最大300万円が支給される!?UIJターン起業が対象の「地方創生推進交付金」
地方自治体・地方起業家からのコメントもご紹介
(2018/08/31更新)
政府は、東京など首都圏1都3県から地方にUIJターンして起業する人の支援策として、「地方創生推進交付金」を活用し、1人当たり最大300万円を支給する方針を、8月28日に固めました。
今回は、地方創生を支援するためにできた交付金制度「地方創生推進交付金」の概要と、これを受けた地方自治体・地方で起業した起業家のコメントをご紹介します。
この記事の目次
地方創生推進交付金とは
「地方創生推進交付金」とは、地域創生を支援するために国から交付を受ける制度です。全国の各自治体が行う自主的かつ主体的、そして、先進的な事業を複数年にわたって安定的かつ継続的に支援するため創設されました。
主な対象事業としては、観光・農業振興策、移住・定住支援策、結婚・出産・育児の支援策、地域社会を担う人材の確保・育成策など。2017年度からは新基準として、ロボットや人工知能(AI)を活用した生産性の高い物づくり事業、健康状態や遺伝情報に適した医療・介護サービスの充実策も交付対象となりました。
この交付金は、自治体が策定した地元活性化の事業に関する目標数値を自治体自らが設定し、それを国が精査して具体的な交付金額が決定される、という仕組みです。つまり、具体的な交付金額は決まっていませんでした。
ですが、2019年度は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県から地方に移り起業した人に対し、設備や建物の賃借費などの必要経費を国が最大300万円を支援する方針を固めました。
交付金額の上限と補助率
申請書類などの詳細はこちらから
詳しい内容や申請書類は、首相官邸が公開している地方創生推進交付金交付要綱からご覧ください。
地方自治体・地方の起業家からのコメント
今回の発表を受けて、地方自治体・地方の起業家からのコメントをご紹介します。
広島県知事 湯﨑 英彦 氏
また、現地でのワーク体験の拠点「お試しオフィス」を開設し,企業の皆さまの様々なニーズに対して,ワンストップで対応してまいります。是非、広島で新しいワークスタイルとしてサテライトオフィスの開設をご検討ください。
チャレンジ里山ワークHP
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/challenge-satoyama/
「チャレンジ里山ワーク」で検索
神戸市長 久元 喜造 氏
神戸は、海、山、都市、農地が隣接した多様な顔を持つコンパクトシティです。東京や各都市へのアクセスも良く、住むにもビジネスを行うのにも大変魅力的な街です。
神戸市では、米国VC「500 Startups」との提携プログラムで、国内外から集まった起業家の挑戦を応援しています。また、新たに事業所を開設するスタートアップ企業への補助制度を兵庫県と創設しました。数多くの方に神戸で起業して、事業を展開してもらいたい。
そしてグローバルに活躍してもらいたいと思っています。
今回の政府の方向性を踏まえながら、さらに起業家の皆さんにとっても働きやすく、住みやすい街にしていきたいと考えています。
山口県宇部市 市長 久保田 后子 氏
地方起業は注目されており、追い風が吹いている今がチャンスです。
地方都市には自然や可能性があり、その中で起こせるイノベーションがあります。宇部市は瀬戸内の豊かな自然があり、かつフルラインナップで起業支援策を用意しています。
移住者が夢の実現にチャレンジできる体制を宇部市では市を挙げて取り組んでいます。
沖縄ITイノベーション戦略センター 理事長 中島 洋 氏
私たち沖縄ITイノベーション戦略センター(以下ISCOという)は、官民共同で設立された産業支援機関として、ICTを活用して沖縄県内の特色産業である観光業・物流業・製造業・農業・金融などの各種産業の振興を図るべく、実証実験や事業マッチングを通じて、新ビジネス・新サービスの創出と全国・全世界への展開を支援しています。
このような中、今回の政府の方針決定は、沖縄にも優秀な人材が移住するきっかけになると考えており、非常に良い知らせだと思っております。
谷上プロジェクト運営メンバー 森脇 暉 氏
山口県下関市豊北町出身。関西大学卒業。関西に住んで10年、一番の学びはふるさとの素晴らしさであった事に気付き、三井住友銀行を退職し、起業。兵庫県神戸市の谷上地区で、日本中のスタートアップや地域プロジェクトの関係者が集結する地方創生プロジェクト「谷上プロジェクト」を運営している。
本質的に、地方に人を呼ぶ姿勢が整っている場合には素晴らしいカンフル剤になると思います。ただ、補助金、つまり一時的なお金目当てになってはいけません。
地方移住・起業の魅力はその地域、そこならではのカルチャー、ライフスタイルがあり、そこに入っていくこと。そして、そのライフスタイルをさらに良くするために、自分達で街を作っていくということだと思います。
お金を超えた豊かさを感じられる地方移住や起業が大切だと思います。地方はテクノロジーや色々な面で不足が多いので都会から来る人が、ワクワクしながら取り組める課題がたくさんあると思います。
宮崎県日南市マーケティング専門官 田鹿 倫基 氏
都会には色々なものが既にあります。地方にはこれから創りたいものを創れる白地があります。新しいものを作っていく起業家には地方はチャンスがあると言えるでしょう。
こうした国の補助金も、自分が必要で役立つのであれば使っていくと良いと思います。ただ、一番注目して欲しいのは、受け入れのやる気が高く、盛り上がっている地域では、地元や移住者が主体的にユニークでローカルな、面白い取り組みをしているケースがあり、そういうところこそ、移住の狙い目と言えるのではないでしょうか。
地方移住を選ぶ際は、移住者が活躍できる環境や風土を地元に整えているかも見て、活躍しやすい、移住先を選ぶと良いでしょう。宮崎県の日南市も、若い市長を先頭に、地元の人、よそ者、民間、行政が一緒に新しいことに挑戦しています。起業家の移住も歓迎して、色々な支援を用意していますので、ぜひ、一度お越しください。
(取材協力:広島県)
(取材協力:神戸市)
(取材協力:沖縄ITイノベーション戦略センター)
(取材協力:株式会社レストレーション /森脇 暉)
(取材協力:日南市)
(編集:創業手帳編集部)