軽減税率対策補助金って?消費税増税に向けて今から始めよう!
軽減税率導入による影響を、いち早くチェックしよう!!
(2016/10/06更新)
先生!軽減税率導入によって消費税の簡易課税制度、免税点制度どうなりますか?
中小企業庁の軽減税率対策補助金についても教えて下さい!!
この記事の目次
軽減税率制度の概要
2017年4月に消費税が10%に引き上げられます。
その際に、所得の少ない家計ほど、税負担が大きくなるという理由から、一部対象項目について一般的な税率よりも低く抑えられた税率を設ける、軽減税率が導入されました。
導入時期と対象項目を見てみましょう。
導入時期:平成29年4月1日
対象品目:●飲食良品(酒類、外食を除く)
●定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
※おもちゃ付お菓子など一定金額以下の少額資産で、主たる部分が飲食良品であるものは軽減税率の対象となります。
簡易課税制度への影響
下記が「簡易課税制度」と呼ばれる納税方法です。
- 2年前の売上が5,000万円以下であること
- 適用を受けたい事業年度開始の日の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すること
簡易課税制度とは、実際の仕入高を計算することなく、売上高に所定のみなし仕入率を乗じた金額を用いて納付額を計算できるという、中小事業者の事務負担を軽減することを目的とした制度です。
詳細は関連記事を御覧ください。
関連記事:消費税は2年間の免税や簡易課税制度を活用しよう!起業したら知っておきたい消費税入門
導入後の複数税率制度
従来の税制では売上と仕入に適用される税率は同一のため、「みなし仕入率を用いて計算した仕入税額」に税率の違いによる区分はありません。
ですが、導入後は、売上に適用される税率と仕入に適用される税率が異なるケースが発生し、「みなし仕入率を用いて計算した仕入税額」と「実際の仕入税額」に差異が生じてしまいます。
①飲食店 | ②スーパー |
売上げ10%(外食) | 売上は8%(飲食良品) |
仕入は8%(食材) | 光熱費、家賃、10% |
上記のように混合してくるため、今後は業種ごとにみなし仕入率が見直される可能性が高いといわれています。
免税点制度への影響
免税事業者は、平成33年4月から導入される適格請求書保存方式(インボイス方式)の「適格請求書発行事業者」に該当しないため、仕入税額控除ができなくなってしまいます。
よって、軽減税率導入による影響は直接ありませんが、平成33年4月からの適格請求書保存方式(インボイス方式)導入は大きく影響してきます。
事業者の負担が大きくなります
軽減税率制度が導入されると、前述の通り、標準税率と軽減税率の2つの税率が存在するため、レジに入力する際に税率の判定を行う必要があります。
これは事業者にとって大きな負担になります。
更に、帳簿にもそれぞれの税率を分ける必要がありシステムの改修(※1)が必要になります。
※1
販売系システムの対応(レジ、POSシステム等)
請求書発行システムの対応
会計システムの対応
軽減税率対策補助金を使おう!
軽減税率対策補助金とは、消費税軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方々が、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修などを行うにあたって、その経費の一部を補助する制度です。
具体的には、2つの申請があります。
A型複数税率対応レジの導入等支援【平成29年5月31日までの事後申請】
複数税率に対応できるレジを新しく導入したり、対応できるように既存のレジを改修したりするときに使える補助金です。
※レジには、POS機能を有していないレジ、モバイルPOSレジシステム、POSレジシステムなどを含みます。
※リースによる導入も含まれます。
いずれも、補助額は、レジ1台あたり20万円が上限です。
複数台数申請等については、1事業者あたり200万円を上限とします。
B型受発注システムの改修等支援【Bー1型事前申請及びB-2型事後申請】
電子的な受発注システム(EDI/EOS等)を利用する事業者のうち、複数税率に対応するために必要となる機能について、改修・入替を行う場合に使える補助金です。
※平成29年3月31日までに事業が完了するように申請(事前申請。交付決定以前に作業着手した場合は補助対象になりません。)
【Bー1型】
受発注システム・指定事業者改修型システムベンダー等に発注して、受発注システムを改修・入替する場合の費用を補助対象とします。
【Bー2型】
受発注システム・自己導入型中小企業・小規模事業者等が自らパッケージ製品・サービスを購入し導入して受発注システムを改修・入替する場合の費用を補助対象とします。
※「所得税法等の一部を改正する法律」の成立日(平成28年3月29日)から平成29年3月31日までに導入または改修等が完了したものが支援対象となります。
詳細は、下記の中小企業庁のHPを確認下さい。
http://kzt-hojo.jp/applicant/about/
軽減税率制度の導入と同時に「区分記載請求書等保存方式」が開始
平成29年4月1日に「区分記載請求書等保存方式」が始まり、平成33年4月1日に「適格請求書保存方式」が始まります。
ここでは、時期が迫っている「区分記載請求書等保存方式」について解説します。
従来の請求書の記載要件に2つの項目が追加されます。
・書類作成者の氏名又は名称
・取引年月日
・取引内容
・取引金額
・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
・【追加】軽減税率ごとの対象品目である旨
・【追加】税率ごとに合計した対価の額
ただし、上記の2つの追加項目は記載がない場合でも「買い手が事実に基づき追記することで、仕入税額控除の要件を満たすものとする」と記載の旨があります。
売上・仕入に関する計算の特例
基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が税率ごとに区分することについて困難な事情があるときは、下記の割合により売上税額、仕入税額を簡便に計算する特例が認められています。
【売上税額の計算の特例】
①軽減税率仕入割合を売上げにも適用(卸売業、小売業のみ適用可能。簡易課税事業者適用不可)
→仕入の管理ができれば売上税額の計算が可能
②一定の期間の軽減税率売上げ割合を適用する場合
→通常の連続した10日間の売上げの管理ができれば売上げ税額の計算が可能
③一律50%とする方法
【仕入税額の計算の特例】
①軽減税率売上割合を仕入にも適用する場合(卸売業、小売業のみ適用可能。簡易課税事業者適用不可)
②簡易課税制度の特例(簡易課税制度適用届出の期限延長)
基準期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、国内において行う課税仕入等を異なる税率ごとに区分することについて困難な事情があるときは、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間の末日までに、簡易化税制度適用を受ける旨の届出書を提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用が認められます。
※現在は、課税期間の開始前に選択する簡易課税制度であるが、事後選択により簡易課税制度の適用を受けられることとする。
まとめ
消費税は、ニュースで常に話題となる税金ですが、平成29年4月1日から「軽減税率制度の導入」に始まり、増税、インボイス方式と様々に改正が行われることが決定しています。
小規模免税事業者だから関係ないと思っていらっしゃる経営者もいらっしゃるかもしれませんが、インボイス方式導入は、そのような小規模事業者が一番影響を受けるということを是非知っていただきたいです。
また、飲食店業を行う経営者は、軽減税率対策補助金を利用するためにも平成28年3月29日以降に複数税率対応レジを購入した方は購入したレジの領収書等の証拠書類を保存し是非申請するとよいでしょう。
(監修:眞喜屋朱里税理士事務所 代表 眞喜屋 朱里(まきや あかり) )
(編集:創業手帳編集部)