デイサービスの開業手順!必要な資格や資金、失敗を防ぐコツまで解説

デイサービス開業前から「差別化」「稼働率」「働きやすさ」を意識することが大切

デイサービス開業前から「差別化」「稼働率」「働きやすさ」を意識することが大切
デイサービスを立ち上げて失敗しないだろうか…と一歩を踏み出せずに悩んでいませんか?しかし、デイサービスの開業手順、運用方法を学習しておけば、リスクを最小限に抑えつつ一歩を踏み出せるようになります。

今回はデイサービスの開業手順について解説します。この記事では、デイサービス開業で安定収益を得るコツまでまとめました。安定収益を得るためには「稼働率の向上」「サービス差別化」が欠かせません。そこで、創業手帳がおすすめしたい介護ソフトが「Rehab Cloud」です。事務作業の削減や質の高いプログラムが策定できて安定収益が見込みやすくなるため、下記より詳細情報をチェックしてみてください。

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デイサービスの開業が注目される理由

デイサービスの開業が注目される理由
出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

デイサービスの開業が注目される理由には、国全体の高齢化による介護ニーズの急増があります。

内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると65歳以上の人口割合を示す高齢化率は、2030年に30%を超えると予測されています。2045年頃には高齢化率がピークを迎えますが、それに伴いデイサービスの需要も急激に高まっていくと予測されているのです。

とくに都心部では核家族や共働き世帯が増加してきており、家族介護に頼らないサービスの需要が高まってきています。そのため、都心部でデイサービスが不可欠なものとなってきています。

デイサービスの開業条件・資格

デイサービスの開業条件・資格
デイサービスを開業・運営するためには、(1)法人であること(2)指定基準を満たしていることが条件となります。そのため、どのような条件を満たす必要があるかを確認しておきましょう。

法人格を有していること

デイサービスの開業は個人事業主では認められていないため、法人格を有していることが前提条件となります。営利法人または非営利法人のどちらでもデイサービスを開業できますが、設立費用や諸条件が変わります。そのため、各法人格の特徴を理解した上で最適なものを選びましょう。

法人格 法人設立費用 特長
営利法人 株式会社 約25万円 ● 法人設立費用が高い
● 社会的信用度が高い
合同会社 約10万円 ● 法人設立費用が安い
● 社会的信用度が低い
非営利法人 社会福祉法人 約160万円 ● 税制面での優遇が受けられる
※一般法人としては設立できない
NPO法人 約5万円 ● 寄付金が非課税となる
● 役員10人以上が必要
一般社団法人 約12万円 ● 設立が簡単
● 社会的信用度が高い
● 利益を社員に分配できない

人員基準を満たしていること

デイサービスを開業する場合は、利用者やご家族を万全にサポートできる人員基準を満たす必要があります。介護保険法に基づき、職種毎に「必要な人数」「資格要件」が定められています。

職種名 配置基準 資格要件
管理者 1人 なし
生活相談員 1人以上 社会福祉士
精神保健福祉士
社会福祉主事
看護職員 1人以上 看護師
准看護師
介護職員 利用者数が15人までは1人以上
16人以上は「(利用者数-15)÷5+1」以上
なし
機能訓練指導員 1人以上 理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護師
准看護師
柔道整復師、
あん摩マッサージ指圧師
はり師・きゅう師(※実務経験が必要)

設備基準を満たしていること

デイサービス開業するには、利用者が安全かつ快適に訓練が行えるように、介護保険法で定められた設備や備品を備えておく必要があります。以下のような設備や備品を用意しておきましょう。

設備・備品名 用途・目的
食堂 食事・レクリエーション
機能訓練室 機能訓練やリハビリ
消火設備 火災時の安全確保
静養室 体調不良時の一時休養
相談室 利用者や家族との個別相談用
事務室 職員の事務作業、管理業務
その他(洗面台・トイレ・厨房など) 日常生活を送る上で必要な設備

運営基準を満たしていること

デイサービスを開業するためには、介護保険法に基づいた運営基準を遵守しなければなりません。以下は、デイサービス運営基準の一部です。

  • 利用者へのサービス内容や手続の説明・同意を得ること(第8条)
  • 正当な理由なくサービス提供を拒否してはならない(第9条)
  • サービス提供が困難になった場合の対応を明確にする(第10条)
  • 利用者の心身の状況を把握し、適切なサービスを提供する(第13条)
  • 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)などとの連携(第14条)
  • ケアプラン(居宅サービス計画)に沿ったサービスの提供(第16条)
  • 提供したサービスについて記録を残すこと(第19条)
  • 必要な情報を市町村に通知する義務(第26条)
  • 緊急時の対応マニュアルや対応体制の整備(第27条)
  • 管理者としての責任を果たすこと(第52条)
  • 通所介護サービスの方針や計画の作成(第97-99条)
  • 運営規程(ルールやサービス内容の明記)の整備(第100条)
  • 必要な人員配置や勤務体制の確保(第101条)
  • 定員の遵守(許可された利用者数の範囲内での運営)(第102条)
  • 災害や非常時への備え(非常災害対策)(第103条)

なお、運営基準は国が定めたもの以外にも、都道府県や市区町村が条例で定める基準もあります。

デイサービスの開業に必要な資金

デイサービスの開業に必要な資金
デイサービスの開業に必要な資金は約1,500万円です。「開業資金」と「運転資金」の2つに分かれます。開業資金は設備や備品、人材採用など開業準備に必要な資金です。運転資金はデイサービス開業後に収益が安定するまでの運転資金をいいます。

開業資金
(約500万円)
法人設立費用
物件取得費
内装工事費
備品費
車両購入費用
採用費
宣伝広告費
家賃
運転資金
(約1,000万円)
人件費
家賃
駐車場代
車両リース代
水道光熱費
通信費
消耗品費

デイサービスの開業資金の調達方法

デイサービスの開業には約1,500万円が必要となるため、自己資金で賄うのが難しく、金融機関からの融資や補助金を活用するのが現実的な選択肢となります。

(1)銀行融資
民間銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などから融資を受けられます。新しく事業を始める人を対象とした日本政策金融公庫「新創業融資制度」を利用すれば、無担保・無保証人で最大3,000万円まで低金利で借入が可能です。

(2)補助金・助成金
国や地方自治体では、介護・福祉事業の推進を目的とした補助金・助成金制度を用意しています。毎年、制度内容が変更されることがあるため、最新情報を自治体や厚生労働省のサイトで確認する必要がありますが「介護・福祉人材確保緊急支援事業費補助金」「ICT導入支援事業補助金」「キャリアアップ助成金」などがあります。

デイサービスの開業手続きの手順

デイサービスの開業手続きの手順
デイサービスの開業手続きは9STEPで行えます。

1.法人設立

デイサービスを開業するためには、法人格を取得する必要があります。そのため、必要な書類を集めて法務局で法人登記をしましょう。

<必要書類>

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込みがあったことを証する書面
  • 印鑑届出書
  • 「登記すべき事項」を記載した書面

2. 事業計画書の作成

次に事業計画書を作成します。事業計画書には「どのような事業を行いたいのか」「どのような人に利用してもらうのか」「どれくらいの利用者数が期待できるのか」「周辺にある競合事業所」「運営体制・人員計画」「収支の見通し」などを記載します。

事業計画書は指定申請や融資支援申請にて提出するものです。また、収支計画から事業の課題を見つけられることもあるため、具体的に記載しておきましょう。

3. 開業資金の調達

デイサービスの開業には多額の資金が必要であり、自己資金で賄うことが難しい場合があります。その場合は、金融機関から融資を受けて資金調達をしましょう。金融機関から融資を受けるためには、融資窓口で必要書類を提出して審査を受けます。

<必要書類>

  • 決算書
  • 試算表
  • 資金繰り表(共通)
  • 事業計画書
  • 銀行取引一覧表
  • 納税証明書
  • 商業登記簿謄本

4.デイサービスの物件探し

デイサービスを開業するために物件を探します。

「食堂」「機能訓練室」「静養室」「相談室」「事務室」「トイレ」「洗面台」「厨房」などの設備要件を満たしており、利用者が快適に過ごせるように十分な延床面積がある物件を契約する必要があります。例えば、機能訓練室は1人当たり3㎡以上確保しなければなりません。その他の部屋も用意する必要があるため、利用者10名程度のデイサービスを開業する場合は80~100㎡の物件を探すべきです。

また、「デイサービスの利用を認めてもらえるか」「デイサービス利用者のご家族が送迎しやすい立地か」「賃料が収支計画に見合っているか」を総合的に判断して物件を契約するようにしましょう。そのまま使用できる物件であったとしても、壁紙の張替え、電源の設置など多少のリフォームなどは行います。

5.従業員の採用

デイサービスを開業して指定(事業所認可)を受けるためには、人員基準を満たす必要があります。そのため、指定申請を行う前に、該当職種の人を採用しなければなりません。事業所の定員をもとに、必要人数を逆算して採用計画を立ててハローワーク、求人サイト、地域紙、紹介などで人材を採用していきます。採用活動を終えたら「勤務体制及び勤務形態一覧表」にまとめておきます。

6.備品の調達

デイサービスを開業するにあたって、法令で定められた設備基準を満たす必要があります。指定申請において設備・備品の確認があるため、利用者向けの備品と事務管理用備品を揃えておきましょう。

利用者向け備品 食事関連 配膳用ワゴン、テーブル、椅子、食器、給湯ポットなど
衛生管理 手洗い場、アルコール消毒液、紙タオル、ごみ箱など
トイレ関連 車いす対応便器、手すり、緊急通報ボタンなど
休養用 ベッド、リクライニングチェア、カーテンなど
機能訓練 歩行器、バランスボール、平行棒、運動マットなど
事務・管理用備品 オフィス家具 デスク、椅子、書類棚
情報機器 パソコン、プリンター・複合機、Wi-Fiルーター
通信設備 電話、FAX、インターホン
記録・管理 書類保管棚、ファイル、鍵付きキャビネット
その他 タイムレコーダー、体温計、血圧計など

7.指定申請

デイサービスを開業するためには、許認可・指定申請を通じて行政から許認可を受ける必要があります。法律で定められた「人員基準」「設備基準」「運営基準」を満たしていることを示す書類を提出します。

<指定申請の提出書類>

  • 指定申請書
  • 通所介護事業所の記載事項
  • 登記簿謄本
  • 従業者の勤務体制および勤務形態一覧表
  • 就業規則
  • 各職員の資格証明書
  • 雇用契約書
  • 事業所の平面図・建築図面
  • 建物の登記簿謄本、賃貸借契約書、関係法令確認書
  • 事業所の写真(外観・内観)
  • 運営規程
  • 苦情対応措置の概要
  • 誓約書
  • 体制届出書
  • 各種加算の届出書
  • 老人福祉法に基づく関係届出

8.請求ソフトの手配

デイサービスを運営する際には、サービスの対価として国民健康保険団体連合介護保険サービス利用者に対して請求業務を行う必要があります。

請求業務は煩雑でミスが許されないため、開業初月から正確な請求ができるように開業前に請求ソフトを導入しておきましょう。PCに不慣れなスタッフでも使いやすく、介護給付費請求、個別計画書の作成、記録管理、加算設定など行いやすいソフトを選ぶことをおすすめします。

9.サービス利用者の獲得

デイサービス経営を安定させるためには、サービス利用者の確保が不可欠です。そのため、デイサービスの魅力が伝わるホームページやパンフレットを制作しましょう。「レクリエーションが豊富で自立支援が得意」「住み慣れた地域で健康を維持しながら暮らす」など訴求ポイントを明確にすることで選んでもらえるようになります。

デイサービスの開業で失敗しないためのコツ

デイサービスの開業で失敗しないためのコツ
デイサービスで安定した収益を見込めている事業所は3つのコツを押さえています。

従業員が働きやすい職場を作る

介護・福祉業界では人材不足が問題となっています。デイサービス利用者の介助、認知症対応のストレス、休憩が気軽に取れない体力的・精神的な負担が大きいと離職者が相次いでしまいます。スタッフが短期間で離職すると、サービス品質が安定しなくなり、サービス利用者との信頼関係も築けなくなってしまいかねません。

つまり、質の高いサービスを提供するためには人材定着が欠かせません。そのため、介護ソフトを活用して業務効率化を図ったり、業務マニュアルを整備したりして働きやすい職場を作っていくことが大切です。

他社と差別化を図る

地域にデイサービスが増える中で、自社サービスを選んでもらうためには他社と差別化を図ることが大切です。差別化には、いくつかのアプローチがあります。

  • 運営方針や起業理念の浸透
  • 独自のサービス内容(レクリエーションプログラムや認知症ケア特化など)
  • デイサービス施設のハード面の充実
  • デイサービス職員の対応力
  • 地域包括支援センターとの連携体制

他社と差別化できる要素を見つけ出して、ホームページやパンフレットに記載、施設見学でアピールして入会してもらいましょう。近年、AIを活用した独自サービスの提供が注目を浴びています。

稼働率を上げる

デイサービスを経営して収益を得るには、稼働率を上げる必要があります。稼働率を上げるための工夫には、次のようなものがあります。

  • ケアマネジャーと情報共有して空き枠の案内をスムーズにする
  • 交通手段がない高齢者への送迎を強化する
  • 初回利用のハードルを下げて利用してもらう
  • 特定の曜日だけ空く場合はキャンペーンや個別案内で埋める
  • 事務作業は効率化して支援を重点化する
  • 自立支援・機能訓練などを強化する

デイサービス開業を成功に導く介護ソフト「Rehab Cloud」

デイサービス開業を成功に導く介護ソフト「Rehab-Cloud」
デイサービス開業を成功させるためには、計画書作成や記録業務、介護請求業務など事務作業を効率化して、レクリエーションプログラムや認知症ケアに注力していく必要があります。このような経営を実現するために、多くの施設が導入し始めている介護ソフトが「Rehab Cloud(リハブクラウド)」です。

AIを活用した業務支援

AIを活用した業務支援
Rehab CloudはAIを活用した業務支援を得意としています。

2023年8月に「Rehab Cloud モーションAI(AI動作分析ソフト)」をリリースしました。この機能を活用すれば、立ち座りや下肢筋力を評価できるようになります。客観的にトレーニングの成果を伝えられるとして、多くの施設で利用されています。

Rehab-Cloud-モーションAI
また、2025年2月に新しい機能「連絡帳まとめて生成AI(連絡帳自動作成機能)」をリリースしました。
この機能を活用すれば、日々の記録を参考にしながらAIに連絡帳へのコメントを書いてもらえます。AIのコメントをスタッフが編集することも可能です。つまり、連絡帳のコメントを書く時間が削減でき、利用者様と向き合う時間に充てることができます。

事務作業を劇的に削減

事務作業を劇的に削減
Rehab Cloudを導入すれば日々の記録や計画書の作成、請求処理などの事務作業を削減できます。
例えば、PCやタブレットで記録した情報は、計画書や各種帳票にも反映されるため転記する必要がなくなります。また、そのまま請求処理することも可能です。つまり、入力漏れや計算ミスなどのヒューマンエラーも防止できます。
実際にRehab Cloudを導入した事業所では、スタッフの残業時間を1/5に削減でき、業務効率を飛躍的に改善することができました。

ご利用者の機能訓練計画を自動提案

サポート体制が充実
Rehab Cloudは、科学的介護を実現するリハビリ支援機能を備えています。その中でも注目を集めているのが、個別機能訓練計画書の自動提案機能です。利用者一人ひとりのADLや健康状態、生活環境などのデータをもとに運動プログラムを導き出します。

これまで機能訓練計画を立てるには、専門スタッフの経験に頼る部分が大きく、加えて利用者数が増えていけば計画書作成の労力が段々と増えていく構図になっています。しかし、この機能を使えば、誰でも質の高いリハビリ計画が短時間で作成できるようになります。また、実施結果の記録と連動しながら、リハビリの効果を可視化することも可能です。

サポート体制が充実

サポート体制が充実
Rehab Cloudは、導入から運用までを伴走支援してくれる万全のサポート体制が整備されています。導入時に操作方法や運用の流れを丁寧に説明するほか、既存の介護ソフトからのデータ移行にも対応しています。初めてソフトを操作する人には個別に勉強会を開催してくれるなどサポートが充実しているため、現場へ定着させることができます。

介護現場に精通した専任スタッフによる無料相談が可能で、制度改正時の対応や加算の算定方法についてアドバイスを受けることが可能です。

万全のセキュリティ対策

万全のセキュリティ対策
介護現場では、利用者の個人情報を扱うため、ソフトウェアに求められるセキュリティの水準も高いものとなります。

Rehab Cloudは、全てのデータが堅牢なデータセンターに保存されており、PCが故障したり災害が発生したりしても、データが失われることはありません。外部からの不正アクセスや情報漏洩を防ぐために、通信はすべて暗号化されており、アクセス権限も細かく設定できます。

また第三者機関による評価も受けており、「プライバシーマーク」および「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証」を取得しています。

まとめ

デイサービスの開業方法から、安定収益を得るための経営のコツまでご紹介しました。日本は高齢化が進み、介護ニーズは高まり続けます。そんな中で、地域に根差した質の高いデイサービスを立ち上げることは、社会的にも意義深く、ビジネスとしての可能性も大いにある分野です。多岐にわたる準備が必要ですが、一つひとつ確実にこなしていけば、リスクを軽減しながら開業ができます。

デイサービスの開業を検討している方にとって「Rehab Cloud」は頼もしいパートナーとなるはずです。事務作業の削減やサービス向上したい方はぜひ導入を検討してみてください。

(監修: 株式会社Rehab for JAPAN
(編集: 創業手帳編集部)

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