小規模の企業や店舗にも必要な防犯対策!オフィスやお店が犯罪の標的になる理由

創業手帳

企業のオフィスや店舗が犯罪の現場になるかも!?事前に手を打ちたい防犯対策


将来起業してオフィスや店舗を持つことになったら、まず取組みたいのが防犯対策です。
企業のオフィスや店舗は犯罪者に狙われやすいため、防犯対策をしないと犯罪被害に遭うリスクが高まります。

犯罪者は企業や店舗の規模に関係なく狙ってきます。だからこそ、起業家はオフィスや店舗を持った時点で、犯罪対策について真剣に向き合わなければなりません。
今回は、防犯対策の重要性から起業や店舗が取るべき対策方法についてご紹介します。

【企業オフィス・店舗編】起業家が考えるべき防犯対策の重要性


犯罪者が狙う企業や店舗は、大手や有名店とは限りません。資産になるものがあれば、大小関係なく企業オフィスや店舗は犯罪者の標的になります。

ここで、防犯対策の重要性を認識してください。

オフィスや店舗は犯罪者に狙われやすい

代表的な犯罪のひとつが侵入窃盗です。
警視庁が公表する「侵入窃盗の発生場所別認知件数(2020年)」によると、最も被害を受けているのは37%の一般住宅ですが、その次に多いのが11.7%の一般事務所です。
また、商店全体は6.5%となっていました。

発生を認知されている侵入窃盗のうち、全体の5分の1はオフィスや店舗で起きていることになります。犯罪者の標的になる原因としては、以下の理由が挙げられます。

  • 住宅と比べて無人の時間帯が長い
  • 外から人がいないことを確認しやすい
  • 夜間になると人通りが少ない場所に立地しているケースが多い
  • 大型連休がある時期は、店内に大金が置かれているケースが多い
  • 価値の高い商品やものが置かれている

これらの理由から、自分のオフィスや店舗が狙われてしまう可能性は十分にあります。
しかし、対策をしている経営者・店長の中には、闇雲に防犯グッズを導入するだけの対策で満足してしまうケースも少なくありません。
巧妙な手口で侵入や犯行を行う犯罪者は増えているので、オフィス・店舗に効果的な防犯対策を取ることが大事です。

オフィス・店舗で起きる可能性がある犯罪

企業オフィス・店舗で発生する可能性がある犯罪には、いろいろなものがあります。具体的にどのような犯罪が起こる可能性があるのか、チェックしてください。

不法侵入

オフィスや店舗では、後述する窃盗目的で営業時間外に犯罪者が不法侵入してくるケースが多いです。また、人がいる時間帯に不審者が侵入してくるケースも珍しくありません。

例えば、取引きのある業者と偽って部外者が侵入してくることがあります。
侵入されると窃盗だけではなく、放火や社内情報の漏えい、暴行・傷害など様々な犯罪につながっていく恐れがあります。

窃盗・強盗

窃盗や強盗は、オフィス・店舗で不法侵入と共に行われることが多い犯罪です。
窃盗は金銭目的で行われることが多いため、現金や売れるものなら何でも標的になってしまいます。

盗まれるものが現物だけとは限りません。
社内のパソコンやUSBなどから機密情報や顧客情報など大事なデータが抜き取られ、それが人知れず漏えいされる可能性もあります。
パソコンやタブレットなどの端末を持ちされた場合も同様のリスクがあります。

また、弱い立場の従業員を脅し、金品を強奪する強盗にも注意が必要です。
強盗の場合、犯罪者は刃物や危険物を所持している可能性が高く、従業員やお客さんに直接的な被害をもたらす恐れがあります。

放火

オフィスや店舗内に侵入、または敷地内で放火される犯罪も少なくありません。
大事なオフィスや店舗が焼かれてしまうだけではなく、勤務時間や営業時間内に放火されるとケガ人や死者が出てしまう可能性があります。

また、オフィス・店舗内の火事の原因は放火だけではありません。
タバコの火の消し忘れ、漏電、機器の故障、束ねたコードからの引火などが原因になっていることもあります。
火災の被害を最小限に抑えるためにも、防火対策も必須です。

暴行・傷害

お客様同士やお客様と店員の間でトラブルになり、殴る・蹴るなどの暴行・傷害事件が発生することがあります。
特に人の出入りが多い店舗では、些細なトラブルから暴力事件に発展するリスクがあります。

暴行・傷害は、働く従業員やお客様を危険にさらす犯罪です。また、被害者は一生残る傷を負ってしまったり、打ちどころが悪ければ死に至ったりする可能性もあります。

防犯対策には犯罪に対する一定の抑止効果がある

オフィス・店舗を狙った犯罪は後を絶ちません。しかし、防犯対策には犯罪を抑止する一定の効果があります。

実はオフィス・店舗でも被害が多い侵入窃盗の認知件数は、全体的に減少傾向にあります。
警察白書によれば、空き巣の侵入手段別認知件数は2004年が133,159件でした。しかし、2017年には25,557件に減っています。

現在は、セキュリティ強化につながるシステムや商品が多数あります。
防犯意識の高まりからセキュリティシステムを導入する建物が増えたことにより、犯罪件数は減少傾向にあるのです。
小規模だからと侮らず、万が一に犯罪が発生した時の対応も含めて防犯対策をしてください。

犯罪者が使う主な侵入口と手口


効果的に防犯対策を行うためには、まず犯罪者が利用する侵入口と手口を知っておく必要があります。
犯罪者はオフィスや店舗内にどう侵入するのか、代表的な侵入口と手口についてご紹介します。

客用出入口・通用口・窓は侵入経路になりやすい

侵入経路に選ばれやすい場所は、客用出入口と通用口、窓の3カ所です。
営業時間外や定休日で人がいない場合、人通りが少ない場所なら、犯罪者は正面出入口となる客用出入口から堂々と侵入します。
営業中の不審者が入る可能性もあるので、防犯対策が必須です。

通用口は従業員や関係者専用の入り口になります。客用出入口よりも目立たない位置にあるため、こちらも良く侵入経路に使われます。
また、出入口ドアは破壊が難しいこともあるので、比較的壊しやすい窓から侵入されるケースも多いです。

いずれの侵入経路も、侵入に時間をかけさせることがポイントです。侵入窃盗では、いかに早く侵入できるかが重視されます。
侵入に時間がかかればかかるほど未遂で終わる可能性が高まるので、侵入に手間を取らせる対策を講じることがポイントです。

ガラス破りにより侵入するケースが多い

侵入方法として定番の手口はガラス破りです。ガラス破りは、窓ガラスの鍵周辺部分に手が入るほどの穴を開け、開けた穴から手を入れて鍵を解錠する手口になります。
また、窓ガラスに穴を開ける方法には、主に以下の方法があります。

  • ドライバーなどを使って窓ガラスに穴を開けるこじ破り
  • 火と水を使い、温度差で窓ガラスに穴を開ける焼き破り
  • バールなどで窓ガラスを割って開ける打ち破り

犯人の技術によっては、音をほとんど立てずにガラス破りをすることが可能です。
侵入窃盗の手段では、約4割はガラス破りが占めているといわれています。そのため、ガラス破りの対策は優先的に行いたいところです。

企業オフィス・店舗で取るべき防犯対策


防犯対策には、いろいろな方法があります。企業オフィスや店舗の場合、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか。
ここからは、オフィス・店舗向けに取るべき防犯対策をご紹介します。

強度の高い防犯ガラスを導入する

窓ガラスやドアのガラス部分は、防犯ガラスを導入するのがおすすめです。
防犯ガラスは強度の高いガラスを採用しているので、ガラス破りでの侵入リスクを下げることができます。
強度が高いガラスとはいえ、絶対に割れないというわけではありません。それでも、通常のガラスよりも割るのに時間がかかるため、侵入の抑止効果は十分に期待できます。

すべての窓ガラスを防犯ガラスにするのが難しい時は、既存の窓ガラスに防犯フィルムを貼ると良いでしょう。
防犯フィルムを貼ることでガラスが保護されるので、ガラスの破壊に時間をかけさせることができます。

明確なルールを設けて戸締りを徹底する

窓ガラスやドアの施錠をしなかったことで、オフィスや店舗に侵入されてしまうこともあります。そのため、戸締りの徹底は常に社内全体で意識しておくことが必要です。

単純に退出時に施錠を行うという心掛けだけでは、責任の所在があやふやになってしまう可能性があります。
それを避けるためにも戸締りに関して明確なルールを設け、それを徹底させることが大事です。
ルールがはっきりしていれば、従業員も防犯に対する意識が高まり、施錠忘れのミスも防止できます。

防犯カメラを導入する

防犯カメラは、犯罪の抑止効果に優れた設備です。犯人は自分の姿を記録されたくないため、防犯カメラを嫌います。
そのため、設置することで犯行を諦めてくれる可能性が高まります。

上記でも紹介した客用出入口、通用口、窓の周辺には監視カメラを置き、不審人物や犯行を監視・記録できる状態にしておくのが望ましいです。
商品が置いてある店内や在庫が置かれた倉庫などにも設置しておくと安心です。

また、従業員による窃盗や横領といった内引き犯罪が行われる場合もあります。その対策として、レジやバックヤードの一部にも監視カメラを置くのが有効です。
防犯だけではなく、社内で起きているハラスメントなどのトラブルの把握にも防犯カメラは役立ちます。

侵入検知センサーを導入する

侵入探知センサーは、赤外線やレーザーなどによって侵入を検知できるシステムです。
防犯カメラと併せて侵入口になりそうな場所に設置することで、より高い防犯対策ができます。

営業時間外や定休日は無人となるため、防犯カメラがあっても犯行に及ぶケースがあります。
しかし、侵入探知センサーには警報音が鳴ったり、自動通報したりする機能が備わっているものもあるので、無人のオフィス・店舗の防犯対策に最適です。

鍵の保管場所や金庫などの暗証番号を定期的に変更する

鍵の保管場所や金庫などの暗証番号を定期的に変更するのも、地味ですが大事な防犯対策です。計画的な犯罪者は、オフィスや店舗をしっかり調べた上で犯行に及んでいます。

鍵の保管場所や暗証番号が特定されている可能性に考慮して、場所や番号は定期的に変更しておくと安心です。
また、鍵の保管場所や暗証番号は一部の人だけ情報を共有する体制にすれば、内部犯の対策にもなります。

ほかの対策として、パソコンなどデバイス類も情報漏洩対策のために、パスワードはしっかり設定してください。
パスワードは特定されないように複雑な文字列で設定し、定期的に変更しておくとより安心です。

スマートロックや入退室管理システムを導入する

スマートロックや入退室管理システムにも一定の防犯効果が期待できます。
スマートロックは鍵がなくても、スマートフォンやカード型のキーで簡単に施錠できるロックシステムです。
オートロック機能が備わっていれば、鍵の締め忘れを防ぐことができます。また、開閉履歴もデータで残すことが可能です。

入退室管理システムは、人の出入りを記録するためのシステムです。
入退室管理システムも基本的には許可した人しか出入りができないため、部外者の侵入を防ぐことが可能です。
従業員の勤怠管理に役立つメリットもあります。

外から見やすいオフィス・店舗のデザインに設計

これからオフィスや店舗を新設する場合は、外からもオフィスや店内を見通せるデザインを検討するのが望ましいです。
外から中が見えやすくなるほど、オフィス内や店内での犯行は難しくなります。

  • 窓を多めに設置する
  • 透明な窓ガラスで外から見えやすいようにする
  • 視界を遮らないように背の低いラックを採用する
  • 営業時間外も照明で店舗内や周辺を明るくする

上記のようなちょっとした工夫をすることで、防犯性の高いオフィス・店舗になります。

万引きしにくい環境をつくる

商品の販売を行う店舗では、万引き対策が必須です。万引き対策には、いろいろな方法があります。
例えば、万引きを未然に防ぐためには従業員は常にお客様に目を向け、また認識していることをアピールする必要があります。
そのため、お客様の顔を見て「いらっしゃいませ」と積極的に声をかけるのは、万引き対策の基本です。
ほかにも一目が付く場所に「防犯警戒中」などと記載された防犯シールを貼るのも、犯罪を抑止する効果があります。

また、万が一万引きが起きた時のために、防犯用のカラーボールがあると安心です。
ボールが犯人の体にぶつかって割れると特殊な蛍光塗料が付着するので、逃亡されても目印となり、素早い逮捕・検挙につながります。
万引き犯はマーキングされるのは避けたいため、カラーボールが置いてあることをアピールするのも犯罪の抑止に期待できます。

まとめ

今回は、起業家が考えるべき企業オフィス・店舗の防犯対策についてご紹介しました。
オフィスや店舗では不法侵入、窃盗・強盗、暴行・傷害など様々な犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
自分のオフィスや店舗が、いつ犯罪者に狙われるかは誰も予想できません。
犯罪に巻き込まれると、経営に甚大な影響を与えてしまう可能性があります。そのような事態を避けるためにも、起業の時点からしっかり防犯対策に取り組んでください。

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(編集:創業手帳編集部)

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