SNS採用とは？活用することで得られるメリット・デメリットとその方法について解説

SNS採用は幅広い人材にアプローチできる

時代の流れとともに採用のあり方も変化しています。近年、SNSを通じて実施されるSNS採用もよく使われるようになりました。
これはただ採用手段が増えただけではありません。今までにはない新しい人材活用の手法としてSNS採用が注目を集めています。
SNS採用を利用することによって幅広い人材にアプローチすることで、企業の課題も解決できるかもしれません。

今回は、SNS採用の定義からメリットまで紹介します。

創業手帳では、ビジネスでは欠かせなくなっている主要な5つのSNSについて解説した「SNS運用ガイド」を無料でお配りしています。どのSNSを運用するのがベストなのか迷っている方は、業界別SNS活用術なども掲載していますので、ぜひご活用ください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

SNS採用（ソーシャルリクルーティング）の定義と特徴

今までの採用は、採用情報サイトや企業サイトで求人募集を出し、応募してくる人から採用するのが一般的でした。
しかし、SNS採用が登場したことによって、採用への考え方も変わってきています。SNS採用の定義や特徴をまとめました。

SNS採用とは

SNS採用とは、企業がSNS（ソーシャルネットワーキングサービス）を活用して人材を発見し、採用につなげる手法の総称です。
具体的には、Facebook、X、Instagramといったプラットフォームを使ってSNSで応募を受け付けるほか、求職者とのコミュニケーション手段、ブランディングや情報発信と多岐にわたります。

SNS採用と従来の一般的な採用手法との大きな違いは、アピールできる範囲です。
就職サイトやエージェントでは就職や転職を検討している人にしかアピールはできません。しかし、潜在的にはもっと多くの人材が存在しているでしょう。
SNS採用によって、就職、転職市場にはまだ出てきていない潜在的ターゲットに自社の情報を伝えられます。

SNS採用が注目される理由

SNS採用は、単純に便利だから増えているといった物ではありません。
SNS採用が注目されるのは、採用競争が激化してより差別化したアプローチが企業に求められているからです。

現在、少子高齢化が進行し売り手市場が続いています。今までの就職説明会や求人サイトだけでは優秀な人材確保がほかに流れてしまうケースが多々ありました。
特に若手や専門的な技術を持つ人材は、多くの企業が欲しがるため、ほかの企業と差別化したアプローチが必要です。

SNS採用は、企業と求職者が双方向のコミュニケーションが可能で自社の魅力を自由に発信できます。
自社を知ってもらう、愛着を持ってもらうことは会社に愛着を持ってもらうためにも大切です。
SNSの利用者数は増加を続けていて、若年層の間では、就職活動やその情報収集としてSNSが活用されています。
企業がSNS採用を行うことで、より効率的にターゲット層にアピールできます。

SNS採用のメリット

SNS採用は、大手企業も導入をはじめています。ここでは、どういったメリットがあるのかの紹介です。

拡散力により広範な人材にリーチできる

SNSの特徴として拡散力があげられます。SNSの「いいね」や「シェア」機能によって情報が拡散されれば、短期間でも多くの求職者に情報を届けられます。
また、「いいね」や「シェア」を多く獲得すること自体が、企業の好感度を向上させるために効果的です。
加えて、採用活動では、まず自社を知ってもらうこと、自社に応募してもらうことが大切になります。
こういった母集団形成や認知獲得のプロセスを効率化するために、SNSは有用なツールです。

潜在層にもアプローチ可能

求職者の中には、まだ自社のことを知らない人、関心がない人も多数いるはずです。企業自体が知られていなければ、応募者も集められません。

SNS採用は、求人サイトだけでは接点を持てない、転職を考えていない潜在層にもアプローチできる手段です。
まだ転職活動をしていない潜在層も、自社を認知することによって、関心につながるかもしれません。

企業の魅力を伝えやすい

SNS広告は、画像や動画を通じて、職場の雰囲気や社風を視覚的に訴求できる手段です。
社員の声や、オフィスツアー動画を投稿することで、会社により愛着を持ったり、採用後のギャップが少なくなったりする効果があります。
人材不足で競争が激しい中でも自社の魅力を伝えて、優秀な人材を確保するための手段としてSNSは活用できます。

SNS採用を活用する際のデメリットや注意点

SNS採用は、多くのメリットがあるもののデメリットも少なからずあります。SNS採用を導入する時にはデメリットまで理解しておいてください。

効果の実感に時間がかかる

SNS採用は、潜在的候補者にアプローチできるものの、すぐに応募が増えるとは限りません。
応募者が増えないと、本当に意味があったのか不安になってしまう人もいるでしょう。

SNSは、数回投稿した程度では効果は薄く、ある程度認知度が向上しないと応募数は増えません。
長期的な施策であることを理解して、定期的な発信を続けるようにしてください。

炎上リスクへの備えが必要

採用活動に限らず、SNSを使う時には炎上するリスクをどう扱うかを考えなくてはいけません。機密情報の漏洩や不適切な投稿があれば、企業イメージを損なってしまいます。
拡散力があるがゆえに、批判の対象となって問題が大きくなってしまうケースもあるかもしれません。

SNSには様々な価値観を持つ人がいます。SNSの投稿は、第三者がチェックして誰から見ても問題がない投稿か確認することが大切です。
SNS担当者は、研修等の機会を設けて必ずネットリテラシーについて事前に学ぶようにしましょう。
また、自社のSNSに対するルールやポリシーを策定して全社員に周知してください。

運用の工数やコストがかかる

SNSでは、多くのコンテンツが投稿されています。たくさんある投稿の中で自社の閲覧を増やすためには、投稿の量と質の両方が求められます。
しかし、安定して魅力的なコンテンツを投稿しようとすれば、一定の人的リソースやスキルが必要です。
自社で用意できない場合には、外部リソースの活用など、SNS採用に向けた体制づくりからはじめることもあります。

気軽にはじめられるSNSであっても、企業が運用するのであれば運用工数やコストが発生する点は留意しなければいけません。

中小企業のSNS採用におすすめSNSとは？

簡単にSNSといっても、それぞれのプラットフォームによって利用している層や可能な投稿は違います。以下では、それぞれの特徴を表にしてまとめてあります。

	採用時に使うメリット	採用時に使うデメリット
X（旧Twitter）	拡散性が高くて多くの求職者に情報を届けやすい	情報がほかの情報に埋もれてしまうことがある
Facebook	長文も投稿でき、信頼性が高い	若い世代の利用者が比較的少ない
Instagram	若年層へアプローチしやすい	画像のクオリティが求められる
LINE	確実に情報を伝達できる	発信の頻度が多すぎるとブロックされてしまうことがある
TikTok	企業や職場の雰囲気を伝えやすい	動画撮影や編集に手間がかかる
YouTube	自社の魅力を作りこんだ動画で伝えられる	クオリティが高い動画を作成するには編集などのスキルが必要
Wantedly	求職者と起業をやりがいやビジョンへの共感でマッチングしてくれる	ビジネス用なので情報を伝える層が限定的になる
LinkedIn	ビジネス用SNSなので信頼性が高い	社会人経験者の利用が多く、新卒採用には向かない

X（旧Twitter）

X（旧Twitter）は、短文投稿がメインとなるSNSです。リアルタイム性が高く、最新情報の発信に適している点が特徴です。
「リポスト」や「いいね」することによって情報が広がっていく2次拡散で、フォロワー以外にも伝えられます。

例えば、企業の新商品や最新トピック、インターンシップ、説明会開催などの情報を発信して、認知度アップ、ブランディングにも貢献します。
ハッシュタグを活用して求人情報の拡散できるほか、トレンドを捉えた投稿によって、企業のファンを増やすことも可能です。

Facebook

Facebookは、実名制のビジネス色が強いSNSで30代以上のユーザーが中心です。
メッセージ機能も付いているため、ビジネス用のコミュニケーションツールとしても使われます。
投稿に長文を添えることもできるので、企業ページの運営や、イベント・説明会の告知、社員紹介などに活用できます。

Facebookからほかのホームページに誘導できるので、採用専用ページや公式ホームページとリンクしても良いです。

Instagram

Instagramは、投稿に写真や動画を添えることが必須です。視覚的な訴求をしやすく、自社の雰囲気や企業の世界観を伝えやすいSNSになります。
オフィスの雰囲気や社員の働く様子の投稿といった企業文化の発信は、これから働くイメージを掴むにも有効な情報です。

LINE

LINEは、すでに幅広い年代に浸透したメッセージアプリになります。新卒からシニアまで広い世代にアプローチしたい時に便利です。
友だち追加が必要ではありますが、連絡手段としても利用できます。LINEは日常的に使っている人が多く、閲覧率が高い点も魅力です。
1on1でのコミュニケーションに活用説明会情報の配信や、面接日程調整にも使えます。

TikTok

TikTokは、10代〜20代を中心に人気の動画共有SNSで、動画しか投稿できません。高い拡散力が特徴で、短い尺でどんどん次の動画に切り替えられる仕組みです。
ショート動画で社風や職場の雰囲気を伝えて若年層の囲い込みをする時に効果的なSNSになっています。

YouTube

YouTubeは、幅広い年代に利用される動画共有SNSです。検索や関連動画からの流入が期待できます。
企業紹介や仕事内容の解説、社員インタビューなど、情報量の多い動画を投稿できます。
動画編集には技術が必要ではありますが、作成した動画を短く編集して他メディアで短いバージョンを公開して誘導するといった手法も可能です。

SNS採用の成功事例

SNS採用は、すでに多くの企業が取り入れています。どういった事例があるのか知って参考にしてください。

X（旧Twitter）のSNS採用事例

X（旧Twitter）を使った事例としては、株式会社ディー・エヌ・エーがあります。
会社が社員の紹介や、会社で取り組んでいることといった情報を発信しています。求職者の応募意欲を高めるために、効果的な施策です。

InstagramのSNS採用事例

Instagramを使った事例としては、サイバーエージェントがあります。
企業アカウントとは別に新卒採用のInstagramアカウントを用意しています。「＃インスタOGOB訪問」のハッシュタグでは社員紹介や選考体験談が閲覧可能です。

TikTokの成功事例：三陽工業株式会社

塗装やレーザー加工、物流を手がける三陽工業株式会社はTikTokで大きな反響を呼びました。
おじさんTikTokのダンス動画が拡散され、コストを抑えながらも自社の認知度を大きく向上させた事例です。

SNS採用の導入プロセス

SNS採用の導入は、無計画に進めると想定していた効果が得られないかもしれません。ここでは、SNS採用の導入プロセスを紹介します。

SNS採用の目的を明確にする

初めに考えてほしいのが、SNS採用の目的です。そもそも採用の目的は優秀な人材の獲得ではありますが、ここでは「SNSをどのように採用に活用するのか」に焦点を当てます。
起業したての会社であれば認知度が低いため、認知度を高めて応募を集めることにSNSを活用します。
SNS採用をする目的が母集団形成なのかブランディングなのか、SNS採用の目的を明確にしてください。

ターゲット像の設定

SNS採用の方向性は、ターゲットにする人物像によっても変わります。
ターゲットを決めることで発信するコンテンツや利用するプラットフォームも決まるので、具体的にペルソナを定めてください。

ターゲットの関心事や行動特性を理解して、どういった社員の声を取り上げるのか、自社の魅力をどうアピールするのかといった戦略を立てられます。

活用するSNSの選定

SNSによって、利用している年代層や特徴が違います。ターゲット像に合わせてどのSNSが最適か検討してください。
自社が訴求したい人材層が多く利用するSNSを見極めるとともに、そのSNSの特徴を自社のアピールに」活用する手段を検討します。

ターゲットのニーズを捉えた情報発信

今までの行程を踏まえて、SNSを運用します。魅力的な社内制度や働き方をアピールするほか、自社商品の魅力を伝えてください。
SNSは単独で情報発信するだけでなくSNS広告やオウンドメディアとのかけ合わせも可能です。

ひとつの方法にこだわるのではなく、自社に適した方法にたどりつくまでトライ＆エラーを繰り返してください。

まとめ・SNS採用で優秀な人材を獲得しよう

SNS採用で成功している事例はたくさんあります。うまくSNSを活用している企業は、SNSの特性と自社の特性をかけ合わせた採用活動をどんどんスタートしています。
他社と比較して自社のどこに強みがあるのか、どこが魅力なのかを突き詰めることがSNS採用を成功させる鍵です。
SNS採用は、導入コストも抑えられるため、中小企業でも導入しやすい取組みです。まずはSNS採用で何をしたいのか考えてみてください。

創業手帳では、採用以外にも主要な5つのSNSについてどのように活用したらよいのかのヒントになるよう、それぞれのSNSの機能や業界との相性などをまとめた「SNS運用ガイド」を無料でお配りしています。こちらもあわせてぜひご活用ください。

（編集：創業手帳編集部）