開業手帳2015年9月11日
カフェ・ダイニング開業マニュアル|設備から集客までカフェ・ダイニングの開業手順徹底解説
カフェ・ダイニングを開業するまでの法的準備と設備の準備を分かりやすく解説
主婦や定年退職後の会社員などに人気がある「カフェ・ダイニング」の開業。
料理に対する知識がそれほどなくても、こだわりや趣味・店舗の雰囲気で集客できるため、初めての飲食店開業として人気のジャンルです。
自宅などで簡単に開業できるイメージのあるカフェ・ダイニングですが、顧客に飲食物を提供するためには法的な許可が必要となり、それなりの設備投資もしなければなりません。
今回は、カフェ・ダイニング開業に必要な準備を徹底解説します。
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この記事の目次
カフェ・ダイニング開業に必要なこと
カフェ・ダイニングを開業するためには、美味しい飲み物・料理・おしゃれな店舗が必要ですが、料理や設備だけでなく、さまざまな法的準備があります。
法的な許認可を得ることなくしてカフェ・ダイニングを開業することはできません。具体的には、以下の法的な準備をする必要があります。
- 開業するための法的手続
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- 開業するための法的手続
- 店舗等の設備面の準備
- 仕入先の準備
- 集客手段の確保
- 人員採用の準備
- 資金調達の準備
店舗をオープンするまでには、これらの準備を全て完了させなければなりません。カフェ・ダイニングを開業するために必要な手続きを詳しく解説していきます。
カフェ・ダイニング開業に必要な事務手続き
カフェ・ダイニングを開業するためには、以下の法的手続が必要です。
届出先 | 届出 | 届け出る条件 |
---|---|---|
保健所 | 営業許可申請書 | 飲食店はすべて対象 |
消防署 | 防火対象物使用開始届 | 飲食店は「延べ面積が 150 平方メートル以上のもの又は収容人員が 30 人以上のもの」に該当する場合のみ |
警察署 | 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 飲食店はすべて対象 |
税務署 | 開業届 法人設立届出書 青色申告承認申請書 給与支払事務所等の開設届出書等 |
業種に関わらず個人事業主は届出が必要 |
労働基準監督署 | 労働保険保険関係成立届 労働保険概算保険料申告書 雇用保険適用事業所設置届 雇用保険被保険者資格取得届 許認可 |
従業員を雇用する場合 |
法的な届け出が非常に多いように感じますが、必ず出さなければならないのは営業許可申請書だけです。
その他は、店舗の面積や収容人数、従業員雇用の有無によって異なります。また、税務署や労働基準監督署に提出する書類は、開業後でも問題ありません。
まずは自分が開業しようとしている店舗では、どのような届け出が必要になるのかを確認しておきましょう。
カフェ・ダイニング開業に必要な資格
カフェ・ダイニング開業に必要な資格は、基本的に以下の2つだけです。
-
- 食品衛生責任者(必ず)
- 防火管理者(収容人数30人以上の場合は必ず)
飲食店は「調理師免許を持っていないと開業することができない」というイメージがありますが、実は調理師免許は必須条件ではありません。
飲食店開業に必要な資格は食品衛生責任者という資格です。食品衛生責任者の資格は、以下のいずれかの条件を満たせば誰でも簡単に取得できます。
-
- 食品衛生責任者養成講習会を受講する
- 栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格を保有している
毎月定期的に保健所が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講すれば誰でも取得できるので、まずは保健所へ連絡して食品衛生責任者養成講習会に参加しましょう。
例えば、コーヒーや紅茶しか提供しないカフェ・ダイニングだとしても、必ず食品衛生責任者の資格が必要になります。
また、飲食店で「収容人数30人以上の店舗」では、防火管理者の選任が義務付けられています。
多くの顧客を収容できるカフェ・ダイニングでは、防火管理者の選任が必要になり、法律で義務付けられた講習を受けなければなりません。
防火管理者は、店舗の広さに応じて甲種(300㎡以上)と、乙種(300㎡未満)の2つの種類があります。
いずれも消防署で講習を受ける必要があり、甲種であれば2日間の講習、乙種であれば1日間の講習を受ければ取得可能です。まずは最寄りの消防署へ連絡しましょう。
収容人数30人未満のカフェ・ダイニングでは、防火管理者の選任は不要です。
なお、調理師免許は飲食店開業のための必須資格ではありません。しかし、国家資格である調理師免許を取得した人が飲食店にいる方が、店舗の信用度は高くなる傾向があります。
調理師免許の取得方法は、以下のいずれかの条件を満たすことです。
-
- 2年以上の実務経験を積み、調理師試験に合格する
- 調理師学校または養成施設を卒業する
飲食店を開業してから2年以上経過すれば、調理師試験を受験する資格を得ることができます。
店主に調理師免許があった方が、店舗の信用度が向上することは間違いありません。
開業前には条件を満たしていない人も、将来的には資格取得を視野に入れましょう。
カフェ・ダイニングに最適な立地・物件・設備とは?
カフェ・ダイニングを開業するためには、必ず店舗を借りなければなりません。
物件選びのポイントは2つです。
-
- 立地:都市部であれば駅前、地方であれば駐車場のある広いテナント、自然豊かな公共施設・公園や観光名所の近く(コンセプトに合わせた立地が重要)
- 設備:できれば初期投資を抑えられる居抜き物件
カフェ・ダイニングの店舗選びや、必要な設備について詳しく解説していきます。
立地
カフェ・ダイニングにとって最適な立地は、地域や店舗のコンセプトによってかなり異なります。
「とにかく多くの顧客を集客したい」という場合は、都市部であれば駅前、地方であれば幹線道路沿いで駐車場の広い物件がよいでしょう。
「自然や歴史の中でおしゃれなカフェ・ダイニングにしたい」などのブランディングであれば、著名な公園や歴史的建造物の近くなどがおすすめです。
また、人気の街にカフェ・ダイニングを構えるだけでも、店舗のブランド力は高まります。
まずは「どんな店舗にどんな客層を集客するのか」を明確にし、コンセプトに合った立地を決めましょう。
業種ごとに適した立地の選び方については、以下の記事で専門的に解説しています。
物件探しの手順
自分が開業したいエリアは決まっても、実際に店舗を探すための手順が分からないという人も多いのではないでしょうか?
物件探しは以下の順番で行うのがよいでしょう。
2.不動産会社へ訪問するかネットで最適な条件の不動産を探す
3.不動産会社へ問い合わせて内見をする
4.申し込みを行う
5.入居審査を受ける
この中で最も重要な点は、「不動産の条件」です。
-
- 都市部の飲食店→駅に近い
- 地方の飲食店→郊外で駐車場が広い
- お酒メインの飲食店→駅に近い
- ファミリー層がターゲットの飲食店→郊外で駐車場が広い
など、自分の飲食店のカラーに最適な条件を検討し、それに見合った物件を探しましょう。
カフェ・ダイニングの場合は、コンセプトによって最適な店舗がかなり異なるので注意が必要です。
若者・カップル・大人の女性・会社員・シニアなど、どのような客層を狙うのかによって店舗の雰囲気は大きく異なります。
なお、できる限り設備投資にお金をかけないためには、内装をそのまま使うことができる「居抜き物件」を探すのがおすすめです。
また、料理やお茶のテイクアウト窓口の設置なども検討すべきでしょう。コロナ禍によってテイクアウトは売上を伸ばす分野です。
消費税の「軽減税率の対象になる」という付加価値付きですので、テイクアウトを積極的に検討しましょう。
なお、持ち帰りのみでも食品衛生責任者などの法的な資格は必要になります。
設備(ハード面)
店舗の設備を具体的に検討する前に、まずは営業許可を取るための「店舗の条件」を確認しましょう。営業許可を得るための基準は地域で異なりますが、主に以下のような基準があります。
-
- 扉付きの食器棚を設置すること
- 厨房の床の水はけがよい
- グリストラップがある
- 厨房と客席が扉などで区分けされている
- 厨房内に「2槽シンク」が設置されている
- 厨房内とトイレにそれぞれ「手洗い場」が設置されている
- 厨房内に冷蔵庫などの設備が収まっている
- 冷蔵庫・冷凍庫に温度計が付いている
- 虫やネズミの侵入を防ぐため窓に網戸が設置されている
保健所は開業する前に「事前相談」を受け付けています。事前相談において開業するための設備の条件を確認し、間違いのないように設備を揃えましょう。
設備を揃えた後に、保健所へ「営業許可申請」を提出すると、保健所の担当者が実際に店舗へ検査に訪れます。検査の結果、設備に問題がなければ晴れて営業許可を得ることができます。
上記の設備も含め、カフェ・ダイニング開業に必要となる調理器具は、主に以下のようなものです。
-
- ガスコンロ
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- 作業台
- レンジ
- コーヒーメーカー
- 洗浄設備
カフェ・ダイニングは、それほど多くの厨房機器が必要ではありません。
ただし、コーヒーにこだわる場合には数百万円もする設備もあるので、どのコーヒーメーカーを入れるのかによって設備投資はピンキリです。
なお、厨房機器は中古でも状態の良いものが数多くあるので、開業費用をできる限り抑えたい方は、中古の厨房機器を探してみましょう。
設備(ソフト面)
厨房機器や食器以外に、カフェ・ダイニング開業のために用意するものは以下のとおりです。
-
- メニュー表
- 食器
- 持ち帰り用のカップ
- お釣り・決済サービスの導入
- 感染防止の設備
カフェ・ダイニングは、ソフト面での設備投資はそれほど多くありません。食器などこだわったものを用意してもそれほど高額にはならないでしょう。
またメニュー表などは、広告代理店等に頼むと10万円以上かかってしまいます。
そのため、自分で作るか「ココナラ」などでデザイナーに直接依頼するとよいでしょう。この他、おしぼり業者や清掃業者なども必要であれば事前に契約します。
割り箸などは、店名を入れたオリジナルを作成できます。ただし、オリジナル商品はコストが高くなるので、最初のうちはネットで安く大量に仕入れられるものを使用してもよいでしょう。
また、お釣り用の小銭やキャッシュレス決済サービスの導入なども忘れないように準備してください。この他、カウンターに飛沫防止パネルなども設置しましょう。
さらに、最近のカフェでは「無料Wi-Fi」の提供は必須だと言えます。通信会社へ連絡して、店舗に無料Wi-Fiを繋げましょう。
カフェ・ダイニング開業前に見つけるべき仕入先
カフェ・ダイニングを開業する前に、営業に必要な仕入先も確保しておきましょう。カフェ・ダイニングに必要な仕入先として、以下のような業者が挙げられます。
-
- コーヒー豆業者
- パン屋
- 肉屋
- 八百屋
- 資材屋(割り箸等)
- 酒屋
カフェ・ダイニングは、とにかく「豆」「葉っぱ」が重要です。コーヒーや紅茶にどんな豆や葉っぱを使うかを吟味してから、仕入れ先を検討しましょう。
提供する料理の具材により、肉や魚が必要になるのであれば、肉屋・魚屋とも契約する必要があります。
他店と差別化を図るために、こだわった具材を使うのであれば、農家と直接契約するなどしてブランディングを図ることも検討しましょう。
この他にも、酒屋やパン屋など、メニューに合わせて仕入れる業者を見つける必要があります。
カフェ・ダイニングの集客方法
開業したら地域にお店を知ってもらう必要があります。そのため、最初だけは次のような方法でカフェ・ダイニングの広告を出すことも検討しましょう。
-
- 食べログやぐるなび
- フリーペーパー
- チラシ
- 割引券の配布
- Twitter、InstagramなどのSNS
カフェ・ダイニングのコンセプトは「遠くから店舗に来てもらう」ではなく、近隣住民や近隣で勤務する会社員・通行人などに「立ち寄ってもらう」というのが基本です。
そのため、お金をかけて広範な地域に対して広告を出す必要はありません。
むしろ、SNSなどでおしゃれな雰囲気の写真をどんどんアップするとともに、顧客にもアップしてもらったほうが大きな宣伝効果が期待できます。
そのため、お金のかかるグルメサイトでの広告は、開業してから数カ月間だけと決めて、一定の時間が経ったら広告費を落として、口コミやお客さんの紹介で顧客を確保していく方法を検討しましょう。
カフェ・ダイニングの採用方法
オープニングスタッフを採用するかどうかは、店の規模に応じて決めましょう。
人件費は店舗経営における最も大きな固定費になるので、1人または家族で店舗が回るのなら、オープニングスタッフをあえて雇用する必要はありません。
小さなカフェ・ダイニングは家族や経営者だけで回しているケースも多いので、まずは「どうすれば人を雇わずに店を回すことができるか」を考えましょう。
また、採用する場合には知り合いへの声かけがベストです。求人サイトは料金がかかるので、まずは無料で採用できる方法を考えましょう。
忙しい時だけ雇うことができる「タイミー」などのアプリを活用することで、固定費を圧縮しつつ、繁忙日だけ人を雇うことができます。
カフェ・ダイニングの資金繰り
カフェ・ダイニングを開業する人の多くが銀行や日本政策金融公庫の開業資金融資を利用しています。飲食店の資金調達について、詳しくは以下のページに記載していますが、基本的に開業資金をフルローンで借りるのは難しいので、必要総額の3割程度の自己資金が貯まってから開業準備をしましょう。
また、飲食店は売上が即現金になる「現金商売」です。そのため、毎日の売上をしっかりと管理し、手元に現金があるからといって浪費しないことが最も重要になります。
カフェ・ダイニングは売上が毎日コツコツ入り、月末に支払いがまとめて来るということをよくよく念頭に入れて、日々の資金繰り管理に努めましょう。
なお、最近ではキャッシュレス決済を導入している飲食店も増えています。
キャッシュレス決済では売上金の入金があるのは数日後から数週間後になり、仕入れ資金等が不足する可能性もあるため、一定の運転資金は常に手元に確保しておきましょう。