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教えて先生!Q&A2017年7月6日
バイアウトとは?
バイアウト(Buy Out)とは、企業の経営権を得るため議決権の過半数となる株式を取得することによって企業を買収する手法を意味します。
バイアウトの定義、種類や事例についてくわしく説明します。
企業において業績が悪化した場合などに、経営を再建し事業を継続するため、経営者や従業員が自社の株式を買収することがバイアウトです。買収に投資した資金を回収し、それらを事業への投資に使うことで経営の再建を図ります。かつてはアメリカで多く見られた手法ですが、近年では国内で使われるケースも増えています。
また、バイアウトの種類としては、誰が株式を買収するかによって大きく3つの手法がありますので、順に内容とメリットやデメリットを説明します。
第一の「MBO」はマネジメント・バイアウト(Management Buy Out)の略で、マネジメントとある通り、企業の経営者や経営陣が既存の株主であるオーナーや親会社から自社株式を買い取り、経営権を取得する方法を意味します。株式の買い取りの資金調達のためには、特別目的会社を設立して、金融機関などから資金提供を受けることが一般的です。
例えば、業績悪化の機会に創業家がMBOを行って上場を取りやめることで、株主の意見に左右されず経営再建に注力するケースなどがあります。
MBOのメリットは、経営権を自社内でスムーズに継続させることが可能であり、株主の意見によらず中長期の思い切った経営方針に取り組むことができる点です。一方、デメリットとして経営陣はそのままであるため企業の体制や戦略を変えにくい点や、資金調達の必要性などが挙げられます。
第二の「EBO」はエンプロイー・バイアウト(Employee Buy Out)の略で、エンプロイーですので、従業員が自社の株式を買い取り、経営権を取得、後継をすることを意味します。例えば、ファンドなどが業績を判断することで企業の従業員にEBOを提案するケースもあります。
EBOのメリットは、経営者が後継者不足の場合などに自社内で事業継承を行えることや、経営体制の編成や刷新があります。一方のデメリットは、株式取得のために資金調達が必要
となりますが、金融機関などからの資金提供は難しいと言えます。
第三の「LBO」はレバレッジド・バイアウト(Leveraged Buy Out)の略で、レバレッジドとは小さい投資で大きなリターンを得るテコの原理を意味していますが、買収する企業が買収される企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として、金融機関などから資金調達をして買収する手法です。例えば、買収される企業の規模が大きい場合や将来性が期待できる際にLBOを行うケースがあります。
LBOのメリットは、買収される企業の経営者としては他社に株式を取得してもらうことで対価を得られることや、買収する企業として必要な資金は買収される企業の負債となるため資金調達が容易になる点です。一方、デメリットとして期待した事業や成長によるリターンを得られない可能性があることが挙げられます。
ちなみに、バイアウトを行うためのファンドを「バイアウトファンド」と呼びます。投資家から資金を集めて、業績不振の上場企業や株式未公開会社などに投資し、企業価値を向上させて株式を売却して、得られた利益を投資家に還元します。会社の売買はこのバイアウトファンドを介して行われる場合もあります。
ここまでで、バイアウトの定義と種類について説明しましたが、まとめると次の通りとなります。
・バイアウトとは企業の業績が悪化した場合などに、経営を再建し事業を継続するため、経営者や従業員が自社の株式を買収して経営権を取得する手法。
・バイアウトの種類は大きく3つで、経営者が自社株式を買収するMBO、従業員が自社株式を買収するEBO、企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に資金調達をして買収するLBOがある。
・業績不振の上場企業や株式未公開会社などに投資し、企業価値を向上させて株式を売却するファンドをバイアウトファンドと呼ぶ。
また、バイアウトと似た用語の意味と違いについて補足します。
まず「セルアウト」とは、バイアウトの逆で売却を意味します。経営者や従業員が自社をバイアウトした場合、株式を売却したオーナーや既存の株主にとってはセルアウトとなります。
次に「M&A」とは、Mergers and Acquisitionsの略で、合併と買収を意味します。バイアウトと同じく経営権を取得するものですが、企業の買い手が異なります。バイアウトは自社内の経営者や従業員が経営の再建や自身の収益拡大のために買収をしますが、M&Aは基本的に他社や外部の者が事業や収益拡大のために買収を行うものです。
最後に「EXIT」は、ベンチャー企業やスタートアップ企業のオーナー経営者が事業への投資を回収し、利益を得るための手段をまとめた用語です。バイアウトは企業の経営者や従業員による買収であるのに対して、EXITは創業者やオーナーが事業あるいは株式を売却するものです。
EXITの具体的な手法としては、未上場の企業が証券取引所に上場して、新規に株式を公開するIPO(新規上場)による収益や、先ほどのM&Aによる他社への売却も含まれます。
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