【2025年】法人化する時に使える補助金まとめ│申請条件・対象経費・採択率のポイントも紹介

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補助金を活用して法人化の負担を抑えよう


個人事業から法人化を検討しているものの、「設立費用や初期コストが気になる」という人も多いはずです。
実は、法人化の際には国や自治体が実施している補助金や助成金制度を活用することで、資金面の負担を大きく軽減できる可能性があります。

これらの制度は、創業支援や雇用促進、地域活性化などを目的としており、条件を満たせば幅広い業種で利用が可能です。
この記事では、法人化する時に使える補助金の種類や、採択率を高めるポイントについて解説していきます。これから法人化を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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法人化する時に使える補助金5選


国が提供する補助金制度の中には、法人化する時に使える補助金もいくつか見られます。
具体的にどのような補助金制度があるのか、申請条件や対象経費なども併せて紹介していきます。

中小企業新事業進出補助金

中小企業新事業進出補助金は、企業の成長や拡大に向けて新規事業にチャレンジする中小企業などを対象に、既存事業と異なる新市場や高付加価値事業に進出する際にかかる設備投資などを支援する補助金制度です。
対象経費は以下の区分に分けられます。

  • 機械装置・システム構築費
  • 建物費
  • 運搬費
  • 技術導入費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝・販売促進費

また、申請するためには以下の要件を満たす必要があります。

新事業進出要件 新事業進出指針の中で示されている「新事業進出」の定義に当てはまる事業であること
付加価値額要件 補助事業終了から3~5年の事業計画期間中で、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
賃上げ要件 補助事業終了から3~5年の事業計画期間中に、水準以上の賃上げを行うこと
事業場内最賃水準要件 補助事業終了から3~5年の事業計画期間中に、毎年事業場内最低賃金が地域別最低賃金よりも30円以上高い水準であること
ワークライフバランス要件 次世代育成支援対策推進法に基づく、一般事業主行動計画を公表していること
金融機関要件 補助事業の実施にあたり、金融機関などから資金提供を受ける際には、事業計画の確認を金融機関などから受けていること

なお、個人事業主が法人化することにより、中小企業新事業進出補助金を法人で行う場合は事前に事務局から承認を得なくてはなりません。

ものづくり補助金

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や小規模事業者の生産性向上や持続的な賃上げ、競争力の向上を目的に提供されている補助金制度です。
対象となるには、以下の基本要件をすべて満たした3~5年の事業計画を策定する必要があります。

  • 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上に増加させる
  • 事業場内最低賃金を、毎年地域別最低賃金と比べて30円以上の水準とする
  • 事業者すべての付加価値額の年平均成長率を3%以上増加させる
  • 申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定・実行する

対象経費は設備投資を行うことが必須であり、単価50万円以上(税抜き)の機械装置などを取得し、適切な管理を行う必要があります。
また、事業に要する経費の3分の2以上であることも重要です。経費の区分は以下のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 運搬費
  • 技術導入費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 海外旅費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)
  • 通訳・翻訳費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)
  • 広告宣伝・販売促進費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)

2025年11月12日時点で、22次の申請を募集しています。申請開始は12月26日(金)17時からで、申請の締切日は2026年1月30日(金)17時までです。
22次以降のスケジュールは公開されていないものの、引き続き実施される可能性があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、制度変更などに小規模事業者が対応できるよう、経営計画を作成し、それに基づき販路開拓の取組みなどの経費を一部補助するための制度です。
商工会地域の小規模事業者や、法人の場合は資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接または間接に100%株式を保有されていないことなどが条件です。

補助率や補助上限額などは各枠によって異なります。

類型 補助率 補助上限額
通常枠 2/3 50万円
賃金引上げ枠 2/3(赤字事業者は3/4) 200万円
卒業枠 2/3 200万円
後継者支援枠 2/3 200万円
創業枠 2/3 200万円

対象となる事業の幅が広いことから、比較的チャレンジしやすい補助金制度といえます。
なお、第18回の申請受付締切は2025年11月28日(金)となっており、19回以降のスケジュールはまだ決まっていないため注意が必要です。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の労働生産性を向上させることを目的に、業務効率化やDXなどに活用するITツールの導入を支援する補助金制度です。
ITツールは事前に事務局から審査を受け、ホームページ上に公開されているものが対象となります。

申請条件は中小企業と小規模事業者で異なり、中小企業だと業種に応じて資本金・従業員数が一定以上、小規模事業者は業種に応じて従業員数が一定以上いる場合が対象です。
申請枠によって、対象経費などは若干異なります。
例えば通常枠であればソフトウェア(必須)+オプション(機能拡張、セキュリティなど)+役務(導入・活用コンサルティング、保守サポートなど)をセットで利用することで補助対象になります。

なお、交付申請には直近分の納税証明書が必要です。
法人化してからすぐに申請しようと思っても、納税証明書がないことで申請できない可能性もあるため注意してください。

事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上や持続的な賃上げに向けた事業承継に際して、設備投資やM&A、PMIの専門家活用費用などを支援するための補助金制度です。
もともとは「事業承継・引継ぎ補助金」という名称の制度でしたが、2025年度から名称が変更され、さらに枠組みも変わっています。

  • 事業承継促進枠
  • 専門家活用枠
  • PMI推進枠
  • 廃業・再チャレンジ枠

補助対象となるのは5年以内に親族内で事業承継、または従業員承継を予定している人です。
対象となる経費は事業承継促進枠の場合、事業費(設備費、謝金、旅費、外注費など)と廃業費(廃業支援費、在庫処分費、解体費など)が挙げられます。
Webサイトの新規製作や更新などにかかる費用や、広告にかかる費用などは対象経費に該当しないため注意してください。

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各自治体で法人化する時に使える補助金制度


法人化する時に使える補助金は上記で紹介したものだけでなく、各自治体でも提供している場合があります。ここでは、一部自治体の補助金制度の紹介です。

【北海道札幌市】さっぽろ新規創業促進補助金

札幌市では、創業の視野を広げることを目的に、特定創業支援等事業を活用した人に対して、さっぽろ新規創業促進補助金を用意しています。
補助対象者は以下の要件をすべて満たしている必要があります。

  • 事業を営んでいない個人または開業届を提出してから5年未満の個人事業主で、新たに会社を設立した人
  • 札幌市から特定創業支援等事業の証明を受け、その後登録免許税を支払っている
  • 札幌市内に登記上の本店所在地を置いている
  • 新設した会社以外に代表権を持つ会社がない、またはほかの事業を営んでいない
  • 反社会的勢力および反社会的勢力と関係のある者ではない
  • 札幌市の市税を滞納していない、または市税の徴収猶予の特例制度等の対象である

補助額は株式会社の場合、登録免許税にかかる費用として一律75,000円、合同会社の場合は一律30,000円です。

【宮城県石巻市】石巻市創業支援補助制度

石巻市創業支援補助制度は、市内の産業活性化と雇用確保を目的に、市内で創業・第二創業を行う事業者を支援する補助金制度です。
新規創業と第二創業で補助要件が異なり、新規創業の場合は申請日時点で創業から1年経過していない、または創業予定の個人や個人事業主が対象となります。
第二創業の場合は申請日時点で事業承継から1年経過していない、または承継する予定の個人事業主や起業、NPO法人などです。

補助対象となる経費は、人件費・事業費・委託費になります。
事業費には、起業・創業時に必要な申請書類作成にかかる経費や店舗などの借入費、設備費、原材料費、広報費、外注費などが含まれます。
補助率は1/2以内で、上限額は100万円以内です。

【山梨県南アルプス市】創業支援補助金

南アルプス市の創業支援補助金は、市内で新たな需要・雇用の創出を促進し、市内の産業を振興および活性化を図ることを目的とした補助金制度です。
主に市内で新たに創業(開業または会社設立から5年未満)した人や第二創業(事業承継後5年未満)を行う人、事業拡大・新分野に進出する人が対象となります。

補助対象の経費は以下のとおりです。

  • 機械装置等購入費
  • 広報費
  • Webサイト関連費
  • 展示会等出展費
  • 旅費
  • 開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 賃借料
  • 専門家謝金
  • 専門家旅費
  • 設備処分費
  • 委託費
  • 外注費

補助率は経費(税抜き)の3分の2で、上限額は50万円です。なお、2025年度は南アルプス市の資源や魅力を活かした事業が優先的に採択するとしています。

【愛知県小牧市】起業・会社設立支援補助金

小牧市が実施している起業・会社設立支援補助金は、市内で新たに会社を設立する人に向けて、会社設立にかかる費用の一部を補助する制度です。
この制度の対象となるには、会社設立に加え、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

  • 市内に本店所在地を置いている
  • 市内に事業所を有する、またはその予定がある
  • 会社の代表者に市税の滞納がない
  • 風営法などに関わる業種、消費者金融業、ギャンブルにかかる業種以外

補助対象となる経費は、定款認証に必要な費用や登記申請にかかる費用、司法書士などに支払う報酬などです。
補助金額は対象経費×1/2で算出した金額で、限度額は20万円までとなります。

【鳥取県鳥取市】まちなか・コミュニティビジネス支援補助金

鳥取市のまちなか・コミュニティビジネス支援補助金は、「鳥取県みんなで取組む中山間地域振興条例」で定める中山間地域を除く地域を「まちなか」と定義し、そこで実施するコミュニティビジネスの起業をサポートする補助金制度です。
市内に居住する個人事業者や企業などで、以下のすべてに該当する事業を行っている場合に対象となります。

  • 暮らしに関する課題解決を目的に、当該地域のニーズを客観的に把握している
  • 事業の実施に必要な関係法令に規定する許認可を得ている、または得る予定である
  • 宗教活動・政治活動ではない
  • 社会通念上の良識に反する行為や違法行為をともなう事業ではない
  • 国・県・市のほかの助成金などの交付を受けていない
  • 事業は原則有償で行われ、かつ継続性がある
  • 助成が決まってから当該年度内(3月31日まで)に創業できる

対象経費となるのは、事業に必要な施設の改修や整備、機器・設備・器具・備品のリース代または50万円未満の備品を購入するのにかかった経費や、ハード事業と一体的に実施される調査・宣伝などにかかった経費です。
補助率は1/2で、上限額は300万円になります。

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補助金の採択率を高めるポイント


補助金は申請すれば必ず受けられるものではなく、審査を通過する必要があります。採択率を高めるには、申請内容の質や説得力が非常に重要です。
ここでは、補助金を得るために押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

制度の内容や公募要項をよく確認する

まず大前提として、補助金制度の目的や対象要件をしっかり理解することが欠かせません。
制度ごとに対象となる事業内容・経費・期間が異なり、要件を満たしていない申請は審査前に却下されてしまいます。
公募要項を丁寧に読み込み、自社の事業が制度の趣旨に沿っているかを確認してください。

実際に採択された事例から採択傾向を学ぶ

過去に採択された事例を調べることで、審査で評価されやすいポイントをつかむことができます。
例えば、地域貢献性や新規性、持続可能性を重視する補助金であれば、それらを事業計画にどう盛り込むかがポイントです。
自治体や中小企業庁のサイトには採択事例が公開されていることが多いので、事前にチェックしてみてください。

説得力のある事業計画書を作成する

補助金申請で最も重要なのが事業計画書の完成度です。
単に「やりたいこと」を書くのではなく、「なぜ必要なのか」「どのような成果が見込めるのか」「資金をどう活用するのか」を明確に示すことで採択の可能性を高めます。
数字やデータを用いて根拠を示すことで、審査員に具体的なイメージを持たせることも可能です。

専門用語・業界用語を使いすぎない

審査員は必ずしも業界に詳しい専門家とは限りません。そのため、専門用語や業界特有の言い回しを多用すると、内容が伝わりにくくなる恐れがあります。
できるだけ一般的にわかりやすい表現を使い、誰が読んでも理解できる文章を意識することが大切です。

補助金制度の専門家に相談してみる

自分だけで申請を進めるのが不安な場合は、中小企業診断士や商工会議所の支援員など、補助金申請に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
書類の作成や採択傾向の分析など、専門的なアドバイスを受けることで、採択率を高めることができます。無料で相談できる支援機関も多いため、積極的に活用してください。

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法人化に使える補助金に関するQ&A


法人化する時に使える補助金制度について、よくある質問を取り上げてみました。気になることがあれば、こちらもチェックしてみてください。

Q.ひとり法人でも補助金を申請できる?

ひとりで立ち上げ、事業を手がけるひとり法人でも補助金を申請することは可能です。例えば、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金はひとり法人でも申請できます。
ただし、補助金制度によって要件が異なり、中には従業員数が一定数以上でないと申請できない場合もあるため、申請したい補助金があったら要件をよく確認してみてください。

Q.補助金は法人化直後に申請しないといけない?

補助金制度の申請を行う場合、法人化直後でなかったとしても申請できる場合があります。
例えば事業承継・M&A補助金では、5年以内に親族内で事業承継、または従業員承継を予定している人が対象です。
つまり、事業承継後に法人化してから申請しても問題ありません。
また、IT導入補助金は生産性向上を目的とする制度であり、会社設立後すぐに活用できるものではないため、法人化直後のタイミングでなくても補助金を活用できます。

Q.補助金を資本金にすることは可能?

創業する際に資本金を用意することになりますが、補助金は基本的に資本金として活用することはできません。
法人化する時に使える補助金の多くは、対象事業にかかった経費を補助するためのもので、資本金にするために申請したとしても審査で落とされる可能性があります。

ただし、創業支援金や日本政策金融公庫の創業融資などは、返済が必要になるものの条件を満たせば申請できる場合もあるため、資本金として活用できる場合があります。

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まとめ・法人化前後にかかるコストは補助金活用も視野に

法人化には、登記費用や専門家報酬、設備投資など様々なコストが発生しますが、国や自治体の補助金を上手に活用すれば大きな負担を抑えられます。
採択率を高めるためには、公募要項の理解や事業計画書の工夫が欠かせません。
制度を正しく理解し、専門家のサポートを受けながら申請を進めることで、補助金を活用した効率的な法人化を実現できるでしょう。


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(編集:創業手帳編集部)

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