開業資金の融資に断られたらどうする?審査落ちの理由別に次の対処法を解説
開業資金の融資に断られても、すぐに諦める必要はない

計画していた融資を断られてしまうと、事業計画が大きく崩れてしまいます。しかし、審査落ちは事業そのものを否定されたわけではなく、これから改善できる要素が多く残っていることを意味します。
審査に落ちた直後に別の金融機関へ申し込むのは避け、まず「自分は審査落ちのどのパターンに当てはまるか」を確認することが再申請や別の資金調達方法を選ぶときのポイントです。
この記事では融資に断られたときに確認すべきポイントと理由別の対処法、再申請前に避けたい行動を解説します。
この記事の目次
開業資金の融資を断られる主な理由

融資を断られてしまったとき、「どうして審査で落ちたのか?」と疑問に持つのは自然です。しかし、原則として金融機関が詳細な審査理由をすべて開示してくれることはありません。
ここでは審査落ちの主な原因のパターンを紹介しました。代表的な4つの理由を解説するので、改善の方向性が定めるために活用してください。
理由1:自己資金が少ない
創業時は、自己資金をどれだけ蓄積しているかといった財務状況が重要視されやすい傾向があります。開業資金に対して自己資金が少なすぎると、計画性や返済能力に不安があると判断される可能性があるのです。
開業資金のすべてを借入でまかなう計画は審査上不利になりやすい一方で、自己資金が多いほど計画性や返済能力を示す材料となり審査では有利に評価される傾向があります。
ただし、自己資金の額面が多ければ審査で高評価であるとは言い切れません。審査では通帳の入出金履歴から計画的に貯めた資金かどうかも確認されます。
自己資金の「額」だけでなく「形成過程」も審査において重要な要素です。開業を目指してコツコツと資金を準備した過程を記録することで審査でも評価されます。
理由2:事業計画書の内容が不十分
審査において事業計画書は、将来性や計画性など審査の基準として機能します。売上予測が楽観的すぎる、客単価・来店数・成約率などの計算根拠がないといった事業計画書は、返済能力への信頼性を損なう原因です。
集客方法や顧客ターゲットが曖昧であったり競合との差別化が説明できていない場合、事業の実現可能性に疑問を持たれやすくなります。開業後の資金繰りや借入金の返済計画が現実的でない計画書は、金融機関が最も重視する「返済原資の見えやすさ」を欠いています。
売上予測、返済計画の数字に客観的な根拠があるか、実現可能なのかまで精査して作成しましょう。
理由3:信用情報に問題がある
税金や公共料金の未納や滞納も審査に落ちる原因です。クレジットカードやローン、携帯端末の分割払いなど滞納情報は信用情報機関に記録されており、融資審査において大きなマイナス要因です。
審査では納税証明書や通帳の履歴も求められ、支払いの未納や遅延を隠すことはできません。
加えて、債務整理や自己破産などの履歴、現在の借入額が多い状態も審査上の障壁です。金融機関は、融資した資金が未納分の支払いなどに充てられるリスクを避けるために、融資を避けます。
開業融資では、事業とは別の個人としての信用情報も確認されます。融資を受けるためには、速やかに滞納分を完済して正常な支払い実績を作ってから再度申し込んでください。
理由4:業種・事業内容のリスクが高いと判断された
企業間の競争が激化し、融資の審査も厳しさを増しています。売上や利益の確保が困難な環境で融資のリスク管理はより厳格化しました。売上が安定するまでに時間がかかる業種や在庫負担・固定費が大きい業種は、返済見通しが立てにくいと判断され、審査上リスクが高いとみなされてしまうことがあります。
加えて、許認可取得前に申請したケースや、事業経験が不足していると判断されたケースも審査落ちの原因となることがあります。
【理由別】開業資金の融資に落ちた後に取るべき対処法

審査落ちの原因が判明したら理由に応じた具体的な対処を進めて再申請の成功に歩みを進めましょう。
以下では4つの原因別に取るべき行動を解説します。
対処法1:自己資金不足が原因の場合
自己資金は、事業に使うための手元資金であると同時に事業への熱意や計画性、資金管理能力を示します。自己資金が少ない状態で多額の融資を希望すれば熱意や計画性が足りず返済も難しいのではないかと疑われる可能性があります。
自己資金不足が原因の場合の対処法をまとめました。
必要な自己資金の目安を見直す
開業資金のすべてを借入でまかなう計画は審査上不利になりやすく、開業資金をある程度用意した方が金融機関から高く評価されます。
ただし業種・必要資金・事業経験によって求められる水準は異なるため、申し込み先の金融機関や支援窓口に事前に確認してください。
自己資金が不足している場合には、副業や節約で自己資金の準備を進めるとともに、「みなし自己資金」を準備してください。「みなし自己資金」は、すでに事業のために支出したお金を指します。
開業前に支払った設備費や消耗品、広告宣伝費などは事業開始に必要な経費なので領収書を整理しておきます。
事業に必要な費用をすでに支出していることを証明することで「みなし自己資金」として評価される可能性があるのです。自己資金の目安を把握したうえで、再申請までのスケジュールと積み立て計画を具体的に設計することが次のステップです。
「見せ金」ではなく、計画的に貯めた資金を増やす
一時的に家族や知人から借りて通帳残高を増やす「見せ金」は一時しのぎにしかなりません。自己資金を用意した過程がわからないと金融機関からは評価されにくく、むしろ審査上の信頼性を損なうリスクもあります。
毎月一定額を積み立てている履歴があると計画性を示しやすくなるため、すぐに知人からの借金やノンバンクからの借り入れで準備するよりも、再申請までの期間を自己資金の積み増しに活用することをおすすめします。
再申請までの期間は固定費の見直しや支出の最適化にも取り組んでおきましょう。財務状況全体の改善を図ることが審査通過の可能性を高めます。
再申請のタイミングを焦らない
前回から何も変わっていない状態ですぐに再申請しても通過は難しいでしょう。再申請までに自己資金や事業計画、見積書、売上見込みから明確な改善点を探ることが先決です。
また、再申請では「前回から何が変わったか」を具体的に説明できる状態にしてから申し込みます。審査を通過しなかったことを受けてブラッシュアップしている事実が審査担当者への説得力になります。
再申請は、焦るよりも改善の証跡が十分に蓄積された段階で臨むようにしましょう。
対処法2:事業計画書が原因の場合
開業時の融資では、実績が少ない分事業計画書が重要な役割を果たします。事業計画書が楽観的過ぎたり、実現可能性が低かったりすれば審査を通過することはできません。
事業計画書に原因がある場合にできることについて紹介します。
無料相談窓口を活用する
事業計画書を自分だけで作成している場合、専門家の力を借りてみましょう。よろず支援拠点・商工会議所・商工会・自治体の創業相談窓口・認定経営革新等支援機関など、事業計画書の改善を無料でサポートしてくれる公的機関が全国に存在します。
公的支援機関を活用すれば、専門家のアドバイスを無料で受けられるため、独力で改善しようとするよりも短期間で計画書の質を高めることが可能です。
また、創業支援セミナーや創業塾への参加も検討しましょう。事業計画書の作成スキルを高めるだけでなく、網羅的なビジネス知識や融資審査の傾向や注意点を学べる機会にもなります。
第三者に見てもらうことで改善点が見つかる
自分だけで事業計画書を作成すると、自分が作った商品を高く評価しすぎたり、将来を楽観視してしまったりすることがあります。気づきにくい数字の甘さや根拠の不足を第三者に指摘してもらえば、客観的な視点から計画書の弱点を洗い出せます。
審査を通過しなかったということは、金融機関目線で不足している情報があると考えられます。第三者視点からそれを補うことで、審査担当者が知りたい情報を過不足なく盛り込んだ計画書に仕上げるようにしてください。
客観的な視点を把握する工程は面談で聞かれそうな質問への準備にもなります。事業計画書のクオリティを上げることには、計画書の改善だけでなく面談対策を同時に進められるという利点があります。
対処法3:信用情報が原因の場合
過去に支払いの遅延や滞納をした経験があると、融資の審査で不利になる可能性があります。信用情報が原因の場合にどうすればいいのかまとめました。
まず信用情報を確認する
信用情報に不安がある場合には、まず現状を把握することから始めてください。信用情報機関に開示請求すると自分の登録情報を確認することができます。
延滞や未払いの履歴がないか、現在の借入残高や返済状況に問題がないかを自分自身で正確に把握しましょう。信用情報の開示請求はCIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの各機関で行うことができます。インターネットや郵送で手続きが可能です。
すぐに解消できるものと、時間が必要なものを分ける
信用情報を照会して未払い、滞納がある場合はまず解消してください。借入が多い場合には返済を進めて、負担を下げることが信用情報改善の基本的なアプローチです。
信用情報のように、解消に時間がかかる問題については焦らずに対処を継続しましょう。中長期的な改善計画を立て、再申請のタイミングを慎重に見極めることが重要です。
過去の延滞や債務整理の情報は一定期間記録が残る可能性があり、短期的な再申請が難しい場合があります。資金調達を急ぐのであれば、別の資金調達方法を並行して検討した方が現実的です。
対処法4:業種・事業内容のリスクが原因の場合
残念ながら、業種や事業内容自体がリスクと判断されてしまう可能性もあります。事業自体に懸念がある場合には、どのように対処すればいいのか以下でまとめました。
小さく始める計画に変更する
事業内容にリスクがある場合には、スモールビジネスで始められないか考えてみましょう。店舗型から間借り・催事・ECなどに切り替えることで初期投資を大幅に抑えられ、融資審査上のリスク評価を下げられます。
事業計画でリスクとなるのは、事業が赤字になって返済ができなくなるケースです。設備投資の削減や初期在庫の圧縮、固定費の引き下げによって損益分岐点を低くすれば事業継続性を高められます。
また、規模を縮小した計画で実績を積み上げてから改めて融資申請する方法もあります。実績を上げることによって、事業計画の説得力が増し審査における事業リスクへの懸念を払拭しやすくなるのです。
実績を作ってから再申請する
業種や事業内容に懸念があるのであれば実績を作って払拭しましょう。副業や小規模販売で売上実績を作ることで、事業の実現可能性を数字で示せるようになり融資審査における説得力が大幅に向上します。
予約や契約見込み、テスト販売の結果を資料として示せるので、開業前の段階でも需要の存在を金融機関に客観的に伝えることができます。SNSのフォロワー数や問い合わせ数など需要を示せる材料を積極的に集めることも、事業計画の根拠を補強する有効な手段です。
日本政策金融公庫以外で検討できる資金調達方法

日本政策金融公庫の審査に落ちると、「資金調達ができないから開業自体も諦めよう」と考える人もいるかもしれません。しかし、日本政策金融公庫以外にも検討できる資金調達方法はあります。
以下では、どういった方法があるのかまとめました。
自治体の制度融資
自治体の制度融資は自治体・金融機関・信用保証協会が連携する融資制度です。制度融資は、信用保証協会が保証をつけることで金融機関が貸し出しやすくなっているうえ、自治体によっては利子補給や保証料補助が設けられています。
自治体によって融資の条件は違いますが、実質的な借入コストを抑えながら資金調達を受けられる仕組みとして広く活用されている制度です。自分の状況に合った制度を選ぶには、申し込み前に自治体の窓口や金融機関に事前相談をおすすめします。
信用金庫・地方銀行の創業融資
日本政策金融公庫や大手銀行で融資を受けられなかったときには、地元の信用金庫や地方銀行も検討してください。地域密着型の金融機関では地域での事業性や将来性を重視して審査される場合があり、大手銀行とは異なる視点で評価してもらえる可能性があります。
事業計画だけでなく地域との関係性や相談姿勢も重要視される傾向があるので、いきなり申し込むよりも事前相談から始めましょう。
相談では自分の計画への率直なフィードバックを得られ、申請書類の精度を高めることができます。担当者との信頼関係を丁寧に築くことで融資獲得を目指してください。
補助金・助成金
補助金や助成金は返済不要の資金として活用できるものもあり、融資とは異なる形で開業資金の一部を確保できる選択肢です。
ただし、原則として後払いのものが多く申請から入金まで時間がかかります。そのため、すぐに資金が必要な場面での即効性は期待できません。
また、補助金や助成金は採択されるとは限りません。融資の代替手段としてではなく、資金調達全体を補完する手段のひとつとして位置づけて利用しましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、不特定多数の人からインターネットを通じて資金を集める仕組みです。飲食・ものづくり・地域ビジネス・体験型サービスなどと相性がよく、資金調達と同時に開業前の認知拡大が図れます。
支援者の反応を通じてテストマーケティングとしての効果も期待でき、事業計画の需要検証として活用できる点も魅力です。一方で、リターン設計や広報活動に相応の手間と時間がかかるため、プロジェクト公開前の準備期間を十分に確保して取り組むようにしてください。
開業資金の融資の再申請をする前に確認したいチェックリスト

慌てて開業資金の再融資を申請するよりも、落ち着いて準備が整っているか考えてください。融資の再申請前に確認しておくべきチェックリストをまとめました。
通帳の入出金履歴
面談の準備
提出資料
開業資金の融資に落ちた後にやってはいけないこと

開業資金の融資に落ちると、何かが足りないのではと焦ってしまうことがあります。しかし、やみくもに行動を始めると想定外のリスクを抱え込んでしまうかもしれません。
開業資金の融資に落ちた後にやってはいけないことをまとめました。
複数の金融機関に同時多発的に申し込む
ひとつの金融機関で融資が通らなかったからと、焦って何社にも同時申し込みを行うと資金繰りに困っている印象を与えてしまう可能性があります。
信用情報機関には申込情報も一定期間登録されるため、各金融機関での審査にマイナスの影響を及ぼすかもしれません。
まず審査落ちの原因を整理してから、申し込み先を慎重に選ぶようにしてください。申請機会を有効に活用するためには、自分に足りない要素を把握してから次のステップに移りましょう。
高金利のビジネスローンや消費者金融に安易に頼る
融資が受けられないからと高金利のローンや消費者金融を使うことは慎重に検討してください。開業初期は売上が安定しにくいため、高金利の借入は資金繰りを圧迫してしまうことがあります。
返済負担が重くなれば、事業継続そのものが困難になってしまいます。
短期的な資金不足を埋めるために高金利借入をすると長期的な経営リスクに発展する場合があるので、安易に頼ることは避けましょう。
事業計画を過度に楽観的に書き直す
審査に通りたいからといって売上予測を大きく盛るのは逆効果です。金融機関は売上の高さよりも根拠のある計画を重視する傾向があります。
楽観的すぎる計画書は審査担当者に計画の信頼性への疑問を抱かせ、かえって審査通過の可能性を下げてしまいます。
リスクを正直に認識したうえで実現可能な対応策を示すことが、金融機関からの信頼を獲得し審査通過につながる事業計画書の条件です。
まとめ:開業資金の融資に断られた後は、原因を整理して次の一手を選ぼう
開業資金の融資に断られても一度の審査落ちで開業の可能性がなくなるわけではありません。自己資金・事業計画・信用情報・事業内容のどこに課題があったかを整理することがスタートラインです。
日本政策金融公庫以外にも自治体の制度融資・信用金庫・補助金・助成金・クラウドファンディングなど検討できる選択肢が複数あるので、自分の状況に合った方法を冷静に選ぶようにしましょう。
焦って再申請したり高金利の借入に頼ったりするのではなく、次の申請に向けて準備を整えながら自分の事業に合った資金調達方法を選ぶことが、開業成功への確実な道筋です。
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(編集:創業手帳編集部)
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