顧問契約とは?職種別の報酬相場や注意点まとめ

創業手帳

職種別で顧問契約の形態や相場が違うので自社に合うタイプの顧問を探そう


技術や知識、経験を持つ人材を探している企業は多くあります。人材不足から直接雇用が難しいケースでは、顧問契約を検討してみてください。

顧問と聞くとシニアのイメージがありますが、インターネットやDXの発展によって若手の顧問やテレワークの顧問も登場し、スポットで仕事を依頼できるようになりました。
ここでは顧問契約の形態や顧問報酬の相場をまとめています。

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顧問契約とは?


成長過程にある企業や経営者にとって、知識や経験が豊富なサポーターは心強い存在です。
顧問契約は、専門知識がある人材の技術や知識のサポートを依頼する目的の契約を指します。
今まで顧問契約をしたことがない企業にとっては、ほかの契約とどこが違うのか、どういった形態になるのか疑問もあるでしょう。

顧問契約の顧問とは、特定の分野におけるスペシャリストとして企業が抱えるビジネスの課題について実行支援やアドバイスを行う仕事です。
専門分野や経営や営業のほか、マーケティングや技術、法律と税務のように多岐にわたります。

企業が顧問として仕事を依頼する時に結ぶのが、顧問契約です。
顧問に対して支払う報酬のことを顧問料と呼び、一般的には仕事の内容や作業時間、面談次第によって顧問料が決まります。
士業であれば、依頼料はある程度目安場あるものの、顧問料は顧問先ごとにカスタマイズすることが多いので、料金にばらつきがあります。

顧問契約の種類について

顧問契約は法律上、業務委託契約の一種とみなされますが、民法上では委任契約と準委任契約に含まれます。
顧問契約は、委任契約と準委任契約、請負契約の3種類に分けられます。それぞれの違いを確認してください。

委任契約

委任契約は、民法643条に規定があり、依頼側の当事者が受託者に仕事を依頼して、受託者が了承することで成立する契約です。
具体的には、不動産の売買契約締結の委任や訴訟代理の委任があります。

準委任契約

準委任契約は、依頼側の委託と受託側の了承で成立する点では委任契約と同じです。しかし、準委任契約は、法律行為以外の業務を受託側に委託しています。

例えば、司法書士に会社設立を依頼する場合、会社設立行為は法律行為なので委任契約となります。
一方で、医師に診察を依頼したり、技術者に設備のメンテナンスを依頼するのは、法律行為ではないため準委任契約です。

請負契約

請負契約では仕事の完成に報酬が支払われる契約です。未完成の仕事は、契約義務の未履行として報酬は支払われません。
また、仕事の未完成以外にも依頼側が期待する成果を出せない時や、完成できない時には契約解除事由が発生します。

顧問契約の報酬の契約形態とは?

同じ顧問契約であっても、企業との関わり方や働き方によって報酬の形態が変わります。顧問契約の主な形態は、定額型とタイムチャージ型、成果報酬型に分けられます。
それぞれの違いを確認してください。

定額型

定額型の場合、顧問へ定額の報酬を支払うことになります。一般的には月額固定が採用されています。

定額型のメリットは、顧問に支払う報酬が明確に把握でき中長期的な予算計画が立てやすい点です。
年間にかかる費用も計算できるため、ほかの顧問の報酬額とも比較しやすくなります。
定額型の顧問契約が多いのは、中長期的な成果を期待される税理士や弁護士といった仕事です。

タイムチャージ型

タイムチャージ型は、時間契約型の報酬制です。時給制に近いと説明したほうがイメージしやすいかもしれません。

必要な時にピンポイントで活用できるため、現場に出向いて対面する顧問に適しています。
また、期間限定のプロジェクトや特定の課題解決に対応する顧問にも使いやすい形態です。時間単価は、その顧問のスキルや実績に応じて変わります。

成果報酬型

成果報酬型は、顧問の業務で成果が発生した場合にのみ報酬が発生する報酬体系です。
稼働時間で計算するのではなく、顧問が関わったビジネスの売上から数%といった形で報酬を計算します。

成果報酬型は成果に応じた費用を支払えますが、成果が数字にあらわれにくい仕事には不向きで、営業代行やM&Aといった成果が明確な案件に適した方法です。
何をもって成果とするのか、委託者と顧問であらかじめ協議して契約書に残しておくようにしてください。

【契約形態別】顧問契約の相場はいくら?


顧問契約の報酬は、業務の内容や資格の有無、業界によってまったく違います。
正社員やアルバイトであれば厚生労働省が定めた最低賃金が適用されますが、顧問料に関しては公に相場が明示しているわけではありません。

また、同じ顧問だとしても働き方によって報酬が変わります。
月1回のアドバイスを行うケースと常駐するケースでは、算出方法も報酬額も異なるはずです。
ここでは、契約形態別の顧問契約の相場をまとめていきます。

顧問契約型

顧問契約型の顧問は、月に1回から4回ほど対面などでアドバイスやサポートを受ける形の顧問です。
経営会議や株主総会に参加を依頼するケースもあります。

顧問契約型の報酬は顧問契約によって変わりますが、20〜50万円程度です。
報酬は企業の従業員数や業務の難易度に応じて変化し、1年単位で自動更新するのが一般的な流れです。
数カ月程度トライアル期間があるケースもあります。

時間契約型

時間契約型は、数時間、数日単位で経営顧問に報酬を支払う契約形態です。
単発で顧問を必要とする場合に適した方法で、1日当たりの稼働時間でも報酬が変動します。

時間契約型の相場は、一日で3~10万円程度です。顧問の保有資格の有無や、顧問としての実績に応じて報酬が変動します。

成果報酬型

成果報酬型は、特定の業務やプロジェクトを達成した成果で報酬を決定します。
成果報酬型の相場は、経営顧問が関わったことで得られた利益の10パーセント〜30パーセント程度です。

あるいは、新規顧客獲得人数に応じて報酬を計算するといった条件が設けられます。
プロジェクトの成功に対して報酬が支払われるようなタイプの顧問は、プロジェクトの規模と関わり方によって報酬が大きく変動します。

成果報酬型の顧問は評価の判断基準を決めることが難しく、利益を優先した強引な方法に偏ってしまうこともあるため、導入する時には注意しなければいけません。

【職種別】顧問契約の相場はいくら?


顧問契約の相場は、顧問の宿主によっても違います。ここからは、職種別に顧問契約の相場を紹介します。

弁護士

企業の様々なトラブルに対応してくれる弁護士も心強い存在です。弁護士の顧問料の相場は、月額で3~5万円とされています。

契約によっても違いますが、月に3時間までの相談、月1回の対面相談といった内容が一般的です。
高頻度で依頼する業務がある場合には、契約を締結するまでに確認してください。

税理士

税務の専門家である税理士は多くの企業が必要としています。
税理士と顧問契約を結んだ時の相場は、月額で3万円〜で、記帳の代行や確定申告がオプション料金となることがあります

ただし、業務が限定的な税理士であれば月額1万円程度からでも依頼可能です。
逆に幅広い業務を依頼したい場合は、企業規模が大きい場合には10万円以上になるケースもあります。
顧問料の範囲内で任せられる業務とオプションとなる業務の範囲を確認してから契約してください。

社労士

社労士は、人事や労務管理、社会保険の専門家です。顧問として社労士と契約する場合の相場は、月額で3~20万円です。
社労士の業務料は、その企業の従業員の人数によって変わります。また、従業員の労務形態が特殊な場合には相場よりも高くなることがあります。

経営顧問

経営顧問は、資金不足や業績悪化のように経営で発生した様々な課題解決のサポートを行う顧問です。
過去に役職を経験した内部顧問のほか、外部からの顧問である外部顧問があり、報酬形態も企業によってまったく異なります。

時間契約型であれば1日数万円、月額の場合は数万円から数十万円です。顧問の保有資格や実績によって、報酬額は大きく変動します。

専門職コンサルタント

顧問の中には、一定の専門分野、業界のコンサルタントもいます。
人材コンサルタントや ITコンサルタント、品質管理やマーケティングなど専門分野は様々で、報酬も多様です。
専門職コンサルタントは、自社の課題に対して対応できる専門職を探せるので、より効率的に課題解決に近づけます。

顧問契約において顧問料が変動する要因は?


顧問料は、企業の規模や実働時間によって変動します。どういった条件で顧問料が変動するのか紹介します。

会社の規模

会社の規模が大きくなれば取引きや従業員数も増えます。顧問の作業量や関わる取引きの規模も大きくなるため、顧問料が上がります。

従業員数

社労士や税理士の場合、従業員数に応じて顧問料が変わることがあります。給与や年末調整の手続きは、従業員数に応じて増えるためです。
月額顧問料とは別に、従業員数に応じてオプション料金がかかるケースもあります。

業務の範囲

顧問が関わる業務の範囲が広い場合や難易度が高い場合には、顧問も相応の実績や知識を求められます。
より需要が高い経験、スキルを持つ顧問は顧問料も高くなります。

コンサルタントの属性

顧問の属性によっても報酬額は異なります。大きな実績や難関資格を複数保有する顧問は、顧問料のベースが高く設定される傾向です。

顧問料が高い分、提供されるサポートのクオリティも高く、少ない稼働時間でも効果的なサポートが得られます。
ただし、顧問料が高ければ必ずハイレベルとは限らないので、トライアルや面談時に経験やスキルを確認してください。

顧問契約を結ぶ時の注意点


顧問契約を結んだことがない会社にとっては、どのような顧問を頼めばいいのか、契約内容はどうすればいいのかわからないこともあるでしょう。
顧問契約を結ぶ時のポイントをまとめました。

解決したい課題を洗い出しておく

顧問契約を結ぶ前に、顧問に依頼したい課題を洗い出してください。
自社が抱える課題やその原因、目指している成果などを明確にしていないと最適な顧問は見つけられません
課題が見つかったら自社のリソースでどこまで対応できるか、足りないとしたらどこを補えばいいのかを検討します。

顧問側にとっても委託側が何を解決しているのか、ゴールがどこなのかをわかっていると業務が進めやすくなります。
解決したい課題が何なのか説明できるようにしておいてください。

顧問の紹介のエージェントも活用する

顧問が見つからない場合には、顧問を紹介しているエージェントやビジネスマッチングサイトも活用します。
条件を指定して探せるため、短時間に多くの顧問先が調べられます。

自社との相性を見極める

どれだけ優れた顧問であっても、自社との相性が悪い場合にはおすすめできません。
相性が合わない顧問では、コミュニケーションや業務に支障が出て、業務効率も下がってしまいます。
チャットやメールだけでのやり取りではわからないこともあるので、電話や面談で話をしてみるようにします。

中小企業支援機関を活用する

顧問を探すには、中小企業支援機関も活用できます。
中小企業支援機関は、47都道府県に「よろず支援拠点」を設置して企業のサポートを提供しています。

「よろず支援拠点」は、中小企業診断士に無料で相談可能なほか、専門家が連携して課題解決を目指せる国が設置した相談所です。
中小企業はもちろん、NPO法人、これから開業予定の人といった幅広い層を対象としています。
全国に設置されているので最寄りの「よろず支援拠点」がどこにあるのか調べてください。

まとめ・顧問契約前に契約内容をしっかりと確認しよう

顧問は客観的な立場から企業の課題解決に取り組んでくれる心強い存在です。
その知識や実績から戦力として期待できるからこそ、どうやって選べばいいのか、どのような契約をすればいいのかと悩んでしまいます。

人材が必要だからと顧問の選定を焦ると、人選ミスを招くリスクがあります。
顧問を選ぶ時には、顧問としての実績や得意分野を尋ねるほか、顧問契約前に契約内容についても双方で確認してください。

創業手帳の第6章では、チームづくりのノウハウについて掲載しています。社内メンバーという括り以外にも、外注の活用方法などについても掲載。税理士や社労士、弁護士などの専門領域はプロにお任せして、本業にできるだけ時間を費やせるチームづくりを目指していきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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