般顧客をリスト顧客、VIP顧客に育て、さらに新たな一般顧客を取り込んでいくことが、ビジネスの成長には不可欠です。
そういう点ではLINE@やメールマガジンを利用することが重要となってきます。特にメルマガ読者にはVIP顧客と既存顧客、リスト顧客がいると想定されますので、発信の効果を実感していただけるのではないかと思います。
笹木:メルマガの基本は『ギブの精神』でやることです。ギブと言っても情報を押し付けるのでなく、惹きつける情報を詰め込みましょう。惹きつける情報とは、相手にとってのお役立ち情報と感情のシェアです。
私の感覚的には惹きつけられる情報を、ギブ・ギブ・ギブ・ギブ!と4回くらい送ったら、1回お知らせを入れるといったバランスです。
例えば、1本のメルマガの中で冒頭に感情のシェアを軽く入れた後、お役立ち情報をたっぷり入れて、最後にお知らせをさらりと入れる。こうしてトータル1:3:1のバランスに仕上げていきます。
メルマガを送る頻度は週に1~2回がちょうどいいと思います。情報の流れは加速する一方で、頻度を上げないと忘れられてしまいます。目標は、読者の生活習慣に入り込むこと。ファンが楽しみに待てるようなリズムとコンテンツを大事にしていきましょう。
いいね!の数を増やすだけでなく顧客リストを育てる
笹木:リストを育てるとは、リストに載っている人を増やしていくということです。顧客リストは放っておけば劣化していきます。一般顧客から新規顧客を取り込み、ファンに育てる活動を常に継続していくことで、リストに載っている人のファン度をどんどん上げていく必要があります。
ファン度を上げていく方法は先ほどお伝えしましたが、もう一つ大切なことがあります。それは、メルマガの読者数を増やしていくことです。フェイスブックやTwitterへの投稿の最後にメルマガの登録案内を入れたり、チラシに入れたりします。そうやって一般顧客との接点1つひとつにメルマガの案内を置いていきましょう。
色々な人気ユーチューバーも動画の最後に必ず「チャンネル登録お願いします!」と言っていますよね。そんな感じでしつこいくらいにお誘いしてもいいのです。
笹木:SNSにおいて、いいね!は一つの指標に過ぎません。要するに、いいね!が多いからと言って売り上げが上がるというわけではないのです。一般的に、実績を書いた投稿にはいいね!がほとんど付きません。どうしても自慢のように受け取られてしまうことが多いからです。ですが、実績のアピールは大切です。いいね!は押されなくても、実績は記憶に残りその蓄積は確実に信頼へ育っていきます。
まとめ
情報提供として一方通行になりがちなプロモーションですが、SNSをうまく利用することで双方向のコミュニケーションが成立し、信頼関係へとつながっていくという素敵なお話でした。
臨機応変な対応が求められるプロモーション活動。正解がわからずに悩む方も多いのではないでしょうか。
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(取材協力:
株式会社LITA 代表取締役 笹木郁乃)
(編集: 創業手帳編集部)