【2026年・令和8年分】年末調整の書き方・やり方|見本付きでわかりやすく解説

従業員も経営者もわかりやすい「年末調整のやり方・書き方」入門ガイド

電卓と年末調整書類の写真に「【最新版】年末調整のやり方まるわかり」と表示された記事イメージ

この記事でわかること
  • 年末調整とは?基本の役割
  • 従業員向けの必要書類の書き方
  • 経営者・経理担当者向けの年末調整の手順
  • 令和8年度における変更点

「年末調整」は、書類をどう書けばいいのかわかりにくいものです。「名前だけ書いて提出ではだめなの?」とも考えがちです。

この記事では、年末調整の書き方を見本付きでわかりやすく解説。従業員が記入する書類のポイントから、経営者・経理担当者が行う手続きまで、順を追って紹介します。

この記事の目次

年末調整とは

年末調整とは、源泉徴収による所得税の年間合計額と、年税額を一致させる精算手続きです。

所得税はその年の1月1日から12月31日までの所得をもとに計算されますが、源泉徴収では毎月の給与から少しずつ天引きしています。給与や控除などの年額が確定していない段階で、概算で前もって徴収しているため、実際の納税額とはずれが生じる可能性があるのです。

このずれを年末調整で整え、多すぎる分は還付し、少なければ追加で徴収する必要があります。原則として勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している給与所得者であれば、年末調整の対象者です。新卒も例外ではありません。ただし、年間の給与収入が2,000万円を超える人などは、年末調整の対象外となり、原則として確定申告が必要です。

【2026年・令和8年分】年末調整の主な変更点

令和8年(2026年)度の税制改正により、年末調整では、基礎控除や給与所得控除の見直しなどに加え、生命保険料控除の特例にも注意しましょう。
基礎控除の引き上げなどは原則2026年12月1日施行で、令和8年分の年末調整には反映されます。ただし、11月30日以前に年末調整を行った人は改正後の控除等が適用されないため、適用を受けるには確定申告等が必要です。

主な変更点は次の4つです。

基礎控除が引き上げられる

2026年(令和8年分)から、基礎控除が引き上げられます。合計所得金額に応じて控除額が設定され、最大の場合で104万円となります。正しい控除額になるよう、年末調整では基礎控除申告書の記載内容について確認が必要です。

給与所得控除の最低保障額が引き上げられる

給与所得控除の最低保障額が、これまでの65万円から74万円(本則69万円+令和8・9年分の特例5万円)に引き上げられます。給与所得控除は、給与収入から給与所得を計算する際に差し引く控除です。給与収入が一定額以下の人は、この引き上げで給与所得が少なく計算され、所得税の負担が軽くなる可能性があります。

扶養親族等の所得要件が変更される

扶養控除の対象となる扶養親族などの合計所得金額の要件が、これまでの58万円以下から62万円以下に引き上げられます。給与収入だけの場合は、扶養控除の対象となる給与収入の上限が123万円以下から136万円以下となります(令和8・9年分。給与所得控除の最低保障額74万円を前提とした金額)。

23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除に特例が設けられる

23歳未満の扶養親族がいる場合、新保険料等に係る一般の生命保険料控除の適用限度額が4万円から6万円に引き上げられます。この措置は、令和8・9年分の特例です。適用を受ける際は、保険料控除申告書の記載に注意しましょう。

【従業員向け】年末調整の必要書類と書き方

電卓を操作しながらペンで書類に記入する女性の手元。年末調整の書類作成や計算を行うイメージ

従業員の年末調整は、「名前だけ書いて提出」では済みません。ここでは、必要書類とそれぞれの書き方を、わかりやすい記入例の見本とともに解説します。

年末調整で提出する主な書類

年末調整では、受ける控除の種類などに応じて必要な申告書を、勤務先に提出します。すべての従業員が同じ書類を提出するわけではありません。主な申告書は以下のとおりです。

書類名 どのような場合に提出するか
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 基礎控除を受ける場合や、配偶者(特別)控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除の適用を受ける場合
扶養控除等(異動)申告書 扶養控除などを受ける場合。ただし年末調整を受ける給与所得者は、扶養親族の有無を問わず原則全員提出
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除を受ける場合
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除の適用を受ける場合

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の書き方

「マル基・配・特・所」と呼ばれる控除に関する申告書は、以下4つの控除申告書が1枚にまとめてあります。

申告書名 特徴
基礎控除申告書 給与所得のある人のための基本的な控除
配偶者控除申告書 収入が一定以下の配偶者がいる人向けの控除
特定親族特別控除申告書
(令和7年度から新設)
19歳以上23未満の収入がある子供などを扶養している人向けの控除
所得金額調整控除申告書 年収850万円を超え、かつ一定の要件に該当する人向けの控除

各申告書の特徴を知っておけば、自分が書くべき欄はどこか、目星がつきます。

ここからは4つの申告書それぞれの書き方を具体的に見ていきましょう。

「◆給与所得者の基礎控除申告書◆」の部分

令和8年分の給与所得者の基礎控除申告書の記入例。合計所得金額の見積額、区分Ⅰ、基礎控除額の記入箇所を示している
記入例の出典:国税庁「《記載例》令和8年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

まずは「給与所得者の基礎控除申告書」の部分です。
この書類の記入・提出を忘れると、年末調整で基礎控除を受けられないため要注意です。以下の手順で記入を進めていきましょう。

  1. (1)給与所得の「収入金額」
    1月〜12月までの給与・賞与の合計金額(社会保険等を引かれる前の総支給額)の見積額を記入する
  2. (1)給与所得の「所得金額」
    申告書裏面の「給与所得の計算欄」の表に1を当てはめて計算し記入する
  3. あなたの本年中の合計所得金額の見積額
    所得金額の合計金額を記入する
  4. 控除額の計算表のチェック
    3の金額と「控除額の計算」の表を照らし合わせ、当てはまる金額区分にチェックを入れる
  5. 区分Ⅰ
    4でチェックを入れた区分(A~C)を記入する
  6. 基礎控除の額
    4と5をもとに、当てはまる金額を基礎控除の額に記入する

 
手順3について、給与以外の所得がない人は、給与所得の所得金額をそのまま合計金額の欄にも記入します。

手順4「区分Ⅰ」のところは、所得金額が2,500万円超の場合は記入不要です。

令和8年分の基礎控除額は段階的に複数の範囲に分かれるため、所得金額の見積額と区分Ⅰとを正しく照らし合わせて確認しましょう。

「◆給与所得者の配偶者控除等申告書◆」の部分

令和8年分の給与所得者の配偶者控除等申告書の記入例。配偶者の所得見積額、区分Ⅱ、配偶者控除額または配偶者特別控除額の記入箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、配偶者がいる場合で、次の条件に当てはまるときに記入します。配偶者がいない場合は記入する必要はありません。

  • 申告者自身の年間所得が1,000万円以下
  • 配偶者の年間所得が133万円以下

当てはまる場合は次の手順で記入していきましょう。

  1. (1)給与所得の「収入金額」
    配偶者の1月〜12月までの給与・賞与の合計金額(社会保険等を引かれる前の総支給額)の見積額を記入する
  2. (1)給与所得の「所得金額」
    申告書裏面の「給与所得の計算欄」の表に1を当てはめて計算し、記入する
  3. 配偶者の合計所得金額の見積額
    所得金額の合計金額を記入する
  4. 判定欄
    3の金額と配偶者の年齢に基づいて、判定欄の当てはまるところにチェックを入れる
  5. 区分Ⅱ
    4をもとに当てはまる番号(➀~④)を記入する
  6. 「配偶者控除の額」または「配偶者特別控除の額」
    区分Ⅰ(申告者の区分A~C)と、5で記入した配偶者の区分をもとに、どちらかに当てはまる金額を記入する

 
配偶者の所得が62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除が適用されます。

夫婦相互に配偶者控除を受けることはできません。共働きの場合、夫婦どちらか一方のみ配偶者控除、または配偶者特別控除を申告します。

令和8年の場合、配偶者の所得が62万円以下であれば、配偶者が70歳以上かそうでないかでも控除額が変わります。「所得62万円以下かつ70歳以上」の場合は区分➀の老人控除対象配偶者の対象です。

「◆給与所得者の特定親族特別控除申告書◆」の部分

令和8年分の給与所得者の特定親族特別控除申告書の記入例。特定親族の氏名、所得見積額、特定親族特別控除額の記入箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

「給与所得者の特定親族特別控除申告書」は、令和7年分から創設された特定親族特別控除に関する申告書です。

次のどちらの条件にも当てはまる「特定親族」がいる申告者に適用されます(配偶者は除く)。

  • 申告者(所得者)と生計を一にする19歳以上23歳未満
  • 合計所得金額が62万円超123万円以下

「アルバイトをしている大学生の子供」などが当てはまる可能性があります。アルバイトの所得を確認し、当てはまる場合は以下の手順で記入してください。

  1. 氏名、生年月日等
    特定親族に当てはまる親族の情報を記入する
  2. 特定親族の本年中の合計所得金額の見積額
    特定親族の所得見積額を記入する(申告者自身の所得金額を算出したときと同じ要領で)
  3. 特定親族特別控除の額
    2と「控除額の計算」の表を照らし合わせて、当てはまる金額を記入する

 
当てはまる親族が2名以上いる場合は、それぞれの情報を記入してください。

控除額は特定親族の合計所得金額に応じて異なり、1人当たり最大63万円です。両親が働いていてどちらも年末調整するときは、どちらか片方にだけ特定親族特別控除が適用されるため、どちらで申告するかを決めておきましょう。

「◆所得金額調整控除申告書◆」の部分

令和8年分の所得金額調整控除申告書の記入例。適用要件や扶養親族、特別障害者などを記入する欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」

「所得金額調整控除申告書」の欄は、年収見積額が850万円以下の人は記入する必要がありません。

共働きで夫婦ともに850万円超の年収がある場合、要件に該当すれば個々に所得金額調整控除を申告できます。

4つの「要件」のうち、当てはまるものにチェックを入れますが、2つ以上の要件が該当する場合は1つだけで構いません。

チェックを入れた欄に応じて、右側の「扶養親族等」と「特別障害者」の欄を埋めてください。

「扶養控除等(異動)申告書」の書き方

扶養控除等(異動)申告書は、申告者が扶養する親族や源泉控除対象親族等の情報を記入します。ABCDの記載欄は扶養者との関係性や年齢などで記載欄が変わり、所得金額によっても記載区分が変わるので注意しましょう。

扶養する親族に該当する人がいなければ、自身の情報以外は記入しなくて構いません。以下で各欄の詳細を説明します。

「A源泉控除対象配偶者」の部分

令和8年分の扶養控除等申告書の記入例。A欄の源泉控除対象配偶者について、氏名や所得見積額などを記入する箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分扶養控除等申告書」

源泉控除対象配偶者とは、以下のどちらにも当てはまる配偶者です。当てはまっていれば、氏名などの必要な情報を記載します。

  • 申告者の所得の見積額が900万円以下=基礎控除申告書で判定した区分ⅠがA
  • 配偶者の所得の見積額が95万円以下=配偶者控除等申告書で判定した区分Ⅱが➀~➂

「令和8年中の所得の見積額」には、配偶者控除の計算時に記入した所得金額と同じ金額を記入しましょう。

配偶者が非居住者に該当する場合は、「非居住者である親族」の欄に◯を付け、親族関係書類を提出か提示します。また、年末調整でその配偶者について配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合は、原則として送金関係書類の提出または提示も必要です。

「B源泉控除対象親族(16歳以上)」の部分

令和8年分の扶養控除等申告書の記入例。B欄の16歳以上の源泉控除対象親族について、氏名や続柄、所得見積額などを記入する箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分扶養控除等申告書」

「源泉控除対象親族(16歳以上)」の欄には、16歳以上の控除対象扶養親族や、19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円超100万円以下の特定親族などの情報を書きます。控除対象扶養親族とは、申告者が扶養している子供や親(6親等内の血族および3親等内の姻族)で、所得見積額が62万円以下の人です。

扶養親族の状況に応じて、以下のように記入すべき欄や内容が変わります。

記入欄 記入内容
老人扶養親族 / 特定扶養親族 / 特定親族 当てはまる項目にチェックを入れる

  • 同居老親等:70歳以上(昭和32年1月1日以前生)
  • 特定扶養親族:19歳以上23歳未満(平成16年1月2日~平成20年1月1日生)
  • 特定親族:19歳以上23歳未満かつ合計所得金額62万円超100万円以下
非居住者である親族 / 生計を一にする事実 非居住者の扶養親族である場合に、必要に応じて以下を記入する

  • 当てはまる項目へのチェック
  • 非居住者である扶養親族への送金額

非居住者とは、日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない人を指します。扶養親族が海外に住んでいる場合は、非居住者に該当するかを確認したうえで、該当欄に記入しましょう。

「異動月日及び事由」は、扶養親族の数が増減した理由と日付を記入する欄です。婚姻・出生・死亡・就職などがあげられます。所得要件の改正によって新たに扶養親族等に該当することとなった場合も、異動の事由として記載します。

「C障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の部分

令和8年分の扶養控除等申告書の記入例。障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合のチェック欄と記入箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分扶養控除等申告書」

「障害者」「寡婦」「ひとり親」「勤労学生」と記されたチェックボックスがあるのでそれぞれ見ていきます。

「障害者」
申告者本人、配偶者、扶養親族に障害者がいる場合に記入する欄で、さらに誰がどの区分に該当するのかにもチェックを入れます。「同一生計配偶者」は所得の見積額が62万円以下の配偶者、「扶養親族」は16歳未満も対象です。

「寡婦」
夫と離婚後再婚しておらず扶養親族がいる人、夫と死別した人、夫の生死がわからない一定の人で、所得500万円以下(収入ではおおよそ677万7,778円以下)という条件も満たしていればチェックを入れます。

「ひとり親」
ひとり親とは、事実上婚姻関係にある人がおらず、生計を一にする子(子の所得は62万円以下)がいる年間所得500万円以下の人が対象になります。事実婚の場合、または住民票に「未届」の記載があるひとり親は対象外です。

「勤労学生」
勤労学生とは給与収入等(事業所得、雑所得等含む)を得ている大学、高等学校、専修学校、職業訓練校等の生徒であり、所得の見積額が89万円以下(うち給与収入以外が10万円以下)の人です。

「障害者又は勤労学生の内容」
自身や扶養親族が「障害者」か「勤労学生」に当てはまったら、内容を記載します。該当者の氏名や該当する事実について書きましょう。障害者を例にすると、障害者手帳の種類、障害の等級、手帳の交付日などです。

「D他の所得者が控除を受ける扶養親族等」の部分

Dの欄には、共働きなど同一生計内に複数の給与所得者がいる場合に、誰が誰を扶養親族として申告するかというケースで使います。

例えば長男を夫の扶養親族とし、次男を妻の扶養親族として申告する場合に、夫の申告書のD欄に次男を記入します。

夫と妻の両方で長男を扶養親族に入れるなど、同じ人を二重に扶養親族とすることはできません。扶養元を統一している場合は空欄にします。

「住民税に関する事項」の部分

令和8年分の扶養控除等申告書の記入例。16歳未満の扶養親族や退職手当等を有する配偶者・扶養親族を記入する住民税欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分扶養控除等申告書」

住民税の控除に関する記入欄です。2種類の記入欄ごとに書き方を見ていきましょう。

「16歳未満の扶養親族」
16歳未満の子供がいる場合に、子供の名前や生年月日を1人ずつ書きます。記入欄が足りなければ、申告書を2枚以上もらって書いてください。

対象となる子供が外国に住んでいる場合は「控除対象外国外扶養親族」に◯を入れますが、期間内に必要書類の提出も求められる可能性があります。

「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」
退職金を受け取った配偶者や扶養親族・特定親族がいる場合、この欄に記載する必要があります。配偶者は退職所得以外の合計所得見積額が133万円以下の人が対象です。

「保険料控除申告書」の書き方

保険料控除申告書は「生命保険」「地震保険」「社会保険」「小規模企業共済等掛金」の4種類に分かれています。一般的なサラリーマンが記入するのは「生命保険」と「地震保険」がほとんどです。

「社会保険」への記入は、扶養親族の国民健康や国民年金の保険料を支払っている場合、中途入社でそれ以前は国民年金保険料と国民健康保険料を支払っていた場合などが当てはまります。

「小規模企業共済等」は、自営業者や小規模企業の経営者の退職金制度となる小規模企業共済に掛金を支払っている人や、iDeCo(個人型確定拠出年金)などに加入している人が対象となる記入欄です。

該当欄への記入とともに、各保険の控除証明書を申告書に添付して提出します。

「生命保険料控除」の部分

令和8年分の保険料控除申告書の記入例。一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料と控除額の計算欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」

保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書をもとに、年間の保険料を計算します。

保険等の種類や保険期間などは控除証明書の内容をそのまま転記すればいいため、計算欄の書き方を中心にポイントを見ていきましょう。

  1. 新旧の区分ごとに保険料を計算
    (a)のうち、「新保険料(新)」の合計金額をAに、「旧保険料(旧)」の合計金額をBにそれぞれ記入する
  2. 申告書の下のほうにある「計算式」をもとに計算
    Aは「計算式Ⅰ」、Bは「計算式Ⅲ」に当てはめて計算する。新保険料合計が75,000円の場合、75,000 × 1/4 + 20,000 = 38,750円となり、①には38,750円と記入する
  3. 1と2を各保険料の欄で行う

 
新・旧の違いは送られてくる生命保険料控除証明書に記載されています。

計算式Ⅰでは年間の保険料が8万円超であれば控除額は4万円、計算式Ⅲでは保険料10万円超で控除額は5万円です。年間の保険料が8万円、10万円となる保険があれば、それを1つ記入すれば最大額の控除が適用されます。

※令和8年分は、23歳未満の扶養親族を有する場合、生命保険料の控除額の計算方法が異なります(新保険料等は計算式Ⅱを用い、控除額の上限は6万円)。

複数の保険があって計算が大変であれば、金額の高いものから記入しましょう。多くの場合、各保険会社のホームページに計算補助ツールが用意されているので、そちらも活用してください。

「地震保険料控除」の部分

令和8年分の保険料控除申告書の記入例。地震保険料と旧長期損害保険料の支払額や控除額を記入する欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」

書き方の流れは「生命保険料控除」と同じです。「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の区分は、保険会社などから届く控除証明書を確認して記入しましょう。旧長期損害保険料に該当するのは、2006年12月31日までに締結した一定の長期損害保険契約等に限られます。

「社会保険料控除」の部分

令和8年分の保険料控除申告書の記入例。社会保険の種類、保険料の支払先、負担した人の氏名、支払額を記入する欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」

給与から天引きされている自分の社会保険以外に、自身や扶養親族の国民健康保険や国民年金保険料を支払った場合に適用される控除です。

大学生の子供(20歳以上)の国民年金保険料を支払った場合や、中途入社でその年の入社以前に国民健康保険料を支払っていた場合などが当てはまります。

社会保険料控除は計算式等を用いる必要はなく、保険料合計金額がそのまま控除額となります。

国民年金保険料、国民年金基金の掛金などについては証明書の添付が必要です。それ以外の保険料(国民健康保険料など)については証明書の添付は必要ありません。

「小規模企業共済等掛金控除」の部分

令和8年分の保険料控除申告書の記入例。小規模企業共済や企業型・個人型確定拠出年金などの掛金額を記入する欄を示している
出典:国税庁「《記載例》令和8年分保険料控除申告書」

小規模企業共済は、主に中小規模の企業の経営者や役員、個人事業主が退職金を積み立てる制度です。確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)の掛金も控除対象となるので、支払っている場合は記入しましょう。

掛金が給与から天引きされている場合、記載しなくて構いません。

小規模企業共済や国民年金基金連合会から届く証明書をもとに記入します。社会保険料控除と同じく、控除額は掛金と同額です。掛金の金額をそのまま記入しましょう。

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の書き方

「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅ローンを組んでいる人が、住宅借入金等特別控除を受けるために作成します。

この書類は職場からの配布はなく、直接対象者に交付されるため、申告者自身で管理して職場に提出が必要です。

なお、住宅借入金等特別控除を初めて受ける年のみ、確定申告で控除の適用を受けなくてはなりません。職場では処理できないので注意してください。

「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の部分

給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書の記入例。住宅ローンの年末残高、取得対価、住宅借入金等特別控除額などの記入箇所を示している
出典:国税庁「《記載例》給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書」

借入先の金融機関から届く年末残高等の証明書をもとに、購入した住宅や土地等の状況に応じて当てはまる欄を埋めていきます。

例えば新築で住宅ローンを組んだ場合、「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」に証明書の金額を転記しましょう。計算に必要な「取得対価の額」は、不動産契約の書類などに記載されていることが一般的です。

制度改正などで申告書の様式が変わる可能性なども考慮し、その都度国税庁のホームページなどで最新情報を確認してください。

【経営者・経理・総務担当者向け】年末調整のやり方

街路樹や建物がイルミネーションで照らされた冬の夜の街並み。年末の時期を表すイメージ

経営者・経理・総務担当者向けに、年末調整のやり方・書き方をわかりやすく解説します。会計ツールを使うか、ない場合は国税庁が提供する「年末調整計算シート(Excel)」を活用してください。

1.申告書を配布・回収して控除額を確認する(11月下旬頃が目安)

年末調整を行うために、社員に申告書を作成してもらいます。扶養控除等申告書を基本に、それぞれ適用を受ける控除に必要な申告書を配布・回収しましょう。

回収の必要性 書類名
原則全員から回収
(原則会社配布)
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
控除を受ける者から回収
(会社配布)
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
対象者のみ
(従業員が用意)
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

従業員によっては「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の提出がありますが、これは特定の条件下で住宅ローンを組んだ場合に適用される控除です。書類は従業員自身が所有することになっているため、提出があれば合わせて計算してください。

会社側で配布するのは、住宅借入金等特別控除申告書以外の3種類となります。国税庁の「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」に、令和8年度分の各フォーマットがあるため、ダウンロード・印刷して配布しましょう。

これらの書類には従業員が記入した各控除の情報などが書かれているため、それに基づいて年末調整計算シートの各欄を埋めていくのが基本です。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

令和7年分から「特定親族特別控除」が創設されたことで、「基礎控除」「配偶者控除」「所得金額調整控除」に加えて計4つの欄の確認が必要になりました。

社員から提出があったら、各欄の計算金額が正しいかを確認し、年末調整計算シートの次の欄に記入します。

  • ⑳基礎控除額
  • ⑰配偶者(特別)控除額
  • ⑱ 特定親族特別控除額
  • ⑩所得金額調整控除額(年間収入850万円超など対象の社員のみ)

配偶者の情報がある社員については、必要に応じて「配偶者の合計所得金額」の欄も記入しましょう。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(通称:まるふ)」は、扶養控除を受けるために必要な書類です。配偶者や子供がいなくても、控除が適用されるか否かの確認は必須であるため、全社員に提出してもらいます。

年末調整では、すでに提出されている令和8年分の扶養控除等(異動)申告書の内容を確認します。扶養親族の増減や所得要件の改正によって新たに控除対象となる親族がいる場合は、従業員に申告内容を修正してもらいましょう。

また、令和9年分の扶養控除等(異動)申告書は、原則として令和9年最初の給与支払日の前日までに提出してもらう必要があります。年末調整の機会に配布・回収しておくと、翌年の給与計算を円滑に進められます。

書類の内容に基づいて、Excelの年末調整計算シートに扶養控除の対象者人数を入力していくと、自動的に控除額が出る仕組みになっています。手書きの場合は「令和8年分の扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額の計算について」と照らし合わせて作成してください。

給与所得者の保険料控除申告書

「給与所得者の保険料控除申告書(通称:まるほ)」は、各保険料の控除の計算に必要な書類です。

社員に書いてもらう際は、各保険料の控除証明書も添付してもらいます。保険未加入の場合でも、名前だけ書いて提出してもらえば回収漏れや記載ミスの予防に役立つでしょう。

回収後は計算に誤りがないかをチェックし、各社員の年末調整計算シートに保険料ごとの控除額を転記してください。

2.年調年税額を計算する(12月の年末調整時)

従業員から回収した申告書の内容をもとに、令和8年の年末調整計算シートで年調年税額を計算します。

源泉徴収簿を作成しておくと、各月の給与や源泉徴収税額の記入がスムーズになって便利です。

集計した情報から、以下の計算手順で年税額を求めましょう。

  1. ①給与所得控除後の給与等の金額 ー 所得控除額の合計額 = 課税給与所得金額(1,000円未満の端数は切り捨て)
  2. ②課税給与所得金額と速算表を照合し、算出所得税額を求める
  3. ③算出所得税額 ー 住宅借入金等特別控除額 = 年調所得税額 ※
  4. ④年調所得税額 × 102.1% = 年調年税額(100円未満の端数は切り捨て)

※③の計算は住宅ローン控除を受ける人のみに適用します。

年末調整計算シートに入力する場合は、所得控除額の合計額は自動で計算されます。手動で計算する場合は、令和8年分で変更される基礎控除額や特定親族特別控除の反映に注意しましょう。

3.過不足納税額を精算する(通常は12月給与支給時)

「年調年税額」と「源泉徴収により天引きした税額」の差額を計算すると、納税額の過不足が出ます。過不足は、年末調整を行う月の給与支給時に還付するか、天引きして調整しましょう。

年調年税額が50,000円で、源泉徴収により天引きした税額が毎月5,000円だった場合
50,000円 - (5,000円 × 12カ月) = ▲10,000円

この場合は10,000円多く徴収しているため、10,000円を従業員に還付します。逆に天引きした税額のほうが少なければ納税額が不足しているため、追加で徴収してください。

最後に、年末調整をした月分の「所得税徴収高計算書(納付書)」に反映し、徴収税額を納付します。毎月(納期の特例を受けている場合は半年に1回)、源泉所得税の納付で使っている納付書に、年末調整の過不足分を追記するイメージです。

源泉徴収税の計算が終わったら「源泉徴収票」も作成します。

4.各種法定調書を提出する(翌年2月1日まで)

年末調整が終わったら、翌年2月1日までに以下の書類を各場所に提出します。

法定調書は、書面の他、e-Taxや認定クラウドなどでも提出が可能です。給与支払報告書は、eLTAXでも提出できます。

書類 提出先・対応
給与支払報告書 従業員の住所地の市区町村
給与所得の源泉徴収票 全従業員に交付。給与支払報告書を市区町村に提出した場合、原則として税務署への提出は不要
各種支払調書・法定調書合計表 提出義務がある場合は税務署

なお令和9年1月1日以後、市区町村へ給与支払報告書を提出した場合は給与支払報告書の提出をもって、税務署への源泉徴収票の提出とみなされます。 ただし、従業員への源泉徴収票の交付は引き続き必要です。

年末調整の書き方・手続きでよくある質問

年末調整の書き方や「どこを書く?」など、よくある疑問を解説します。

年末調整は名前だけ書いて提出してもいい?

年末調整の申告書は、どれも名前だけを書いて提出すればよいわけではありません。申告書や本人の状況によって、記入が必要な項目は異なります。
例えば、基礎控除を受けるには「基礎控除申告書」の提出が必要です。また、生命保険料や地震保険料などの控除を受ける人は、「保険料控除申告書」に該当する内容を記入します。
記入漏れがあると、控除が正しく反映されない場合があります。不明な点は勤務先に確認しましょう。

新卒の年末調整で注意することは?

新卒社員も、年末まで勤務していれば基本的に通常の年末調整の対象です。3月に学校を卒業して4月から入社した場合でも、基礎控除や扶養控除などの所得控除を、勤務した月数に応じて月割りする必要はありません。

また、入社前にアルバイトなどで給与を受け取っている場合は、その給与も年末調整の対象となることがあります。給与の内容は源泉徴収票で確認し、勤務先に提出しましょう。

まとめ・年末調整のやり方や書類の書き方を身につけておこう

年末調整について、従業員側と経営者側の双方から見ていきました。

年末調整は、従業員にとっては払いすぎた税金を取り戻す機会であり、会社にとっては大切な税務処理の一つです。どちらにとっても重要なイベントなので、正確な知識をもって取り組みましょう。

令和8年分では制度変更があるため、経営者・担当者は最新様式の申告書や要件の確認や準備が欠かせません。会社側は間違いがあれば従業員への迷惑や税務署からの指導といったリスクもあるため、実務については税理士などの専門家への委託も検討してください。

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」

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(創業手帳編集部)