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未公開企業とは?

未公開企業とは、証券取引所に株式を公開していない企業を意味します。日本に数多く存在する中小企業などの株式は大半が未公開株であり、未公開企業と言えます。

未公開企業の定義、メリットやデメリットについて詳しく説明します。
はじめに、企業活動において資金調達をするための手段のひとつが株式公開です。企業の株式を証券取引所(金融商品取引所)に公開(上場)することで、投資家やベンチャーキャピタルなどから幅広く資金を集めることができます。
逆に、このような株式公開をすることができない企業が未公開企業です。株式公開が制限された企業として、「株式譲渡制限会社」とも呼ばれます。株式の売買などの譲渡が制限されているということは、売り手である株主と買い手の合意だけではなく、企業の承認が必要となります。

また、未公開企業とするためには株式譲渡制限、つまり「株式の譲渡による取得は会社の承認を受けなければならない」とった内容を企業の定款に記載する必要があります。
そのため、企業の定款に株式の譲渡制限に関する規定があるものが未公開企業、規定がないものが公開企業ともなります。
ちなみに、日本においては大多数の企業が中小企業であり、未公開企業も多く存在します。

次に、未公開企業の主なメリットとしては次のものが挙げられます。公開企業との比較についても順に説明します。

(1) 取締役会や監査役を設置する義務がない。
(任意で設置可能。公開企業では設置する義務がある。)
(2) 役員(取締役、監査役、会計参与など)の任期を最大10年まで延長できる。
(定款で定める。公開企業では原則、取締役が2年以内、監査役は4年以内。)
(3) 株式の発行に制限がない。
  (公開会社では発行済株式総数の4倍までが上限。)
(4) 株主総会の招集手続きが短縮できる。
(招集は株主総会の1週間前まで。公開会社の場合、株主総会の2週間前まで。)
(5) 計算書類を簡略化できる。
  (貸借対照表や損益計算書に関する注記は記載する必要がなく、任意開示。公開企業では注記の記載が義務。)
(6) 第三者による会社の乗っ取りを防ぐことができる。
  (株式譲渡の拒否が可能。公開会社の場合、株式を意図しない相手が持つ可能性がある。)
(7) 相続による株式の分散を防ぐことができる。
  (相続などの際の株式を会社に集める売渡請求を定款で定める。)

一方で、未公開企業の主なデメリットとしては次のものが挙げられます。先ほど説明したメリットが逆にデメリットになる場合もあると言えます。

(1) 決算公告の公示が必要になる。
 (株式会社の場合、定時株主総会の終結後に貸借対照表を公示する義務がある。有限会社では公示は不要。)
(2) 株主総会の開催が必要になる。
 (経営や組織運営などに関する承認手続きのため。)
(3) 第三者に会社を乗っ取られるリスクがある。
(相続などで売渡請求によって譲渡制限株式を取得した後継者の株式が取り上げられる可能性がある。)

ここまでで、未公開企業の定義、メリットとデメリットについて説明しました。
まとめると、国内の大半の中小企業は株式を公開しておらず、株式譲渡制限を定款に記載した未公開企業となります。これらのメリットは、取締役会や監査役の設置が任意で、株式発行の上限がなく、会社の乗っ取り防止や相続などの際に便利と言えますが、株主総会の開催や決算公告が必要な点などは手間がかかるデメリットとなります。

また、未公開企業と似た用語として、「未上場企業」について補足します。
未上場企業は、証券取引所に株式を公開していない企業ですので、未公開企業と同じ意味があります。
ただし、全ての未上場企業が未公開企業とは言えません。それは、未上場企業でも株式譲渡制限がない場合を含むためです。
未公開企業では、先に説明したように株式譲渡制限があることが条件で、会社の許可のない株式譲渡が制限されています。しかし、未上場企業は文字通りに上場していない企業の意味ですので、企業によっては株式譲渡を制限しないこともあり得ます。そのため、このようなケースは、未上場企業ではあるが未公開企業ではない、ということになります。
どちらの用語も似た場面で使われますが、定義の違いがありますので使い方に注意をしましょう。

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