賢い人は始めているNISAとは?基本知識から活用方法まで
個人事業主におすすめのNISAはこれからの資産形成の心強いパートナー
2014年にNISA口座がスタートしてから、多くの人が非課税枠を活用しています。さらに、2024年からは新NISAがスタートし、制度の拡充や恒久化が決定しました。
会社員は厚生年金や退職金がありますが、個人事業主は自分で老後資金を用意する必要があります。
NISAは、個人事業主が長期投資で老後資金を蓄えるのにも有効な手段です。
ここではNISA口座の基礎知識と、2024年にスタートする新NISAについてまとめました。制度の概要を把握して資産形成の計画を立ててください。
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この記事の目次
今さら聞けないNISAとは
NISAがスタートしたのは2014年のことです。
すでにNISA口座を活用している人もいれば、口座の開設だけでそのままになっている人、口座を開設していない人などもいるかもしれません。
実は、2024年に新しいNISA制度がスタートすることが決まっています。まず、2023年のNISA制度の基本的な知識からおさらいしていきましょう。
NISAとは
NISA(ニーサ)は、2014年にスタートした少額投資非課税制度です。NISA制度は、国民の資産形成を目的としています。
老後の生活を支えるため、将来の夢を叶えるために資産形成を目指す人は多くいるかもしれません。
資産を増やすために高い利回りの投資信託や株式に目を向ける人も増えました。投資による資産形成をサポートするために設けられたのがNISA制度です。
通常の株式や投資信託から得られる配当、譲渡益は所得税や住民税の課税対象となります。
所得税が15%、住民税が5%かかり、さらに復興特別所得税として所得税額の2.1%で合計20.315%が課税されます。
しかし、NISA制度を利用することで毎年一定の新規購入分を対象にして配当や譲渡益が非課税となるのです。
2023年現在のNISA制度では成年者向けのつみたてNISAと、一般NISA、未成年者向けのジュニアNISAの3種類があります。
2023年度税制改正の大綱などで、2024年以降のNISAについて抜本的な拡充や恒久化の方針が示されました。新しいNISAについては、後述します。
NISAのメリット・デメリット
NISA口座は、多くの人が活用しているものの、メリットがわかりにくくて活用できていない人も少なくはありません。
ここでは、NISAのメリット・デメリットをまとめました。これからNISA口座を活用するために知っておいてください。
メリット①売買益が非課税
NISAを利用する最大のメリットは、投資で得た収益が非課税になる点です。例えば、100万円で株式を購入して120万円で売却した場合を考えます。
(ここでは手数料については考えないものとします。)
100万円の株式を120万円で売却しているため、譲渡益は20万円です。通常の株式の売買であれば、利益の20万円に税金として20,315%が課税されます。
20万円から税金として40,630円が差し引かれて159,370円が受け取れる利益の金額です。
一方で、NISA口座で購入していれば通常なら税金が差し引かれるところを、20万円の利益を足した120万円がそのまま受け取れます。
メリット②分配金が非課税
投資で得られる収益は、売買した時の譲渡益だけではありません。
投資信託で分配金を受け取れるタイプのものや、配当金を受け取れる株式を購入する人も多くいます。
通常は、配当金や分配金にも20.315%が課税されますが、NISA口座では非課税です。
特に投資信託は少額からでもスタートしやすいため、投資初心者にも人気の金融商品です。
少しずつ投資していきたい人や、コツコツ分配金を受け取りながら資産形成したいと考えている人にもNISA口座が役立ちます。
デメリット①損益通算や損失の繰り越し控除ができない
NISA口座は、利益に対して非課税になる点が大きな魅力です。しかし、損益通算や繰越控除ができない点を見過ごすかもしれません。
当然ではありますが、株式は利益が出ることがあれば損をすることもあります。上場株式を売却して損した場合には、他の利益と相殺できる損益通算が利用できます。
また、損失は3年間繰り越してその間の利益と相殺できる繰越控除も可能です。しかし、NISA口座では一般口座や特定口座との損益通算や繰越控除はできません。
通常であれば損失を他の利益から差し引いて還付が受けられるのに、NISA口座に入れていることで相殺できず、納税額が増えてしまうことがあります。
NISA口座では利益に課税されませんが、損失も税務上ないものになってしまうので、注意してください。
デメリット②ひとり一口座しか持てない
NISA口座は、すべての金融機関でひとり一口座と決まっています。
2023年現在のNISA口座は、非課税枠120万円の一般NISAと、非課税枠40万円のつみたてNISAのどちらかを選ばなければいけません。
併用ができず、一年ごとにしか変更できないため、年単位でどちらにするかを決定します。
いろいろな金融商品に投資したいと考えている時には、この制限が邪魔になるかもしれません。
デメリット③新規購入の商品しか非課税にできない
NISAのメリットである非課税が適用されるのは、NISA口座を使って新しく購入した金融商品だけです。
一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託はNISA口座に移管できません。
また、NISAの商品やサービスは金融機関で違う点にも注意してください。
NISA口座で投資できる商品は株式から投資信託、海外上場株式、REITなど幅広いものの、金融機関によって取り扱う商品は違います。
そのため、NISA口座を開設した金融機関で投資したい商品を取り扱っていないというケースも起こり得ます。
金融機関によって扱っている商品だけでなく取引手数料や管理画面、ツールも違うので、NISA口座を開設する時には取扱商品や口座の使い勝手も比較するようにしてください。
NISA口座を開設するにはどうすればいい?
NISA口座を開設するには、金融機関での手続きが必要です。
今までNISA口座を開設したことがない人にも、どのような流れで開設するのかをわかりやすく紹介します。
①NISA口座を開設する証券会社・銀行の選び方
NISA口座を開設するには、NISA口座を開設する証券会社や金融機関を選んでください。
基本的には、自分が投資したい金融商品や投資信託を扱っている金融機関を選びましょう。
口座を開設したものの、希望する投資対象を扱っていないケースもあります。
NISA口座を扱っているのは、証券会社や銀行です。
銀行は主に投資信託を扱っていますが、証券会社では、上場株式や投資信託、ETF、REITといった幅広い金融商品を選択できます。
証券会社には金融商品のアドバイザーもいるので、バラエティー豊かな商品の中から自分のニーズに合ったものを選択可能です。
NISA口座はひとり1口座なので、慎重に選択してください。
②対面とインターネット口座開設の違い
すでに金融機関に口座を保有している場合には、NISA口座開設の手続きだけおこなえば問題なく開設できます。
しかし、まだ金融機関に口座を持っていない場合には、新規の口座開設をしてNISA口座開設の手続きが必要です。
口座開設は、本人確認書類や印鑑をもって金融機関の窓口で手続きできます。
また、インターネットで申込をすれば窓口に出向く必要はありません。Webサイトから申し込みをして本人確認書類を提出する方法で口座を開設できます。
窓口に出向く時間がない場合には、インターネットで申し込みできる金融機関を選ぶようにしてください。
③NISA口座を開設時の注意点
NISA口座はひとり一口座しか開設できません。そのため、行政が確認できるように住民票の写しの提出が必要です。
金融機関が用意する非課税適用確認の交付申請書と非課税口座開設届出書に、住民票の写しを添えて提出します。
住民票の写しは、住所地を管轄している市区町村役場や出張所の窓口で受け取り可能です。
また、自治体によっては図書館やコンビニでも受け取れます。
金融機関の中には、本人に代わって住民法の写しを取ってくれるサービスもあるので、忙しくて出向く時間がない場合には利用を検討してください。
金融機関は、提出された住民票の写しなどの書類を住所地の税務署に提出します。
税務署から金融機関への通知があり、問題がなければその金融機関でNISA口座を開設できる仕組みです。
行政の確認作業もあるため、金融機関の口座開設はすぐにできても、NISA口座の開設までには時間がかかります。
投資信託や上場株式は値動きがある商品なので、買うタイミングで価格が変わります。タイミングを逃さないためにも、早めにNISA口座を準備しておくようにしてください。
2024年からスタートする新NISA制度とは
2014年からスタートしたNISAですが、2024年からは抜本的拡充、恒久化された新しいNISAが導入されます。
現行のNISAとの違いを理解して、新制度のスタートに備えてください。
新NISAで何が変わる?
新しいNISAでは、様々な制度が変更されます。どのように変わったのか、以下で紹介します。
ここでは、2023年8月の情報をもとにしています。詳しい内容や制度の詳細は、公式のアナウンスを参照してください。
①非課税枠が拡大
これまでNISAの年間非課税枠は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円でした。
新NISAでは、年間非課税枠が合計で360万円と大幅に拡大します。
つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円となっており、非課税保有限度額は全体で1,800万円(成長投資枠は1,200万円)です。
新しいNISAは現行のNISAよりも年間の投資枠が大きくなり、より多くの金額で非課税の恩恵を受けられると考えられています。
今まで一般NISAの非課税枠は120万円だったため、上場株式では枠内におさまらない銘柄もありました。
しかし、非課税枠が拡大することで、上場株式の中でも多くの銘柄が購入できるようになり、銘柄をより自由に選べるようになりました。
②非課税保有期間が無期限に
現行のNISAでは非課税保有期間がつみたてNISAで20年間、一般NISAで5年間と定められていました。
つまり、非課税期間が終了する前に売却しなければ、課税口座に移管するか、翌年の非課税枠に移管するかの選択が必要だったのです。
しかし、新NISAでは有限だった非課税保有期間が無期限になります。非課税が恒久化され、これまでよりも長期的な目線での投資が可能となります。
③売却で投資枠が拡大する
現行のNISAでは年間の投資枠は一回使えば復活することはありません。しかし、新NISAではNISA口座内の商品を売却すれば、売却分の非課税枠が再利用可能です。
売却した翌年に商品の元本価格分の生涯投資枠が再利用される見通しとなっています。
今までNISA枠が再利用できなかったため、金融商品をNISA口座で売り買いするのは神経質にならざるを得ませんでした。
しかし、売却で再利用が可能になれば、ライフプランに応じて現金化したり、余裕ができた時に投資を再開したりと、よりフレキシブルな資産形成が可能となります。
④つみたて投資枠と成長投資枠で購入できる商品が違う
新NISAは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2本建てです。
「成長投資枠」は一般NISAの役割を引き継ぐもので、上場株式など幅広い投資ができます。
一方で、「つみたて投資枠」はつみたてNISAを引き継ぐものです。長期の積立・分散投資に適している条件を満たした投資信託などが対象です。
また、いままでの一般NISAとつみたてNISAは選択制でどちらか一方しか選べませんでしたが、新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」を併用することが可能となります。
金融商品や投資期間を分散させて投資したい時にもNISAを活用しやすくなりました。
まとめ
2023年末で今までのNISAは制度が終了となります。2024年からは新しく制度が拡充された新NISAがスタートします。
2023年の一般NISA投資分は、新NISAとは別枠で運用を継続可能です。
また、2023年末時点でNISA口座を開設しておけば、2024年1月に新NISA口座も自動開設できます。
現行のNISA口座を活用するとともに、新しいNISAをどのように活用するか考えておいてください。
(編集:創業手帳編集部)
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