情報親方の泣く子も”わかる”マニュアルの重要性と効果
マニュアルってあんまり読まないし、作るとなると面倒なんだけど要るの? → コレが情報親方の答えだ!
製品を買うと必ず何かしらのマニュアルが付いてくる。利用者側は簡単に捨ててしまったりするが、マニュアルの持つ様々な効果や重要性を考えたことがあるだろうか?
また、ビジネスの現場では、新入社員の頃に業務マニュアルづくりを命じられ、「面倒だったな~」と感じた経験のある人も多いのではないだろうか?
そんな「簡単に捨てられる」「作るとなると面倒だ」などと散々の「マニュアル」だが、実は非常に重要で、上手く活用すれば様々な効果を生むツールのだ。
今回は、そんなマニュアルの本質的な重要性と、マニュアルを上手く活用することによって生まれる効果について紹介していきたい。
マニュアルにはどんな種類があるか?
マニュアルの種類といっても、いろいろな業界や目的によって千差万別である。主に次のような種類に分けられる。
製品マニュアル
取扱説明書(いわゆる「トリセツ」)、サービスマニュアル、パーツマニュアル、注意喚起マニュアル、製品ラベル等、製品に付属する前提のマニュアル。
組み立て、設置マニュアル
製品を利用する前に必要なマニュアル。
ヘルプマニュアル
困ったときに利用するマニュアル。
利用者別マニュアル
エンドユーザー向け、管理者向け、整備者向け、初心者向け、管理職向け、学生向け等、利用者に特化したマニュアル。
業務マニュアル
店舗運営、作業標準、仕様書、教育等、ルール作りのマニュアル。
危機管理マニュアル
「もしも」に備えるマニュアル。
監査マニュアル
会計監査などにどのように対応するか書いたマニュアル。
マニュアルの暗黙知と形式知
これらのマニュアルの多くに共通しているのは、「暗黙知(属人的であったり、気づきがなかったりする状態)」を「形式知(皆が役に立ち、気づきがある状態)」に移行させることができることだ。
工夫を加えて上手くつくられたマニュアルは、ユーザーの「暗黙知 → 形式知」の移行をスムーズにさせるものである。
ユーザーの「暗黙知 → 形式知」へのスムーズな移行を促すこの性質こそマニュアルの本質的な重要性の一つであり、マニュアルを作成する立場に立った場合は、キッチリと押さえておきたいポイントである。
マニュアルがもたらす5つの効果とは?
マニュアルを作ることでどのような効果があるだろうか?
1.時間やコストを減らす効果
製品やサービスの品質を向上させる。あるいは、伝えたり、問合せたりする際の、「話す」、「電話する」、「メールを作る、送る」、「FAXを送る」等々の時間を減らすことができる。
2.シェアできる
特定の人しかわからない知識や知恵の共有ができることが多い。「誰でもわかるはず」と思っていることが意外と伝わっていないことが多いという気づきもある。
3.トラブルが回避できる(リスクヘッジ)
難しかった、よくわからなかったことが整理され、思い違いによる行動の不一致を防ぐことができる。また、製品やサービスに同梱されるマニュアルなどでは、記載不備等による訴訟リスクを防ぐことができる。
4.人間がやるべき領域を最大化できる。
機械でもできる部分は機械に割り当て、人間しかできないことに注力できるため、作業効率が上がる。また、スキルや経験の少ない新人に仕事を割り当てても、即戦力になるかもしれない。
5.属人的にならず、皆が役に立つ
職人がやっていることは、経験の浅い者にはわからないことが多いが、「あの人でないと出来ない。あの人に聞かないとわからない。」を「誰がやってもできる」状態にする効果がある。
マニュアルがいつ必要になるか?
習熟レベルのギャップがあれば、「伝える」タスクが発生する
新人、初心者、リーダー、管理職、職人になるに従って、習熟レベルが上がる。新人と職人が同じ事を知りたいとは考えにくい。
良い製品を作ったが、うまく製品を表現できない
商品の良さをアピールする際に「ボトルネック」になってしまうことがよくある。組織の中では特定の専門家はいたとしても、すべての人がすべての製品やサービスを知っているとは限らないし、製品やサービスをうまく作れる人が、うまく説明できる人とは限らない。
また、表現のスキルや方法にもギャップが生まれ、人から伝えられた情報から、うまく製品やサービスを表現するのは難しい。
必須ツールである場合もある
家電製品や医療機器、建設機械、特に公的機関に関わる業務では、マニュアルは保管義務があるツールであり、製品マニュアルは必ず作らないといけない。
時間がたったら忘れる業務は、覚えていられない
年1回発生するような、頻度の少ない業務はどうしても忘れてしまうし、担当者がそのまま次回も作業できるとは限らない。
マニュアルと経営資源とのつながり
マニュアルは経営資源をうまく回すためのツールの一つでもある。
まず「人」に関しては、新人の教育、組織の移動、担当者の退職などの際にマニュアルが活躍する。
次に「金」に関しては、マニュアルが人件費や問い合わせのコストを削減する。
さらに「モノ」に関しては、マニュアルが、製品・商品・サービスについて説明する役割を担う。
最後に「情報」に関しては、マニュアルが、知識の共有やクレーム・法改正の等の対応に役立つ。
そして、マニュアルは、これらの個別の観点でのみ役立つだけなく、「人」「金」「モノ」「情報」をうまく連携させて、より効率よく経営資源を稼働させるのである。
まとめ
マニュアルには「わかりやすい」「正しく伝わる」などの直接的な効果に加え、製品やサービスの問い合わせになる前に解決できたり、訴訟になる前に安全に利用してもらう等、間接的な効果もあり、様々な面で重要なツールである。
内部統制や経営資源が活用できる効果があったり、トラブルを未然に防げることがたくさんあるので、なによりも従業員の精神的負担も減らせることができる。
マニュアルは、未来への投資。人を幸せにできるツールなのである。
(監修:Polaris Infotech 株式会社 代表 東野 誠(ひがしの まこと) )
(創業手帳編集部)
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