起業したいのにできない理由ランキングを発表!|データを読むシリーズ
起業したい人は半数以上いる一方、実際に行動できる人は多くない。最新調査から対策を解説

働き方の多様化とともに起業の方法、事業運営の在り方も変わっています。
加えて、日本政策金融公庫の「2025年度起業と起業意識に関する調査」では、起業関心層の半数以上が「起業したい」と回答しました。
「起業したい」と考える人は半数を超えているものの、実際に行動へ移せていない人も一定数存在しています。
本記事では同調査の結果をもとに、起業できない理由とその具体的な対策について解説します。
この記事の目次
起業したいのにできない理由ランキング

日本政策金融公庫の調査では、起業関心層に対して「まだ起業していない理由」を尋ねています。ここでは上位から理由とその背景を探りましょう。
1位 自己資金が不足している(48.4%)
まだ起業していない理由として最も多かったのが「自己資金が不足している」という回答で、48.4%を占めています。
この結果を受けて、多くの人がお金がなくて事業を始められないと考えるかもしれません。しかし、実際には少額起業や融資を活用する方法も存在しています。
開業資金や創業融資、自己資金の考え方の知識を身につければ、資金不足への不安を軽減できる可能性はあると考えられます。
まずはどの程度の資金が必要なのかを明確にしてください。
2位 失敗したときのリスクが大きい(29.1%)
「失敗したときのリスクが大きい」と回答した人は29.1%にのぼり、2番目に多い理由です。
起業に伴う資金面や収入面、生活への影響などを不安に感じている人も多いと考えられます。
しかし、こうしたリスクは、勤務を続けながら準備を進める「副業起業」という考え方によって和らげられるケースがあります。
リスクを抑えながらスモールビジネスをスタートする選択肢も検討してください。
3位 ビジネスアイデアが思いつかない(29.0%)
「ビジネスアイデアが思いつかない」と答えた人は29.0%で、3番目に多い理由として挙げられました。
しかし、起業は必ずしも新しい発明を必要とせず、既存のサービスを応用する形でも始められます。
具体的には代理店やフランチャイズのように、独自のアイデアがなくても選べる起業の形は数多く存在しています。
4位 十分な収入が得られるか不安(22.0%)
起業後の生活が維持できるかどうかを気にする人も多いでしょう。起業しない理由として「十分な収入が得られそうにない」との回答は22.0%を占め、4番目に多い理由でした。
生活費を賄えるかどうかへの不安は、事前に収支をシミュレーションすることで具体的に把握できます。
まずは副業として小さく始め、収入の見通しを立ててから本格的に移行するという方法も選択肢のひとつです。
5位 商品供給のノウハウが不足している(17.4%)
「仕入・流通・宣伝など商品等の供給に関する知識・ノウハウが不足している」と回答した人は17.4%で、5番目に多い理由として挙げられました。
仕入れ先の開拓や物流の仕組み、宣伝方法といった、事業を回すための具体的なノウハウに不安を感じている人が少なくないことがうかがえます。
こうした不安は、商工会議所や業界団体が開催するセミナー、同業者へのヒアリングなどを通じて事前に情報を集めることで軽減しやすくなります。
また、仕入れや流通の仕組みがあらかじめ整っているフランチャイズや代理店契約を選べば、ノウハウ不足を補いながら事業をスタートすることも可能です。
その他にも多かった理由
起業について相談できる相手がいないことや、財務・税務に関する知識不足を挙げる声も一定数見られます。
特に会社員で働いていると、ひとりで経営の意思決定から事務作業まで自分がしなければならないことに不安を持つかもしれません。
家族から反対されていることや、販売先の確保に不安を感じることも起業をためらう理由として挙げられます。
家族に負担をかけられない、外部からの資金調達が難しそうだと感じる人もおり、資金面の課題は複数の理由にまたがって存在しています。
起業をためらう人が特に恐れているリスク

日本政策金融公庫の「2025年度起業と起業意識に関する調査」では、失敗した場合に何が不安かについても尋ねています。
何がリスクとして恐れられているのかを把握しましょう。
投下した資金を失うこと
起業に失敗した際のリスクとして最も多く挙げられたのは「投下した資金を失うこと」で、74.8%にのぼりました。
自己資金や借入金を事業に投じた分だけ、失敗した場合の金銭的な損失を強く懸念する人が多いことがわかります。
資金を失うリスクは、少額から事業を始めることや公的な融資制度を活用することで抑えることができます。
また、どれだけの投下資金が必要になるのかを試算することでリスクの規模を明確にしておくことが大切です。
安定収入を失うこと
「安定した収入を失うこと」を不安視する人は66.0%で、2番目に多い回答となっています。
勤務による定期的な収入がなくなることへの不安は、副業起業という形をとることで軽減しやすくなります。
収入源を複数持っておくことで、事業が軌道に乗るまでの生活基盤を保ちやすくなります。まずは安定収入を確保しながら副業として起業することを検討してください。
借金や個人保証への不安
「借金や個人保証を抱えること」を懸念する人は58.7%にのぼり、3番目に多い回答でした。
特に金融機関からの借り入れに個人保証が伴う場合、返済への不安を強く感じるのは自然なことです。
保証の有無を含め、融資制度ごとの条件をあらかじめ確認しておくことで、借入時の不安を軽減しやすくなります。
また、起業をダウンサイジングして借入を最小限度に抑えることも検討してください。
家族への影響
「家族に迷惑をかけること」を不安視する人は52.5%で、4番目に多く挙げられた理由です。
起業による収入の変化や生活スタイルの変化が、家族に与える影響を心配する人が多いことがわかります。
起業は自分ひとりだけの問題ではありません。家族と事前に起業の計画を共有し理解を得ておくと不安は軽減につながります。
起業関心層はどんな人が多いのか
起業への関心度合いは、性別や年齢、関心を持ったきっかけによっても違いが見られます。
ここからは起業関心層はどういった人が多いのか、データをもとにみていきます。
性別・年齢で見る「起業したい」割合
起業関心層を、性別で見ると「起業したい」と回答した割合は男性が62.8%、女性が49.0%と、男性の方が高い傾向にあります。
年齢別では60歳代が64.8%と最も高く、次いで29歳以下も60.1%と、他の年代に比べて起業への関心が強い年代です。
若い年代もシニア層も幅広く起業への関心を持っています。金融機関には、若年者やシニア層に特化した創業支援制度もあるので、今後の活用が期待されます。
起業に関心を持ったきっかけ
起業関心層が関心を持った理由として最も多いのは「収入を増やしたい」で、62.6%を占めています。
次いで多いのは「自由に仕事がしたい」で43.8%であり、働き方の自由度を求める傾向があります。
また、「自分が自由に使える収入が欲しい」も25.4%にのぼり、収入面への関心の高さがうかがえる結果でした。
起業できない理由は工夫次第で解決できる

調査結果を見ると起業しない理由として挙げられているものが解決できないものではないことがわかります。
不安の中には準備の仕方や制度の活用によって軽減できるものも多いので、どういった工夫が可能かまとめました。
少額から始める
不安材料として筆頭に挙げられるのが資金の問題です。資金の不足で起業が難しい場合には、大きな元手をかけずに始められるスモールビジネスを選びます。
少額からスタートできれば、資金不足への不安を抑えて起業できます。
実際に、起業で金融機関から「借り入れなし」の割合は、起業家で83.5%、パートタイム起業家で91.6%にのぼりました。
起業費用に関しても、起業家の32.2%の人が「費用はかからなかった」と回答していて、費用をかけずに起業した人も一定数いることがわかります。
加えて、勤務を続けながら収入源を増やす副業起業であれば、リスクを抑えつつ起業を試すことが可能です。
スモールビジネスとして小さく始める事業なら、在庫を持たずに始められるビジネス形態が適しています。
初期費用や在庫を抱えるリスクを抑えやすいビジネスを選択してください。
創業融資や補助金を活用する
資金調達には悩んでいる場合には、日本政策金融公庫の創業融資を活用しましょう。自己資金が少なくても事業資金を確保しやすくなるためです。
また、自治体などが提供する制度融資を利用することで、金利や返済条件の面での負担を軽減できる可能性があります。
資金調達の方法には補助金や助成金もあります。しかし、補助金や助成金は、制度によっては対象経費を先に支出し、実績報告後に補助を受ける仕組みです。
先に支出しなければいけないので受給できるまで一時的に資金繰りが悪化することもあるので注意してください。
資金面での不安を和らげるためには、資金調達手段や起業時に活用できる補助金制度をあらかじめ調べておくようにおすすめします。
創業計画書を作って不安を見える化する
起業に関して、どうしても不安で二の足を踏む人もいるでしょう。
そういったケースでは、創業計画書を作成して数字を整理することで、漠然とした資金や収支への不安を具体化 できます。
リスクが具体化できれば対策も可能です。想定される収支をあらかじめ計算して事業全体の見通しを立ててください。
また、計画の実現性を高めるためには、作成した計画を第三者に相談しながら練り直すと効果的です。
勤務先を辞めずに準備を進める
起業するからといって、必ず退職しなければいけないわけではありません。
退職を先に決めるのではなく、勤務を続けながら事業の準備を進めることでリスクを抑えられます。
勤務を続けながら小さく事業を試すことで、事業の状況を見ながら本格的な移行を検討する選択肢が生まれます。
もしも退職する場合であっても、在職中に顧客や取引先とのつながりを築いておきましょう。
人脈を築いておくと事業につながるなど、独立後の収入の見通しを立てやすくなります。
家族の理解を得ておく
起業に踏み出す前には、必ず家族へ事業の内容や収支の見通しを具体的に説明しておいてください。
家族の不安や懸念を事前にすり合わせておくことで、反対や心理的な負担を軽減しやすくなります。
家族に説明するためには、事業計画だけでなく資金についてのシミュレーションも用意してください。
収入が不安定になりやすい起業初期の生活設計についても、家族とあらかじめ共有しておきましょう。
専門家へ相談する
税理士に相談することで、税務や資金繰りに関する不安を専門的な視点から解消できます。
全国の商工会や商工会議所では、起業に関する相談や各種支援制度の案内などを受けられる場合があります。
まだ、専門家に相談する段階ではない場合でも、創業手帳などの媒体を活用すれば起業準備に関する知識を集められます。
起業時にどういったサポートが受けられるのか、会計処理はどのように進めるのかといった網羅的な知識を得るなら創業手帳をご活用ください。
起業家・パートタイム起業家の実態から見る「不安は乗り越えられる」根拠
起業に関して不安な要素が目立つ一方で、実際に起業した人の状況を見ると前向きな結果も多く見られます。実際に事業を始めた人の声を集めました。
経営状況は黒字基調が7割超
起業に対して不安がある人が多い一方で、実際に起業した人からは明るい声も寄せられています。
調査では、現在の採算状況が「黒字基調」である割合は、起業家が72.6%、パートタイム起業家が74.8%でした。
一方で「赤字基調」の割合は起業家27.4%、パートタイム起業家25.2%にとどまり、黒字基調が大きく上回る結果です。
起業家・パートタイム起業家のいずれも、現在の採算状況が「黒字基調」と回答した人が7割を超えています。
不安を感じながらも、実際に事業を始めている人がいることがうかがえます。
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事業を始めて良かったと感じる人が多い
起業する理由は、収入面だけではありません。
調査では、事業を始めて良かったこととして最も多く挙げられたのは「自由に仕事ができた」で、起業家56.2%、パートタイム起業家39.1%にのぼります。
パートタイム起業家では「自分が自由に使える収入を得られた」が23.6%、「収入が予想どおり増えた」が22.1%と、収入面で満足している人も一定割合で存在しています。
不安を抱えながらも一歩を踏み出した人の中には働き方や収入の面で前向きな結果を実感している人もいることがうかがえる結果となりました。
まとめ|起業できない理由を理解し、着実な準備で一歩を踏み出そう
起業関心層の57.3%が起業したいと考える一方、自己資金の不足をはじめとする複数の理由が行動を妨げています。
起業できない理由の多くは資金面や変化に対する不安です。これらの問題は、少額起業や融資制度の活用、創業計画書の作成によって軽減できるものでもあります。
起業するか悩んだときには、ひとりで答えを探すよりも専門家や支援機関に相談してみてください。
無理のない形で起業への一歩を踏み出せるように周囲の力を借りるようにおすすめします。
創業手帳(冊子版)は、起業に関心と持つ人に向けたコンテンツを多数掲載しています。起業したいが踏み出せないという人もぜひ創業手帳を活用してください。
(編集:創業手帳編集部)
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