オフィス物件を探すには?探し方のポイントなどを徹底解説!
起業してオフィスを構えるなら納得できる物件を見つけよう!
起業により仕事場となるオフィスが必要であれば、物件探しをしなければなりません。オフィスの賃貸にはコストがかかるため、納得のいく物件を探すことが大切です。
しかし、オフィスは一般の賃貸物件探しとは勝手が異なるため、どう探せばいいのかわからない方も多いかもしれません。
そこで今回は、オフィス物件の探し方から注意点まで解説します。本格的に起業に向けた準備を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
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オフィス物件の探し方3ステップ
オフィス物件を探すのであれば、契約までの流れを理解しておく必要があります。オフィス物件の探し方は3つのステップに分けられるので、詳しくご紹介します。
ステップ1.面積やエリア、予算などの条件を絞り込む
候補となるオフィス物件を探す前に、自分が希望する条件を明確にすることが大切です。特に明確にしておきたい条件は、物件の面積・エリア・予算の3点です。
・面積
1人あたりのワークスペース(2~3坪目安)×従業員数で必要面積を算出します。業務内容や設置するOA機器・設備にも考慮して面積を決めます。
・エリア
企業のイメージや通勤のしやすさに考慮して立地を選びます。最寄り駅や区など狭い範囲で絞り込むと、候補の物件がヒットしやすくなります。
・予算
毎月の賃料以外に、以下の項目にも考慮して予算計画を立ててください。
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- 入居時の敷金礼金
- 仲介手数料
- オフィス家具や家電の購入費
- 引越し代 など
また、退去時の原状回復工事の費用がどれだけかかるのか把握し、その分の予算確保も必要です。
ステップ2.不動産会社などに連絡し、内見する
オフィス物件の条件を絞り込めたら、希望するエリアに対応している不動産会社に連絡をします。
不動産会社によってはオフィス物件を扱っていない場合があるため、取引実績を確認しておいてください。
オフィス物件に特化した不動産会社であれば、一般の不動産会社よりも物件情報を豊富に扱っているのでおすすめです。
連絡した不動産会社に希望条件を伝え、それにマッチした物件を紹介してもらいます。紹介を受けた物件から希望条件に近いものがあれば、内見を申し込んでください。
不動産会社から提供された情報や資料だけで、オフィスの具体的なイメージを掴むのは難しいかもしれません。
また、提供された情報とは異なる部分や問題点が発見される可能性もあるため、自分の目で物件の隅々まで確認することが大切です。
ステップ3.契約の手続きをする
内見でオフィスが気に入れば契約を申し込みます。契約書には契約期間や更新の条件、退去申告の期限、原状回復などについて書かれているため、よく確認してください。
オフィス物件を借りる際も、一般の賃貸物件と同じく事前の入居審査があります。入居審査をクリアしないとオフィスを借りられないので注意してください。
また、申込時と契約時には以下の書類が必要です。
- 【入居申込時に必要な書類例】
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- 入居申込書
- 保証申込書
- 決算報告書
- 今試算表
- 会社概要を記した書類
- 登記簿謄本の写し
- 銀行口座
- 【契約時に必要な書類例】
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- 登記簿謄本
- 印鑑証明
- 実印
- 連帯保証人の住民票や印鑑証明書
実際に必要となる書類は申し込みの際に説明があるので、指示どおりに準備してください。
オフィス物件の種類は7つ!
オフィス物件というと、一般的には賃貸オフィスをイメージするかもしれませんが、実際には様々な種類のオフィスが存在します。種類ごとの特徴を知れば、選択肢の幅を広げることも可能です。
大きく7つの種類に分けられるので、それぞれの特徴をご紹介します。
1.賃貸オフィス
オフィスの持ち主と賃貸借契約を結び、毎月一定の賃料を支払うことで一定のスペースを独占できる形態です。一定の人数でビジネスを行う際に適しています。
また、自社オフィスとして利用できるので、対外的な信用度を高められるのもメリットです。
入居の際には、敷金や保証金、仲介手数料が初期費用として発生します。また、自由に内装工事ができるため、必要に応じた工事費用も必要です。
ほかにも通信環境やOA機器、家具・家電など事業に必要な設備の導入にも大きなコストがかかります。退去時には、原状回復をしなければならない点にも注意が必要です。
賃貸オフィスの中には、以前の内装や設備がそのまま使える居抜き物件もあります。コストを抑えて入居したいのであれば、居抜き物件も選択肢のひとつです。
2.サービスオフィス
サービスオフィスも賃貸オフィスのように、オフィスビル内の個室と賃貸借契約を結び、毎月賃料を支払うことで利用できます。
一般的な賃貸オフィスとの違いは、オフィス家具や通信設備など、業務に必要となる環境が整っていることです。
入居後はすぐに事業を始められます。部屋ごとのセキュリティも万全なので安心です。また、敷金や仲介手数料が発生しないので、コストを抑えて入居できます。
駅やオフィス街に立地しているケースが多く、アクセスに便利な立地から選べるのもメリットです。
ほかにも、企業にとって嬉しいサービスが用意されているのもサービスオフィスの魅力です。
例えば、ラウンジや会議室といった共有スペースの利用、受付・電話対応、秘書代行などのサービスを提供するオフィスもあります。
3.セットアップオフィス
セットアップオフィスは、サービスオフィスと同じく内装が整った状態で借りられるオフィス形態です。
おしゃれさと働きやすさを重視したデザインが多く、従業員のモチベーションの底上げに期待できます。
おしゃれな雰囲気のオフィスは、商談や見学などで訪れたステークホルダーからも好印象を持ってもらえる可能性があります。
内装工事やオフィス家具の搬入が不要なため、コストカットやすぐに事業を始められることも大きなメリットです。
敷金を無料としているセットアップオフィスもあります。ただし、仲介手数料は発生するので注意してください。
4.レンタルオフィス
レンタルオフィスは、オフィス家具や通信設備など事業をするための必要最低限の環境が整っている貸事務所です。
1人用から数十人で使える個室があり、自社専用のオフィスとして使用できます。ただし、会議室やラウンジなどは他者と共有で利用しなければなりません。
レンタルオフィスの利用には入会金が必要ですが、敷金や仲介手数料が不要であることが多く、賃貸オフィスよりもコストを抑えて入居できます。
都心の一等地でも比較的リーズナブルな料金で借りられるため、フリーランスやスタートアップなどの利用ニーズが高まっています。
5.シェアオフィス
シェアオフィスは個室ではなく、ひとつの大きな空間を複数の個人・企業で共有して使うオフィス形態です。
基本的にフリーアドレス形式となっているため、空いている席を自由に選べます。また、個室や会議室もあるので、用途に応じた利用が可能です。
シェアオフィスも毎月賃料を支払うことで利用できます。入居時には敷金が必要ですが、仲介手数料はかかりません。
シェアオフィスの中には法人登記や住所を利用できる物件もあるため、創業時のオフィス利用にもおすすめです。
6.バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは、名前のとおり仮想の事務所を指します。物理的なオフィスが存在しないため、ワークスペースは別に確保しなければなりません。
バーチャルオフィスは、法人登記や法人口座の開設、郵便物の受け取りなどで活用されています。
例えば、実際のワークスペースは自宅であっても、自宅の住所で登記したくないというケースも少なくありません。
バーチャルオフィスの住所で法人登記を行えば、自宅の住所を公開する必要がなくなります。
また、バーチャルオフィスは一等地を住所としていることが多いため、自社のブランディング効果にも期待できます。
7.サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、本拠地とは異なる場所に設置されるオフィスです。サテライトオフィスを活用すれば、わざわざ本拠地に来なくても仕事ができます。
多様化する働き方に対応や、緊急事態が発生した際に早急な復旧と事業存続を実現するBCP対策として活用する企業が増えています。
サテライトオフィスは、自社専用で使うタイプとシェアオフィスを活用した共有タイプに分けることが可能です。
また、自社専用タイプは開設する地域によって都市型・郊外型・地方型の3つに分けられます。
オフィス物件探しのポイント
オフィスは入居から退去まで大きなコストがかかりやすいため、慎重に検討しなければなりません。
契約後に後悔しないためにも、オフィス物件を探す際のポイントをご紹介します。
希望の条件に優先順位をつける
オフィス物件の希望条件を決める際に、その条件に優先順位をつけることも大切です。あまりに条件が多いと、当てはまる物件が見つからない場合があります。
条件の項目ごとに優先順位をつければ、物件の選択肢を広げることが可能です。
立地であれば、駅からの距離や交通アクセスの良さや、周辺環境といった項目で優先順位をつけます。
来客が多いオフィスであれば、駅の近くや道路網の良い立地が優先されます。
周辺環境は大きな道路に面していない、身近にランチができるお店や銀行、コンビニが近くにあるかなどの条件から優先順位をつけることが可能です。
条件交渉を行う
オフィスのオーナーと条件交渉を行うのもおすすめです。提示された契約内容のまま契約を締結してしまうと、実は損をしていたというケースも珍しくありません。
周辺の相場と比べて条件が悪ければ、毎月の賃料や初期費用の減額交渉ができる可能性があります。また、業績の安定性や成長性をアピールできれば、交渉を有利になります。
賃料や初期費用を減額してもらう代わりに契約期間を長くするなど、オーナーにとってもメリットのある条件を提示すると効果的です。
条件交渉では強気な姿勢で交渉を行ったり、根拠もなく大幅な値引きを求めたりするのは避けてください。
印象を悪くする恐れがあり、最悪オフィスの契約自体を断られる可能性があります。
居抜き物件はチェックを念入りに行う
内装や設備がそのまま残された居抜き物件を契約する際は、内見時にしっかりチェックを行ってください。
事業ができる環境が整っているとはいえ、使いにくい部分は工事を行い改修しなければなりません。耐用年数が古い設備は買い替えが必要になることもあります。
内装や設備が前の借主のものであっても、退去する際には現借主が原状回復費を負担しなければなりません。
このようなデメリットがあるので、居抜き物件に関しては入念にチェックして、納得した上で契約をしてください。
内見のチェックリストを作成しておく
内見する際は確認しておきたい部分が多くあるため、チェックリストを作成し、当日持参することをおすすめします。
チェックリストを用意しておけば、見落としを防ぐことも可能です。内見時にチェックしておきたい項目例は以下のとおりです。
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- ビル内の共有スペース
- 外観や共用部の清潔さ
- セキュリティ体制
- テナントが入居しているフロアの状況
- 駐車場の有無
- オフィスビル周辺の環境
- 部屋の広さや面積
- 設計状況
- 空調や照明の位置
- 日当たり
- 外からの騒音
- 電気容量
- インターネットの環境や電波状況
オフィス物件を探す際の注意点
オフィス物件探しで失敗しないためにも、事前に注意点を把握しておいてください。どのような点に気をつけるべきか解説していきます。
オフィスを構える目的をはっきりさせておく
なぜオフィスが必要なのか、目的を明確にした上でオフィス物件を探してください。
もともとは自宅で個人事業を行っていたものの、事業拡大のために従業員を雇いたい場合、従業員が働くためのワークスペースを確保しなければなりません。
そうなれば、従業員がスムーズに働ける広さのオフィスが必要となります。
ほかにも「優秀な人材を確保するためにより良いオフィス環境と整えたい」「企業のイメージアップを図りたい」などの目的でオフィスを構えたいというケースもあります。
目的が定まっていれば、どのようなオフィスを選ぶべきかイメージや条件を明確にすることが可能です。
解約予告期間を確認する
オフィスの移転や事業の撤退など、いずれはオフィスの解約が必要となります。しかし、基本的に急な解約はできず、事前に予告しなければなりません。
解約予告の期間は契約内容によって定められています。一般的には契約解除日の6カ月前が多いですが、物件ごとに異なるので契約書を確認してください。
また、解約予告期間を経過してオフィスを解約する場合、違約金を請求されることがある点にも要注意です。
保証金は大体賃料3カ月~6カ月分
オフィスを借りる際に支払う保証金(敷金)は、オフィスの利用時についた損傷や傷の修繕費用として使われます。
貸主にとっては、オフィスを貸す際の保険ともいえる資金です。
保証金は、賃料の3カ月~6カ月分が一般的な相場です。住宅用の物件と比べて高めに設定されています。
ほかにも仲介手数料や内装工事、オフィス家具や設備の購入など入居時には様々なコストがかかるので、資金は余裕を持って準備しておいてください。
まとめ
自分や従業員が働きやすいオフィスを選ぶためには、事前に条件を整理し、マッチしたオフィスを探すことが大切です。
オフィス物件には複数の種類があるため、特徴を理解した上で自社に合ったオフィススタイルを選んでください。
候補の物件が見つかったら必ず内見を行い、問題がないか確認が必要です。室内や共用部だけではなく、アクセスのしやすさや周辺環境も忘れずにチェックしてください。
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(編集:創業手帳編集部)