中国や海外の休日はいつ?インバウンド需要に備えて対策しよう!
中国をはじめとする海外の休日事情はインバウンド需要把握につながる
日本は外国人から人気の観光地であり、インバウンド需要が高まっています。最近は、中国の国慶節の時期に多くの中国人観光客が訪日したことが話題になりました。
外国の休日には訪日する外国人客が増え、インバウンド需要が高まります。しかし、国ごとに休日は異なります。
各国の休日事情を知ればインバウンド需要の把握につながり、適切な対策を講じることが可能です。
今回は、中国を中心とした海外の休日事情や、インバウンド観光客がもたらす日本経済への影響、やっておきたいインバウンド対策などについて紹介します。
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この記事の目次
中国では大きな休日が年に2回ある
中国で年に2回ある大きな休日は、インバウンド需要が特に高まるタイミングです。まずは、中国を代表する大型連休の春節と国慶節について紹介します。
春節(1月下旬~2月中旬頃)
春節とは、中国における旧暦の正月のことです。新暦の正月は1月1日ですが、中国では春節のほうが重要とされています。
中国の旧暦に基づいているため毎年春節の時期は異なりますが、およそ1月下旬~2月中旬の3日間です。
中国では土曜日・日曜日が公休日となっており、祝日の前後にある土日をつなげて3~7日間程の連休になります。
振替日は政府によって決められており、前年の11~12月頃に発表されます。
また、連日の日数は休日ごとにおおまかに決まっており、春節は7連休となるのが一般的です。
なお、2025年の春節は1月29日となるので、前後の土日を含むと9日間程度の連休となることが予想されます。
国慶節(10月1日~10月7日)
国慶節は中国の建国記念日であり、国の反映を祝う祝日です。国慶節にあたる10月1日から3日間が法定休日になりますが、振替によって7日程度の大型連休になります。
2024年は中秋節が重なったことで、8連休となりました。
国慶節は旅行シーズンになり、多くの国民が国内外を移動します。
日本に旅行へ訪れる人も多く、1年の中でも特にインバウンド需要が高まるタイミングといえます。
中国の大型連休中のインバウンドの動向
中国の大型連休中は日本への観光客が増える傾向にあり、日本経済に良い効果をもたらすことが期待されています。
JNTO 訪日外客統計のデータによると、春節を含む2024年2月の訪日中国人の人数は459,400人でした。(2024年3月時点)
コロナ後最多人数を記録しており、訪日人数は回復傾向にあります。
2024年の国慶節期間中に訪日した中国人の人数は、まだ発表されていません。
しかし、中国のOTA(インターネットのみで取引きを行う旅行会社)であるCtripの調査によれば、国慶節期間中の人気海外旅行先のトップは日本とのことです。
そのため、国慶節には多くの中国人旅行客が訪日したことが考えられます。
その他訪日客が増えやすい中国の休日
中国では春節と国慶節以外にも法定休日が存在します。ここからは、中国の法定休日を紹介します。
清明節(4月5日前後の3日間)
清明節は毎年4月5日前後にある祝日で、日本でいうお彼岸やお盆に該当します。先祖を祀る日であるため、墓参りをする人が多くいます。
法定休日は1日ですが、振替によって3連休となるのが一般的です。この時期に旅行する中国人も多くみられます。
労働節(5月1日前後の5日間)
労働節は毎年5月1日にある祝日で、労働者の祭典(メーデー)です。5月1日は世界各国で祝日と設定され、多くのイベントが開かれます。
中国でもメーデーの日は多くのイベントが開催され、家族や友人とゆっくり過ごす日とされています。
法定休日は1日ですが、振替によって5連休となることが一般的です。比較的長い休日となるため、海外旅行する人が増えやすい時期といえます。
端午節(6月上旬~中旬頃の3日間)
端午節は、中国の旧暦で5月5日にあたる祝日です。旧暦に基づくため、6月上旬~中旬頃に祝日があります。
ちまきを食べたり、龍を模した手漕ぎ舟で競い合う龍舟競漕(ドラゴンボート)が開催されたりするのが古くからの慣習です。
法定休日は1日ですが、振替によって3連休になることが多くあります。短い連休ですが、このタイミングを利用して訪日する人も少なくありません。
中秋節(9月中旬~10月上旬頃の3日間)
中秋節は、中国の旧暦で8月15日にあたる祝日です。旧暦に基づくため、9月中旬~10月上旬頃が祝日になります。
日本では「中秋の名月の日」として親しまれており、中国国内でもこの時期はお月見を楽しんだり、伝統的な菓子である月餅を食べたりする習慣が定着しています。
法定休日は1日ですが、振替によって3連休となるのが一般的です。国慶節の前後にある祝日で、年度によっては祝日が重なって超大型連休となることがあります。
その他海外の休日とインバウンドの動向
日本には中国だけではなく、様々な国の人が旅行などで訪れています。ここからは、各主要国の休日とインバウンドの動向を紹介します。
韓国
韓国には、元旦や三一節(独立運動記念)など11の法定休日があります。中でもインバウンド旅行客が増える傾向にある主な祝日は以下のとおりです。
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- 旧正月:1月下旬~2月上旬頃の3日間
- 開天節(建国記念日):10月3日
- 秋夕(チュソク):9月下旬~10月上旬頃の3~5日間程
- ハングルの日:10月9日
旧正月は、当日と前後3日間が休日となります。特に大型連休ではありませんが、中国の大学が夏季休暇になるため、家族や友人と海外に旅行する人が増えます。
そのため、日本への旅行客も増える傾向です。
なお、秋になると開天節・秋夕・ハングルの日などの祝日が続きます。
秋夕は旧暦に基づくのでその年によって祝日が異なりますが、前後の土日や開天節、ハングルの日と続いて大型連休になる傾向です。
そのため、秋もインバウンド需要が高まりやすい時期といえます。
アメリカ
アメリカには大統領の日やメモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)など、11の法定休日が存在します。中でもインバウンド需要が高まりやすい祝日は以下のとおりです。
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- キング牧師誕生日:1月の第3月曜日
- 大統領の日(ジョージ・ワシントンの誕生日):2月の第3月曜日
- レイバー・デー(勤労感謝の日):9月の第1月曜日
- コロンブス・デー(大陸発見記念日):10月の第2月曜日
- サンクスギビング・デー(感謝祭):11月の第4木曜日
アメリカでは月曜日が祝日になることが多く、キング牧師誕生日や大統領の日などの祝日は土日を含めれば3連休です。
サンクスギビング・デーは木曜日ですが、金曜日に有給休暇を取得して4連休とすることが多くあり、旅行を楽しむ人も多くいます。
特に訪日客が多くなるのは、6月から8月にかけての夏季休暇です。
また、クリスマスから新年までは冬季休暇(年末年始休暇)になり、インバウンド旅行客が増える傾向にあります。
イギリス
イギリスには、元旦やグッド・フライデー(聖金曜日)などの法定休日があります。日本へのインバウンド旅行客が増える傾向にある主な休日は以下のとおりです。
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- グッド・フライデー:イースター(復活祭)の前の金曜日
- イースター・マンデー(復活祭月曜日):イースターの翌日(月曜日)
イースターの前の金曜日にはグッド・フライデー、イースターの翌日にはイースター・マンデーという祝日が続いており、土日を含めると4連休になります。
イースターは3月~4月の日曜日となり、その年によって祝日になる日が異なります。グッド・フライデーとイースター・マンデーも年によって異なることに注意してください。
また、子どもの長期休暇に合わせて旅行を楽しむ人が多くいます。3月~4月頃には2週間ほどのイースター休暇があります。
さらに、7月中旬から9月上旬は夏季休暇になるため、特に海外旅行する人が増えます。
オーストラリア
オーストラリアには、オーストラリアデーやキャンベラ・デーなど法定休日があります。
州独自の休日も豊富です。インバウンド旅行客が増えやすい主な休日は以下のとおりです。
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- グッド・フライデー:イースター(復活祭)の前の金曜日
- イースター・マンデー(復活祭月曜日):イースターの翌日(月曜日)
- レイバー・デー(勤労感謝の日):10月の第1月曜日
イギリスと同様にイースターの時期に合わせてグッド・フライデーとイースター・マンデーがあり、この時期は4連休となります。
また、レイバー・デーが10月の第1月曜日が祝日なので、土日を含めると3連休となることが多くあります。
さらに、子どもの長期休暇も旅行シーズンです。
オーストラリアは南半球に位置するため、12月~1月下旬の夏季休暇が旅行シーズンのピークになりやすいといえます。
インバウンド観光客が起こす日本経済への影響
中国をはじめとする海外の観光客が訪日することで、経済に様々な影響が出ます。日本経済が受ける影響は以下のとおりです。
海外旅行先ランキング上位を維持する「日本」
日本は海外旅行先ランキング上位を維持しており、中国やその他の国からの旅行需要が増大傾向にあります。
中国のOTAであるCtripのデータでは、国慶節期間で人気が高まっている旅行先において日本がトップに挙がっていました。
特に富裕層ユーザーの間で需要が高まっているようです。
また、旅行のトレンドは、ドライブやハイキングなど自由かつ柔軟な旅行の楽しみ方を選ぶ傾向が強まっています。
そのため、日本の自然景勝地を中心に旅行プランを組む旅行客が多くみられます。
訪日中国観光客が期待するのは観光とショッピング
訪日中国人観光客をはじめ、インバウンド旅行客が日本で期待しているものは観光とショッピングです。
四季がある日本は、桜や紅葉のシーズンに訪日観光客が集中する傾向にあります。
伝統文化や自然を楽しみたい観光客は多く、富士山や北海道、京都の寺院などは特に人気の高いスポットです。
そのため、自然や伝統文化を体験できる観光地は大きな経済効果を期待することが可能です。
また、高品質な日本の製品を求めて訪日する観光客も多くいます。
大型連休によってインバウンド旅行客が増えれば爆買いする人も増えるため、日本経済が活発化する傾向にあります。
「コスメ」や「デジタル製品」が若い世代に注目を集める
若い世代のインバウンド旅行客の間では、コスメやデジタル製品に注目が集まっています。
インタセクト・コミュニケーションズ株式会社が中国人を対象に行った調査によると、「国慶節期間中に国内や海外で特別なセール・プロモーションの実施を期待しているか」という質問に対して8割以上が「している」と回答しました。
また、「購入したいサービス・商品」は、コスメが68.0%、デジタル製品が61.4%と高い割合を占めています。
海外の休日に合わせて特別なセール・プロモーションを開催すれば、インバウンド旅行客の集客につながり、売上げを伸ばせる可能性があります。
日本企業が取組むべきインバウンド対策例
インバウンド需要が高まる日本では、外国人を集客するためにインバウンド対策に取組む必要があります。
業界によって必要な対策は異なりますが、多くの業界で取り入れられる対策には以下のようなことが挙げられます。
Webサイトやメニュー表などを多言語に対応する
はじめに取組みたいインバウンド対策は、Webサイトやメニュー表などを多言語に対応することです。
外国人はWebサイトから情報収集をしており、英語や中国語など様々な国の言葉に対応していれば適切な情報を伝えられます。
うまく情報が伝われば、訪日した際に来店やサービスの利用にもつながるかもしれません。
また、外国人向けにメニュー表を多言語化すれば、お店の利用に安心感を与えられます。
Web予約やキャッシュレス決済を導入する
Web予約やキャッシュレス決済の導入もおすすめです。予約方法が電話のみであれば、言葉が通じず、予約を取れないなどのトラブルになる可能性があります。
一方、Web予約を導入すれば、言葉の壁に悩むことなく予約を入れてもらうことが可能です。
なお、インバウンド旅行客は現金ではなく、キャッシュカードやスマートフォン決済などを利用する人も多くいます。
キャッシュレス決済なら現金のやり取りが不要で、スムーズに決済を完了できます。
SNSで外国人向けに情報を発信する
SNSで外国人向けに情報発信を行うこともインバウンド対策になります。
SNSから観光地やお店の情報を収集している外国人は多く、SNSの運用によって外国人の目に留まるかもしれません。
写真や動画の投稿で商品やスポットの魅力を伝えることで、興味を持ってもらい、実際に訪れてもらえる可能性があります。
ターゲットとなる外国人の国や地域、性質によってマッチするSNSは異なるため、複数のSNSを運用すれば効率良く集客できます。
まとめ・中国や海外の休日を把握してインバウンド対策をしよう
中国やをはじめとした海外の休日には、旅行を楽しむ人が多くいます。
インバウンド観光客はビジネスにおいては重要なターゲットとなるため、インバウンド対策を行い、集客していくことが必要です。
また、国ごとに休日や旅行のハイシーズンが異なるため、各国の状況をリサーチして、休日を迎える前にインバウンド対策をすることが大切です。
外国人をターゲットにビジネスを展開したい人は、各国の休日やインバンドの動向をチェックしてみてください。
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(編集:創業手帳編集部)