副業の収入は雑所得?事業所得?給与所得?|3つの違いと判断基準をわかりやすく解説
税区分を理解すれば副業収入はもっと守れる

副業解禁となり、本業以外の仕事をはじめる人は増えています。
しかし、「副業したけど、どの所得になるのかわからない」、「雑所得?事業所得?どっちでもいいの?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。
また、「区分によって税金や経費が変わるって本当?」と自分の副業がどの区分となるのか不安に感じている人もいるかもしれません。
ここでは副業の税区分や確定申告での注意点をまとめました。副業収入があるが、税務に不安がある人はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
副業の税区分はなぜ重要なのか

副業の税区分と聞いても、すぐにピンとくる人は少ないかもしれません。
副業で得た収入は、その性質に応じた税区分に分けられます。具体的には、給与所得や事業所得、雑所得などです。
同じ収入額でも税区分により計算方式や控除の扱いが変わります。
つまり、税区分次第で最終的な税額が大きく異なるので、副業の手取り額に直接影響してしまうのです。
雑所得と事業所得では必要経費として認められる範囲が大きく違うため、事業所得に区分すべき所得を雑所得として扱った時に経費が認められなくなってしまうことがあります。
さらに赤字を他所得と通算できるか、翌年以降へ繰り越せるかが税区分で明確に分かれるため、節税余地やキャッシュフローに大きな差が生まれます。
税区分の違いには、住民税の計算や徴収方法にも影響があるため、会社でも住民税の変動から副業を知られてしまうかもしれません。
副業の税区分を誤ると、本来計上できる経費を失い、結果的に不当に多くの税金を支払うなどの影響があります。
間違った税区分にならないように、それぞれの違いを理解しておいてください。
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雑所得・事業所得・給与所得の違いを整理しよう

所得税法は、所得をその性質によって10種類の所得区分に分類しています。ここでは副業に関わることが多い、雑所得と事業所得、給与所得についてまとめました。
雑所得とは
雑所得は、所得税のほかの所得のいずれにも該当しない所得です。公的年金などが当てはまるほか、副業も雑所得に分類されることがあります。
例えば、フリマアプリや単発のスキル販売など継続性が弱い収入は、国税庁が定める基準に照らして雑所得に分類されやすい副業形態です。
「営利性・継続性・独立性」が十分でない活動は事業所得ではなく雑所得と判断される可能性が高くなってしまいます。
雑所得は必要経費の幅が狭く、赤字を利用して節税することもできないため、税務上のメリットは比較的少なくなってしまう点に注意してください。
事業所得とは
事業所得は、事業によって生じる所得を指します。副業が事業所得として認められるかどうかは、社会通念上、事業といえる活動が実施されているかどうかです。
動画編集やライティングなど請負契約に基づき継続して収入を得る働き方は、独立した事業性が認められ事業所得と認められやすい副業です。
「独立性・反復継続性・営利性」を総合的に判断して事業所得の該当性を判断するため形式ではなく実態が重視されます。
事業所得に区分されると青色申告が利用でき、特別控除や損益通算などの制度により副業でも大きな節税効果を得られる点が魅力です。
給与所得とは
給与所得は、雇用契約に基づいて勤務先から受け取った給料や賞与が該当します。
アルバイトやパートの掛け持ちは雇用契約に基づく働き方であるため、副業であってもすべて給与所得として扱われ源泉徴収の対象です。
給与所得は、事業所得のように必要経費を計上するのではなく、給与所得控除が自動適用されます。そのため、ほかの所得区分とは計算方式が大きく異なる点が特徴です。
給与所得では源泉徴収票が必ず発行されます。確定申告が必要かどうかを判断する際の重要な資料となるので受け取った時には必ず内容を把握してください。
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副業ごとの税区分早見表

副業ごとに税区分を判断するためのポイントをまとめました。次の章で紹介する判断基準や副業の種類などによって税区分が異なります。
| 副業の種類 | 税区分 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| PIXTA 写真販売 | 雑所得 | 趣味/単発売上 |
| ココナラ イラスト | 事業所得 | 請負・継続性 |
| 動画編集 | 事業所得 | 契約あり |
| ライティング | 事業所得 | 業務委託契約 |
| メルカリ転売 | 事業 or 雑(または非課税) | 生活用動産かどうか、継続性・営利性で判断 |
| 単発バイト | 給与所得 | 給与として支払い |
※早見表はあくまで参考としてご利用ください。
写真販売やメルカリなどは雑所得に該当するケースが多いものの、継続的かつ営利目的で行う場合は事業所得となる可能性もあります。
加えて、単発アルバイトなど雇用契約に基づくものは給与所得のため、請負契約の副業とは取り扱いが根本的に異なります。
どういった根拠でその税区分にしたのか、税務調査で回答できるよう準備しておいてください。
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雑所得か事業所得、給与所得かの“判断基準6つ”

所得区分の判別はあいまいな部分もあります。ここでは、所得の税区分を判断するための判断基準を6つ紹介しています。
それぞれの項目を確認しながらどの所得となるか考えてください。
独立性
どの所得かの判断で大切になるのが、独立性です。
自ら業務内容や価格を決定し独立してサービス提供している場合は、事業性が高く事業所得として認められやすい傾向があります。
一方で、雇用契約と近い実態で働く場合や依存度の高い働き方である場合は、事業所得ではなく給与所得として判断される可能性が高いです。
複数の顧客を相手に継続的に取引きしている状況は独立性を示し、事業所得としての判断材料として有力です。
事業所得を計上する時の資料として、取引先との契約書などは保管しておいてください。
反復継続性
事業であるというためには、単発ではなく継続していることも重要です。
単発的または不定期に発生する売上は継続性が弱いため雑所得に分類されやすく、収入の頻度は重要な判断材料です。
毎月または一定期間にわたって反復的に収入が発生している場合は、事業性が認められ事業所得として扱われる可能性が高くなります。
継続性の判断は金額だけでなく契約期間や実際の提供回数などが使われます。
客観的な実態に基づいて判断されるので、取引きの記録のように第三者でも事業を継続していると説明できる資料を用意しておいてください。
収益性・営利性
事業は、利益を得ることを目的にしています。利益を出すことを目的とし計画を立てて活動している場合は営利性が高く、事業所得として判断されやすいはずです。
一方で、趣味的な活動で売上が発生していても営利性が弱く、国税庁の基準上は雑所得として扱われるケースが多くなってしまいます。
価格設定の方法や取引きの実態は営利性判断の重要な資料であり、税務判断でも重視されるポイントです。
収入を得るための活動であるとわかるように、請求書や契約書といった証憑は必ず保管しておきます。
人・モノ・お金を使っているか
事業をはじめるには、自分の時間や金銭といったリソースの投入が不可欠です。
事務用品、機材、ソフト、広告費など業務に必要なものに対して、リソースを投入している場合、事業規模が一定と判断され事業所得に近づきます。
固定資産を使用している場合は、規模要件からも事業と判断されやすくなり、事業所得として分類される可能性が高まります。
一方で、雑所得は、一般的に業務規模が小さく設備投資も限定的です。資源投入が少ないことは、雑所得の判断の要因のひとつです。
事業所得とするためには、どれだけの資源投入をしたか把握できるような書類も用意してください。
社会的に“事業”と認知されるレベルか
事業用のサイトや屋号、名刺など対外的に業務を行う体制が整っている場合は、社会的認知が高まり、事業性を補強する根拠となります。
外部と継続的な取引きを行っている実績は事業としての信頼性を示す事業所得判断の有力な材料です。
国税庁は形式より実態を重視して判断しています。事業の活動内容と体制が整合しているかどうか、どれだけ社会的に認知されているかが判断において重視されます。
記帳・帳簿書類の保存を行っているか
2022年の通達改正により、事業所得と認められるには「記帳・帳簿書類の保存」が実質的な必須要件となりました。
収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば原則事業所得に区分されます。
逆に、一定額以上安定して稼いでいても、帳簿がなければ「雑所得」と判断されるリスクが高まります。
事業所得のメリットのひとつである青色申告を目指すなら、開業届と同時に会計ソフト等での記帳スタートが必須です。
帳簿をつける際は電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを使うと、領収書の保存もスムーズです。
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税区分によって変わること|副業者が知るべき実務

税区分の違いによって、実務上様々な違いがあります。ここでは、税区分によって変わることをまとめて紹介します。
経費の扱いが変わる
税区分によって必要経費として認められる範囲が大きく異なるため、同じ支出でも経費計上できる場合とそうでない場合が発生します。
節税効果がどのように変わるのか、以下で紹介します。
雑所得で認められる経費の範囲
雑所得では収入に直接紐づく支出のみが必要経費として認められます。そのため、家事関連費は原則として経費にできません。
また、業務利用が少ない支出は按分対象にならないケースが多く、事業所得に比べて経費算入の自由度が大きく制限されると考えなければいけません。
しかし、経費説明の責任は事業所得同様に求められるため、雑所得でも領収書管理や支出理由の整理は必須です。
事業所得で認められる経費の範囲
事業所得であれば、移動費や取材費など業務関連性が明確な支出は原則として経費として認められます。
売上獲得に必要と認められる支出を幅広く経費計上でき、通信費や水道光熱費なども合理的な按分により計上可能です。
業務に必要な固定資産の購入費は減価償却により複数年にわたり経費化できるため、長期的な節税効果を得られる点が大きな利点です。
税務調査で家事按分や経費計上の根拠について説明を求められることもあるので、事前に準備しておいてください。
赤字の扱い
赤字の扱いは所得区分ごとに大きく異なります。損益通算ルールに沿って正しく理解するようにしてください。
雑所得の赤字は損益通算NG
雑所得の赤字はほかの所得と相殺する損益通算が認められていません。そのため、赤字が発生したとしても、その後に税額が減る効果を受けられない仕組みです。
雑所得は、必要経費が限定的であるため、赤字として計上できるケース自体が少なくなってしまいます。必要経費を計上したとしても、税務署から否認される可能性もあります。
赤字計算の誤りがあると申告誤りとして修正申告を求められるので、雑所得の赤字申告は慎重に行ってください。
事業所得の赤字は損益通算・繰越控除OK
事業所得の赤字は給与や不動産所得と相殺できるため、総合課税全体の税額を大きく減らす効果があり副業でも有効に活用できます。
青色申告を選択すれば、赤字を翌年以降3年間繰り越せるので、収入の波がある時にも有利に働きます。
これらの控除を適用するには、青色申告の条件である帳簿保存や適正な経理処理が必須。優遇制度を活用できるように日々の記帳体制を整えておくようしてください。
住民税の扱いとバレる仕組み
住民税は所得区分により計算方法が異なり、特別徴収通知を通じて会社へ情報が届く仕組みです。
会社に副業を知られないためには、住民税の扱いとその対策を理解してください。
住民税の計算と通知の仕組み
住民税は前年所得に基づいて計算され、市区町村から会社へ特別徴収の通知が送られるため、副業分の増加が会社に知られてしまうことがあります。
住民税の納税を普通徴収にして、自分で納付するようにすると会社への通知対象から外れやすいものの、原則は特別徴収であり自治体によって扱いが違うことがあります。
給与以外の所得が大きくなると自治体が特別徴収を優先してしまう場合があるため、確実な回避策とはいい切れません。
バレないためにできる対応
事業・雑所得なら「普通徴収」を選択できるが、副業が「給与所得(バイト)」の場合は選択できないケースがほとんどです。
「バイトの副業」は本業の会社に通知が行くリスクが最も高いため、会社バレを避けたい場合は副業の選び方自体(契約形態)に注意してください。
会社に副業が知られたくないなら、バイト(給与所得)ではなく、業務委託(事業・雑所得)を選ぶようにおすすめします。
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よくある勘違いとQ&A

税区分の違いは、理解があやふやなままにしている人も少なくありません。ここでは、よくある勘違いとQ&Aをまとめました。
写真販売は全部雑所得?
写真やイラストの販売といった、単発的な収入は雑所得に分類されます。
ただし、税区分は、売上規模ではなく営利性や反復性といった実態が重視されるため、国税庁基準に沿って判断しなければいけません。
例えば、PIXTAなどで定常的に売上が発生している場合は、事業所得として扱われる可能性があります。
コンスタントに収益が出るようになった時には、事業所得にできないか考えてみてください。
ココナラは事業所得じゃないの?
ココナラのように、個人のスキルや経験を売買できるプラットフォームで副業をはじめているケースもあります。
ココナラでの収入は、事業として行っている場合は事業所得ですが、そうでない時には雑所得です。
請負契約に基づき継続して収入を得ているような場合は事業所得に計上され、単発の受注や趣味的活動の場合は雑所得として扱われるのが一般的となります。
契約形態と反復性が事業所得判定の主要な材料です。作業内容、稼働時間、取引きパターンなどが事業性を裏付ける資料となるので、必ず保管しておいてください。
単発で報酬をもらった場合は?
1日、数時間単位で働ける単発バイトは、手軽にスタートできて人気があります。
一度だけの業務提供だと雑所得となるケースが多く、継続性がない活動として事業所得には該当しにくくなってしまいます。
一方で、雇用契約で働いた場合は給与所得です。単発かつ請負契約が明確でない場合は事業所得として認められにくくなってしまいます。
その雇用形態が、雇用契約か業務委託契約かを勤務先に確認しておくようにしてください。
プロっぽいサイトがあると事業所得?
事業として認められるために、手の込んだサイトを用意するケースもあります。
しかし、サイトの有無は形式的要素に過ぎず、所得区分の決定において最優先されるのは活動の実態です。
実際の取引内容や継続性、契約形態などが国税庁の判断基準として重視されていて、サイトはあくまで補助的な材料にとどまります。
社会的認知は事業性を補強する要素として役立つが、最終的には実態が判断の中心である点を理解しておいてください。
給与所得と事業所得の両方が発生することはある?
収入の税区分が、どれかひとつにまとまるとは限りません。給与所得と事業所得は併存可能であり、国税庁の所得分類でも両方が存在するケースは想定されています。
つまり、給与所得を得ながら事業所得や雑所得を得ることには、まったく問題ありません。
ただし、ひとつの収入源が2つの所得区分に分類されることはありません。
所得区分が分かれる場合、それぞれ別の契約、雇用先から得た収入がそれぞれ異なる所得区分に分類されます。
給与所得は源泉徴収票を基に計算され、事業所得は収支計算により算出されるため、それぞれ別のルールで処理されます。
両者が併存する場合でも確定申告では全体が合算される総合課税です。
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まとめ|税区分を知ると、確定申告がスムーズに進む
自分の副業がどの税区分に該当するかを正しく理解すると、必要な申告書類や作業が明確になり確定申告をスムーズに進められるようになります。
税区分がわかれば青色申告の活用や経費算入の判断が適切に行えるようになり、結果として大きな節税も可能です。
副業者が最初に押さえるべき基礎知識として税区分を整理しておくと将来のトラブル回避と安定した副業運営につながります。
(編集:創業手帳編集部)







