法人税率が上がるのはいつから?2026年導入予定の防衛特別法人税をわかりやすく解説

創業手帳

法人税率の引き上げは2026年4月を予定


「法人税はいつから上がるのか」「自社の税負担はどれくらい増えるのか」と不安や疑問を感じている経営者は多いかもしれません。
法人税率の引き上げは、単なる税率変更にとどまらず、資金繰りや利益計画、設備投資の判断など、経営全体に影響を及ぼす重要なテーマです。

本記事では、2026年4月に予定されている法人税率引き上げの概要を整理しつつ、中小企業に影響はあるのか、引き上げに向けて備えたい節税対策などを解説します。
法人税率の引き上げや防衛特別法人税について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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法人税率が上がるのはいつから・どれくらい上がる?


法人税率の引き上げについては、2025年度(令和7年度)税制改正で成立しました。まずは、法人税率がいつから、どれくらい上がるのか解説していきます。

法人税率が上がるのは2026年4月1日から

2025年度の税制改正大綱の「賃上げ・投資がけん引する成長型経済」という方針に基づき、様々な税制改正が行われました。
そんな中で、新たな税制度(防衛特別法人税)の導入により、法人税に付加税率を課す新たな制度も導入されています。
この制度は2025年の税制改正で成立しましたが、実際に適用されるのは2026年4月1日からです。

法人税の付加税率が4%に上昇

税制改正により、法人税には新たに付加税率が4%課されることになります。
実際に法人税を計算する際には、各課税事業年度の課税標準法人税額に対して、4%を乗じる必要があります。
課税標準額は基準法人税額から基礎控除額(500万円)を控除した金額です。ここに付加税率4%を乗じ、さらに税額控除を差し引くことで納める法人税額がわかります。

基準法人税額-基礎控除額(年500万円)×付加税率4%-税額控除=法人税額

改正前と改正後の法人税率の違い

法人の規模・種類によっても違いますが、これまで法人税を23.2%で計算していた企業はさらに4%を乗じる形となるため、実質的に所得の1%程度が増税されることになります。

【実質的な増税幅】
23.2%×4%=0.928%≒1%

増税した場合のシミュレーション

増税後に法人税はどれくらい変わるのかシミュレーションしていきましょう。
資本金1億円以下の普通法人(所得金額年5,000万円)の場合で法人税額をシミュレーションしていきます。

まず、資本金1億円以下の法人は、所得金額が年800万円以下の部分と年800万円超の部分で税率が異なります。

  • 年800万円以下の部分(適用除外事業者でない場合):15%
  • 年800万円超の部分:23.2%

それぞれに該当する税率を乗じて基準法人税額を算出していきます。

800万円×15%=120万円
(5,000万円-800万円)×23.2%=974万4,000円

(120万円+974万4,000円-500万円)×4%=23万7,760円

23万7,760円はあくまで付加税率の部分となるため、基準法人税額と付加税率の部分を合計すると法人税の合計額を算出できます。

120万円+974万4,000円+23万7,760円=1,118万1,760円

なお、基準法人税額が基礎控除額500万円を下回っていた場合、付加税率の部分は発生しないため、税額が追加されるか事前に確認しておくと安心です。

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防衛特別法人税とは何か


今回の税制改正で法人税に追加される付加税率は、「防衛特別法人税」と呼ばれています。防衛特別法人税が具体的にどういったものなのか、詳しく解説していきます。

防衛特別法人税の概要

防衛特別法人税とは、国際環境の変化などに伴い、防衛力を強化するための財源確保を目的に用意された税制措置です。
元々は所得税から徴収される可能性もありましたが、令和7年度改正で見送りとなり、令和8年4月日以後に開始する事業年度から法人税から徴収されることになっています。

防衛特別法人税の対象となる法人

防衛特別法人税の対象となるのは、法人税を納めているすべての法人です。この法人には人格のない社団や、法人課税信託の引き受けをしている個人なども含まれます。

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法人税が上がる背景


法人税が上がる背景として、以下の理由が挙げられます。

防衛力強化に向けた財源を確保するため

法人税が上がる一番の目的として、防衛力強化に向けた財源を確保することが挙げられます。
2025年時点で国際的な安全保障の観点から、以下の問題が挙げられています。

  • 中国や北朝鮮、ロシアの軍事力強化
  • 尖閣諸島、南シナ海をめぐる問題
  • ロシアによるウクライナ侵略

これらの問題を含め、世界情勢は目まぐるしく急速な変化を続けています。
このような世界情勢の中で日本が柔軟に対応しておくためにも、防衛力の強化が必要とされています。
そのため、税制改正に伴い「防衛特別法人税」という名称で付加税率が追加されたのです。

防衛力強化を目的としたその他の増税

防衛力強化を目的に付加税率が加わったのは、法人税だけではありません。たばこ税も増税対象に含まれています。
例えば、加熱式たばこの課税方式が変更となり、紙巻たばことの税負担格差を解消する形で増税されます。

2026年4月1日に1本あたり0.5円、10月1日にもさらに1本あたり0.5円の引き上げが行われ、紙巻たばこと加熱式たばこはどちらも同じ税率になる予定です。
さらに、たばこ税率は今後も引き上げが決定しており、2027年4月、2028年4月、2029年4月に段階的に1本あたり0.5円ずつ引き上げとなります。

税収に占める割合が多いため

そもそも法人税が増税対象となった理由として、税収に占める割合が多い「基幹税」のひとつであることも理由として挙げられます。
税収に占める割合が多いということは、この税額を引き上げることで大きな税収アップが見込めます。
また、企業収益が改善している場合、負担能力のあるところから広く薄く徴収するという考え方が採用されやすく、結果として法人税率の引き上げ・課税強化につながるケースも少なくありません。

内部留保が増えているため

もうひとつの背景として挙げられるのが、企業の内部留保(利益剰余金)が年々増加しているという点です。
多くの企業が利益を設備投資や賃上げに回さず、現金や資産として蓄積している傾向にあります。
厚生労働省の「令和5年版労働経済の分析-持続的な賃上げに向けて-」によると、企業における内部留保は、2020年と2021年で比較すると以下のようになっています。

2020年 2021年
大企業 242.1兆円 256.4兆円
中堅企業 71.2兆円 79.4兆円
中小企業 153.1兆円 163.2兆円

引用元:厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析-持続的な賃上げに向けて-

内部留保が年々増加していることを受け、政府は資金が経済に十分循環していないと問題視し、法人税の引き上げにつながっていると考えられます。

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法人税が上がることで中小企業への影響はあるのか?


法人税が上がることで、中小企業への負担が懸念されます。
ただし、中小企業の法人税軽減率は元々2025年3月31日までとなっていましたが、2年間の延長が決定し、2027年3月31日まで適用されることになっています。

また、防衛特別法人税に関しても、付加税率を乗じる際に基礎控除額500万円が適用されるため、基準法人税額が500万円以下の企業であれば課税されません。
また、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制なども期間を延長していることから、法人税率アップによる影響は受けにくいと言えます。

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防衛特別法人税を会計処理する際に注意すべきこと


防衛特別法人税が適用される場合、実際に会計処理を行う際にはいくつか注意すべきポイントがあります。

法定実効税率は上がる

防衛特別法人税の導入によって、約1%は法定実効税率が上がることになります。
例えば東京都で資本金1億円を超える企業(外形標準課税法人)の場合、現行の実効税率は30.62%ですが、防衛特別法人税を加えると31.52%に増えます。
中小企業でも同様に法定実効税率は約1%上がるため、実際に法人税額がどれくらいになるのか試算するようにしてください。

基礎控除の適用ルールに気を付ける

防衛特別法人税には年間500万円の基礎控除が適用され、基礎控除500万円以下の場合は付加税率がかからないことになっています。
しかし、この基礎控除が適用されるには、以下の要件を満たさなくてはならないので注意が必要です。

  • 事業年度が1年未満の場合は月数按分となる
  • グループ通算制度を適用している法人は、グループ全体で500万円を按分する

例えば事業年度が6カ月の場合、年間500万円の半分にあたる250万円が基礎控除として適用されることになります。

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法人税の引き上げに備える節税対策


法人税の引き上げが予定されている場合、事前に対策を講じておくことで税負担を抑えることが可能です。
重要なのは、「利益が出てから考える」のではなく、決算前から計画的に動くことになります。

ここでは、中小企業でも比較的取り組みやすい代表的な節税対策を紹介します。
ただし、制度の適用条件や上限があるものも多いため、実行前には税理士など専門家への相談がおすすめです。

役員報酬や福利厚生費を増額させる

役員報酬や福利厚生費は、一定の条件を満たせば損金として計上できます。
例えば定期同額給与として適切に設定された役員報酬や、健康診断費用・社宅制度・従業員向けの各種手当などは、法人の経費として認められるケースがあります。

役員報酬は期首に決定する必要があるため、業績見込みを踏まえて早めに検討することが重要です。
また、福利厚生は「全従業員を対象とすること」が原則となるため、特定の役員だけが恩恵を受ける形にならないよう注意しましょう。

なお、役員報酬は増額すると役員個人の所得税・住民税・社会保険料が増額となるため、総合的に見ると納税額がかえって増えてしまう可能性もあります。
役員の報酬額については税理士などに相談し、適正な金額を定めるようにしてください。

不要な在庫は処分する

長期間売れ残っている在庫や、価値が下がった商品を抱えたままにしていると、帳簿上は資産として残り続けます。
こうした不要在庫は、廃棄や値下げ販売を行うことで損失計上が可能になり、課税所得を圧縮可能です。

特に決算前は在庫状況を見直す良いタイミングです。実際に廃棄した証拠(写真や廃棄証明書など)を残しておくと、税務調査時のリスク軽減にもつながります。

車や自宅を法人名義にする

事業で使用する車両や自宅の一部を法人名義に切り替えることで、減価償却費や維持費(保険料・修繕費・光熱費の按分など)を経費として計上できる場合があります。

ただし、プライベート利用が多い場合は按分計算が必要になり、名義変更には登記費用や税金が発生するケースもあります。
節税効果だけで判断せず、トータルコストを考慮することが大切です。

貸倒引当金を損金計上する

売掛金や貸付金の回収が困難になりそうな場合、一定の要件を満たせば貸倒引当金として損金計上が可能です。
これにより、将来の貸倒リスクを見込んだ分だけ利益を圧縮できます。
貸倒引当金を損金計上できる法人は以下のとおりです。

  • 資本金1億円以下の普通法人
  • 資本もしくは出資を有していない法人
  • 公益法人等または協同組合等
  • 人格のない社団等
  • 銀行・保険会社等
  • 金融に関する取引にかかる金銭債権を有する法人

中小企業では、法定繰入率を使った簡便な計算方法も認められています。
ただし、すべての債権が対象になるわけではないため、対象範囲や計算方法は事前に確認しておきましょう。

経営セーフティ共済に加入する

経営セーフティ共済(倒産防止共済)は、取引先の倒産リスクに備える制度で、掛金は全額損金算入できます。
掛金は5,000円~20万円まで自由に選ぶことができ、増額・減額も可能です。
万が一取引先が倒産し、売掛金などの回収が難しくなった際には、事業者との取引の確認が済み次第借り入れできるようになります。

将来解約すれば掛金が戻る仕組みのため、「利益の繰り延べ」として使える点も特徴です。
ただし、短期間で解約すると元本割れする場合があるため、中長期視点での活用が前提になります。

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まとめ・将来を見据えて法人税引き上げに向けた対策も検討しよう

法人税は2026年4月1日から「防衛特別法人税」という付加税率により負担が増加します。
中小企業に関しては基礎控除額500万円が適用されるため、すべての法人が適用されるというわけではないものの、基礎控除にも細かいルールが設定されています。
そのため、事前にシミュレーションをして法人税額がどれくらい変化するのか算出することも大切です。
また、法人税は税収に占める割合が多いこともあり、今後も引き上げの対象となる可能性があります。
将来的に法人税が引き上げとなった場合も見据えて、今のうちに節税できる部分を見直していきましょう。


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(編集:創業手帳編集部)

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