ひとり起業をする前に考えておきたい、業種選択と環境づくりについて

創業手帳

ひとり起業の特徴を知り、成功につながるポイントを学ぼう


ひとり起業をした場合、そこには動いてくれる部下も、相談できる同僚も、アドバイスをくれる上司もいません。
これを自由度の高さととらえ、そこを魅力に感じてひとり起業を検討している人もいるでしょう。
しかし、ひとりだからといって、自分が好きでやりたいというだけで業務内容を決めたり、会社運営に必要なすべての仕事や判断を自分ひとりで補ったりしようとするのは危険です。

この記事ではひとり起業をする前に考えておきたい、ひとり起業向けの業種選択のポイントと、仕事の環境づくりを詳しく解説していきます。

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ひとり起業家のメリット


ひとり起業の最大の特徴は、多くの要素で会社員よりも自由であることです。もちろん、それ相応の責任は生じますが、代わりに下記のメリットを得られます。

業務内容の自由

ひとり起業で何をやるかは自分で決められます。幼少期の夢を実現したり、会社員としてできなかったことに挑戦したりすることも可能です。
人によっては、まだ世の中に生まれていない全く新しいビジネスを考える人もいるでしょう。

ひとり起業では、そのどれを選んでも構いません。自分の考えと判断で業務内容を決められることは、ひとり起業の大きなメリットといえます。

時間制約の有無

ひとり起業をした場合は、就業時間の縛りも存在しません。自分の生活が回るだけの収入を確保しておけば、いつでも好きな時間に働くことができます。

これは、少ない時間で業務を終える自由であると同時に、好きなだけ働ける自由も意味します。
そのため、自分の仕事を生きがいとして自分の時間の多くを仕事に使う生活を選ぶことも可能です。

業務判断のスピード

ひとり起業では、業務内容の追加・修正なども個人の裁量に委ねられます。
同僚や上司に許可を得て企画書を出したり、予算を取ったりという手間が、ひとり起業にはありません。
新たなビジネスチャンスに対し、ほかに先んじて飛び込むことも、現在のビジネスに見切りをつけることも自由に行えます。

人間関係の自由度の高低

ひとり起業をすれば、会社員にありがちな人間関係のいざこざからも解放されます。ほかの社員に足を引っ張られることもなく、その失敗をフォローする必要もありません。
ある意味で、個人の能力を最大限発揮できる環境とも言えます。
この環境では純粋に自分自身と、貢献したいクライアントのために働けます。

ひとり起業のデメリット


ひとり起業がもたらすメリットは様々ありますが、そこには当然デメリットもついてきます。自由を手に入れることは、裏を返せばすべてが自己責任になることを意味します。
下記のようなデメリットが発生することも念頭に置いておきましょう。

業務内容の選択は自己責任

業務内容を自由に選べるということは、選んだ業務が失敗に終わるリスクも完全に自分の責任になります。
かばってくれる人や責任を代わりに負ってくれる人も、ひとり起業には存在しません。
自分の選んだ業務が本当に社会に求められているものかは、ひとり起業をする前に念入りに確認しておく必要があります。

時間管理を自力で行わなくてはならない

ひとり起業には働く時間の自由がありますが、その時間をどう使うかは自分で管理する必要があります。
特に、業務にやりがいを感じ、朝から晩まで働いて苦にならない状態には注意が必要です。
時間管理を無視した働き方は心身に大きな負荷をかけ、病気や怪我のリスクを上げてしまうかもしれません。

本業以外のことも自分ひとりで行わなくてはならない

ひとり起業では、本業となる業務以外に生じる事務・経理などの作業をはじめ、会社でサポートスタッフが行っていた営業活動の下準備なども自分で行わなくてはなりません。
不慣れな作業に時間を使い、気がつけば本業に回せる時間が足りなくなるリスクもあります。

人間関係を自分で開拓していかなくてはならない

ひとり起業には会社の人間関係が存在しないため、必要な人間関係の構築も自分自身で行う必要があります。
人間関係構築のために営業活動の労力が上がるだけでなく、普段の仕事から派生した友人関係も作れないため、プライベートで遊ぶ相手も自分で探していく必要があるということです。
これを怠ると話し相手の不在によるメンタルヘルスの悪化や、やりがいの喪失などのリスクを背負うことになります。

ひとり起業に向いている業種で小さく始める


ひとり起業の業務内容を決める際には「自分が最初から成功するとは限らない」ということを頭においておく必要があります。
成功が確約されていないひとり起業では、いきなり大きい仕事をやろうとせず、まずは小さい規模でできる業務を選ぶことが重要です。

以下に、ひとり起業に適した、小さく始められる業務を解説していきます。

飲食店

店主が調理から会計までこなす形式であれば、飲食店でひとり起業も可能です。
店舗スペースを狭くすることで初期費用を下げる、テイクアウト専門店として客席を作らないことで手間を省くなど、工夫次第で小さく始められます。

飲食店開業について、詳しくはこちらの記事を>>
飲食店開業で成功するためのヒント

ITサービス

IT業界について相応の知識・技術があれば、ITエンジニアやWebライターなどでのひとり起業もできます。
大規模な設備投資をする必要がなく、パソコン1台があれば業務が可能です。また、自分でブログを作って通販の広告収入で稼ぐアフィリエイトという働き方もあります。

生活支援・代行

料理・家事代行などの、いわゆる便利屋でもひとり起業が可能です。作業場所が依頼者の自宅になり、自社の受付スペースを設けなくても業務を行えます。
便利屋や何でも屋で起業し、作業範囲を限定していない場合は、水道工事などの資格が必要な業務を依頼される可能性も考慮しておく必要があります。

コンサルタント業務

自分の経験やノウハウに自信がある場合は、それらを活かしたコンサルタントでひとり起業ができます。
弁護士・司法書士などの国家資格の知識を活かすもの、IT系のノウハウを活かすものなど、どのような業務を行うかは自分で選べるでしょう。
ただし、選んだ業務内容に需要があるかは十分なリサーチが必要です。

ネットショップ

趣味や仕事でものづくりの経験があれば、ネットショップでのひとり起業も可能です。
店舗を作ることにそもそもお金がかかり、地域の需要に依存する実店舗と違い、ネットショップであれば全国を対象に集客ができます。
ネットショップ自体も安価に作成できることも、魅力の一つです。

ネットショップ開業について、詳しくはこちらの記事を>>
ネットショップを開業するならECモール?自社EC?ー特徴と運営の違いー

フランチャイズビジネス

ひとり起業の問題のひとつに、ブランドや知名度を得るまで時間がかかる点があります。
しかし、フランチャイズに加盟すれば、それらを補えます。フランチャイズ店を経営する中で、大手企業のノウハウを学べる点もメリットです。

フランチャイズビジネスについて、詳しくはこちらの記事を>>
フランチャイズとはどんなビジネスか?始めたい人が知っておきたい仕組みと始め方のポイント

ひとり起業を考える際に押さえておくべきポイント


今一度、ひとり起業のメリットとデメリットを考えてみましょう。
ここまで見てきた通り、ひとり起業にはあらゆる面において自由という大きなメリットがあり、その代わりに自己責任というデメリットが存在します。

その業務は本当に社会に必要なのか?

まず考えてほしいのは、今がやろうとしている業務は本当に社会に必要な業務なのかについてです。
その仕事で満足感を得るかどうかにかかわらず、基本的に社会に必要とされていないことをしても、お金にはなりません。
これは、ひとり起業した後、裏方作業だけしていてもあなたが収入を得ることはできないことを意味します。
ひとり起業をしたのであれば、社会に貢献できると確信できる本業こそ優先して行うべきでしょう。

ひとりの課題はすべて自分で対応すべきなのか?

ひとり起業をした後、コストカットのために事務や経理などのあらゆる作業を自分で行いたいと思うのは、ごく自然なことです。
しかし、それらの作業にいくら時間をかけても社会に貢献できません。集中すべきは、社会の不足を埋めるための業務です。

業務に集中するために作業の一部を外注することで、より多くの業務をこなせるなら、すべての作業をあなたひとりが行う必要はありません。
これは通常の会社でも行われていることなので、検討してみましょう。

「ひとり起業」をもう一度考え直す

そもそも、ひとり起業をしようと思ったのはなぜかを考え直してみましょう。会社のしがらみを嫌った、自分の企画が通らないことに失望した、など理由は様々あるかもしれません。

いずれにせよ、何らかの自由を求めてひとり起業を始めたはずです。社会が求めていない作業で手に入れたその自由を使い、時間と体力を失うのは、本末転倒といえます。

ひとり起業のメリットを取り戻すために

ひとり起業で得られるメリットを最大化するためには、社会の求める業務を行うこと、その業務に集中するための環境を整えておくことが重要です。

環境を整えるとは、デスクの整理整頓をするだけではありません。自分の得意不得意を把握し、不得意なことを外注する、あるいは、外部のツールや仕組みを利用することも環境を整えることに含まれます。これによって、あなたはより多くの時間と労力を社会が求める業務に集中し、相応の対価を得られるはずです。

ひとり起業の課題を環境づくりで解決する


具体的に環境づくりのために、どのようなことができるでしょうか。
ここまで見てきたひとり起業の課題は、下記のとおりです。

  • 業務選択は自己責任
  • 時間管理を自分で行う
  • 本業以外の作業を自分で行う
  • 人間関係の構築を自分で行う

この中で「業務選択の自己責任」以外の要素は、ツール・外注などを利用すればある程度解消できます。

時間管理をシステムに任せる

手持ちのスマートフォンやパソコンがあれば、ToDoリストやスケジュール管理、リマインダーなどの時間管理アプリを利用できます。
また、インターネットで探せば様々な時間管理の手法も知ることができます。
時計を見ながら自力で時間管理を行うよりも、上記のツールを用いて時間を管理していくほうが、はるかに楽といえるでしょう。

業務をアウトソーシングする

クラウドソーシングサービスなど、事務や経理などの作業を外注する手段も数多くあります。
それ以外の作業、例えば電話対応やホームページの作成などについても同様です。
特に、専門性の高い経理やデザインなどを扱う仕事は、自分自身で直接手掛けるよりも外注したほうが短時間で大きな成果を出す場合もあります。

アウトソーシングについて、詳しくはこちらの記事を>>
アウトソーシングのメリットデメリット、使い方の注意点

人間関係作りにサービスを利用する

人間関係づくりにもツールや仕組みが活用できます。
ビジネスマッチングアプリや異業種交流会の宣伝サイト、オンラインサロンなどを利用することで、自分ひとりでは考えもしなかった人間関係を築けるかもしれません。
そこから仕事の受注や、新たなビジネスアイデアを思いつくこともあり得ます。

最も重要な環境とは何か


最後に、最も重要で軽視しがちな「自分」を整えること、つまり、健康面での注意点について考えたいと思います。
仮に、どのくらい外注で作業を減らしても、ひとり起業は自分が倒れたらそこで終わりです。
だからこそ、自分の心身の健康を保つことは、ひとり起業でとても重要な点のひとつだといえます。

身体の健康のために

ひとり起業をするにあたり、運動不足や食事の乱れなどのリスクに気を配る必要があります。
特に、業務としてデスクワークをする場合などは運動不足になっていないかを意識してください。
健康診断を定期的に受け、突然の病気や不調に備えることも忘れていはいけません。

精神の健康のために

身体の健康と同様に、精神の健康もとても重要です。ひとり起業で自分の選んだ業務をしているとはいえ、息抜きや会話は精神の健康のために必要となります。
前述したように、気軽に話せる人間関係を作り、ビジネスとプライベートの過ごし方にメリハリをつけておくことで、精神的な負荷を減らせるでしょう。

起業家のメンタルヘルスについて、詳しくはこちらの記事を>>
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まとめ

ひとり起業には、様々なメリットやデメリットが存在します。
そのため、ひとり起業を続けていくためには、事前にしっかり業務内容を調査・検討し、自分が業務に集中できる環境を整えることが重要です。

これらの対策のためには時間やお金などのコストがかかりますが、ひとり起業の自由さを最大限活用するためには必要な投資といえます。

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(編集:創業手帳編集部)

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