ベンチャー企業とスタートアップ、どこが違うの?
数多くの企業と接する『創業手帳』が考える両者の違い
(2018/11/02更新)
近年、ニュースや新聞などで企業が紹介される際に、「ベンチャー企業」や「スタートアップ」という言葉が使われることが多くなりました。
どちらも「創業したばかりの企業」として使われることが多い、2つの言葉。「じゃあ結局、スタートアップ = ベンチャー企業のこと?」と、考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、スタートアップとベンチャーは意味合いが被る点がありますが、実は違いがあるのです。
そこで今回は、様々なベンチャー企業・スタートアップに接してきた創業手帳が考える「ベンチャー企業とスタートアップの違い」について解説します。
この記事の目次
「ベンチャー企業」と「スタートアップ」はどんな意味で使われている?
まずは、「ベンチャー企業」と「スタートアップ」が、どのような意味で使われていることが多いのかを見てみましょう。
ベンチャー企業=「成長過程にある企業」
「ベンチャー企業」という言葉は、「成長過程にある中小企業」という意味で使われていることが多いようです。成長過程にあるので、必ずしも安定して事業を進められるわけではありませんが、自分の能力を活かして会社の成長や社会の課題を解決するために貢献できる場面が多い、とも言えます。
ちなみに、「ベンチャー企業」という言葉は和製英語。アメリカで「ベンチャー」と言うと、株式上場などには至っていないが、大きな成長が見込める企業を対象に投資する会社である「ベンチャーキャピタル(VC)」を指すことが多いそうです。
スタートアップ=「新たな市場を開拓していく企業」
それに対して「スタートアップ」は、「新しいビジネスモデルを創り出して、市場を開拓していくこと」を目的とした企業を指すことが多いようです。
もともとは、アメリカのIT企業が集まるシリコンバレーでよく使われていた言葉で、一般的に創業から2~3年程度の企業のことを指す傾向があります。
スタートアップもベンチャー企業と同じく、大企業と比べて規模が小さい傾向があります。そのため、会社の成長をダイレクトに感じることができ、会社が目指している目標への貢献度も高いことが特徴です。
ベンチャー企業とスタートアップは、設定している「ゴール」が違う
このように説明してみると、「ベンチャー企業」と「スタートアップ」では、大きな違いはないように見えます。実際に、日本ではどちらも「創業したばかりの企業」という意味で使われることが多くあります。もちろん、そのような解釈も間違ってはいないと思います。
その中で、創業手帳が考える両者の違いとしてあえて挙げるなら、設定している「ゴール」だと考えます。
前述しましたが、「ベンチャー企業」は「成長過程にある中小企業」のことを指します。中長期的に世の中の課題を解決するための事業を行い、安定した収益と長期成長を目指す傾向があります。つまり、「事業を成長させる期間」や「企業を大きくしていった後にどうするのか」は言及されていないことがあります。
対して「スタートアップ」は、「新しいビジネスモデルを開発し、短期間で急激に急成長させてエグジット(※1)する」ことを目的としています。つまり、「事業を急成長させて一攫千金を狙うこと」がスタートアップの目的なのです。
ここでポイントとなるのが、「新しいビジネスモデルを開発する」という点です。
ベンチャー企業とスタートアップは「創業したばかりの企業」という点は共通していますが、ベンチャー企業は必ずしも「新しいビジネスモデルでなければいけない」わけではありません。
前例があるようなしっかりとしたビジネスモデルが存在しない中で、人々の生活や世界の課題を解決する企業が「スタートアップ」だと考えています。
例えばアメリカでは、今や大企業となっているGoogleやFacebook、amazonなど、もともとはスタートアップという存在でした。どの企業も、革新的なサービスを世界に打ち出して、瞬く間に全世界に広がっています。
つまり、世界を驚かせるような「イノベーション(革新性)」のあるビジネスモデルが、スタートアップに必要な要素と言えるかもしれませんね。
※1
エグジット:スタートアップの創業者が資金を回収する方法で、株式公開による株式市場での株式売却(IPO)と、M&A(バイアウト)による株式売却等が挙げられる。
まとめ
今回は、「ベンチャー企業」と「スタートアップ」の違いについて、解説しました。
事業を急激に成長させてエグジットすることを目的とした「スタートアップ」と、中長期的に安定した成長を目指す「ベンチャー企業」。
もちろん、記事内で触れさせていただいた通り、両社で意味合いが似ているところは多くあります。
今回はあえて違いを挙げましたが、「ベンチャー企業」と「スタートアップ」は相対するものではなく、別の視点や軸でとらえたもので、時によっては意味が被ってくるものと考えておくと良いかもしれませんね。
(執筆:創業手帳編集部)