家賃補助制度を活用してオフィスや店舗を賢く借りて起業しよう!
馬鹿にならないオフィスや店舗の家賃負担、創業補助金や自治体の家賃補助制度を賢く活用しよう!
(2015/3/11更新)
人が余生をおくる住まいを「終の棲家」と呼ぶなら、起業家がビジネスをおこなう創業の場は「”始”の棲家」と呼べるのではないだろうか?「”始”の棲家」といえば、かつては自宅か、質素な賃貸オフィス・貸事務所が定番だった。創業期の企業にとって、固定費である家賃負担が重いからだ。
アップルも、最初のパーソナルコンピューター「アップルⅠ」の組立は、スティーブ・ジョブズの自宅ガレージでおこなわれた。いまや一部上場企業となった日本電産も、普通の民家の一階を借りて4人でスタートした。
しかし、時代は変わった。インキュベーションオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィスなど、起業家は低賃料で入居できる施設を、苦労せずに見つけられる時代になった。
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一般的な賃貸オフィス・貸事務所、あるいは店舗を借りるハードルも下がった。最近では、起業家向けに手厚い家賃補助の公的サポートが充実してきている。今回は、オフィスや店舗を借りて事業を始めるときに活用できる家賃補助制度を紹介しよう。
この記事の目次
創業補助金による家賃補助
創業補助金の補助対象経費の中に、オフィスや事務所の家賃が含まれている。3月から今年度(2015年度)の創業補助金の募集が始まり、これから創業を考えているのであれば利用しない手はない。
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創業補助金は、例年何回かに分かれて公募されることが多い。この時期を参考にすると、次回以降、公募がありそうな時期を推測することができる。公募があってから申請書を準備するのではなく、予め創業事業計画を準備しておこう。
地方自治体の家賃補助制度
残念ながら全国的な家賃補助制度はない。代わりに地方公共団体や地域の支援機関などが、起業家や中小企業向けに家賃補助をおこなっている。小まめに探してみると、補助制度をいくつも見つけることができるだろう。幾つか例を挙げてみた。
例1. 新規開業家賃補助制度 -長野県松本市-
長野県松本市では、新規開業者向けに家賃補助制度を設けている。
対象は、新規開業者等が店舗を賃借して開業する場合で、 1年目は対象経費の3/10以内(上限:月額8万円)、2年目は対象経費の2/10以内(上限:月額6万円)が補助される。期間は2年間だ。
松本市の商業活性化が目的なので、店舗やオフィスを構える商店街団体の活動への協力が必須条件になるなどの特徴がある。
例2. 新規開業賃料等補助制度 -東京都港区-
東京都港区では、起業家を対象にした賃料等補助制度を設けている。
区内で新たに事務所、店舗を借りて起業・開業する起業家が対象で、月額賃料の1/3を補助、限度額は5万円が補助される。
法人設立時期が限定されており、募集枠(11件、2014年11月28日現在)の上限もある。また、「港区の創業計画作成支援を受けて創業計画の作成が募集期間内に完了している」などの要件があり、対象者がかなり限定されている。
例3. 地域密着型ビジネス創出助成事業 -愛媛県-
公益財団法人えひめ産業振興財団は、家賃を含めた初期的経費を助成する助成金制度として、えひめ中小企業応援ファンド地域密着型ビジネス創出助成事業(一般枠)を設けている。
この制度は、前述した二例よりも対象となる経費や対象者が広めに設定されている。
対象経費は、家賃以外の経費も含め、2/3以内(1件あたり300万円上限)が補助される。期間は1年間だ。また対象者も、「愛媛県で法人を設立して地域に密着した事業に取り組もうとする起業家、あるいは創業後5年未満の中小企業者」となっている。
家賃補助制度の注意点
募集時期に注意
創業補助金と地方自治体の家賃補助制度の両方に言えるのが、常時募集しているとは限らないとうこと。後で述べるが、定期的にインターネットや団体窓口で確認するなど、小まめに情報収集するようにして、情報を見逃さないようにしよう。
採択・不採択がある
ほとんどの家賃補助制度に予算に上限があるため、申し込んだ人すべてが補助制度の恩恵を受けられる訳ではない。上限枠がある以上、申請の条件を満たしていることが前提だが、早めに申し込んだ方が採択される可能性が高い。
家賃補助制度の探し方
最後に、家賃補助制度はどうやって探せばよいのだろうか?
「これをやっとけば問題ない!」という正解はない。家賃補助制度の情報収集は、地道かつ小まめに続けるほかないからだ。
すでに述べた通り、家賃補助制度には全国的な制度がなく、地方公共団体や地方の支援機関などがおこなっていることが多い。まずは、あなたがビジネスをしている地域の「団体や支援機関のHPをチェックする」「窓口に時々立ち寄ってみる」などしてみよう。
また、公的機関や士業の専門家、創業手帳などを活用し、情報収集のアンテナを常に張っておくことも忘れないようにしたい。
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(監修:城西コンサルタントグループ理事 中小企業診断士 小野靖)
(編集:創業手帳編集部)