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潜在ニーズと顕在ニーズの違いは?

マーケティングの分野では、消費者の必要性を意味するニーズにおいて、潜在ニーズと顕在ニーズがあります。これらの違いは、消費者の必要性や欲求について、消費者自身が気づいているかどうかが異なります。潜在ニーズは消費者が気づいていないものであり、顕在ニーズは消費者が気づいているものと言えます。

くわしい説明の前提として、マーケティングにおける消費者の行動、必要性や欲求である「ニーズ」と「ウォンツ」について補足します。
まず、消費者はある目的を達成したり課題を解決したりする必要性があるとします。その時の必要性や欲求をまとめて「ニーズ」と呼びます。
次に、消費者の目的や課題を解決するためのモノやサービスがあるとします。これらの手段を欲求することを「ウォンツ」と呼びます。
つまり、消費者は解決の必要性のあるニーズが生まれ、解決する手段を欲求するウォンツを経て、購買行動につながるものとなります。

ここで、ニーズの中でも「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2つがあります。
一方の潜在ニーズは、消費者が必要性に気づいていないものです。目的や課題、解決する必要性を自覚していなかったり、具体的なイメージや言葉にできなかったりすることもあります。
たとえば、ある消費者がカフェでコーヒーを飲む場合に、消費者によっては単にコーヒーを飲みたいだけでなく、読書や作業のスペースまたは時間が欲しいなどの潜在ニーズがあることも考えられます。

逆にもう一方の顕在ニーズとは、消費者が必要性に気づいているものです。目的や課題、解決する必要性をはっきりと認識していますので、具体的な商品やサービスを欲することとなります。
たとえば、先ほどと同じカフェでのコーヒーの例では、美味しいコーヒーを飲みたいという欲求や、コーヒーに含まれるカフェインを取りたいといった顕在ニーズがあると言えます。

このように、潜在ニーズと顕在ニーズの違いは、消費者の必要性に対する自覚の有り無しとなります。
また、消費者としては必要性を自覚している顕在ニーズも一部ありますが、実際にその背景には、自覚をしていない潜在ニーズを多数抱えている場合もあります。
商品やサービスを提供する企業としては、マーケティング活動によって消費者の潜在ニーズを理解し、顕在ニーズとさせることや、欲求であるウォンツ、最終的な購買につなげる必要があります。

ここまでで、潜在ニーズと顕在ニーズの定義や違いについて説明しましたが、まとめると次の通りとなります。
・消費者がある目的の達成や課題を解決するための必要性をニーズ、その手段を欲求することをウォンツと呼ぶ。
・ニーズには消費者が必要性に気づいていない潜在ニーズと、必要性に気づいている顕在ニーズがある。
・潜在ニーズと顕在ニーズの違いは、消費者の必要性に対する自覚の有り無しで、企業はマーケティング活動によって潜在ニーズを顕在させることが重要である。

それでは、消費者の潜在ニーズを顕在させるマーケティング手法について、代表的なものを取り上げてみます。
まず、取り組みやすいものとしては「質問法」があります。消費者への直接のインタビューや、電話やインターネットを使って、なぜ対象の欲求があるのかといった質問を重ねていくものです。対象の消費者が絞られる場合には、複数人で質問や討論する「フォーカスグループ」という方法もあります。質問を進めて情報を集めることで、消費者の潜在ニーズを見つけていくものですが、消費者が必要性を自覚しておらず潜在ニーズが分からないこともあると言えます。

次に、消費者の行動や購買などを観察するものが「観察法」です。消費者はモノやサービスを購入し使用する際に、動きや視線から自身が自覚していない潜在ニーズが分かることもあります。さらには、消費者の生活を観察することで潜在ニーズを見つけて、新しいモノやサービスを生み出すことも可能となります。
また、より定量的な購買履歴や行動を分析する方法が「行動データ」です。これらは専門的な知識や経験、装置を必要としますが、より客観的に潜在ニーズを見つけられるものと言えます。

最後に、関連する用語の「デマンド」について補足します。
直訳すると需要を意味しますが、これまでに説明してきた必要性であるニーズ、欲求であるウォンツの先の段階として位置づけられます。
つまり、消費者は自身が気づいていない、あるいは気づいているニーズから、具体的なモノやサービスを欲するウォンツの状態となり、対価を支払って実際に購買するデマンドへと遷移するものと言えます。そして、モノやサービスを提供する企業としては、ニーズ、ウォンツ、デマンドの状態を進めて、最終的に購買をもたらす活動がマーケティングとなります。

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