“富士山に学ぶ”経営戦略。日本で2番目に高い山は?富士山とiphoneの共通点
「富士山式」ブランド、立地戦略の4つのポイント
(2016/12/05更新)
東海道を通る時に見える富士山。
富士山には経営のヒントが隠されています。
日本で標高が一番高い富士山。
では、「二番目に高い山は?」という質問に、あなたは答えられるでしょうか?
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日本で二番目に高い山。答えは「北岳」です。
一番目・・・富士山 3,776m (山梨県・静岡県)
二番目・・・北岳 3,193m (山梨県) <南アルプス>
ここまでの話で、「ああ~、2番目は認知されないんだな。1番にならないといけないんだな」と思うでしょう。
ビジネスでは1番を狙うことで、色々な人や案件が集まる効果「ブランド効果」が絶大です。どこかと組むのであれば1番のところが安心という心理も働きます。そのため1番の会社やサービスは、余計に強くなるというサイクルが働きます。
以前の会社でも日本で一番と認知されてから、様々な案件が持ち込まれるようになりました。一番の効果は大きいのです。
ここまでの話で、「富士山は一番だから認知されているのかあ~」という思うかもしれませんが、それだけではありません。
標高を測定する方法は、江戸時代にはなく、正確な標高が分かったのは近代になってから。つまり日本一高い山がどこか分からない時代から、富士山は多くの人にめでられてきました。
富士山からは「1番の効果」以外にも、学ぶべきヒントがたくさんあります。
富士山とiphoneの共通点!?
富士山は昔から、浮世絵や文学に登場してきました。
富士山が多くの人にめでられてきたのは、その美しさにあります。富士山は火山灰がきれいに積もった円錐型の成層火山。世界でも類を見ない、きれいな形をしています。
2番目に高い北岳は、山脈で、形としては変わり映えがしない。他にも似たような形の山が無数にあるからです。富士山のようなきれいな形をした山は他にはほとんどありません。
他に無いシンプルな形をしている。美しさそのものと、他に無いという圧倒的な差別化要因があります。これは会社・製品で言う所の「デザインによる差別化」につながります。
圧倒的な認知、シェア、シンプルなデザインで言うと未だに高シェアのiphoneが連想されますね。強いて生かすとすればそぎ落としたデザインの追求の究極系が富士山ということでしょうか。
富士山の立地
ところで、富士山も辺鄙な誰も行かないところにあったとしたらどうでしょうか?
おそらく、今よりも親しまれていないでしょう。
東海道という交通の要衝から見える、昔ビルが林立する前は、江戸・東京という大都市から富士山は見えました。いまだに、東京や関東には「富士見」という地名があちこちにあります。
人口や交通量が多い「大消費地に近い」という意味では、素晴らしい製品も立地が重要であるということのヒントがあるように思います。
分かりやすさ
北アルプスはいったことがある方だと分かりますが、もう、山の近くに行くだけで大変。
富士山はなだらかに山頂まで続いており、実際上ると大変ですが、標高から考えると、比較的登りやすい山と言えるでしょう。
ナンバーワン戦略を取る以外に、「使いやすさ」も重要なわけですね。
もう一つ、富士山は、5合目まできたな、というように、目標が立てやすい。「進行状況の分かりやすさ」においては類を見ない山と言えるでしょう。
製品も今、自分がどのステップにいるのか、ということが分かりやすいと顧客の満足度も上がるかもしれません。
皆が勝手に広めてくれる・ファン&サードパーティー戦略
富士山は昔から浮世絵など絵画や文学など芸術の材料になってきました。皆が、喜んで勝手に広めてくれる、ということが製品の成功には重要でしょう。
ファンがいて、多くの人が広めてくれるような見えない資産の要素も重要です。富士山を描いた芸術家が富士山の美しさに感動して広めてきたことで、富士山の名が知られるようになりました。
富士山を多く描いた安藤広重は「富士山が日本で標高が一番高いから」描いたわけではなく、その姿に魅了されたから描いたのでしょう。それが富士山が認知されている最大の要因では無いでしょうか。
顧客自ら製品を広めてくれるような魅力的な製品を作れるようになりたいものですね。
(創業手帳・編集部)