単式簿記と複式簿記の違い。青色申告・白色申告はどっちで行う?
個人事業主か法人かによっても違う!まずは全体像を理解しよう
(2016/11/30更新)
青色申告をしたいけど、単式簿記と複式簿記、どっちなんだろう…。はじめて確定申告を行う人はそんな疑問を持つはずです。今回は、法人・個人事業主や青色申告・白色申告をする人別に、単式簿記と複式簿記を用いる場面を解説します。
この記事の目次
個人事業主が白色申告する場合は「単式簿記」で
個人事業主で白色申告を選択している方は、「単式簿記」で記帳をしています。単式簿記では、
- 売上帳
- 仕入帳
- 経費帳
などの帳簿を用意する必要があります。例えば売上帳では、1年間の売上を確認できます。売上帳・仕入帳・経費帳それぞれの帳簿をまとめて「損益計算書」を作成します。また、物を仕入れて売ることがなければ、仕入帳は必要ありません。
単式簿記とは?
単式簿記とは物事をある1つの側面から見て、1つの科目にフォーカスして帳簿を付ける方法です。例えば、「タクシー代金1000円を払った」場合、単式簿記だと、「旅費交通費が1000円発生した」という1つの側面からの事実のみを書くことになります。複式簿記だと、この後、「旅費交通費が1000円発生した」結果、「現金が1000円減った」という事実も記入する必要があります。
単式簿記では「損益計算書」は作成でき「貸借対照表」は作成できない
上記の例からも分かる通り、基本的に単式簿記は「収益」「費用」のみを記載します。つまりは、この方式を採っていくと、「資産」や「負債」の残高管理はできなくなります。この結果として、「決算書」の1つであり一定期間の会社の経営成績を表した「損益計算書」は作成できますが、一方で一定時点の財政状態を表した「貸借対照表」の作成はできません。
個人事業主が青色申告する場合と法人は「複式簿記」で
個人事業主で青色申告を選択している方は、「複式簿記」で記帳をしています。複式簿記では、
- 現金出納帳
- 預金出納帳
- 仕入帳
- 売上帳
- 買掛帳
- 売掛帳
などの帳簿を用意する必要があります。こちらも、現金のやり取りが無い人や仕入れがない人は、現金出納帳や買掛帳などが要らないケースがあります。
複式簿記とは
複式簿記とは、単式簿記同様「収益」と「費用」を記載する他、「資産」「負債」「資本(純資産)」がどのように変化したのかを記載していく方法です。
決算書はどうやって作るの?
青色申告控除を受けるために、確定申告では決算書を提出します。その場合、
- 【自分】日々の取引を補助簿に入力
- 【会計ソフト】仕訳帳や総勘定元帳に転記
- 【会計ソフト】総勘定元帳の勘定を月末や年度末ごとにまとめて、残高試算表を作成
- 【会計ソフト】損益計算書と貸借対照表を作成→決算書完成!
という流れになります。
青色申告に必要な決算書を作成するには、補助簿に入力をしていれば良いだけということになります。その他は会計ソフトが解決してくれます。
日々の「取引」ってなに?
- 【自分】日々の取引を補助簿に入力
と先程ご説明しましたが、「取引」とはなにか分からない方もいるかと思いますので、簡単にご説明します。取引とは「収益」「費用」「資産」「負債」「資本(純資産)」のどれかが増減することを言います。
簿記の5つの要素を覚えておこう
簿記の5つの要素
簿記には、
- 「収益」:売上高や雑収入
- 「費用」:仕入高や旅費交通費や通信費など
- 「資産」:現金や預金、売掛金や仮払金など
- 「負債」:買掛金や借入金、未払金など
- 「資本(純資産)」:資本金(法人)や元入金(個人事業主)など
という5つの要素があります。
仕訳のルール
この5つの要素を勘定科目に仕訳していきます。取引を記帳していく区分を「勘定」といい、それに名前が付いたものが「勘定科目」といいます。(例:旅費交通費、買掛金など)仕訳のルールがあるので下記に記載します。
- 資産が増えた:借方(左側)に記入
- 資産が減った:貸方(右側)に記入
- 負債が増えた:貸方(右側)に記入
- 負債が減った:借方(左側)に記入
- 純資産(資本)が増えた:貸方(右側)に記入
- 純資産(資本)が減った:借方(左側)に記入
- 費用が生じた:借方(左側)に記入
- 収益が生じた:貸方(右側)に記入
「例えば通信費が3000円かかった」ときは、まず5つの要素のどれに当てはまるかを考えます。通信費はコストなので、費用ですね。費用が生じたので、借方に記入をします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。はじめて確定申告をする人には、中々分かりにくい部分もあるかと思います。次は仕訳の具体的やり方を解説した「複式簿記の基礎!仕訳の3つの基本ルールと仕訳帳の書き方」をご覧になってみてくださいね。
(執筆:創業手帳編集部)
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