FCのプロに聞け!儲かるフランチャイズ選びのための経営戦略とは
経営戦略を理解すれば儲かる構造が見えてくる!
(2016/06/16更新)
あなたがフランチャイズへの加盟を検討している場合、選択するポイントは何ですか?本来は会社として目指す方向性に合うフランチャイズを選ぶのが当然なのですが、多くの人が「不況に強い」「成長している」など儲かる業種かの基準だけで選んでいます。しかし自社の経営戦略で選んだ方が実は「儲かる」のです。
その理由を詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
フランチャイズは経営戦略で選ぶ
フランチャイズへの加盟を検討している方のほとんどが「儲かるビジネスかどうか」を基準に選定しているのではないでしょうか。
フランチャイズとは、ビジネスの形態のうちのひとつであり、経営手法のうちのひとつですが、形態のメリットデメリットを見て選ぶのではなく、自社の経営戦略のひとつとしてフランチャイズを捉えていく必要があります。
単にフランチャイズの業績がよいからとか、成長する分野だからといった理由だけではなく、経営戦略の中の選択肢としてフランチャイズがあり、経営戦略に合うフランチャイズを選ぶことができれば、今までとは全く異なる選択肢も見えてきます。
例えば直営展開やライセンス展開も選択肢のひとつで、フランチャイズもあくまでもその中のひとつの選択肢にすぎません。
単に儲かる儲からないを基準にするのではなく、自社の経営戦略を基準にしてフランチャイズを選定することが重要です。
そもそも経営戦略とは?
では、その基準にするべき経営戦略とは何なのかを見ていきましょう。
経営戦略とは実はさまざまな定理があり、一つに定まっているわけではありませんが、シンプルにとらえると、経営戦略とは、
- 売れるマーケットを選択する
- 売れる仕組みを作る
この2点に集約されます。
つまり、売れる商品を作ってどう売るかを考えるということが経営戦略の土台となり、財務や人事は付属する位置づけでしかありません。
それでは、経営戦略の骨格である「売れるマーケットを選択する」「売れる仕組みを作る」について詳しく見ていきましょう。
売れるマーケットは成長する産業だけじゃない!
商品を一から作るには企画して生産をしますが、今回はピークを過ぎて売り上げが落ちている商品をどのように強化していくかの観点でご紹介します。
商品のライフサイクルモデルとしてPLC(プロダクトライフサイクル)があります。
商品の導入→成長→成熟→衰退の流れの中でステージに合った対策を取ることで成長・成熟の期間を延ばしていく手法です。
また、ボストンコンサルティングが提唱するPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は市場成長率と相対的市場シェアを軸にして、自社の扱う商品を「金のなる木」「花形製品」「問題児」「負け犬」のどれかに位置づけます。
それぞれの商品の位置によって経営資源を配分するというものです。
PLCとPPMのような手法で商品を強化していきながら、新たな売れるマーケットを探していくことになります。
売れるマーケットを探すとき、多くの人は「成長する産業」を探します。
確かに成長する産業で成長するマーケットを選択するのがベストですが、実は衰退している産業の中にも成長するマーケットはあります。
例えば、外食産業の中のラーメンの業種や、「俺のシリーズ」に代表される立ち飲みの業態は、産業自体は斜陽ですが、ラーメン店や立ち飲み店は成長しています。
つまり、
- 産業もマーケットも成長している
- 産業は衰退しているが、マーケットは成長している
という2つの視点でビジネスを探すということです。
産業やマーケットは予測ができます。予測することがビジネス選定の一部となります。
ユニクロに学ぶ売れる仕組みとは?
次に売れる仕組みを作ることを考えてみましょう。このときに活用できるのがペンタゴンモデルです。
ペンタゴンモデルとは、「製造」「卸」「小売」「一般消費者」「オピニオンリーダー」の5つのプレイヤーがいてそれぞれの関連が定義されているものです。
企業はこの5つのプレイヤーのどれかに必ず属しています。フランチャイズの場合は加盟店が「小売」、本部が「製造」や「卸」に当てはまるでしょう。
この製造・卸・小売・一般消費者・オピニオンリーダーのポジションを今のプレイヤーから別のプレイヤーに変更すると売れる仕組みを作ることができます。
例えばユニクロはこのプレイヤーの変更で劇的に成長しました。ユニクロはもともと衣料販売という衰退傾向にある業種に属していましたが、自社ブランドで統一したコンセプトの商品を製造・販売する「SPA戦略」でプレイヤーとしての立ち位置を変更しました。
ペンタゴンモデルでの立ち位置を変えたことで、一気に成長したのです。
フランチャイズも販路構造によって儲かる仕組みかわかる
フランチャイズでもイノベーションの要素があるビジネスは優れた販路構造を持っています。
ペンタゴンモデルのなかのどのポジションに属してどのように取引するかで儲かる仕組みかがわかります。
ロイヤリティーや加盟金といった取引条件は事業継続のために大切な要素ですが、意外に見過ごされている部分でもあります。
そのような取引条件をしっかり確認しつつ、どんな組織で戦うのかを考慮してフランチャイズを選択していきましょう。
(監修:AT カンパニー株式会社 代表取締役 浅野 忍土(あさの しのただ))
(編集:創業手帳編集部)