事業再構築補助金 第11回の内容は?主な変更点や注意事項、スケジュールなどを紹介

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第11回公募でも最大2,000万円以上の補助!サプライチェーン強靱化枠はありません


2023年9月中旬前後から、事業再構築補助金 第11回の申請受付が始まります。第10回と比較し、公募要領の改訂も少しあるため、申請前にチェックしておきましょう。

今回は事業再構築補助金 第11回について、変更点やそれを踏まえた注意事項、スケジュールなどを紹介します。大がかりなビジネスの変革に乗り出そうという事業者の皆さんは、ぜひ活用をご検討ください。

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事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、厳しい現状を打開すべく、大掛かりな事業再構築に乗り出す中小企業等を支援する事業です。具体的には、事業や業種の転換、事業再編、国内回帰などの意欲がある企業が補助されます。

本補助金の特徴は、従業員20人以下の中小企業でも最大4,000万円とほかの補助金・助成金より補助上限が高額なこと。コロナの影響や物価高、その他の経営不振などを受けて思い切った経営改革を行おうと考えている事業者のみなさん、ぜひ活用をご検討ください。

事業再構築補助金の申請枠と補助金額・補助率

事業再構築補助金 第11回の申請枠と各枠の補助金額・補助率は下記の通りです。

概要 補助金額 補助率
①成長枠 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援。 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円
中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3)
中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

(※)事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45 円、②給与支給総額+ 6%を達成すること。

②グリーン成長枠 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援。 (エントリー)
中小企業者等【従業員数 20 人以下】100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 21~50 人】100 万円 ~ 6,000 万円
【従業員数 51 人以上】100 万円 ~ 8,000 万円
中堅企業等 100 万円 ~ 1 億円
(スタンダード)
中小企業者等 100 万円 ~ 1 億円
中堅企業者等 100 万円 ~ 1.5 億円
中小企業者等 1/2 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 2/3)
中堅企業等 1/3 (大規模な賃上げ(※)を行う場合は 1/2)

(※)事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45 円、②給与支給総額+ 6%を達成すること。

③卒業促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援。 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる。 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
④大規模賃金引上促進枠 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援。 100万円~3,000万円 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
⑤産業構造転換枠 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援。 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 4,000 万円
【従業員数 51~100 人】 100 万円 ~ 5,000 万円
【従業員数 101 人以上】 100 万円 ~ 7,000 万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大 2,000 万円上乗せ
中小企業者等 2/3
中堅企業等 1/2
⑥最低賃金枠 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援。 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円
中小企業者等 3/4
中堅企業等 2/3
⑦物価高騰対策・回復再生応援枠 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援。 【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,500 万円
【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 2,000 万円
【従業員 51 人~】 100 万円 ~ 3,000 万円
中小企業者等 2/3(※1)
中堅企業等 1/2(※2)
(※1)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の
場合は 1,200 万円までは 3/4
(※2)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は1,200 万円までは 2/3

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」

事業再構築補助金 第11回の主な変更点

事業再構築補助金 第11回では、第10回と比較して下記のような変更が加えられました。

なお、今回の変更は、第9回から第10回(2022年度から2023年度)の改訂のものに比べると軽微なものとなっています。大まかな制度設計としては、第11回は第10回とそれほど変わりません。第10回からとそれ以前の大きな変更内容については下記の記事をご参照ください。

事業再構築補助金 第10回以降の内容とは?スケジュールも含めて紹介

さて、下記では第11回からの主な変更点を紹介します。

サプライチェーン強靭化枠の公募はなし

事業再構築補助金 第11回では、サプライチェーン強靱化枠の公募は行われません

サプライチェーン強靱化枠は、第10回に新設された枠組みです。海外における製造業務等の国内回帰を支援することで、日本のサプライチェーン強化や地域産業の活性化などが目指されます。

サプライチェーン強靱化枠での申請をご希望の方は、第11回では申請を見送るか、ほかの枠組み等での申請をご検討ください。なお、2023年9月現在、第12回以降におけるサプライチェーン強靱化枠の動向は不明です。

審査項目の政策点に「事業承継」の観点が追加

政策点の変更箇所(赤字)

(4)政策点
(中略)
⑥ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」, p.48

事業再構築補助金 第11回の審査項目・加点項目には、上記赤字の「事業承継を契機として新しい取組を行う」という文言が追加されています。つまり、事業承継をきっかけとして、先代の経営資源を活かして事業再構築を行う場合、採択が受けやすくなるということです。

ちなみに事業再構築補助金の審査項目は、主に「事業化点」「再構築点」「政策点」の3点です。このうち、審査結果に大きな影響を与えるのは事業化点と再構築点だと言われており、政策点は加点要素に近いイメージだといえます。しかし、政策点において評価を受けることで、採択を受けやすくなることは間違いありません。

事業承継を機に、思い切ったビジネスモデル等の変革を目指す事業者の方は、ぜひ本補助金の活用をご検討ください。

公募要領に注意書きや事例などがいくつか追記

そのほか、事業再構築補助金 第11回の公募要領には、第10回のものに以下のような事柄が追記されています。

第11回での追記事項

・注意書きを追加【P1】
・金融機関による事業計画の確認が必要となる、補助金額が3,000万円を超える案件について、補助率引上げを受ける場合を追記【P4,19】
・補助事業実施期間中に、みなし同一法人に該当することになった場合の取扱いについて追記【P9,10】
・不採択又は交付取消に該当する事例として、③を追記【P29】
・「建物費」の注意事項※3に追記【P34】
・「建物費」の注意事項※9を追記【P33】
・「(2)補助対象経費全般にわたる留意事項」について、②の補助対象外経費の例を追記【P38】
・「(2)補助対象経費全般にわたる留意事項①」、「9.補助対象者の義務(2)」について、注意事項を追記【P38,42】
・「10.事業計画作成における注意事項」について、注意事項を追記【P44】

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金公募要領(第11回)の改訂履歴」(8月末時点)
※ページ番号には後からの追記により多少の前後が見られることがあります。ご注意ください。

上記内容の詳細については、公募要領でご確認ください。第10回の要領と対比してみるとより理解が深まります。

なお、次項で解説する注意点は、これら追記事項の要点を踏まえた内容で構成しています。そちらもぜひ参考にしてください。

事業再構築補助金 第11回の注意点

事業再構築補助金 第11回に応募される際は、以下のことにご注意ください。

採択後の減額や全額対象外の可能性もある

追加された注意書き

【重要】
○ 補助金交付候補者の採択結果は、事業計画に記載のある金額の全額に対して、補助金
の交付決定を保証するものではありません。補助金交付候補者の採択後に「補助金交
付申請」をしていただきます。その経費等の内容を事務局で補助対象経費として適切
なものであるかどうかの精査を行います。精査の結果次第では、交付決定額が、応募申請時に計上している補助金申請額から減額または、全額対象外となる場合もあります。

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」, p.1

事業再構築補助金の採択は、あくまで補助金交付候補者になることだけを意味し、交付を決定付けるものではありません。第11回から追記された上記の文言にもあるように、その後の精査で経費等の適切性が認められなければ、申請額からの減額や全額対象外もあり得ます。

そのため、支出する経費の内容が補助対象経費に含まれるのかどうか、十分な検討と調査が必要です。事業者自身での判断が難しい場合は、専門家を頼ることをおすすめします。なお、公募要領には、留意事項として補助対象外経費の例もまとめられているので、こちらも適宜参考にしてください。

補助金額3,000万円超えなら金融機関の確認が必要

事業再構築補助金に申請する経費等が3,000万円を超える場合は、金融機関から事業計画の確認を受ける必要があります。金融機関の所在地は任意で、事業所のある地域以外の金融機関も利用可能です。

なお、複数の申請枠に申し込む場合や補助率引上げを受ける場合は、補助金額全てを合算した金額で3,000万円を超えるか判断します。

親会社と子会社はいずれか1社しか申請できない

事業再構築補助金の公募要領には、親会社と子会社を同一法人とみなす「みなし同一法人」の規定があります。みなし同一法人に該当する場合、いずれか1社でしか申請できず、複数社で申請すると全ての申請が却下されるので注意しましょう。

なお、みなし同一法人と判断されるのは、具体的には以下のようなケースです。

みなし同一法人の定義

・親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合
・個人が複数の会社「それぞれ」の議決権を50%超保有する場合
・親会社が議決権の50%超を有する子会社が、議決権の50%超を有する孫会社や、更にその孫会社が議決権の50%超を有するひ孫会社等
・過去に交付決定を受けた個人事業主が設立した法人
・代表者及び住所が同じ法人、主要株主及び住所が同じ法人

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」

事業再構築補助金 第11回のスケジュール

事業再構築補助金 第11回のスケジュールは下記の通りです。

公募開始 令和5年8月10日(木)
申請受付 令和5年9月上旬~中旬(予定)
応募締切 令和5年10月6日(金)18:00
補助金交付候補者の採択発表 令和5年12月下旬~令和6年1月上旬頃(予定)

出典:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領(第11回)」

なお、事業再構築補助金 第11回の申請は、原則として電子申請システムによって行います。電子申請に必要なGビズIDプライムアカウントの取得には3〜4週間を要する場合もあるため、余裕のあるスケジュールで申請準備を進めるのがおすすめです。

まとめ

事業再構築補助金は、補助上限が2,000万円以上と規模が大きいため、交付されれば資金繰りがかなり楽になります。業種の転換や事業再編など、思い切った経営改革をお考えの方は、ぜひ活用をご検討ください。

第11回公募は、2023年9月中旬ごろに申請受付が始まり、応募締切は同年10月6日の18時です。締切までそれほど時間がないので、申請を希望の方は早速準備を始めましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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