【2024年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ12選の制度

創業手帳

起業家向け補助金・助成金の特徴、活用のメリット・デメリットと注意点

この記事のAI要約!


●起業家向けの補助金と助成金の違い・特徴
●具体的な補助金・助成金の種類・申請方法・注意点など
●起業・開業時に補助金・助成金を活用するメリット・デメリット
●地域別の補助金・助成金の紹介

起業時の資金調達方法で、融資と並び人気なのが補助金や助成金の獲得です。うまく活用できれば起業時の強力な資金調達方法になる一方で、種類が多くて迷う、探し方がわからないといった課題も少なくありません。

今回は数ある補助金・助成金の中でも採択率が高く、費用対効果の良い制度を厳選しました。補助金・助成金の基本や両者の違いも解説するので、理解を深めておきましょう。

創業手帳では、日々、全国の莫大な読者から補助金・助成金の相談をうけています。この分野に詳しい中野裕哲税理士の監修のもと、読者の相談を受けた経験も活かして補助金・助成金をご紹介します。

こちらの動画では、創業手帳が独自に調査した起業家・経営者によく使われている補助金・助成金のランキングを発表!ぜひご視聴ください。

創業手帳は忙しい起業家の方に向け、創業に役立つ最新情報を掲載する冊子版の創業手帳(無料)を毎月1.5万部発行しています。

また補助金ガイド(無料)では最新の補助金・助成金を詳しく解説しています。起業時に活用したい助成金や補助金の特徴と、活用するメリット・デメリット、注意点などを分かりやすくまとめた一冊です。

補助金AI(無料)という新サービスもリリースいたしました。ご自身だけの補助金・助成金情報がメールで届き、効率的に情報収集できます。


補助金ガイド


補助金AI

補助金・助成金に限らず、起業時の資金調達について詳しく知りたい方は、資金調達手帳(無料)を手にとってみてください。資金調達に関する情報だけをまとめているので、ご自身に合った資金調達方法を知ることができるでしょう。

(創業手帳編集部)

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

この記事の目次

起業・開業に補助金・助成金がおすすめする最大の理由・メリットは「返済不要」!


補助金・助成金とは、直接的・間接的に公益上必要があると政府が判断した場合に、事業者などに交付する給付金のことです。

融資とは違い、補助金・助成金は原則的に返済不要です。返済資金を考慮する必要がないため、給付を受けられれば事業に大きなメリットとなります。各制度に設けられている条件を満たす必要はありますが、融資よりも圧倒的にローリスクな選択となるでしょう。

補助金や助成金は種類が豊富で、厚生労働省が管轄するものだけでも20種類以上あるとされています。自社の事業にどのような補助金や助成金を活用できるのか、分析が欠かせません。

要件に合う種類の補助金・助成金を探すのではなく、要件に合わせて事業をうまく再設計することが重要です。そのためにも、補助金や助成金に関してしっかり理解しておきましょう。

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

補助金と助成金の違いとは?受給条件や難易度などを比較


補助金と助成金には、以下のような違いがあります。両者の違いを理解すれば、申請に必要な準備や優先順位が分かるはずです。

違い 補助金 助成金
受給条件 条件を満たした上で審査に通過する必要がある 条件を満たしていれば高確率で支給される
難易度 採択数に限りがあることが多く難易度が高め 補助金に比べると支給のハードルが低い
金額 支給金額の大きな制度が多い 金額が限定的な制度が多い
対象範囲 幅広い事業を対象とするものが多い 雇用関係を対象とするものが多い
申請期間 1カ月など短い傾向にある 随時あるいは長期間の傾向にある
財源 税金を財源とする制度が多い 雇用保険料を財源とする制度が多い

補助金にも助成金にも、対象となる申請者や事業といった各種条件が設定されます。

その上で補助金は、条件を満たすだけでなく採択されなければならない、申請期間が短いといった難しい要素があるのもポイントです。その分さまざまな事業が対象となったり、支給金額が大きく設定されたりします。

助成金は雇用関係を中心に条件ハードルの低いものがありますが、支給金額はそこまで高くないケースが多いでしょう。

また、補助金は助成金よりも支給金額が大きい制度が多く、長期的な成長を想定した支援であるため、同時に事業計画書が重視される傾向にあります。長期的に会社が成長するきっかけとして補助金の活用が想定されているためです。申請において事業計画書を提出する際には、事業の成長を目的に補助金を利用したい旨を事業計画書で端的に説明することが重要です。

事業計画の作成には、創業手帳会員が利用できる事業計画シート&資金シミュレーターを使いましょう。指定された項目を埋めるだけで、簡単に事業計画が作れます。途中保存も可能ですので、ぜひこちらを使って何度も遂行してみてください。



補助金・助成金と「交付金」「給付金」との違いは?

助成金と補助金以外の受給制度として「交付金」「給付金」が挙げられます。返済不要で国や地方自治体から支給される点は助成金・補助金と共通ですが、2つの制度との違いとして以下のような特徴があるのです。

  • 交付金:特定の組織に対して交付されるお金
  • 給付金:病気や被災の支援を中心としたお金

交付金は、ある目的のために国から地方自治体などの組織に交付されるお金です。補助金や助成金のように直接事業主に与えるのではなく、政策やプロジェクトの中心となる複数の企業や団体に交付されます。

助成金や補助金は企業を対象にしたものが目立ちますが、給付金には個人向けのものがあるのが特徴です。失業給付金や育児給付金は、個人向け給付金の代表例となります。

起業家が創業・開業時に活用したい補助金・助成金は大きく分けて4種類

補助金・助成金には「経済産業省系」「厚生労働省系」「各自治体系」の制度があります。

さらに各自治体系の補助金・助成金は「首都圏や大都市向け」のものと、移住やU・Iターンを含めた「地方向け」に分類が可能です。

  • 経済産業省系の補助金
  • 厚生労働省系の助成金
  • 首都圏、大都市向けの補助金・助成金
  • 地方向けの補助金・助成金

では、それぞれの種類ごとの特徴と、代表的な補助金・助成金制度を見ていきましょう。

生産性UPや事業転換に!創業・開業時に活用したい経済産業省系の補助金

経済産業省系の補助金は、起業促進、地域活性化、女性若者の活躍支援、中小企業振興、技術振興などの施策を目的としています。補助金ごとの募集要件を満たした上で応募し、審査への通過が必要です。

合格率(採択率)は補助金によって異なりますが、数%~90%程度まで幅があります。また同じ補助金でも、数回に分けて募集することがあり、回により採択率に変化が見られるのが特徴です。

年に数回応募があるものだと、期の始めのほうが採択率が高くなる傾向があります。後半期になると予算の関係もあり審査が厳しくなる場合もあるため、できるだけ早めの申請を行いましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の働き方改革・賃上げ・インボイス制度などへの対応や、サービス開発・試作品の開発・設備投資にかかるお金を支援する補助金です。

過去の18次公募には大きく3つの申請枠があり、枠組みごとに補助上限額や補助率が異なります。大幅賃上げを行うことで上限額が上がるのも特徴です。内容は公募ごとに変わる可能性があるので、公式ホームページから最新情報を確認しましょう。

  • 申請方法:電子申請(GビスIDプライムアカウントが必要)
  • 補助上限額:750万円~1億円(申請枠・類型、賃上げ内容などで異なる)
  • 主要件:付加価値額や給与支給総額の増加といった、複数の条件を満たす事業計画書の策定および実行など
  • 対象者:公募要領の定める中小企業者、小規模事業者、その他法人など

18次締め切り分における申請者数は5,777、採択者数は2,070でした。3年以上の事業計画の策定および実行が必要で、事業成果も確認されます。しっかりと計画を練った上で申請しましょう。

申請ポイントを押さえた上で、プロダクトがどのように社会課題に対応しているかアピールすることが大切です。中には中小企業診断士や税理士などに力を借り、申請内容を作る事業者もいます。

出典:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト

ものづくり補助金ついて、詳しくはこちらの記事を>>
【2024年最新】最大1億円!ものづくり補助金をわかりやすく解説!

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、今もなお新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業向けの補助金です。ポストコロナへの対応を目指す企業や、コロナ禍で負債を抱えた事業者が、機械装置や建物費、広告宣伝費などの経費支援を受けられます。

すでに締め切られた第12回公募では、コロナ禍終息後の最低賃金引き上げの影響を受けている事業者向けの枠も用意されました。

  • 申請方法:電子申請(GビスIDプライムアカウントが必要)
  • 補助上限額:1,500万円~5億円(申請枠、企業規模などで異なる)
  • 主要件:指定機関における事業計画の確認、付加価値額の向上など
  • 対象者:事業再構築指針の「事業再構築」の定義に当てはまる事業者

第11回公募では9,207の応募のうち2,437件が採択されました。審査においては、事業計画の合理性や説得力を求められます。新規事業であれ有望度が高いか、実現可能性があるかといった点も審査項目になるため、付け焼刃でないプランが不可欠です。

出典:「事業再構築補助金

最新の事業再構築補助金の情報はこちらからどうぞ!
事業再構築補助金 第12回の変更点は?抜本的見直しの概要をスケジュールと共に紹介

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、小規模事業者や特定非営利活動法人です。

制度変更への対応のほか、持続可能な経営に向けた販路開拓や生産向上に取り組む際の経費を一部補助しており、地域の雇用と産業の持続的発展を目指しています。

  • 申請方法:原則電子申請(GビスIDプライムまたはGビスIDメンバーのアカウントが必要)
  • 補助上限額:50万円~200万円(申請枠で異なる)
  • 主要件:策定した経営計画に基づき取り組みを行うことなど
  • 対象者:公募要領の定める小規模事業者であることなど

通常枠の上限額は50万円、そのほかの枠は一律200万円が上限となっています。いずれの枠にもインボイス特例が設けられており、特例要件を満たせば50万円が上乗せされる仕組みです。

第15回受付分で採択された企業は、申請数13,336件のうち5,580件でした。個人事業主でも申請できる制度として多数の応募があるため、客観的に認められる経営計画の策定が必要です。

出典:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金

最新の小規模事業者持続化補助金の情報はこちらからどうぞ!
【2024年5月締切】第16回小規模事業者持続化補助金とは?スケジュールや変更点などを解説

IT導入補助金

生産性を上げるためのITツールの導入について受けられる補助金です。ITツールによってデジタル化や自動化を進めれば、労働環境の改善に伴う生産性や賃金の向上が見込めます。

適用範囲が広いことでも人気があり、費用の面でDX推進に二の足を踏んでいる会社にもおすすめです。

  • 申請方法:原則電子申請(GビスIDプライムのアカウントが必要)
  • 補助上限額:5万円~3,000万円(申請枠・類型、企業規模等で異なる)
  • 主要件:「SECURITY ACTION」宣言や「みらデジ経営チェック」の実施など
  • 対象者:公募要領の定める中小企業、小規模事業者など

IT導入補助金2024年は、通常枠やセキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠のほか、2つの類型からなるインボイス枠があります。10次締切分の通常枠(A類型)は申請数3,330に対し交付されたのは2,531でした。

それぞれに補助上限額や補助率が設定されており、補助対象となる経費も違うので、目的に合致したものを選択・申請しましょう。

出典:「IT導入補助金2024

IT導入補助金について、詳しくはこちらの記事を>>
【2024年最新版】IT導入補助金とは?申請スケジュールや受給額を分かりやすく解説

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業者による事業承継をきっかけとした新しい取り組みを支援する補助金です。

「事業承継」とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。法人の場合は先代経営者の退任および後継者の代表就任、個人事業主の場合は先代経営者の廃業・後継者の開業などを対象に支援が行われます。

  • 申請方法:電子申請(GビスIDプライムアカウントが必要)
  • 補助上限額:補助上限額:50万円~800万円(申請枠・類型で異なる)
  • 主要件:規定の対象者および対象となる事業継承に該当していることなど
  • 対象者:各申請枠の公募要領の定める中小企業者等

経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3種類から、事業承継の内容に応じて申請枠を決めましょう。9次公募の総申請数は853件、交付決定に至ったのは522件と半数以上です。

出典:事業継承・引継ぎ補助金事務局「事業継承・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金について、詳しくはこちらの記事を>>
事業承継・引継ぎ補助金とは?申請方法やスケジュールをまとめました。

創業手帳の別冊、補助金ガイド(無料)では、最新の補助金・助成金を詳しく解説しています。補助金・助成金を経営の一部に組み込むことを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください(創業手帳編集部)。

雇用の増強に!創業・開業時に活用したい厚生労働省系の助成金

厚生労働省系の助成金とは、雇用促進、労働者の職業能力向上などの施策を目的として、厚生労働省が実施しています。ある程度まとまった金額であり、要件を満たせば確実に採択されるところが魅力です。

基本的には「雇用」に関連するものが多いので、起業時に人を雇用する計画があるときは、事前にチェックしておくといいでしょう。

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など非正規雇用労働者のキャリアアップ等を促進するための助成金です。現在は助成内容によって7種類に分かれています(うち1種類は廃止、廃止日までの取り組みは申請可能)。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善
  • 短時間労働者労働時間延長コース(廃止日までの取り組みは申請可能)

短期雇用から正社員への登用をはかるのに試用期間の賃金をまかなったり、従業員のスキルアップにより賃金向上を目指したりする企業のための制度です。創業・開業に弾みをつけるための雇用促進に活用しましょう。

  • 申請方法:電子申請(GビスIDのアカウントが必要)、管轄の労働局に申請
  • 補助上限額:3万3,000円~(申請枠、加算措置の有無、企業規模等で異なる)
  • 主要件:コースの趣旨に沿ったキャリアアップ計画の策定・実行など
  • 対象者:公募要領の要件に該当する雇用保険適用事業所の事業主

助成金の受給にはコースの趣旨に沿ったキャリアアップ計画と、6カ月分の賃金の支払いが必要です。コースごとに1人当たりまたは事業所あたりの受給額が決められており、中小企業と大企業で金額が異なります。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)

最新のキャリアアップ助成金についての情報はこちらからどうぞ!
【令和6年最新版】キャリアアップ助成金とは?正社員化コースなど各コース概要や条件をわかりやすく解説

【受付休止中】人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

※令和4年4月1日より整備計画の受付を休止(令和6年度も引き続き休止中)。

「人材確保等支援助成金」は、従業員の働きやすい職場づくりを促進するための助成金です。
現在は助成内容によって5種類に分かれています。

  • 諸手当等制度
  • 研修制度
  • 健康づくり制度
  • メンター制度
  • 短時間正社員制度(保育事業主のみ)

受給するためには雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受ける必要があります。雇用管理制度の導入や実施により離職率の低下が認められた場合に、57万円の補助金を受給可能です。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

首都圏や大都市向け!創業・開業時に活用したい各自治体の補助金・助成金など

市区町村などの各自治体が、地域内の産業振興などの目的で、創業支援補助金や・助成金を実施していることがあります。

中でも、ここでは首都圏や大阪などの大都市を中心とした制度を紹介していきます。

自身が起業する予定のエリアで実施している補助金・助成金がないか、チェックしておくといいでしょう。

創業助成事業(東京都)

「創業助成事業」は、東京都で創業5年未満の方または創業や起業を計画している方が応募できます。賃借料や人件費、広告費などについて、最大400万円の補助が受けられます。

創業して間もないころには、資金調達に課題を抱える場合もあるので、本制度の活用で柔軟に資金を増やすのが得策です。

  • 申請方法:電子申請または郵送申請
  • 補助上限額:上限400万円、下限100万円(助成率2/3以内)※対象経費によって変動
  • 主要件:都内での創業を具体的に計画していることなど
  • 対象者:創業から5年未満の個人、中小企業者など

補助されるのは申請した事業の経費かつ対象期間内に支払ったもののみです。ほかの助成金等と期間が重複しているなど、条件次第では対象外になる経費もあるので注意してください。

申請を検討中の方は下記記事で内容を確認し、申請の準備をしておきましょう。

出典:公益財団法人東京都中心企業振興公社「令和6年度(2024年度)第2回創業助成事業【募集要項】

2024年は上限金額がアップ!東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説

大阪起業家グローイングアップ事業(大阪府)

大阪府では、府内の事業者や起業しようとする方に向け、ビジネスプランコンテストを通じた補助金制度を設けています。コンテストの優勝者には補助金が支給されるほか、準優勝や特別賞においても賞金提供のあるイベントです。

  • 申請方法:メールによる申請
  • 特典:優勝補助金100万円(補助率1/2)、準優勝補助金50万円(補助率1/2)ほか
  • 主要件:コンテストへの応募など
  • 対象者:初めて起業する個人または法人で推薦機関の推薦を得られる人など

まずはビジネスプランを磨くためのプログラムに参加し、推薦機関による選抜と1次審査を受ける必要があります。腕試しを兼ねて補助金獲得を狙いましょう。

出典:オール大阪起業家支援プロジェクト「ビジネスプランコンテスト

特定創業支援事業制度

特定創業支援事業制度は補助金や助成金ではありませんが、これから創業を検討しているなら税金を安くするため活用してみましょう。会社設立にかかる登録免許税を半額にすることができます。

  • 申請方法:各自治体への問い合わせ
  • 支援内容:証明書の発行による登録免許税の軽減
  • 主要件:認定市町村などが実施する相談支援やセミナーへの参加など
  • 対象者:創業しようとする人、創業から5年未満の個人や法人など

講座受講などの条件をクリアすると証明書がもらえ、会社設立の登記申請時に証明書を持参すれば登録免許税が半額になる仕組みです。株式会社の登録免許税は15万円ですが、制度を活用すると半額の7万5,000円になります。合同会社の場合でも、6万円が半額の3万円となるため、コスト削減におすすめです。

出典:中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」、大阪市「特定創業支援等事業について

本制度を含めて補助金・助成金などを申請するには、情報収集や書類の作成に手間がかかります。専門家に依頼すれば、補助金・助成金の申請をスピーディーかつ簡単に済ませることが可能です。補助金ガイド(無料)では、補助金申請の相談先について詳しく解説しています。あわせてご活用ください。

地方起業に特化!創業・開業時に活用したい地方自治体の補助金・助成金

首都圏や大都市以外においても、独自に起業家への補助金・助成金制度を実施していることがあります。地域に密着したものが多く、該当エリアでの創業や開業に活用可能です。

ITの発達により、地方で起業しても活躍できるケースは珍しくありません。地域の性質を活かすこともできるので、移住も含めて検討しましょう。

起業支援金

都心部以外での起業を支援する制度として「起業支援金」があります。地域の課題を解決する新たな事業の立ち上げに際し、必要な経費を助成するものです。

  • 申請方法:各執行団体に申請
  • 補助上限額:最大200万円(対象経費の1/2)
  • 主要件:東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域での社会的事業の起業など
  • 対象者:起業地に居住している、または居住の予定があることなど

東京圏以外はもちろん、東京圏内であっても条件不利地域に該当するエリアであれば支援の対象となっています。審査に通れば交付決定となり、開業後の実績報告を経て支援金が支払われる流れです。

出典:地方創生「起業支援金

地方起業で利用できる支援金について、詳しくはこちらの記事を>>
地方起業に挑戦するなら支援金を活用しよう!支援金の特徴や交付までの流れを解説

以下では、具体的な地方の起業支援金についてご紹介いたします。

U・Iターン創業応援事業(新潟県)

「U・Iターン創業応援事業」は、公共財団法人にいがた産業創造機構が提供する補助金です。県外にいる事業者が新潟県内にU・Iターンして創業する際、経費の一部を補助します。

  • 申請方法:創業予定地域の商工会等への書類提出による申請
  • 補助上限額:200万円(対象経費の1/2以内、下限額50万円)
  • 主要件:U・Iターンにより新潟県内に移住および起業する方など
  • 対象者:令和7年2月28日までに起業する方 ※個人事業主の法人成りは対象外

地元の新潟県に戻りたいと考えている事業者には最適な制度です。デジタル技術の活用に伴う経費などが対象となります。助成の範囲に該当する事業にも定めがあるため、詳細をチェックしておきましょう。

出典:にいがた産業創造機構(NICO)「令和6年度:U・Iターン創業応援事業

あおもり移住起業支援事業費補助金(青森県)

公益財団法人あおもり産業総合支援センターでは、県内での創業を応援する「あおもり移住起業支援事業費補助金」を取り扱っています。

  • 申請方法:窓口または郵送での書類申請
  • 補助上限額:200万円(対象経費の1/2以内)
  • 主要件:移住前の10年間で通算5年以上青森県外に在住していたことなど
  • 対象者:青森県内に移住し開業の届出を行う者など

補助対象となる事業は、青森県の地域再生計画で定められる分野でなくてはなりません。デジタル技術の活用で地域課題の解決を目指すことなどが具体的な要件です。

創業・開業で地元の活性化に一役買えるチャンスにもなるので、応募を検討してみてください。

出典:公益財団法人21あおもり産業総合支援センター「令和6年度 あおもり移住起業支援事業費補助金のご案内

三重県起業支援金(三重県)

「三重県起業支援金」は、三重県内に移住・開業する方をサポートする支援金です。公益財団法人三重県産業支援センターが主導しており、経費の補助はもとより伴走支援等も行なっています。

  • 申請方法:郵送での書類申請
  • 補助上限額:200万円(対象経費の1/2以内)
  • 主要件:転入後5年以上継続して居住の意思があることなど
  • 対象者:三重県内に移住し新たに起業する者、事業承継する者など

対象事業の起業や事業承継に必要な経費が支援されます。申請は郵送のみとなっているので、早めに準備を済ませるのが得策です。

出典:MIESC 公益財団法人三重県産業支援センター「令和6年度三重県起業支援金

移住支援金

「移住支援金」は、東京23区で働く方や住んでいる方が東京圏外での起業に活用できる制度です。条件不利地域を含み、該当エリアでの開業を目指す方が申請できます。

  • 申請方法:各執行団体に申請
  • 補助上限額:世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内(都道府県が設定する額)
  • 主要件:東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域への移住など
  • 対象者:移住前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上該当エリアに通勤していたことなど

地方で起業・開業を目指す人にとっては頼もしい支援金です。少し都心から離れるだけで税金の負担が減るなど、都会にはないメリットも得られるでしょう。

出典:地方創生「移住支援金

その他、創業手帳ではたくさんの補助金・助成金の記事を取り扱っています。
補助金・助成金関連の記事はこちらもご確認ください

個人事業主の開業時にも補助金・助成金は活用できる!

紹介した補助金・助成金の中には、個人事業主の開業に使えるものも多くあります。「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」は、個人事業主が申請できる制度の例です。

ただし「U・Iターン創業応援事業」のように、個人事業主の法人成りには活用できないものもあります。すでに開業届を出していたり、創業から年数が経過していたりすると対象外になる制度もあるので、注意が必要です。

個人事業主が補助金・助成金の制度を検討する際は、自身や事業が対象となるのかをよく確認しましょう。特に地域限定の制度の場合、移住ルールなどについての把握も不可欠です。

起業・創業・開業時に補助金・助成金を活用するデメリットと注意点

事業に役立つ補助金・助成金ですが、デメリットをはじめとする注意点が存在します。知っておけばいざというときに焦らずに済むほか、仕組みを利用して上手に立ち回ることが可能です。

原則として後払いである

知っておきたい最大のポイントは、補助金も助成金も原則として「後払い」ということです。すぐに資金を受け取れるわけではなく、制度ごとの要件などを満たした後に補助金・助成金が給付されます。

通常の融資や出資のように、採択されてすぐに入金されるものではありません。現状の出費に対してキャッシュが使えるわけではないので、注意が必要です。

要件を満たすために資金が必要な場合がある

補助金・助成金には制度や申請枠ごとに要件があり、それを満たす必要があります。要件を満たすために、ある程度の資金を消費するケースも少なくありません。

たとえば特定の経費を対象とする補助金の場合、先に対象経費が発生したことの証明が必要です。経費を使った後で内訳や報告を行い、採択されて初めて経費の一部が受け取れます。

融資の担保になる場合がある

採択を受けた補助金・助成金を担保にして、日本政策金融公庫などの公的な金融機関から融資を受けられるケースがあります。補助金・助成金が融資の担保になることは公募要領に記載されていない場合が多いので、意外な盲点かもしれません。

補助金・助成金の振り込みには時間がかかりますが、担保になることを知っておけば振り込まれるまでの期間を融資でカバーできるのです。

「後払いなら支払いに間に合わないから諦めよう」と考える方もいるかもしれません。正しい知識を持つことで、融資を使い要件を満たす施策を行うことも可能です。

このように補助金・助成金は、スピード感のある資金調達とはいえません。スタートダッシュが重要な創業期に素早く資金を調達するには、融資や出資、クラウドファンディングも候補に入れるべきです。資金調達手帳(無料)では、補助金・助成金以外の資金調達方法について詳しく解説しています。それぞれの特徴をよく理解することで、経営戦略を立てる際に役に立ちますよ。

また、融資ガイド(無料)では、融資を成功させるための基本とノウハウをご紹介しています。安定した資金調達方法である融資の審査通過のために、ぜひご参考になさってください。



まとめ・補助金、助成金は起業時におすすめな資金調達の方法

起業時に活用できる可能性のある補助金・助成金の特徴や、活用のメリット、デメリットや注意点を知っておきましょう。

補助金や助成金は自ら戦略的に「取りに行く」姿勢が必要です。事業に見合う補助金や助成金を探しに行くのではなく、どうすればもらえるのかを戦略的に考えましょう。

人によっては、補助金や助成金の申請までに半年くらいかけて準備をする人もいます。

創業や開業には、補助金・助成金のほかに金融機関を頼るのも有効です。冊子版の創業手帳(無料)では、地方金融機関の活用方法について詳しく解説しています。地方金融機関は、事業計画書の策定支援やビジネスセミナーの開催、経営コンサルティングなどの創業支援を無料で行なっています。リソースの限られている創業期においては、非常に便利な存在でしょう。

補助金ガイドでは詳しく補助金・助成金についてまとめています。無料ですので、ぜひ利用してみてください。


補助金ガイド

自分にマッチした補助金・助成金情報が届く補助金AI(無料)サービスの登録は下記のバナーから!


補助金AI

初めての会社設立に!基礎知識をまとめたガイドブックプレゼント中


創業手帳と合わせて弥生の小冊子がもらえます。

(監修:起業コンサルタント(R)・税理士・社労士・行政書士 中野裕哲
(起業コンサルV-Spirits|無料相談受付中)

(編集・加筆:創業手帳編集部)

大久保写真補助金・助成金は融資にも有利!創業手帳 代表・大久保の視点

この記事を書いている創業手帳の代表の大久保です。多くの起業家の資金の相談を補助金も含めて受けてきた経験からお話しますね。

今回の記事で解説している補助金のように返済がいらない資金は、融資にあたって有利に働きます。

補助金が融資に有利に働く理由は2つです。

  • 資金の余裕
  • 事業の確実性・実現性

補助金や助成金でキャッシュが増えると、それを材料にして融資など別の方法での資金調達をしやすくなります。

一方で注意したいのが、補助金に手間を掛け過ぎること。起業家が大事なのは事業や仕組みを作ることで、補助金や助成金はその目的を達成するための資金調達の一部です。

そのため補助金・助成金はいかに効率的に申請するか、効果の大きいものに的を絞るのかが大事になります。

次に、「補助金・助成金と効率的に付き合うコツ」2つをお伝えします。

1.事業計画書は融資や経営を見据えて作る
近年増えている大型の補助金の多くは、事業計画書の提出が必須です。融資・出資も見据えて事業計画を作ると、補助金のためだけの書類にならないので手間が省けます。補助金や融資、実際の経営プランを含めて事業計画を作ることで、質が上がるのもメリットです。

創業手帳の巻末フォーマットだけでなく、創業手帳の会員登録画面で使える事業計画シート&資金シミュレーターもぜひご活用ください。どちらも起業家の利便性のために無料で配布しています。

2.本当に役立つ補助金・助成金を選ぶ
補助金のメリットより手間の方が大きかった、ということにならないように、自分に合った補助金を見つけることが大事です。

創業手帳では重要な補助金を解説した補助金ガイドや、自動で自分に合った補助金がメールで届く補助金AI(アイ)を提供しています。補助金AIは、AIと人間が補助金情報を整理・収集し、登録条件に合うものだけをお知らせするツールです。

制度が多すぎて補助金を探すのが面倒だ、気づいた頃には募集期間が終わっているという自らの経験をもとに、それを解消するために作りました。無料で使えるのでぜひ活用してくださいね。

創業手帳冊子版は毎月アップデートしており、起業家や経営者の方に今知っておいてほしい最新の情報をお届けしています。無料でお取り寄せ可能となっています。

補助金ガイド
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す