健康志向で注目のウェルネス事業とは?小さく始める方法を解説
身近な健康ニーズを支える小規模ビジネスに商機が広がっている

健康志向や意識の高まりによって、急成長している事業がウェルネス業界です。
世界的に注目されているビジネスなので、医療や大規模なフィットネス事業でないと参入しにくいと感じている個人事業主やひとり社長もいるかもしれません。
規模が大きくなると個人を支えることが難しくなってしまい、顧客にとってはサポート体制を不十分に感じやすい傾向がありますが、個人事業主やひとり社長なら地域密着型や専門的な分野に特化したスタイルで始めやすいのが特徴です。
この記事では、近年注目されているウェルネス事業について解説します。
この記事の目次
なぜ今、ウェルネス事業が注目されているのか

現在、ウェルネス事業が注目されている大きな理由は、社会全体の健康意識の変化、小規模でも差別化しやすい事業構造が関係しています。ここでは、注目の理由について説明します。
「予防・習慣化」への関心が高まっている
現在、ウェルネス関連の事業やビジネスが経済市場で拡大を続けていて、世界的な試算では約500兆円にまで膨らんでいるとも言われています。
そんなウェルネス事業が求められる背景には、病気になる前に体調を整えておきたいというニーズの高まりから、日常的にできるケアやサービスに対して関心を持つ人が増えているからです。
健康を意識したい人は、定期的なストレッチなどを取り入れて実践したり、食事を意識したり見直したりして病気の予防についても積極的に考える傾向にあります。
そのため、これらを無理なく取り入れられるサービスや支援などの需要が増加しています。
病気になってからの治療ではなく、日常生活での改善を目的としたサービスであれば、医療資格などに関係なく提供できるため、多くの業態からも参入しやすい分野です。
大がかりな設備がなくても始められる
ウェルネス事業が注目されている理由のひとつに、設備投資が不要な点も関係しています。
特定の環境でトレーニングや運動ができる施設を作る場合、場所に加えて設備も充実させなくてはなりません。
しかし、オンラインや訪問型でサービスの提供を行えば、大がかりな設備も不要なので費用を大幅に抑えられるはずです。
特にオンラインでサービス提供を行えば、地域を限定することなく顧客の確保ができるので売り上げも安定しやすくなります。
自宅の一室や小規模なスペースを活用して始められるので、リスクを抑えた状態で事業を立ち上げやすいのも注目の理由です。
地域密着や個別対応と相性がよい
個人事業主やひとり社長の場合、地域密着や個別対応と相性が良いことも関係しています。
1対1でサービスを提供できれば、一人ひとりの生活習慣や体の悩みに合わせた個別対応が可能となり、大手では難しい寄り添った対応が可能になるからです。
実店舗などを構えるなら、地域の顔なじみとなる関係性を活かして、継続的なサポートができるので小規模事業者には強みとなります。
他人に知られたくない健康に関する悩みなども相談しやすい環境が自然と生まれるので、口コミや紹介などで集客を生みやすい環境も作りやすいです。
小さく始めやすいウェルネス事業の例

実際に個人事業主やひとり社長としてウェルネス事業をスタートする場合、以下の事例をから自分の経験やスキルを活かせる領域を判断するための参考にしてください。
出張ストレッチ
出張ストレッチは、顧客の自宅に出向いて行う身体ケアサービスです。
短時間で簡単にできるストレッチが中心となり、1回30~60分程度の短時間メニューを設計すれば、日頃時間がなくて忙しい人でも継続的に利用しやすくなります。
メニューやサービス内容を運動不足解消、姿勢改善、肩こり緩和、認知症予防といった具体的な内容に絞れば、対象となる顧客への訴求力を高めやすいサービスにできます。
健康指導
小規模でスタートできるものとして、健康指導サービスというものもあります。
健康改善に向けてのサポートとし生活指導、栄養指導、運動指導を中心に行い、個別や運動施設などで実施します。
一般的な生活習慣の改善アドバイスであれば特別な資格は必要ありませんが、医療的な内容や専門的な健康指導を行うには資格が必要です。
しかし、健康指導の場合は資格や実績があったほうが信頼されやすい傾向なので、事業として本格的にスタートするなら認定資格などを取得してからがおすすめです。
食事計画の提供
ウェルネス事業を検討しているなら、栄養指導や食事計画の提供などもあります。
身体的ウェルネスを意識するなら、健康的な食事や体づくりを行うための取り組みが必要です。
しかし、実際には筋トレや運動はできても食事に関してのサポートを受けていないという人もいるでしょう。
実際に、24時間営業のジムや体育館などで運動や体を動かせる環境は身近にあるものの、食事や栄養に特化したサポートを行っているところは少ないです。
特に健康を意識したい人にとっては、摂取すべき栄養が何か、何が不足しているかを把握していないケースも多く、食事に関してのサポートに興味があっても何もしていないという現状もあります。
食事に関してのアドバイスは、国家資格がなくてもできる事業です。
食事についての相談、サポートをリモートで行ったり、新鮮な食材を使って食事を提供したり、食材のみの配達を行ったりなど、内容や範囲によって規模や内容も変えられます。
睡眠・休養環境の見直し支援
睡眠の質を高めたい人向けに、就寝前のルーティンや寝室環境の整え方をアドバイスするサービスです。
人間が生きるうえで睡眠は大切なものであり、睡眠不足によって生活習慣病や脳の機能に影響が及ぶからです。
また、睡眠に関する問題や悩みを抱えている人も多くいることから、年代を問わず多くの人にアプローチできます。
睡眠・休養環境の見直し支援に参入した場合、照明、温度、スマートフォン使用習慣など、生活導線全体を見直す支援やサポートによって、根本的な改善につなげられます。
特定の層にターゲットを絞れば、安定して継続的な需要も見込みやすいです。
小規模事業者向けの簡易ウェルネス支援
小規模事業者に向けた簡易ウェルネス支援は、業務の合間や休憩時間にできる簡単で軽い運動習慣や休憩の取り方などを提案するサービスです。
従業員の健康意識向上を支援するプログラムの提案によって、福利厚生の充実を考えている中小企業経営者のニーズにも応えられます。
月1~2回の訪問型プログラムを提供することで、事業者側の負担を抑えながら継続契約にもつなげやすいです。
ウェルネス事業はどんな人に向いているか

ウェルネス事業は、人々の健康維持や病気の予防などを含めて、よりよく生きるためのものですが、どのような人物がこの事業に向いているのかを解説します。
「向いているか」「どんな人物像ならいいのか」など、向いている人物像を理解すれば、自分の強みが活かせるかどうかも判断できるので参考にしてください。
健康・運動・生活改善への関心が高い人
日頃から健康、運動、生活などに関心があり、さらに継続的なアップデートを行っていると、説明やサービスに対して説得力も生まれます。
常に最新の健康情報や生活習慣に関しての情報や知識をアップデートすれば、顧客との間に信頼感も生まれやすくなれます。
また、日頃から健康や運動に関心を持っていて、継続的に学んで実践している人はサービスに説得力が生まれやすいです。
健康、運動、生活改善などへの関心が高く、これらのテーマに対して本気で向き合っていると、日頃の会話や発信する内容などからも相手に熱量が伝わりやすいです。
人に寄り添う支援が得意な人
ウェルネス事業は、長期的なサポートや支援を行う力が求められる職種です。単純に商品を販売して終わりではなく、顧客を長期的にサポートしていく力が必要になります。
もちろん、健康や食に関する知識などは必要になります。
しかし、どちらかというと相手をサポートして健康に導くための要素が強いので、継続的な声かけで一歩一歩前進していく姿を隣でサポートするイメージです。
顧客のモチベーションを安定して維持できることで、継続利用にもつながっていきます。
相手を尊重して無理なく支援できる人なら、利用者からの口コミや紹介などで顧客が生まれやすい傾向があります。
得意分野がある人
例えば、「肩こり」「睡眠改善」「姿勢矯正」「歩き方」など、特定のテーマや得意分野を活かすことで専門的な部分までアドバイスできるだけでなく、周囲からも認知されやすくなります。
多くのテーマを取り扱うものの、広くて浅い内容になってしまうと顧客の求める情報が得られないと満足度が下がる可能性もあります。
特定のテーマや内容に特化したほうが口コミ紹介や検索流入を得やすいでしょう。
得意分野を中心としたサービスの提供によって、同じテーマやジャンルで悩みを抱えている顧客からの信頼も得やすくなります。
小規模でウェルネス事業を始める流れ

実際にウェルネス事業を立ち上げる際は、対象・内容・提供方法・継続設計の順に具体化していくことが重要です。ここでは、事業を始める流れについて説明します。
誰のどんな悩みを解決するかを決める
事業を始める際には、サービス設計について考えます。働く世代向け、高齢者向け、子育て世帯向けなど、対象者を具体化することでサービス設計もしやすくなるからです。
特定のターゲットを決めずに曖昧なまま事業を始めると、集客メッセージが伝わりにくくなるため、最初に対象を絞り込むことが重要となります。
ターゲットを決めることで対象者が特定できるので、必然的に抱えやすい悩みなどを深く理解できるため、共感を生むサービス設計ができます。
提供内容を絞り込む
事業を始めたばかりの時は、できるだけ提供する内容やメニューを分散させずに絞ることを意識してください。
最初から多くのメニューを用意するのではなく、1~2テーマに集中することでサービスの質を高めやすいです。
絞り込んだテーマでコツコツと実績と口コミを積み上げていき、段階的にメニューを拡張していくアプローチが現実的です。
また、顧客にとっても提供内容が明確なほど選びやすさから申し込みや問い合わせのしさすさがあります。
対面・訪問・オンラインのどれで提供するか決める
サービスの提供を決める際には、無理なく継続的に提供できる方法を決めるのがポイントです。
自分の生活スタイル、体力の問題、移動コストなどを考慮すれば、無理なく提供できるサービスになります。
また、顧客層によってもサービスの提供方法を考えることも大切です。
高齢者はオンラインに不慣れなことが多く、対面や訪問での提供が適していて、若い世代にはオンラインのほうが受け入れてもらいやすさがあります。
ターゲット層が広い場合は、これらを使い分けたり曜日などで固定したりといった工夫が必要です。
他にも提供する方法によって価格設計も考えなくてはなりません。提供方法の決定後に、全体的な設計を組み立てていくと効率的です。
単発ではなく継続利用につながる形を考える
事業を始めるなら、単発での利用ではなく継続的な利用につなげる工夫も求められます。
単発での対応に限定してしまうと毎月の集客コストや手間が増えやすくなり、顧客として定着する人が増えない可能性が高いからです。
サービスとしても継続することで効果が得られるケースがほとんどなので、定額プラン、月額サービスやサポート、回数券など継続利用が前提となる設計を意識します。
継続率が高くなれば、顧客が目に見える変化を実感できるだけでなく、進捗についても可視化できる仕組みにすると、より効果的です。
売れるウェルネス事業にするためのポイント

サービス定着のためには、訴求・設計・発信・連携の4つの視点から磨き続けることが不可欠です。ここでは、売れるウェルネス事業のためのポイントについて解説します。
「健康にいい」ではなく具体的な悩みで訴求する
売れることを意識するなら、顧客が感じている悩みに訴求することです。
例えば、「肩こりがつらい」「疲れが抜けない」「運動不足が気になる」などの悩みに対して具体的な表現に変えることで顧客に訴求できます。
悩みに対しての言葉で説明すれば、検索や口コミなどでも見つかりやすくなるので集客しやすくなります。
続けやすさを価値にする
習慣化を意識して継続してもらうためには、「短時間」「低負担」「通いやすさ」「無理なく続けやすい」を意識して設計に組み込むことです。
顧客に一歩踏み出しやすい環境を与えることが、習慣化のしやすさにも関係してきます。
「週1回30分から始められる」など、続けやすい設計を打ち出せば、継続利用を前提とした顧客との長期的な関係構築にもつながります。
信頼感を高める情報発信を行う
ブログやSNSでの情報発信や生活改善のポイントやヒントを定期的に発信すると、専門家としての信頼も得られます。
できるだけ、継続的な内容で発信を続けていくと顧客の改善に向けての意識が高められます。
実際に顧客の体験談、サービス利用によっての変化などを発信すれば、新規顧客の獲得や安心感にもなるのでおすすめです。
持続的な発信が、次第に「相談してみたい」と思われる存在に変わりやすく、問い合わせや紹介が自然に生まれる環境に変わります。
ウェルネス事業を始める際の注意点

事業を安定して継続するためには、法的・倫理的なリスクを事前に把握し、適切な範囲でサービスを設計することを意識しなければなりません。
ここでは、ウェルネス事業を始める際の注意点について説明します。
医療行為と誤認されないようにする
ウェルネス事業を始める際には、医療行為と間違われないようにしてください。
診断・治療・処方に該当する行為は医師法等により医療従事者にしか認められていないため、無資格での提供は違法となるからです。
提供できるサービスは「生活習慣の改善支援」「セルフケアのサポート」など、あくまで日常的な健康維持の範囲内で行うことを明確に表示することがポイントです。
特にサービスの説明文、チラシ、SNSなどでの表現も医療行為を連想させる言葉を使わないように細心の注意をしなければなりません。
資格が必要な領域との線引きを確認する
ウェルネス事業では、資格が必要な領域との線引きも重要です。例えば、柔道整復師や鍼灸師といった国家資格が必要な施術は法律で禁止されています。
栄養に関する指導も管理栄養士と名乗って提供するには国家資格者でなければできず、不正表示に該当してしまいます。
提供するサービス内容が資格者のみのものか、業務独占規制が適用されるかなど、事前に関係法令で確認してください。
効果の言い過ぎに注意する
顧客にサービスの良さをアピールしたい時、「必ず改善する」「○○が治る」などの断定的な表現を使いたくなるでしょう。
しかし、このような表現は薬機法や健康増進法、景品表示法に抵触する可能性があるので要注意です。
「私はこれだけで数値が下がって薬要らず!こんなに健康になりました」など、大げさな効果表示の場合、注意書きとして「個人差があります」と注記しても法的リスクが解消されるわけではありません。
表現については慎重に設計する必要があります。
広告表現に不安がある場合は、薬機法などのガイドラインの確認や専門家への確認が有効です。
自分の負担が大きすぎる設計にしない
ひとり社長として事業を始めた際に、対面や訪問サービスのみで売上を積み上げようとすると、体力や時間などの上限ができてしまい、収益が頭打ちになりやすいです。
持続的な事業を行うなら無理のないサービスメニューを検討し、提供範囲や収益のバランスについて設計する必要があります。
曜日や週などでオンラインや訪問、対面などを固定化し、プログラムの組み合わせることで労働時間に適した収益性が高められます。
まとめ|健康志向の高まりは小さなウェルネス事業にも追い風になる
個人事業主となると、事業規模が小さくなると思われがちですが、大規模な設備投資を行わなくても日常の不調や習慣改善を支えるサービスに参入しやすいです。
ただし、単純に個人事業主になりたいからと参入するのではなく、対象者や提供するサービスについて組み立てていくことが重要であり、地域や専門性を活かした事業にできます。
最初は身近なところからスタートして、徐々に実績を重ねていくことが現実的です。
(編集:創業手帳編集部)

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