電子定款認証の方法・手順とは?アプリを使った受け取り方法なども解説!
電子定款認証はどう進める?必要な手順を確認しよう

電子定款認証は、従来の紙の定款とは異なり、印紙代を削減できるなどのメリットがあります。
その一方で「具体的な手順がわかりにくい」「何を準備すればいいかわからない」などと感じる人も少なくありません。
電子定款認証は、事前の準備から認証手続きまでいくつかのステップがあり、それぞれ正しく理解することでスムーズな会社設立につながります。
本記事では、電子定款認証の方法・手順やアプリを使った受け取り方法、法人設立ワンストップサービスについてもわかりやすく解説しています。
この記事の目次
電子定款認証の方法・手順

電子定款認証は、以下の流れで進めていくのが基本です。それぞれのステップについて詳しく解説します。
1.電子定款認証に必要なものを準備する
電子定款の作成・認証には、以下の機器・ソフトウェアなどを準備する必要があります。
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- 電子証明書付きマイナンバーカード
- ICカードリーダライタ
- 電子署名ソフト
- 電子署名プラグインソフト
マイナンバーカードは通知カードではなく、プラスチック製のICカードを用意する必要があります。発行まで時間がかかることもあるため、早めに申し込むことが大切です。
ICカードリーダライタはマイナンバーカードを読み込むのに必要となります。
ICカードリーダライタによってはマイナンバーカードに対応していない場合もあるため、注意してください。
電子署名ソフトは作成した定款をPDFファイルに変換し、電子署名を挿入するためのソフトです。
また、電子署名プラグインソフトは公証役場のWebシステムや申請システムと、電子署名ソフトをつなぐためのソフトになります。
どちらも定款に電子署名をする際に必要なソフトです。
2.登記・供託オンライン申請システムに登録する
定款を作成して上記で挙げた必要なものを揃えたら、電子署名ソフトを使って定款をPDFファイルに変換し、電子署名をします。
電子定款が完成したら、登記・供託オンラインシステムにアクセスして「申込者情報登録」を行ってください。申込者情報登録では以下の情報を入力します。
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- 任意のID・パスワード
- 氏名(フリガナ)
- 郵便番号
- 住所
- 職業
- 電話番号
- メールアドレス
- 受信するメールの選択
- 質問と答え(パスワードを忘れた際に使用)
申込者情報の登録が完了したら、ダウンロード画面に移動して申請用総合ソフトをダウンロードしてください。
3.申請用総合ソフトを使って電子定款を送信する
申請用総合ソフトのダウンロードが完了したら、ソフトを起動して上部にあるメニューバーから「申告書作成」を選択し、「電子公証」をクリックしてください。
さらに詳細な項目が出てくるため、「電磁的記録の認証の嘱託」を選択します。
次に入力画面が表示されるため、件名・申請区分・嘱託人情報・実質的支配者・公証人氏名を入力してください。
すべて入力したら「処理状況表示」という画面に移ります。
ここでメニューバーにある「電子公証」を選ぶと、先ほど保存した申請書が表示されるため、申請書をクリックしてください。
さらにツールバーにある「ファイル添付」を選んでPDF化した定款ファイルを選択します。
添付が完了したらメニューバーにある「署名付与」を選び、さらに事前に保存していた電子署名のファイルを選択してください。あとはパスワードを入力すれば電子署名は完了です。
ここからさらにメニューバーにある「申請データ送信」を選び、「送信対象」で該当ファイルにチェックを入れ、送信確認でOKを押すと定款の電子認証申請は完了となります。
4.公証役場に予約を入れてから電子定款を受け取りに行く
認証申請が完了したら、公証役場に予約を入れます。予約方法は予約フォームを活用するか、メールで予約するかの2種類です。
事前に管轄の公証役場のホームページを見て確認しておいてください。
公証役場に直接出向く場合は、必要な持ち物を持参していき、定款を受け取ることになります。必要な持ち物は以下のとおりです。
-
- 印刷した定款
- USBメモリ
- 発起人の印鑑証明書
- 認証手数料
- 身分証明書
- 印鑑
- 電子署名をした発起人以外の委任状(代理の場合)
認証手数料は会社形態や資本金額によって異なります。
| 会社形態 | 資本金額 | 認証手数料 |
| 株式会社・特定目的会社 | 100万円未満の1号括弧書きの会社 | 15,000円 |
| 100万円未満 | 30,000円 | |
| 100万円以上300万円未満 | 40,000円 | |
| 上記以外の会社 | 50,000円 | |
| 一般社団法人、一般財団法人、各種法人 | ― | 50,000円 |
アプリを利用して認証済み電子定款を受け取ることも可能

電子定款認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人しか行えない決まりとなっています。
そのため、会社設立をしたい場所が遠方にある場合、その地域の公証役場まで行って定款認証を行わなくてはいけないことになります。
しかし、2019年からテレビ電話方式での電子定款認証が可能になりました。ここでは、アプリを使用する条件や流れについて解説します。
アプリを使って電子定款認証を行うための条件
アプリを活用すれば現地に行かなくても電子定款の認証が可能となるため、便利な方法ではありますが、いくつか条件があります。
1つ目の条件は、電子定款に電子署名を行い、さらにオンライン申請をするという点です。
発起人が自分で申請する場合、マイナンバーカードなどを使って電子署名を行い、発起人を嘱託人としてオンライン申請をします。
もう1つの条件が、テレビ電話ができるインターネット環境です。スマートフォン・タブレットを活用する際は「FaceHub」というアプリのダウンロードが必要となります。
パソコンを活用する場合は推奨ブラウザがGoogle Chromeなので、事前にインストールしておいてください。
さらに、パソコンだけだとテレビ電話ができないため、Webカメラとマイクも準備する必要があります。
アプリで電子定款を受け取る流れ
アプリを使い、テレビ電話方式で電子定款を受け取る流れは以下のとおりです。
1.事前に公証人へ資料を送付する
まずは認証を受けたい公証人に向けて必要な資料をメールまたはFAXなどで送付し、事前確認を受けます。送付が必要な資料は以下のとおりです。
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- 定款の文案
- 実質的支配者となるべき者の申告書
- 実質的支配者の顔写真付き本人確認書類
- 発起人の印鑑証明
実質的支配者となるべき者の申告書は、日本公証人連合会のホームページからダウンロードすることが可能です。
2.認証の予約を入れる
事前確認で問題がなければ、アプリを使って認証を行う日時を予約します。
予約方法は公証役場ごとに違っており、ホームページの専用フォームから申し込む場合もあれば、電話・メールなどで申し込む場合もあります。
予約が完了すると、公証人からテレビ電話用のURLと認証手数料の振込先を記載したメールが送られてくるため、予約日当日までに認証手数料を振り込むようにしてください。
3.公証人宛てに必要書類を送付する
さらに、認証を受ける公証人に対して、以下の必要書類を送付する必要があります。
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- 定款本文を1冊にまとめ、発起人全員分の実印が捺印された委任状
- 発起人全員分の印鑑証明書
- 実質的支配者となるべき者の申告書
- 実質的支配者の顔写真付き本人確認書類(コピー)
- 代理人の顔写真付き本人確認書類(コピー)
- 定款謄本や申告受理、認証証明書の交付が必要な場合はその請求用紙
- 返送用レターパック
発起人全員分の印鑑証明書は、書類の有効期限が3カ月までとなっているため、期限に注意して準備してください。
なお、印鑑証明書の原本還付を希望する場合、写しが原本と相違ないと原本証明が記載されたコピーの提出が必要です。
4.予約日当日にアプリを使って本人確認をする
予約していた日時になったら、公証人から送られたメールに添付されていたURLにアクセスし、担当の公証人とテレビ電話で対面しながら認証を進めていきます。
この時、嘱託人の本人確認が行われるため、官公署が発行した顔写真付き身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど)を画面に映し、さらに自分の氏名・住所などの情報を伝えてください。
アプリを使った本人確認は、5分程度で完了します。
このテレビ電話によって、公証人は電子定款または電子署名が嘱託人本人によって行われたものだと確認できます。
さらに嘱託人の本人確認を実施することで、電子定款または電子署名の認証の可否を判断できます。
5.電子定款のデータを受け取る
アプリを使ったテレビ電話での本人確認が完了したら、定款認証の手続きが完了したメールが送付されます。
そのメールに認証分が付された電子定款のデータが添付されているため、ダウンロードをすれば電子定款のデータを受け取ることが可能です。
6.定款の謄本・領収書を受け取る
定款認証の手続き完了のメールが送付されてからしばらくすると、公証人に送付していた返送用レターパックを使って、定款の謄本と領収書を受け取ることができます。
法人設立ワンストップサービスは電子定款認証から登記申請まで一括で行える

電子定款も含め、法人設立では様々な手続きが必要となります。
しかし、「法人設立ワンストップサービス」を活用することで、必要な手続きをまとめてオンライン上で完結することも可能です。
ここでは、法人設立ワンストップサービスの特徴や利用するための流れについて解説します。
法人設立ワンストップサービスとは?
法人設立ワンストップサービスとは、デジタル庁が提供するマイナポータル上で法人設立に関する手続きをまとめて行えるサービスです。
これまで法人設立に必要な手続きをする際は、法務局や税務署、年金事務所、各行政機関など、個別に各機関を訪れて手続きを進めていく必要がありました。
しかし、法人設立ワンストップサービスではマイナポータルを活用し、ワンストップで手続きができるようになるため、申請手続きにかかる手間と時間を大幅に短縮できます。
利用するための流れ
法人設立ワンストップサービスを活用するには、どのような流れで進めていけば良いのでしょうか?ここで、利用するための流れを解説します。
1.必要なものを準備する
まずは、法人設立ワンストップサービスを利用する際に必要なものを準備しておきます。
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- マイナンバーカード(スマートフォンのマイナンバーカード)
- マイナポータルアプリがインストールされているスマートフォン(スマートフォンから申請する場合)
- ICカードリーダライタまたは、マイナポータルアプリがインストールされているスマートフォン(パソコンまたはタブレットから申請する場合)
タブレットにマイナポータルアプリをインストールすることはできませんが、スマートフォンからQRコードを読み取ることで、マイナンバーカードを読み取れるようになります。
2.「かんたん問診」を行う
法人設立ワンストップサービスの公式サイトを訪れると、「かんたん問診」があります。
かんたん問診は、質問に答えていくだけで必要な申請手続きが何かを知ることができる機能です。
「はい」「いいえ」「わからない」を選択し、最後に「問診結果へ」のボタンをクリックすると、結果画面へ移行します。
なお、すでに必要な申請手続きが何かわかっている人は、「申請可能な手続一覧」の中から手続きを選択し、申請することが可能です。
3.必要項目を入力して手続きを進める
申請が必要な手続きが決まったら、次に各手続きを進めていきます。
法人設立ワンストップサービスの場合、複数の手続きに必要な情報入力や添付ファイルの登録はまとめて行えるため、非常に便利です。
必要項目を入力していき、手続きを進めていきますが、入力内容を途中で保存して中断・再開することも可能です。
また、各手続きの進捗状況や申請先機関からのお知らせも、まとめて法人設立ワンストップサービス内で確認できます。
電子定款認証を代行してもらうことは可能?

電子定款は自分で作成・認証を進めていく方法と、行政書士・司法書士に代行してもらう方法があります。
行政書士・司法書士に代行を依頼すれば、手続きの不備や差し戻しなどがほとんどなくなり、公証人との調整や書類の送信、日程調整なども不要です。
また、自分で電子定款認証を進める場合、機材などを揃える必要もありますが、代行にすればその分のコストがなくなります。
代行サービスを利用するのに費用はかかってしまうものの、自分で進めた場合と費用がそれほど変わらなければ、手間がかからない点で代行に依頼するメリットは大きいといえます。
電子定款認証に関するよくある質問(Q&A)

電子定款認証についてよくある質問とその回答をまとめました。電子定款認証を進める前に、こちらもぜひチェックしてみてください。
電子定款認証は紙の定款認証より安いですか?
電子定款認証と紙の定款認証にかかる認証手数料は、どちらも同じくらいの費用がかかります。
ただし、紙の定款認証では収入印紙代が必要です。収入印紙代は1冊につき4万円かかります。
一方、電子定款だと電磁的記録の保存手数料が必要になってくるものの、1回につき300円となっているため、コストを大幅に抑えることが可能です。
電子定款認証は自分だけでできますか?
はい、電子定款認証は自分だけで手続きを進めることも可能です。
ただし、自分だけで進めると専用の機器・ソフトを新たに準備しなくてはいけなかったり、電子署名プラグインの設定などはパソコン操作に慣れていないとハードルが高かったりするため、注意が必要です。
電子署名がなくても電子定款は作れますか?
電子署名がないと法的効力がない電子定款になってしまうので注意してください。
電子定款は紙の定款とは違って印鑑を押すことができません。そのため、電子署名によって本人が定款作成を行ったことを証明する必要があります。
まとめ・電子定款なら認証までオンラインで完結できる!
電子定款は紙定款と違って作成の手間を抑えられるメリットがありますが、ソフトや機材などを揃える必要があるため注意が必要です。
それでも認証までオンラインで完結できるため、定款作成や認証にかかる負担を極力減らしたい場合は、電子定款で作成するのがおすすめです。
創業手帳(冊子版)では、会社設立や経営初期に役立つ情報・コンテンツをわかりやすく解説しています。電子定款の作成方法など基本的な情報も掲載しているので、ぜひお役立てください。
(編集:創業手帳編集部)
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