小さな会社こそ年初に経営計画!1年で結果を出す作り方と運用術
年初に経営計画を立てる重要性と小さな会社でもできる実践法

経営計画は自社が将来的に到達したい姿を明確にした上で、それを実現するためにどのようなことをすれば良いのか具体的に定めた計画・ロードマップです。
中小企業や個人事業主で経営計画を立てると、売上目標や資金繰り、行動計画などを整理できるようになり、限られたリソースでも効率的に配分できるようになります。
そのような経営計画を立てるタイミングは「年初」がおすすめです。
年初に経営計画を立てれば1年間の方向性が明確になり、経営のブレを防げます。シンプルな計画でも年初に整え、社員・スタッフに共有すれば実行力も高まるでしょう。
この記事では年初に立てる経営計画の作り方・運用術について解説します。
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この記事の目次
なぜ小さな会社でも経営計画が必要なのか

小さな会社や個人事業主だと、「経営計画はいらないだろう」と考える人もいるかもしれません。
しかし、小規模だからこそ経営計画を立てておくことで、経営のブレや判断ミスを最小限に抑えられるようになります。
特に小さな会社は競合に勝ち残るためには、判断のスピードが重要となってくる場面も多いです。
また、経営計画の策定によって従業員と目標を共有しやすくなります。
目標が決まっていても、具体的な実現までの道筋が見えていなければ従業員は迷ってしまい、業務に取りかかる速度も落ちてしまいます。
経営計画で目標から道筋まで明確になっていれば、従業員も迷うことなく自分のやるべきことを理解し、集中して取り組めるようになるでしょう。
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経営計画を作らないと起こりやすい失敗

経営計画を作っておかないと、日々の事業・経営において失敗が起きやすくなる場合もあります。主にどのような失敗が起こりやすいのか解説します。
成長戦略が描けず日々の業務に追われる
経営計画がないと目先の案件や日常業務にばかり目を向けてしまい、長期的な成長戦略を考えられなくなってしまいます。
戦略を立てていない状態で行動してしまうと、優先すべきことがぶれて効率的なリソース配分も困難になります。
特に小さな会社だと経営者自ら社員と一緒に仕事をするケースも多いですが、経営者自身が目先の仕事をこなすばかりになってしまい、経営が疎かになるかもしれません。
また、経営計画がないと失敗した場合になぜ失敗したのか理由がわからなかったり、どうすれば改善できるか対策が見えなかったりします。
その結果、企業としての成長や事業拡大のチャンスを逃してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
資金繰りが不安定になり急な支出に対応できない
経営計画を作らないと、売上げや支出の見通しを立てられず、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
例えば、突然取引先から支払いを要求され、手元の現金が不足していたことで柔軟な対応ができないというケースです。この場合、取引先からの信用が低下する恐れがあります。
キャッシュフローや収支を計画的に管理して、運転資金不足に陥らないためにも事前に経営計画を立てておくことが大切です。
社員やスタッフとの目標共有ができずモチベーションが下がる
会社は社員やスタッフがいないと成り立たない部分がほとんどです。
経営者と社員・スタッフの関係をしっかりと構築するためには、経営計画を介して経営者の考えを社員・スタッフに共有していくことが重要となります。
経営計画を作っていない場合、社員やスタッフに「この会社は何を目標にしているのか」「社会の中でどのような役割を持っているのか」を伝えられず、モチベーションが低下する可能性が高いです。
社員・スタッフのモチベーションが下がってしまえば、業務効率やチーム力の低下につながり、また社員の定着率にまで影響することも考えられます。
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経営計画の基本構成とは?

経営計画には売上目標や利益計画だけを明記するのではなく、事業方針から人員計画、資金繰り表まで含めることで、計画の完成度も高まります。
ここで、経営計画の基本構成を把握し、自社に必要な要素は何か考えてみてください。
経営理念
経営理念は、経営者が経営上必要とする基本の考え方です。企業の存在意義や価値観などを表しており、経営計画の土台となる重要な要素になります。
経営計画の中で理念が明確になっていると、社員や外部の人に会社の方向性や価値観なども伝わりやすく、文章化されているので説明もしやすいです。
経営理念に基づき、中長期的な目標や事業の成長戦略を示すことで、事業活動に一貫性が出てきます。
意思決定の指針にもなるため、経営計画に理念を組み込むことも大切です。
経営戦略
経営戦略は、経営理念の中で定めたビジョンの実現に向け、経営資源をどう運用していくかを明確にします。
特に中期計画を策定する際には、経営戦略をもとに計画を立てていきます。
経営戦略を立てるためには、まず企業の外部環境と内部環境を分析する「SWOT分析」のフレームワークなどを活用し、この結果を踏まえて自社の強みと弱みを洗い出してください。
自社の強み・弱みを理解した上で、どの事業領域に力を入れ、どこで差別化を図るかを決めます。
優先順位をつければ、何に取り組むべきかが明確になりやすく、組織の方向性も定まって競争力が高まるでしょう。
事業戦略
前述した経営戦略を、より具体的な事業単位に落とし込んだのが「事業戦略」です。
事業戦略では各事業における目標と、その目標を達成するための具体的な行動を決めていきます。
事業ごとに具体的な目標と行動を落とし込んでいることから、事業部ごとに意思決定や行動目標を設定しやすいです。
事業戦略を設定するためには、事業ごとにどのような強み・弱みがあるのか、競争環境や市場の特性はどう変化しているかを分析することが大切です。
数値計画
経営計画の効果を最大化させるためにも、具体的な数値に落とし込むことが重要です。数値計画ではそれぞれの事業・部署でどこまでの水準を目指すかを決めます。
例えば、収益やコストの予測、キャッシュフロー計画などが挙げられます。水準を見極め、見通しを具体化させることが重要です。
特に短期計画では達成できる現実的な数値目標を立てることになるため、数値計画の重要度が高まります。
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小さな会社でも実践できる経営計画の作り方

経営計画を立てるとなると、ハードルの高さを感じてしまう中小企業・個人事業主も多いかもしれません。
そこで、小さな会社でも実践できる経営計画の立て方について紹介します。
1.売上目標をシンプルに数値化する
経営計画を立てる際に売上目標を設定することになりますが、この売上目標はシンプルに数値化させることが大切です。
例えば、前年の売上実績に基づき、今年は売上げを何%伸ばせばいいか具体的な数値を出し、そのまま目標として設定します。
また、売上目標を会社全体ではなく、部門や商品ごとに分けて設定することで、行動計画にも落とし込みやすいです。
目指すべき目標が具体的な数値になっていると、どれくらい達成したか定期的に評価でき、必要に応じて改善策を打ち出すこともできます。
ただし、いくら売上目標を数値化しても現実的に達成するのが困難な場合、かえって社員やスタッフのモチベーションが低下してしまうので注意が必要です。
2.具体的な行動計画に落とし込む
「新規顧客30社獲得」「リピート率20%向上」など、売上げなどの成果に直結する、具体的な行動に変換することも重要です。
具体的な行動計画も数値で追えるようにすることで、月次や四半期ごとに進捗を確認できるようになり、その都度改善策を打てるようになります。
行動計画を立てたら担当者と期限を明記しておき、責任の所在を明確にしておくと実行力も高まります。
3.社員・スタッフと共有する
具体的な行動計画まで立てたら、社員・スタッフに共有していきます。せっかく計画を立てても、実際に業務を担う社員・スタッフに共有できていなければ意味がありません。
計画を共有することによって、社員一人ひとりの役割と目標に対して理解と共感を示すことができます。
社員・スタッフに共有する際は、あらかじめ簡潔でわかりやすい資料や、会議を活用して丁寧に説明するようにしましょう。
きちんと計画について把握し、理解が進めばチーム全体のモチベーションと協力体制の強化につながるはずです。
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経営計画を実行するためのチェックポイント

経営計画を立てることは重要ですが、それを「実行し続ける」ことこそが会社の成長につながります。
計画を作ったままにせず、定期的な確認や数値の管理、社員との情報共有を行うことで、計画の精度と実効性を高めることも可能です。
ここでは、経営計画をスムーズに運用するためのチェックポイントを紹介します。
定期的な進捗確認を行う
経営計画を実現するには、進捗の定期確認が欠かせません。
月次や四半期ごとに振返りを行うことで、目標に対する現状との差を把握し、必要な改善策を早期に立てられるようになります。
進捗を数値やKPIで確認すれば、感覚的な判断ではなく客観的なデータに基づいた対応が可能です。
問題点を早期に発見し、素早く軌道修正を行うことで、計画の達成度を高められます。
進捗管理の具体的な方法としては、リアルタイムで進捗状況や課題を可視化できる課題管理システムの導入や週次ミーティングの開催、ガントチャートの作成などが効果的です。
KPIや数値目標を活用する
KPI(重要業績評価指標)や数値目標を設定することで、計画の達成度を明確に可視化できます。
例えば、「売上目標」「新規顧客数」「リピート率」などの指標を定めると、どの部分が順調で、どこに課題があるのかを具体的に分析することが可能です。
数値に基づく評価は、改善策の立案や次のアクション設定にも役立ちます。
また、定期的な数値管理は社員への共有や報告の際にも理解を得やすく、組織全体の実行力を高める効果も期待できます。
KPIや数値目標を設定して気を付けたいのが、質より量になりやすい点です。
数値目標を達成しようとつい「量」にばかり目がいってしまい、「質」が疎かになる可能性があります。
量ばかりに捉われないよう、売上高に対するKPIなら日頃の売上金額に加え、予算や成約率などにも注目してみてください。
社員へのフィードバックと改善策の共有
経営計画の進捗や課題を社員と共有することで、全員が同じ方向を向いて行動できます。
トップダウンで指示するだけでなく、現場の意見を取り入れながらフィードバックを行うことが重要です。
課題や改善点を明確化し、それを次の行動に反映させることで、実効性のある改善サイクルが生まれます。
さらに、計画の透明性を高めることで、社員のモチベーションや主体性が向上し、チーム全体の目標達成に向けた一体感を強化できます。
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経営計画を外部に示すメリット

経営計画は社内だけで共有するものと思われがちですが、実は外部に示すことにも多くの利点があります。
金融機関や取引先、行政機関、さらにはパートナー企業に対しても、計画性のある経営姿勢を示すことで信頼度の向上が期待できるでしょう。
ここでは、経営計画を外部に示すことで得られる具体的なメリットを紹介します。
融資や補助金申請で信頼性が高まる
金融機関や支援機関は、融資や補助金の審査において「その会社がどれだけ計画的に事業を進めているか」を重視します。
経営計画を提示すれば、資金の使い道や将来の見通しが明確に伝わり、信頼されやすくなります。
特に数値目標や行動計画を具体的に示すことで、審査担当者に対する説得力が高まるでしょう。
あらかじめ計画書を整備しておけば、申請時に必要な書類作成や説明もスムーズに行うことができ、手続きの負担も軽減されます。
ステークホルダーの理解と協力を得やすくなる
取引先やビジネスパートナーに経営計画を共有すると、自社の方針や方向性を理解してもらいやすくなります。
例えば、新商品開発や販路拡大などの計画を示すことで、協力体制を築く際の信頼関係が深まります。
また、外部だけでなく社員やスタッフにも一貫した計画を伝えることで、内外の連携がスムーズになり、事業推進に必要な支援が得やすいです。
経営計画は、社内外をつなぐ「共通の地図」としての役割を果たしてくれます。
事業の透明性と説得力が向上する
経営計画に基づく数値目標や行動指針を明示することで、事業運営の透明性が高まります。
特に投資家や金融機関に対しては、説明責任を果たす形となり、会社の信頼性と説得力が向上します。
また、計画の一部を外部に公開することで、会社としての方向性が明確に伝わり、将来の取引きや協業の際に安心感を与える効果もあるでしょう。
経営計画の公開は、企業の誠実な姿勢を示す手段としても有効です。
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まとめ:経営計画は小さな会社の未来を守る武器
小さな会社こそ、限られたリソースをどのように活用するかが経営の鍵を握ります。そのためには、例えシンプルでも経営計画を立てることが欠かせません。
年初に数値目標や行動計画を整理しておくことで、1年を通して方向性を見失わず、安定した成長を目指せます。
さらに、定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を見直すことで、柔軟かつ計画的な経営が実現可能です。ぜひ年初のタイミングで経営計画を立ててみてください。
(編集:創業手帳編集部)







