スポーツ選手が悩みやすいセカンドキャリア!起業するメリットや注意点を解説
スポーツ選手のセカンドキャリアに起業も選択肢にあり。実際の成功事例も紹介。
スポーツ選手として活躍し、引退した後に直面するのがセカンドキャリアです。
スポーツ選手の場合、一般の社会人とは異なる社会生活を送っている人も少なくありません。
競技により引退年齢は異なるものの、おおむね30代でセカンドキャリアを選択するケースもあります。
セカンドキャリアに悩む時には、スポーツ選手ならではの視点や考え方で起業を目指すのもひとつの手です。
この記事では、スポーツ選手が起業を志すメリットや実際の成功事例などを紹介します。
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この記事の目次
スポーツ選手が考えておきたいセカンドキャリア
スポーツ選手であれば、いつか必ず引退を迎える時期がやってきます。引退よりも前に考えておきたいのが、セカンドキャリアです。
現役を退いたスポーツ選手は、少なからずセカンドキャリア問題に直面しています。
引退後も充実した社会生活を送るためにも、セカンドキャリアを真剣に考えていく必要があります。
スポーツ選手が引退する平均年齢
セカンドキャリアを考えるにあたり、競技人生がいつまで続くのか把握しておく必要があります。一部ですが、競技ごとの引退する平均年齢を以下にまとめました。
競技名 | 引退の平均年齢 |
---|---|
野球 | 29歳 |
ソフトボール | 25歳 |
サッカー | 26歳 |
バスケットボール | 30歳 |
バレーボール | 30歳 |
テニス | 35歳 |
バドミントン | 30歳 |
ラグビー | 26歳 |
卓球 | 30歳 |
水泳 | 25歳 |
競艇 | 46歳 |
大相撲 | 25歳 |
柔道 | 28歳 |
ボクシング | 23歳 |
フィギュアスケート | 24歳 |
競馬 | 40歳 |
競技ごとに引退の平均年齢は異なりますが、30代で引退するケースが多いようです。人によっては20代のうちにセカンドキャリアに進まなければなりません。
また、引退の理由も、体力の衰え・ケガ・競技レベルの不足・メンタルの問題・プライベートの事情などと様々です。
そのため、必ずしも理想の年齢で競技人生を終えられるわけではなく、突然引退を迎えることもあります。
明確な引退時期がなく、突然訪れる場合もあるからこそ、早い段階でセカンドキャリアを考えていく必要があります。
スポーツ選手を悩ますセカンドキャリア問題
引退後のセカンドキャリアに悩むスポーツ選手は少なくないでしょう。
具体的には、引退後に就職できるのかどうか、自分の能力がビジネス社会で通用するのかという不安があります。
スポーツ選手のセカンドキャリアでは、以下のような問題を抱えています。
- 【スポーツ選手のセカンドキャリアにおける主な問題点】
-
- 転職において、スポーツキャリアでの成果が外部から評価されにくい
- スポーツ関連一択でしかキャリアを形成できないと考える人もいる
- パフォーマンスの向上に専念するあまり、セカンドキャリアまで目を向けられない
- 選手関係者のセカンドキャリアへの理解不足により、選手に対して適切な支援ができていない
スポーツ界で輝かしいキャリアを築いていても、ビジネス社会ですべてが通用するわけではありません。
採用する企業側もスポーツキャリアの成果は評価しづらいため、転職が難航する場合もあります。
また、スポーツ一筋だったスポーツ選手は他業界にあまり詳しくないこともあります。
セカンドキャリアでもスポーツ関連の仕事しかできないと思い込んでいるケースもあり、引退後の職業選択を狭めてしまいかねません。
そもそも、現役の間はパフォーマンス向上のほうが重要で、セカンドキャリアのことまで考えられない選手もいるでしょう。
また、指導者など選手関係者がセカンドキャリアに対して、そこまで深く理解していないケースもあります。
周りからの支援を受けられず、セカンドキャリアの構想ができていない状態で引退を余儀なくされる選手もいるようです。
スポーツ選手が引退後に起業を志すメリット
引退後、コーチや監督などスポーツの延長線上の職に就いたり、一般社会人と同じように企業へ就職したりするだけがセカンドキャリアではありません。
自分で事業を立ち上げるのも選択肢のひとつです。以下にスポーツ選手が引退後に起業を志すメリットを紹介します。
定年のない仕事を確保できる
経営者に定年はありません。引退後に起業して経営者になれば、自分が望む限り、いつまでも働くことが可能です。
スポーツ選手としてのキャリアが断たれてしまっても、新しいやりがいを持てるため、肉体的にも精神的にも健康でいられるかもしれません。
経営が順調にいけば、経営から退かない限り収入も確保できます。引退後はのんびりしたい人より、バリバリ働くほうが性に合っている人は起業家向きといえます。
自分のやりたい仕事ができる
自分で事業を立ち上げることになるので、どの分野で事業を展開するのかも自分で決められます。
自分のやりたいこと、実現したいことを仕事にできるのが、起業の最大のメリットです。
引退後もスポーツに関わっていきたいのであれば、スポーツ関連の事業で起業するのもおすすめです。
今までのキャリアで培ってきた知識や経験を活かし、新たな次世代のスポーツ業界を担う子ども達や若手選手を支えるために事業を展開するのも良いでしょう。
ほかに興味のある分野があれば、専門知識を身につければ他業界での起業も可能です。
異なるキャリアへの参入でハードルは高く感じるかもしれませんが、スポーツ以外の世界を知ることができ、より豊かなセカンドキャリアを築ける可能性があります。
スクールなどで専門知識を学んだり、その業界や経営の専門家のサポートを受けたりして起業すれば、他業種で成功することもあります。
うまくいけば高収入に期待できる
会社員の給料はある程度上限が想定されているので、どのくらい仕事を頑張っても収入アップには限りがあります。
しかし、起業すれば収入は青天井で上がり続ける可能性があります。
例えば、事業がうまくいって安定した利益を生み出せれば、役員報酬を高く設定することが可能です。
また、社員や取締役が自社株をあらかじめ決められた価格で取得できるストックオプション制度を活用して、業績に応じた配当金や売却益で資金を増やすこともできます。
新しい夢や目標が生まれる
スポーツ一筋だった人が、引退後に強い喪失感を抱えることがあります。
選手時代は目標を持って競技やトレーニングに打ち込めた人も、引退後は打ち込めるものがなくなり、喪失感にさいなまれてしまいます。
その喪失感や選手としてのプライドが、セカンドキャリアの成功を妨げる要因のひとつです。
そもそも、起業は夢や目標を持って行うものです。起業を通じて、競技以外に自分が輝ける場所や新しい夢・目標を見つけられるかもしれません。
新しい目標や夢は、心豊かなセカンドキャリアの実現につながります。
スポーツ選手が起業を志す時の注意点
スポーツ選手がセカンドキャリアに起業を志すことには、いろいろとメリットがあります。その一方で、注意したい点もいくつかあります。
スポーツ選手は廃業率が高め
引退後、再就職の厳しさから起業するスポーツ選手もいますが、廃業する人もいるようです。廃業につながる理由に、起業・経営などビジネス知識の乏しさが挙げられます。
ビジネス基礎や経営の知識がないまま起業しても経営がうまくいかず、早々に廃業に追い込まれるケースもあるでしょう。
安易な起業をしないためにも、引退前から起業のやり方やビジネスの知識を養っておく必要があります。
悪質な経営コンサルタントに注意
経営コンサルタントは、経営の専門家として様々な課題解決をサポートしてくれる心強い存在です。
経営知識が乏しいゆえに、経営コンサルタントを利用して起業する人もいます。
しかし、経営コンサルタントの中には悪質な会社もあるため注意が必要です。
実力のない悪質な経営コンサルタントに騙され、高額なコンサル料を要求される事例も少なからずあります。
元スポーツ選手の中には、ある程度お金に余裕があり引退する人もありますが、お金があり経営知識のないスポーツ選手は、詐欺師にとって良いカモともいえます。
おいしい話ばかりをするコンサルタントには要注意です。
目的がはっきりしないうちの起業にも注意
起業で重要なのは、何が目的かということです。目的が曖昧だと、ビジネスの目標や方向性が決まらず、経営がうまくいかなくなる恐れがあります。
起業しただけで満足してしまい、モチベーションが保てなくなる原因にもなりかねません。
はじめは大まかでも良いので、どのような目的で何を始めたいのか決めてください。目的が定まれば、目指すべき目標や達成するために何が必要なのかが見えてきます。
スポーツ選手に向いている業種とは
スポーツ選手がセカンドキャリアで起業する場合、どのような業種が適しているのでしょうか。
以下に参考として、スポーツ選手に向いている業種をご紹介します。
スポーツ関連
元々のキャリアを活かしたいのであれば、スポーツ関連での起業がおすすめです。
キャリアがあるからこそ、スポーツ業界で活躍する選手やスポーツを楽しむ人たちに向けての良いアイディアが生まれるかもしれません。
参入できる事業には、スポーツウェア用品、トレーニンググッズの開発・製造・販売、スポーツ指導や支援、スポーツジム・フィットネスジムの運営などが挙げられます。
ファッション関連
スポーツ選手は競技以外でも人前に出ることが多く、おしゃれにこだわりを持つ人もいるでしょう。
そのセンスを活かして、ファッション関連で起業するのも良い選択肢のひとつです。
ファンがついている選手であれば、熱狂的なファンが顧客になってくれる可能性もあります。
一般向けだけではなく、アスリートをターゲットにファッションブランドを立ち上げることも可能です。
競技によっては男女問わずたくましい肉体が求められ、一般的な服がフィットせずおしゃれを楽しめないと悩むアスリートもいます。
自分や周りの選手が持つ悩みや経験をもとに、体型の関係でファッションに悩むアスリートに寄り添ったファッション開発を実現できる場合もあります。
スポーツ選手が失敗しやすい業種
やろうと思えばどのような分野でも起業することは可能です。しかし、スポーツ選手に不向きな業種があることも知っておくことが大事です。
ここからは、セカンドキャリア期のスポーツ選手が起業で失敗しやすい業種と、失敗の要因を紹介します。
飲食店
飲食店はスポーツ選手のセカンドキャリアでは人気の業種です。スポーツ選手は競技のための体作りが重要であり、食事や栄養の知識を豊富に持ちます。
その知識を活かして飲食店を営み、成功している人もいますが、その一方で、失敗しているケースがみられるのも飲食店です。
飲食店の経営がうまくいかない理由は、競合の多さや客単価の安さ、資金繰りの悪化などが挙げられます。
飲食店は競合店が多いので、簡単に人気店になることはできません。
また、ひとりのお客さんが支払う金額が安い場合もあり、売上げが一気に上昇することは考えにくいでしょう。
食材の仕入れにかかるコストも高く、食材を使いきれない場合は破棄して再度仕入れる必要があり、出費と収入の割が合わないことも多々あります。
資金繰りが悪化すれば、当然のことながら経営の維持は容易ではありません。飲食店は、セカンドキャリアで新規参入するには難易度が高い業種といえます。
物販
物販ビジネスも人気です。しかし、こちらも飲食店と同じく競合が多く、簡単にのし上がれる世界ではありません。
売る商品にもよりますが、競合相手が大手企業になるケースもあります。
さらに、商品によっては客単価が低くなるでしょう。安く仕入れられても、売る金額も安ければ売上げは伸び悩むかもしれません。
店舗型の場合、店舗に使っている家賃の維持で手一杯になってしまうケースもあります。
また、物販で稼ぐためには仕入れも必要です。売上げから仕入れコストなどを差し引くと、想定よりも得られる利益は少ない場合もあります。
スポーツ選手から起業家に転身した成功事例
実際に引退後、起業家に転身したスポーツ選手にはどのような人がいるのでしょうか。以下に起業家転身に成功したスポーツ選手の事例を紹介します。
元サッカー選手・鈴木啓太氏の起業成功事例
元プロサッカー選手の鈴木啓太氏は、引退後に「AuB(オーブ)株式会社」を設立しています。
アスリートの腸内細菌研究に特化し、そのデータをもとに正しい情報の発信や機能性・品質にこだわった商品・サービスに開発を行っている会社です。
鈴木氏は現役時代に自分の便をコンディションの指標にしていたそうです。そこから腸内環境に興味を持ち、引退後は腸内フローラの研究を始めました。
現在も事業費の大半が研究費に割かれており、アスリートの腸内細菌のデータ保有数は世界トップクラスを誇ります。
研究や事業を通じて一般人からアスリートまで良好なコンディションの維持・パフォーマンスの向上に貢献しています。
元水泳選手・北島康介氏の起業成功事例
水泳界のレジェンドとも呼べる北島康介氏も、引退後は「株式会社IMPRINT(インプリント)」の代表取締役社長兼CEOを務めています。
2009年に知人らと4人でスタートし、現在はアスリートのマネジメントや代理人、スイミングスクール、トレーニング施設の運営、アパレルブランド、飲食業など幅広い事業に参画するほどに成長しました。
北島氏も現役時代の経験を活かし、アスリートのマネジメントやスイミングスクール「KITAJIMAQUATICS」の経営、トレーニング機器の販売・デザインをする米企業「Perform Better」の日本法人の経営などに関わっています。
まとめ
スポーツ選手は引退前からセカンドキャリアを考えておくことで、豊かな第2の人生を送れます。
引退は突如として訪れる場合もあるため、セカンドキャリアの構想は早いうちから立てておきましょう。
スポーツ選手のセカンドキャリアには起業もおすすめです。
自分で事業を立ち上げれば、現役時代とは異なる形でスポーツ業界を盛り上げられるかもしれません。また、他業種でも、自分が興味のある分野で活躍することも可能です。
(編集:創業手帳編集部)