【令和8年3月開始】保証料負担が大幅減!「モニタリング強化型特別保証制度」のメリットと要件を徹底解説
個人事業主も対象!令和9年3月末までの保証料補助を活用しよう

令和8年3月16日から、中小企業庁が推進する新しい信用保証制度「モニタリング強化型特別保証制度(略称:モニ特別)」の申込受付が開始されました。
この制度は、厳しい状況にある中小企業者の成長に向けて事業の立て直しや投資を後押しする制度です。
認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士など)のサポートを受けながら、毎月の財務状況や資金繰りを管理・報告することを条件として手厚い保証料補助が受けられます。
補助適用後の事業者負担率は0.23%〜0.95%と資金調達コストを大幅に抑えられるうえ、万一の際も4者協議による早期支援体制が整っているので資金調達と経営基盤強化を同時に実現できる制度といえます。
期間限定の優遇措置なので、早めに概要を把握しておきましょう。
この記事の目次
モニタリング強化型特別保証制度(モニ特別)とは?

モニタリング強化型特別保証制度(モニ特別)は、認定経営革新等支援機関と連携して月次で財務状況等を管理・報告することを条件に、保証料の優遇(国による補助)が受けられる制度です。
以下で、制度の創設背景と基本要件を確認しましょう。
制度創設の背景
モニタリング強化型特別保証制度は、「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月21日閣議決定)に基づき、地域金融機関・信用保証協会・士業等が連携して予兆管理を強化するための信用保証制度として新設されました。
コロナ禍で増加した借入金の返済負担に加え、物価高や人手不足の影響で資金繰りに課題を抱える中小企業は数多くあります。
そうした困難な状況にある中小事業主が早期に事業再生に取り組むための制度が、モニタリング強化型特別保証制度です。
制度の活用により、中小企業者の稼ぐ力の強化や経営悪化の予兆を早期に把握する体制を構築できます。
制度を活用して定期的に専門家と経営情報を共有する企業にインセンティブを与えることを目指して創設されました。
基本要件
モニタリング強化型特別保証制度を利用するには、通常の保証申込書類に加えて専用の誓約書の提出が必要です。
誓約書は、連携する認定経営革新等支援機関の同意が必要となります。連携する認定経営革新等支援機関との事前相談が申込の第一歩です。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 認定経営革新等支援機関と連携し、月次で財務状況や資金繰り状況等を把握・報告することを誓約する書面を提出した中小企業者。融資を受ける金融機関を認定経営革新等支援機関として連携させる場合には、総借入金残高のうちプロパー融資残高の割合が5割以上であることが条件となる。 |
| 必要書類 | 保証協会所定の申込資料に加え、「モニタリング強化型特別保証制度申込人資格要件申告書兼誓約書」の添付が必須(連携する認定経営革新等支援機関の同意が必要) |
| 保証限度額 | 2億8,000万円(複数の保証協会利用分を合算した1企業単位の上限) |
| 保証割合 | 80%保証(責任共有対象) |
| 対象資金 | 事業資金(運転資金・設備資金・運転設備資金) |
| 保証期間 | 分割返済:10年以内/一括返済:1年以内 |
| 据置期間 | 運転資金:1年以内/設備資金・運転設備資金:3年以内 |
| 保証料率 | 0.45%〜1.90% |
| 保証料補助 | 令和8年3月16日〜令和9年3月31日の申込分:保証料の1/2相当を国が補助(事業者負担率0.23%〜0.95%) |
| 取扱期間 | 令和8年3月16日〜令和11年3月31日 |
経営者にとっての3つの大きなメリット

モニタリング強化型特別保証制度は、月次で財務状況や資金繰り状況を把握し、金融機関へ報告する必要があるため作業負担が大きく感じられるかもしれません。
しかし、経営者が見逃すことができない大きなメリットがあります。
以下で3つにまとめて紹介します。
保証料負担が大幅に軽減される
保証料率とは、保証期間に支払う保証料を算出するために使われる割合を言います。
モニタリング強化型特別保証制度を使えば、令和8年3月16日から令和9年3月31日までの保証申込分については、本来の保証料率(0.45%〜1.90%)の2分の1相当額を国が補助してくれます。
国による補助適用後の事業者負担率は0.23%〜0.95%となり、借入コストを抑えながら資金調達を実現できるのが最大のメリットです。
令和9年4月1日以降の保証申込については補助の有無や補助率が未定となっています。
現状の条件で補助を受けるのであれば、令和9年3月31日までの申込が重要なポイントとなります。
自社の経営状態を客観的に把握できる
モニタリング強化型特別保証制度は、企業の資金繰りにアプローチするだけに限らず、利用すること自体にメリットがあります。
毎月、認定経営革新等支援機関と連携して財務状況や資金繰り状況を確認する月次管理を実施するため、経営の現状を数字に基づいて正確に把握できる体制を整えられるのです。
専門家の視点から毎月所見を受けるので、経営者自身では気づきにくいリスクや改善点を早期に把握して機動的な経営判断につなげられます。
いわゆる「どんぶり勘定」で経営している企業は決して珍しくありません。しかし、経営環境が悪くなれば、どんぶり勘定では立ち行かなくなる可能性があります。
資金繰り表の作成や経営課題の整理を毎月継続することで、どんぶり勘定から脱却して経営管理を習慣化させる仕組みとして機能します。
ピンチの際も「4者協議」で早期に対応策を練れる
経営状況の報告も、報告だけでは終わりません。経営状況に変化が生じた場合は、事業者・認定経営革新等支援機関・金融機関・保証協会の4者が対話を通じて経営支援や金融支援の必要性を検討し、支援方針を速やかに共有する体制が整っています。
4者協議は関係者が一堂に会することを必須とはしていません。電話やオンライン会議でも実施可能なので、地理的条件や多忙なスケジュールにかかわらず迅速な対応が可能です。
制度を利用するための必須条件「3つのモニタリング実務」

モニタリング強化型特別保証制度では手厚いメリットを受ける代わりに、経営者が取り組まなければならない報告義務が3種類存在します。
モニタリング期間は貸付、実行日の属する事業年度から5事業年度です。いずれの義務も誠実に履行することが制度利用の前提となります。
制度を利用するための必須条件である3つのモニタリング実務について紹介します。
1. 月次管理(毎月)
月次管理とは、貸付実行日の属する事業年度から5事業年度のモニタリング期間において、中小企業者と認定経営革新等支援機関が連携し月次で財務状況や資金繰り状況等を把握することを言います。
対象となるのは、原則として貸出実行月の属する月から5事業年度目の決算月までです。月次管理の対象となる月の翌月のタイミングで実施されます。
初回は貸付実行日の属する月の実績を翌月中に実施するルールです。
把握すべき項目は、公表されている月次管理表(参考様式)の内容を確認してください。
上記の表の項目を満たす必要はありますが、任意の様式を活用することも認められていて実態に応じて柔軟に運用できます。
2. モニタリング報告(年1回)
モニタリング報告とは、モニタリング期間において年に1回、中小企業者と認定経営革新等支援機関の連携で「モニタリング報告書」を作成し、金融機関と保証協会に提出する手続きです。
提出期限は決算期によって異なります。決算期が4〜9月の法人は12月中、決算期が10〜3月の法人および個人事業主は6月中に金融機関へ提出することが義務づけられています。
制度開始直後の事務負担を軽減する配慮として初年度分(貸付実行日の属する事業年度)の報告は2年目分とまとめて提出する運用です。
決算期によって決算の確定から報告までの期間に差があるので、スケジュールを把握しておきましょう。
3. 経営状況の変化に関する報告(随時)
モニタリング期間中に一定の基準に該当したときには、「経営状況の変化に関する報告書」を作成し、中小企業者が金融機関及び保証協会に対して報告を行います。
一定の基準は、「今後6か月以内に資金不足が懸念されるとき」、または「資金不足には至らないが経営状況の変化を報告する必要があると判断したとき」です。
基準に該当したときには、「経営状況の変化に関する報告書」を速やかに金融機関へ提出しなければいけません。
報告書には直近決算書を併せて提出する必要があり、資金不足の懸念がある場合はさらに資金繰り表等も添付することが求められます。
報告の授受の方法および形式は各金融機関が指定する方法によるので、事前に取引金融機関の担当者と提出方法を確認しておきましょう。
経営状況の変化に関する報告がなされた後は、原則として4者協議によって事業者支援の方針が共有されます。
月次管理でチェックする3つのポイント

月次管理は単に「毎月確認する」というだけでなく、財務と資金繰り、経営課題の3つの視点から具体的に現状を整理することが求められます。
それぞれのポイントの内容を正確に把握した上で月次管理を実施すると、制度の趣旨に沿った適切な経営管理体制を構築できる仕組みです。
月次管理でチェックすべきポイントについて以下でまとめました。
財務・資金繰り状況の把握
月次管理では、現金売上や売掛金の回収状況、借入金の返済予定などを網羅した資金繰り表を作成して、実績と計画の差異を毎月照合するように求められます。
中小企業庁が公開している月次管理表(参考様式)には、財務状況と資金繰り状況の両方を記録する欄が設けられており、数字の変化を継続的に追跡することで経営状況の変化の予兆を早期に察知できるような形式が採用されています。
月次での数値管理の継続によって、資金不足の懸念が生じたときの報告基準に該当しているかどうかを迅速に判断することが可能です。
適切なタイミングで支援を求めることができるようになっています。
経営課題と対応策の整理
月次管理は単なる数字の確認ではありません。月次管理表の作成によって現在直面している経営課題とそれに対する具体的な取組事項を毎月整理することが求められる内容です。
仕入単価の上昇や主要取引先の経営悪化など、財務数字に表れる前の段階の変化についても課題として把握・記録することが経営状況の予兆管理として重要です。
課題と対応策を文書化して毎月継続できるので、認定経営革新等支援機関との議論の質が高まり、実効性のある経営改善の実現に貢献します。
認定支援機関の所見の反映
月次管理表には「認定経営革新等支援機関所見」の記入欄が設けられており、専門家が毎月の財務・資金繰り状況を踏まえた所見を記録する仕組みです。
税理士や公認会計士、中小企業診断士など認定経営革新等支援機関に該当する専門家の客観的な視点からの所見を毎月受けられるので、経営判断の精度を高められます。
企業が抱えるリスクや改善点は経営者自身では気づきにくいものもあります。認定支援機関の所見から課題を早期に把握し、機動的な経営判断につなげることができるのです。
モニタリング報告書で見る6つの指標

年に一度のモニタリング報告では、自社の経営の成長性・収益性・安全性を可視化するために6つの財務指標を5事業年度分にわたって記録・報告することが求められます。
モニタリング報告の時にだけ指標を意識するのではなく、指標の内容を事前に把握して事業に取り組むようにすると日頃の経営管理で効果を発揮します。
法人が記録する6つの財務指標
モニタリング報告書には、財務分析として以下の内容を記載します。
①売上高増加率(売上高÷前年度売上高-1)
②営業利益率(営業利益÷売上高)
③労働生産性(営業利益÷従業員数)
④EBITDA有利子負債倍率(借入金-現預金)÷(営業利益+減価償却費)
⑤営業運転資本回転期間(売上債権+棚卸資産-買入債務÷月商)
⑥自己資本比率(純資産÷総資産)
①~③の指標は、記録することで自社の成長性と収益性を定量的に把握するためのものです。さらに④~⑥の3指標を加えた計6項目を5事業年度分にわたって記録します。
これら6指標を毎年継続的に記録・比較することで、自社の財務体力の変化傾向を客観的に把握でき、金融機関や保証協会との対話においても説得力ある情報共有が可能です。
個人事業主への配慮:3指標での対応が可能
法人については6つの財務指標を記載しますが、個人事業主については、6項目のうち①売上高増加率・②営業利益率・③労働生産性の3項目のみを記載すればよいとされ、報告の事務負担が軽減されています。
3指標であっても継続的に記録を取ることで収益性・成長性の変化を可視化できます。経営管理ツールとして積極的に活用するようにしてください。
報告が必要な「経営状況の変化」の具体例

経営状況の変化に関する報告は、以下の2つの報告基準のいずれかに該当する場合に必要です。異変を報告した際は4者協議を通じて支援方針が速やかに検討されます。
以下では経営状況の変化について具体例を使いながら説明します。
報告基準(1):今後6か月以内に資金不足が懸念されるとき
仕入単価の上昇による大幅な収益力の悪化や価格転嫁の遅れにより将来の資金繰りへの影響が懸念される場合は、現時点で資金不足が生じていなくても速やかに報告することが求められます。
報告基準(1)に該当する場合は「経営状況の変化に関する報告書」に加え、資金繰りの見込みを明らかにする書類(資金繰り表等)の提出も必要です。
報告基準(2):経営状況の変化を報告する必要があると判断したとき
「主要取引先の経営状況の悪化や取引条件の変更により収益性が大幅に低下している」といった財務数値に先行する外部環境の変化は、資金不足に直結しない段階であっても報告対象です。
「社内人材の退職により営業力や技術力等に課題が生じる可能性がある」といった組織や人材面の変化も、報告対象として公式資料に明示されています。
数字だけでなく経営全体の変化を広く捉えて判断しなければいけません。
モニタリング強化型特別保証制度に関するよくある質問

個人事業主も利用できますか?
A.モニタリング強化型特別保証制度は中小企業者や個人事業主を対象にしています。
個人事業主が報告義務を果たすのは大変に思われるかもしれませんが、個人事業主はモニタリング報告書の財務指標が3項目になっている配慮があります。
認定経営革新等支援機関は誰に依頼すればよいですか?
A.税理士・公認会計士・中小企業診断士・金融機関などが該当します。
すでに顧問税理士がいる場合は認定支援機関か確認してみましょう。
金融機関を認定支援機関として連携先にできますか?
A.金融機関を認定支援機関として連携先にするのは可能です。
申込金融機関を認定支援機関とする場合は、総借入金残高のうち、その金融機関のプロパー融資残高の割合が5割以上であることが条件 です。
保証料補助はいつまで受けられますか?
A.令和8年3月16日〜令和9年3月31日の保証申込分は保証料の1/2相当が国から補助されます。
令和9年4月以降は未定となっているので公式の発表を待ちましょう。
月次管理を怠るとどうなりますか?
A.月次管理・年次報告・経営状況変化時の報告は制度利用の前提です。
月次管理を怠った場合の具体的な取扱いは金融機関・保証協会に確認が必要ではありますが、制度を利用する以上誠実に履行することが求められます。
まとめ:「モニ特別」は資金調達コスト削減と経営基盤強化を同時に実現できる制度である
月次管理や年次報告の手間は生じるものの、令和9年3月31日までの申込であれば保証料が実質半額程度に抑えられ資金調達コストの削減効果は非常に大きい制度です。
認定経営革新等支援機関との継続的な連携を通じて財務管理を習慣化できるとともに、万一の際には4者協議による手厚いバックアップ体制が整っているので、成長過程にある中小企業の経営基盤の強化にも直結します。
資金調達を検討している経営者は、補助期間(令和9年3月末申込分まで)を逃さないよう、まず顧問税理士などの認定経営革新等支援機関に本制度の活用を相談するようにおすすめします。
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(編集:創業手帳編集部)
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