「ChatGPT API」とは?できることや利用する際の手順などを解説

創業手帳

ChatGPT APIが2023年3月にリリース!


自然言語処理のAIモデルとして世界的に活用されている「ChatGPT」は、以前までブラウザ上でしか利用できませんでした。
しかし、2023年3月に「ChatGPT API」がリリースされたことで、ChatGPTと他のソフトウェアやシステムとの連携ができるようになりました。

今回は、ChatGPT APIの特徴やできること、メリットなどを解説しつつ、実際に利用する際の手順もご紹介します。
ChatGPT APIをシステムやアプリに取り入れたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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ChatGPT APIとは?


ChatGPT APIとは、自然言語処理のAIモデル「ChatGPT」をシステムやソフトウェア、アプリなどと連携させるためのツールです。
APIとは、異なるソフトウェアやWebサービスなどをつなぐためのインターフェースであり、ChatGPTを外部のシステムから使用できます。
ChatGPT AIがリリースされた当初はGPT-3.5turboまでしか対応していませんでしたが、2024年5月時点では最新の言語モデル「GPT-4o」にも対応しています。

また、ChatGPT APIは回答や挙動のカスタマイズが行えます。
カスタマイズを行うためには専門的な知識が必要になるものの、特定のアプリや要件に合わせて活用することも可能です。
さらに、RESTful APIで設計されているため、既存するWebアプリケーションやシステムにも統合させやすくなります。

ChatGPT APIでどのようなことができる?


ここからは、ChatGPTを別のシステムやアプリと連携できるChatGPT APIの導入により、具体的にできるようになることをご紹介します。

文章の作成・要約・添削

ChatGPTは、大量のテキストデータを学習・分析することで、人間が作成したような自然な文章を生成できます。
そのため、ChatGPT APIによって文章の作成や要約、添削などが行えるようになります。

文章を作成する際には、まずプロンプトと呼ばれる指示を入力しなければなりません。ChatGPTはプロンプトの内容に合わせて文章を生成することが可能です。
また、大量のテキストデータを学習しているため、文章の添削も行えます。

自動応答システムの開発

ChatGPT APIの「Assistants」を活用すれば、自動応答システムを開発することも可能です。
顧客から問い合わせがあった場合、その内容を自動的に解析し、内容に適した回答を生成できます。
自動応答システムをカスタマーサポートに導入することで、顧客は待ち時間なく適切な回答の受け取りができ、カスタマーサポート業務の大幅な負担軽減につながります。

また、Assistantsには「Retrieval」という機能もあります。
この機能は参照用のファイルを渡すことで、ChatGPTに内蔵された知識とファイルの内容を組み合わせて回答を生成できます。
そのため、自社の商品・サービスに特化した応答システムを開発することも可能です。

議事録の作成や文字起こし

ChatGPT APIの「Whisper」は、自動で音声を認識してくれる機能です。Whisperを活用すれば、議事録の作成や会議音声の文字起こしができます。
なお、Whisperは言語を自動的に判別してくれるため、前もって言語を設定しておく必要もありません。

また、Whisperは英語をはじめ、日本語の音声認識も高い精度を誇っています。議事録の作成や、会議音声の文字起こしに関するシステムの開発におすすめです。
ただし、言語は認識できても誰が喋っているかまでは判別できないため注意が必要です。

マニュアル作成

業務の効率化や提供するサービス品質の統一、属人化の回避など、様々な目的からマニュアルを作成する企業は多くあるかもしれません。
ChatGPTは文章生成を得意としているため、マニュアルの骨子さえ用意すれば本文を自動的に作成してくれます。
また、ChatGPT APIのRetrieval機能を使用すれば、自社の知識と組み合わせて、より自社の業務に合ったマニュアルを生成できます。

ただし、文章の精度を高めるのであれば、各章または各段落で文章を生成するほうが良いかもしれません。
なお、過去に作成したマニュアルをChatGPTに渡せば過去の文体や表現に合わせて文章を生成してくれます。

プログラミングコードの作成や修正

ChatGPTはプログラミング言語に関する知識も有しており、コードを生成することも可能です。
どのようなコードを作成したいかをプロンプトで指示すれば、その内容に沿ったプログラミングコードを生成してくれます。

また、ソース言語とターゲットの言語を指定すれば、別のプログラミング言語に翻訳することも可能です。
ほかにも、コードの解説からデバッグのサポートまで、幅広く活用できます。

翻訳

ChatGPTは複数の言語にも対応していることから、翻訳も簡単に行えます。
他の翻訳ツールとは異なり、プロンプトで指示することで口調を柔軟に変えられる点がメリットです。
また、翻訳元のテキストがどの言語を用いているのか自動的に判定できるため、わざわざ指定する必要もありません。
なお、ChatGPTの学習データの多くは英語であるため、英語への自動翻訳や英語表現が得意です。

情報の検索

ChatGPTはWeb上のデータから学習しているため、情報の検索に活用できます。
ChatGPT APIの最新モデル「GPT-4o」は、2023年12月までのデータを学習データとして活用しているため、残念ながら2024年以降の情報に関しては検索できません。
ただし、Assistants APIを活用してChatGPTに追加情報を渡せば、最新のデータからも情報を検索できるようになります。

ChatGPT APIを利用するメリット


ChatGPT APIを利用すると、以下のメリットが得られます。

UXや顧客満足度の向上につながる

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがひとつの製品・サービスから得られる体験を意味しており、UXを向上させることで製品・サービスの価値が高まります。
例えば、ChatGPT APIを導入してカスタマーサポートにチャットボットを取り入れた場合、これまでは営業時間内でしか対応できなかった顧客からの問い合わせにも24時間365日対応でき、ユーザー体験を向上させることが可能です。

また、ChatGPT APIは多言語にも対応していることから、グローバル対応も可能です。
海外へのビジネス展開も考えている場合には、ChatGPT APIを導入するメリットが大きいといえます。

様々な作業を効率化できる

ChatGPT APIによって様々な作業を効率化できることもメリットです。
例えば、開発中のシステムにAI技術を導入しようと考えている場合、多くの時間とリソースが割かれてしまいます。
しかし、ChatGPT APIを使用すれば手軽に高度なAI技術を取り入れられ、開発に多くの時間とリソースを割かずに済みます。

また、ChatGPT APIは拡張性と柔軟性が高く、幅広いニーズにも対応可能です。質問への応答はもちろん、適切な情報の提供や推論、要約なども簡単に行えます。
このような機能を活用すれば、様々なタスクにも対応できるようになり、あらゆる作業の効率化にもつながります。

コストが安い

ChatGPT APIは、開発・訓練に料金は発生せず、使用したトークン分の費用のみ支払いが必要です。
入力・出力する際の文字数に応じて料金が変化するため、ムダな費用が発生することもありません。
また、場合によっては既存のチャットボットサービスよりも安価に利用できることもあります。
コストを抑えつつ、AIチャットボットを活用したい方にはChatGPT APIがおすすめです。

ChatGPT APIの利用料金


ChatGPT APIを活用する際には、どれくらいの料金が発生するのかも気になるところです。ここからは、ChatGPT APIの利用料金についてご紹介します。

ChatGPT APIは従量課金制を採用

ChatGPT APIでは従量課金制が採用されています。
ただし、トークンの利用量によって課金額が変わるため、使用量が少なくても高額な料金がかかってしまうケースを回避できます。
ChatGPT APIで呼び出すモデルによっても料金は異なるため、事前に確認しておいてください。

モデル 100万トークンあたりの料金
(入力)
100万トークンあたりの料金
(出力)
GPT-3.5 Turbo 0.5ドル 1.5ドル
GPT-4 30ドル 60ドル
GPT-4 Turbo 10ドル 30ドル
GPT-4o 5ドル 15ドル
GPT-4o mini 0.15ドル 0.6ドル

※2024年9月11日現在

なお、トークンの消費量は英語を使用すると1単語あたり1トークン、記号(カンマやピリオドなど)も1トークンで消費されます。
一方、日本語の場合にはひらがなやカタカナが1文字1トークン以上になることもあり、漢字であれば1文字で2~3トークン消費してしまいます。
使用する言語によってトークンの消費量が変化することに注意してください。

ChatGPTを利用した場合の料金目安

ChatGPT APIは従量課金制を採用していますが、ChatGPTの利用にも料金が発生します。
ChatGPTは基本的には無料ですが、「ChatGPT Plus」という有料版があり、ChatGPT Plusを利用すればGPT-4oへのアクセスやDALL-Eを活用した画像生成が可能です。
なお、ChatGPT Plusの料金は月額20ドル(2024年9月現在)です。チーム向けのプランは月額30ドル、年払いは月額あたり25ドルで使用できます。

まずは無料のトライアルを利用するのがおすすめ

ChatGPT APIにはトライアルも用意されています。
トライアルを始めると5ドルに相当する2,500トークンの無料枠が付与され、トークンを活用すれば無料でChatGPT APIを利用できます。
トライアルの有効期限は3カ月までと期間に上限はあるものの、2,500トークンまでなら利用は無料です。まずはトライアルで使い勝手などを確認してみてください。

なお、トライアルを開始してから3カ月経過するか、無料枠の2,500トークンを使い切ると料金が発生してしまいます。
あらかじめトライアルがどこで終了するか確認してみてください。

ChatGPT APIを利用する手順


最後に、ChatGPT APIを利用する手順について解説します。

1.OpenAIでアカウントを取得する

まずはOpenAIのアカウントを取得するところから始めます。アカウントを取得する際はOpenAIのホームページへアクセスし、「API login」からログインページへ移行します。
アカウントを持っていない方は「サインアップ」に入ってアカウントの作成を行ってください。

アカウントの作成では、メールアドレスを入力するか、もしくはGoogleアカウント・Microsoftアカウントと連携させて登録することも可能です。
パスワードを入力したら画面の指示に従って情報を入力してください。電話認証が必要となるため、SMS認証が行える電話番号の入力が必要です。

2.APIキーを取得する

アカウントの取得が完了したら、APIキーを取得します。OpenAIのサイトにログイン後、ChatGPTやDALL-E、APIを選べる画面に移行したら「API」を選択します。
開いた画面から右上にあるアカウントのアイコンをクリックすると、「View API keys」が出てくるのでクリックしてください。
次の画面で「+Create new secret key」をクリックします。名前を入力して「Create secret key」をクリックするとAPIキーが発行されます。

なお、APIキーは一度しか表示されず、後で確認することはできません。そのため、必ずコピーして保存するようにしておいてください。
コピーを忘れてしまった場合は、古いキーを削除して新たにキーを発行させる必要があります。

3.クレジットカード情報を登録する

APIキーを利用するためには、料金を支払うためのクレジットカード情報の登録が必要です。
クレジットカード情報の登録は、右上のアイコンから「Manage account」をクリックし、左のメニューバーにある「Billing」をクリックします。
さらに、開いた画面の中の「Set up paid account」をクリックしてください。
個人の場合は「I’m an individual」、企業の場合は「I’m working on behalf of a company」を選びます。

移行したクレジットカードの登録画面で必要な情報をすべて入力すれば登録は完了します。

4.APIキーを発行し、APIを導入する

APIキーを発行してAPIを導入する方法は、環境やアプリケーションによって異なります。
そのため、アプリケーション側での操作方法をチェックしてください。

PythonでAPIを導入する場合、PythonのプロジェクトにOpenAIのクライアントをインストールしておく必要があります。
Pythonのターミナルかコマンドプロンプトに以下のコマンドを実行してください。

[pip install openai]

次に、コード内で使えるよう、APIキーを環境変数にセットアップしておき、以下コマンドの[your_api_key_here]箇所に発行したAPIキーを貼り付けます。

[os.environ[‘OPENAI_API_KEY’]=your_api_key_here]

APIキーが設定できたら以下のサンプルコードを記述し、APIを導入してください。

import openai

openai.api_key = os.environ[“OPENAI_API_KEY”] prompt = “こんにちは、私の名前は”
model = “text-davinci-002”

response = openai.Completion.create(
engine=model,
prompt=prompt,
max_tokens=5
)
print(response.choices[0].text)

まとめ・ChatGPT APIを自社のシステム・アプリに活用してみよう

ChatGPT APIを利用すれば、多くのアプリケーションからAPIを経由し、ChatGPTの高度な自然言語処理機能を活用できます。
利便性は高いものの、日本語は消費するトークン量が多く、使用料が高額になる可能性があることに注意が必要です。




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(編集:創業手帳編集部)

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