課税所得とは?計算方法や確定申告の際の控除についてわかりやすく解説

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課税所得の基本を学んで節税にいかそう

課税所得とは?収入と所得、課税所得の違いや計算方法、納税額の出し方を理解しよう

サラリーマンではない人は自身で確定申告、納税の義務を果たさなければいけないこともあります。
確定申告で注意したいのが、課税所得の考え方や計算方法です。
収入や所得など、課税所得に関連して、似たような語句が出てきますが、これらの違いをきっちり把握し、計算をしていくことが大切です。

個人事業主などは課税所得について理解を深め、実際に支払う税額を正しく計算できるようにしておきましょう。
「収入」や「所得」などの語句と課税所得との違い、課税所得や納税額の計算方法などを紹介します。

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課税所得とは?

課税所得とは?
課税所得とは、税額の計算、納税の際に使う語句ですが、日ごろはあまり使いませんし、意識しない方が多いでしょう。
そのため、意味もぼんやりとしか把握していない方も多いものです。
課税所得のことを理解するためには、関連ワードであり、課税所得の計算には必要不可欠である「収入」や「所得」についても理解をしておく必要があります。

ここでは、課税所得に関連するそれぞれの語句の意味や課税所得との違いを確認してみましょう。

「収入」と「所得」の違い

課税所得を算出するためには、まず「収入」と「所得」の違いを知り、きちんと所得を算出することが必要です。
収入と所得は言葉の意味が似ており、同じもののように使われることもありますが、確定申告や課税所得の算出をする際には、全く違う言葉となります。

「収入」とは、会社員の場合には会社からもらう給与、個人事業主であれば事業で得た売上のことを言います。
必要経費も引かない状態の稼いだ金額まるごとの数字が収入です。

一方、「所得」とは「収入」から必要経費を引いた金額を指します。会社員であれば必要経費は個々に計算せず、一定の計算で出します。
しかし、個人事業主の場合には「収入」から店・オフィスの賃料、アルバイト料や外注費、運賃などの必要経費を自分で引いて、所得を計算することが必要です。

普段の会話の中で「収入」と「所得」を混同していても問題はありませんが、確定申告の際にはきちんと分けて知っていると内容への理解度が変わります。

「所得」と「課税所得」の違い

「所得」と「課税所得」も意味する内容と算出すべき数字が異なります。
所得は収入から経費を引いたものですが、そこからさらに「所得控除」と呼ばれる控除金額を引いた金額が「課税所得」になります。

簡単な計算式で表示すると以下の通りです。

  • 収入-必要経費=所得
  • 所得-所得控除=課税所得

課税所得にするために所得から引いた「所得控除」には「扶養控除」や「生命保険料控除」など、さまざまなものがあります。所得控除の種類は、下記で詳しく解説しています。

所得の種類

所得は、以下の種類に分けられます。
確定申告では、課税所得を計算するだけでなく、所得の種類によって分類して申告することが必要です。
自分の所得がいくらかだけでなく、どれに当てはまるかも把握しておきましょう。

所得の種類 当てはまるもの
利子所得 預貯金や公社債の利子、公社債投資信託の分配金などの所得。
配当所得 株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配によって得た所得。
不動産所得 地代・家賃・土地や家屋の権利などから生じる所得
事業所得 商業・工業・農業・漁業など、事業から生じる所得。申告書では営業等の事業と農業所得に分かれている。
給与所得 給料・賞与など。
退職所得 退職によって受ける所得。退職金。
山林所得 山林(立木)を伐採して売った場合の所得。
譲渡所得 土地建物など、資産を譲渡した際の所得。
一時所得 賞金や当選金・満期保険金などの所得。
雑所得 他のどれにも属さない所得。年金や恩給などの公的年金等、原稿料や印税、講演料など。

非課税所得とは

所得の中には、課税されないものもあります。社会政策等の見地から、課税されない所得の種類が決められています。
年金や児童手当、労災などで受け取ったものについては、課税されません。
また、給与所得者の通勤手当や出張旅費といった実費の補填にあたるものも非課税となります。

似ている言葉に「非課税世帯」がありますが、こちらは住民税が非課税になる家庭のことです。
所得が一定基準以下の人には住民税は課税されません。
世帯全員が非課税の状態を非課税世帯といいます。

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課税所得と税額の計算の仕方

課税所得と税額の計算の仕方
課税所得の意味が分かったところで、実際の税額の計算の仕方も解説していきます。
収入、所得、課税所得のそれぞれを算出してから、税額の計算を行います。
最終的な税額を出すためには、「税額控除」も必要です。

簡単な税額計算の流れをチェックしてみましょう。

収入と経費を計算する

売上などの収入と必要経費をそれぞれまとめます。

独立して個人事業をしている人は事業収入が中心になりますが、事業以外にも収入があった場合にはそれらも忘れずに入れることが必要です。
また、副業などで給与収入の他に稼いだ金額がある場合には、会社での源泉徴収だけでなく自身で申告が必要となります。

経費は、事業で必要と認められるものの概要が決まっているため、それに習って計上しましょう。

【個人事業で経費と認められるのは、以下のようなものです。】
  • 地代家賃(オフィス、店舗の家賃)
  • 水道光熱費(事業に使った水道代など)
  • 荷造運賃(商品配送料など)
  • 旅費交通費(営業などで交通機関を使った際など)
  • 通信費(事業用の通信機器の通話料、ネット代)
  • 広告宣伝費(チラシ、ネット広告なども)
  • 消耗品費(事業で使った細かい消耗品)
  • 減価償却費(価格の大きな物品などを複数年で償却)
  • 接待交際費(取引先との付き合いにかかる費用)
  • 福利厚生費(従業員サービス)
  • 損害保険料(店舗の火災保険など)

 

接待交際費、福利厚生費については、家族や事業主本人に対して使ったものは計上しないように注意しましょう。
あくまでも、交際費は取引先相手に使用したもの、福利厚生費は従業員の使用したもののみです。
また、損害保険料は、店などの火災保険、営業用車両の自動車保険が対象となります。
生命保険や家庭用に使用している車両の保険は対象ではありません。

収入から経費を引く

収入と経費が分かったら、一年分の収入から同じく1年分の経費を引くことで、所得を出します。確定申告で使用する損益計算書の手順もこれと同様です。

所得から所得控除を引く

収入から経費を差し引いた所得から、さらに所得控除を引きます。
所得控除には、使った人だけが引ける控除や特定の立場の人だけが引ける控除など、個々に使うものが異なります。
以下の所得控除の種類を紹介する項目で、自分に当てはまるものを確認しておきましょう。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

サラリーマンの方は、収入から給与所得控除を引けます。
なお、収入額は源泉徴収票で確認可能です。その年に2枚以上の源泉徴収票をもらった方は、合計金額で判断します。

所得控除を行うと課税所得が出ます。

課税所得に税率をかける

課税所得の金額に定められた税率をかけて、所得税を算出します。こうすることで、確定申告の際に支払う所得税額が分かります。
所得税の税率は、課税所得の金額によって段階的に変わり、一律ではありません。

所得税の計算方法について、詳しくはこちらの記事を>>
はじめての所得税入門|計算方法・税率・課税所得の出し方・控除【個人事業主向け】

税額控除を行う

控除には、所得控除だけでなく税額控除もあります。税額控除は、税金そのものから行う控除で、節税効果が高いものです。
配当控除や寄付金の特別控除などがあります。

所得控除とは

所得控除とは
課税所得を出すためにとても重要な役割を持っている所得控除について説明します。所得控除はたくさんの種類がありますが、使えるものはすべて計算に入れて、節税に生かしましょう。
控除は基本的にこちらから申告しないと、税務署などからは指摘してもらえません。

所得控除の種類

所得控除は2023年現在15種類です。新たに「ひとり親控除」が加わりました。
すべての控除を受けられる人は少ないですが、自身に関係のある控除を見逃さないために全体を押さえておきましょう。

控除の種類 当てはまるもの
基礎控除 全員が対象
雑損控除 自然災害や盗難の被害を受けた場合など
医療費控除 一定以上の医療費を払っている場合
寄附金控除 寄付金を払っている場合
社会保険料控除 保険料を払っている場合
小規模企業共済等掛金控除 掛け金を払っている場合
生命保険料控除 保険料を払っている場合
地震保険料控除 保険料を払っている場合
障害者控除 本人や扶養者が障害者の場合
寡婦控除 寡婦、寡夫である場合
ひとり親控除 ひとり親
勤労学生控除 本人が勤労学生である場合
配偶者控除 配偶者がいる場合
配偶者特別控除 配偶者がいる場合
扶養控除 16歳以上の扶養者がいる場合
所得控除について、詳しくはこちらの記事を>>
所得控除には様々な種類がある!賢く利用して節税対策をする方法を解説

基礎控除

基礎控除は、すべての納税者が受けられる控除です。所得額に応じて、最大43万円の控除が受けられます。

雑損控除

災害や盗難に遭って、住宅や家財に損害を受けた場合に受けられる控除です。
保険金などで補填された金額を除く実質的な損失金額から総所得の10%を引いた額、災害関連支出金額から5万円を引いた額のうち、多い方の金額を控除できます。

医療費控除

本人や生計を同じくする配偶者などの家族の医療費が年間で10万円を超えた場合に受けられる控除です。

控除額は、医療費の合計額から保険金を引いた金額から10万円を引いた額となります。
入院費、治療費、市販薬を含む薬代、医療機関などへの公共の交通機関を使った際の交通費など、対象となる費用は多岐にわたります。

医療費控除の計算方法は以下のとおりです。

(1年の医療費総額-保険金などの補てん総額)-10万円=医療費控除額(200万円まで)

なお、所得合計金額が200万円までの場合は、所得合計額の5%を引きます。

寄附金控除

納税者本人が、地方公共団体や特定公益増進法人などに特定寄付金を払った場合に受けられます。
「ふるさと納税」も寄付金控除の対象です。

社会保険料控除

健康保険、国民年金、厚生年金保険料など社会保険料を支払った時に受けられます。対象者は、納税者本人、本人と生計を同じくする配偶者や親族です。

小規模企業共済等掛金控除

納税者本人が、小規模企業共済法で規定する共済契約に基づく掛け金を支払った場合に対象となります。

生命保険料控除

本人が、生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に対象となります。
控除額は最大で12万円です。
2012年1月1日以降に契約した「新契約」の生命保険料控除の計算方法は、以下のとおりです。

支払保険料等(年間) 控除額([最大12万円まで)
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

新契約の支払い保険料等は、1年に支払った新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料を足したものです。

地震保険料控除

本人が自身や津波に備える地震保険の保険料を支払った場合に対象となります。控除額は保険料に応じて最大5万円までです。

障害者控除

納税者本人や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に対象となります。
この場合の障害者とは、所得税法上の障害者です。

寡婦控除

ひとり親以外の人が対象です。離婚、死別、もしくは配偶者が生死不明で、子供以外の扶養親族のある人のうち、合計所得500万円以下の場合、控除を受けられます。

ひとり親控除

生計が同じ子がいる単身者(独身の人)で、合計所得金額が500万円以下が対象です。控除額は27万円、特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円となります。

勤労学生控除

学校教育法の高校、大学、高専の生徒が対象です。
合計所得額は75万円以下、そのうち給与所得等以外の所得の合計額が10万円以下だった場合、控除が受けられます。控除額は27万円です。

配偶者控除

合計所得金額が1,000万円以下の納税者に限り、本人と生計を同じくしている民法上の配偶者が次の条件を満たす場合、対象となります。
年間の合計所得は48万円以下、青色申告者の事業専従者として年間一度も給料の支払いを受けていないこと、白色申告者の事業専従者でもないことが条件です。
最大で38万円が控除されます。

配偶者特別控除

上記配偶者控除の条件のうち、合計所得金額48万円以下の条件を満たさない場合、年間の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合に受けられる控除です。
所得金額に応じて控除額は変わり、最大で38万円です。

扶養控除

本人に生計を同じくする扶養親族がいる場合に受けられます。
扶養親族の条件は、配偶者以外の6親等内の血族、または3親等内の姻族、いわゆる里子などで、年間所得が48万円以下の人です。

税額控除とは

税額控除について
税額控除は、所得金額から引く所得控除よりも節税効果が高いと言われています。
税額控除とは何か、どのような意図があるか、確認しておきましょう。
税額控除とは、文字通り税額から控除できる金額で、課税所得から納税額を計算した後で、最後に税額控除は行われます。

控除について、詳しくはこちらの記事を>>
控除とは?目的や種類・やり方をわかりやすく解説!

税額控除の種類

税額控除は、課税所得の計算には直接関わりませんが、節税効果が高いため、主なものを紹介します。

配当控除

株式投資などの配当などの配当所得がある人は、配当控除を受けられます。
配当金は会社の利益としてすでに課税されているため、二重課税を防止するための控除です。

外国税額控除

納付した外国所得税などがある人対象の控除です。こちらも二重課税を防ぐために行われます。

寄付金特別控除

寄付をした場合には、一定の条件を満たす際に所得控除と税額控除のどちらかを選べることがあります。
個々に有利な方を選び、控除を受けますが、一般的には税額控除の方を選ぶことが多いようです。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅の新築、取得又は増改築等をした場合、住宅ローンを利用した人が対象となる控除です。
住宅ローン控除可能額に応じて金額が決まり、最長10年~13年間受けられます。

2022年以降の住宅ローン控除の計算方法は、以下のとおりです。

年末の住宅ローン残高×0.7%=住宅ローン控除額

2022年以前の適用年数は10年・控除額はローン残高の1%です。
2022年以降に制度が変更されており、2022年以降の住宅ローンに対しては、適用年数が13年・控除額はローン残高の0.7%になります。

中小企業者が新しく機械等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除

中小企業投資促進税制によって、平成10年6月1日から令和3年3月31日まで、中小企業者などが新しく機械等を購入、取得した時に控除を行います。
青色申告を行う中小企業者又は農業協同組合で、資本金もしくは出資金の額が3,000万円以下が対象です。

基準取得価額の7%相当額が限度額で、税額控除限度額が法人税額の20%を超える金額の場合、20%相当額が限度額となります。
控除しきれなかった場合には、1年間の繰越しが可能です。

中小企業者が経営力向上設備等を購入、取得したときの所得税額に対する特別控除

中小企業者が、特定経営力向上設備等に該当する機械装置等を購入した場合、その事業年度において7%(特定の中小企業者などについては10%)の税額控除が受けられます。

課税所得と非課税所得の違い

課税所得には所得税がかかりますが、非課税所得に所得税はかからないこととなっています。
社会政策などの観点から、以下の所得は課税の対象となっていません。

  • 遺族年金や障害年金
  • 医療保険の保険金や手当
  • 労災保険の給付や雇用保険の手当
  • 利子や配当所得

遺族年金は亡くなった家族が受け取る年金で、障害年金は障害を負った方が受け取る年金で非課税です。
また、入院や手術で受け取った保険金や、出産手当・出産育児一時金・傷病手当金・児童扶養手当・労災保険・失業手当・育児休業給付金は非課税となります。

NISA・納税準備預金・子ども銀行の預貯金の利子や配当所得に対しても非課税所得になります。
ただし、これ以外の利子や配当所得は課税対象となるため注意してください。

課税所得に関するよくある質問

Q:課税所得の税率は何%ですか?

分離課税を除く課税所得の税率は5%~45%までで、7段階の課税所得に応じて異なります。
たとえば、330万円~694万9千円までの課税所得に対しては20%の税率となり、控除額は427,500円です。

Q:課税所得を簡単に計算できるツールはありますか?

確定申告ソフトを使うと、必要事項を入力するだけで課税所得が自動計算されるため便利です。
たとえば、やよいの青色申告オンラインと言ったツールがあります。このツール1つがあれば、帳簿付けから確定申告までできるため、ぜひご利用ください。

Q:年収ごとの課税所得を教えてください。

A:以下が年収ごとの課税所得と税率の一覧です。

年収 課税所得 税率
年収300万円 111万円 10%
年収400万円 170万円 20%
年収500万円 236万円 20%
年収600万円 302万円 20%
年収700万円 371万円 23%
年収800万円 447万円 23%
年収900万円 527万円 33%
年収1,000万円 613万円 33%

年収に対する課税所得がわかったら、その金額に課税所得ごとの税率をかけると、所得税額がわかります。

まとめ・課税所得の税率を確認して計算しよう

課税所得とは、税額を算出する際に使われる所得控除後の所得のことで、収入や控除前の所得とは異なります。確定申告などのためには違いを知っておくことが必要です。
課税所得を正確に算出することで、正しい税額計算を行いましょう。
それに伴って、節税に役立つ所得控除についても理解しておくことも大切です。

また、課税所得に税率を掛けて税額を出した後も、場合によっては税額控除できることがあります。
こちらの方が節税効果は大きく、事業者に関係のある税額控除もあるため忘れずにチェックしたいものです。

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(編集:創業手帳編集部)

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