【やってみた】Claudeで補助金申請準備をやってみた|できること・限界を解説
補助金の申請準備を実際に作らせて検証してみた

補助金や助成金の申請は、公募要領の読み込みから事業計画書の作成まで、かなりの手間と時間がかかります。「情報収集や申請の負担を軽減するために、AIを活用できないか?」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、AIアシスタント「Claude(クロード)」を使い、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領の読み解きや事業計画書のたたき台づくりなど、申請準備の補助にどこまで活用できるか検証しました。検証で見えた「できること」と「人間が担うべきこと」を、率直にお伝えします。

日本大学文理学部卒業後、厚生労働省や不動産業界、保険業界で実務経験を積む。ハローワークで10年間の勤務経験があり、求職者・求人者双方の相談業務やマッチング支援を行う。ハローワークでの実務経験を活かして、社会保険や人事労務などの分野を中心に、これまで1200記事以上の執筆・監修実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。金融財政事情研究会会員。noteでも情報発信中。
この記事の目次
まずClaudeで補助金の情報収集を試してみた

補助金の情報収集において、Claudeは制度の比較や難解な要件の読み解きで力を発揮しました。Claudeにはウェブ検索機能が備わっており、最新情報を参照しながら整理できるからです。
検索結果が回答に組み込まれる場合は参照元のリンクが明示されるため、出典を確認しながら内容を確認できます。
補助金の検索と比較
複数の補助金制度を並べて条件を比較する作業は、Claudeが得意とする領域です。「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」のように似た制度が複数あると、どれが自社に合うか迷いがちです。
Claudeに「設備投資に使える補助金を、補助上限額と対象経費で比較して」と依頼すると、表形式で整理してくれます。たとえば新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の新事業進出枠は建物費も対象になる一方、IT導入補助金はITツールの導入費用が中心です。こうした違いを一覧化することで、検討の出発点をすばやく作れます。
要件・対象の読み解き
公募要領は専門用語が多く、初めて読む方には負担が大きい資料です。Claudeは、この難解な文書を平易な言葉に噛み砕く用途で役立ちます。
たとえば、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金には「付加価値額」という指標が登場します。中小企業庁の補助金において付加価値額の定義は「営業利益+人件費+減価償却費」です。このような定義をClaudeに質問すれば、計算式の意味や自社への当てはめ方を会話形式で確認できます。
このように、「わかりやすく要約して」と指示を出せば、初めて補助金申請をする方でも理解できるようにまとめてくれます。要領を読み込む負担を軽減するうえでも、Claudeは役立ちます。
自社に合いそうな制度の候補を整理する
業種や規模、やりたい新規事業の内容をClaudeに伝えると、候補となる補助金や助成金の制度を提案してくれます。ただし提案はあくまで出発点であり、最終的な対象判定は公募要領と事務局への確認が必要です。
Claudeの回答を鵜呑みにせず、一次情報で裏付ける姿勢が欠かせません。
自社に合った補助金を自動で探させる方法
一歩進んだ使い方として、自社に合う補助金を定期的に自動で探させる仕組みも作れます。これには、開発者向けツール「Claude Code(クロードコード)」の定期実行機能を使います。Claude Codeは、Claudeに作業を任せられるエージェント型のツールです。
仕組みはシンプルで、やっていることは次の3つだけです。
| 手順 | やること | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| ① | 自社情報を Claude Codeに渡す |
業種、従業員数、直近の課題(採用を強化したい、DXを進めたいなど)をテキストで渡す |
| ② | 補助金の情報源を指定する | 中小企業向けポータルサイト「J-Net21」やミラサポplus、都道府県の産業振興サイトなどを、参照先としてリストで渡す |
| ③ | 定期実行とメール通知を設定する | Claude Codeの「Routines(ルーティーンズ)」を使い、週1回自動で実行してGmailに送る流れを組む |
※Routinesは、指示と実行タイミングを保存しておくと、パソコンを閉じていてもクラウド上で自動実行される機能
筆者はこの仕組みを導入したことにより、利用できる補助金や助成金の見落としが減りました。以前は思い出したときだけ調べていたため、締切直前に気づいて間に合わなかったことが何度かありました。現在は自動で通知が届くようになり、余裕を持って動けます。
なお、条件を変更したいときは「採用系の助成金だけに絞ってほしい」「IT補助金以外は不要」といった指示を出せば問題ありません。
Claudeでできることとできないことをはっきりさせておこう

結論として、Claudeは申請書類の「下準備」では頼れる一方、電子申請の操作や提出代行はできません。AIが担えるのは、公募要領の整理や構成案の作成、文章の改善案出しなどの補助までです。事業計画の内容決定や最終作成、システムへの入力などは申請者自身が行う必要があります。
この線引きを最初に押さえておくと、過度な期待による失敗を避けられます。Claudeでできることとできないことを整理しました。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 公募要領の要約・読み解き | 電子申請システムへの入力 |
| 制度どうしの比較・整理 | 申請の提出代行 |
| 事業計画書のたたき台作成 | GビズIDの取得・本人認証 |
| 審査員視点での文章添削 | 採択可否の保証・最終判断 |
できたこと:事業計画書のたたき台作成・添削
事業計画書の骨子づくりと文章の添削は、Claudeが特に役立った作業です。
PDFやテキストファイルをそのまま添付して要約を依頼でき、「結論・背景・課題・次のアクション」のように観点を指定すると、整理された形で出力されます。長文の構成を整える下準備として実用的でした。
なお、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の事業計画書用のフォーマットは、本記事執筆時点(2026年7月上旬)では「後日公開予定」となっています。そのため本記事では、Claudeを用いて事業計画書のたたき台を作成しました。
できなかったこと:電子申請や提出代行
一方で、電子申請システムへの入力や提出の代行はできません。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請は電子申請のみで、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。
事業計画書などの最終提出も、テンプレートファイルの添付ではなく、電子申請システムへの入力で行います。アカウント取得や本人確認、システム操作は申請者本人が行う必要があり、ここはAIの役割外です。
さらに重要な点として、事業計画書は申請者自身が作成しなければなりません。検討やブラッシュアップのために認定経営革新等支援機関を含む外部支援者等の助言を受けることは差し支えないものの、必ず申請者自身で作成しなければなりません。
Claudeはあくまで論点整理や文章改善を支援する補助役であり、計画の主体は申請者自身だと理解しておきましょう。
実際にClaudeで申請準備をやってみた手順

ここからは、実在の事業者をモデルに、Claudeで事業計画のたたき台を作る流れを紹介します。題材には「中小企業新事業進出補助金」の第4回公募を設定しました。
なお、この補助金はすでに終了し、新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という補助金になっています。しかし、以下で紹介する方法は基本的にそのまま応用できるため、参考にしてみてください。
使った制度と前提
新事業進出補助金は既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しし、生産性向上を通じて賃上げにつなげることを目的としています。
今回は、社会保険労務士事務所である「合同会社柴田人事労務オフィス」をモデルに設定しました。同事務所が、労務管理の知見を活かして中小企業向けメンタルヘルスケアSaaS(クラウド型のソフトウェアサービス)を新たに開発・提供する、というケースです。
既存の人手による労務支援とは異なる、IT分野への新規事業進出を想定しています。
プロンプトの実例
Claudeに渡す指示文(プロンプト)は、具体的であるほど出力の精度が上がります。役割・前提・出力形式を明示するのがコツです。今回は次のような指示を渡しました。
| あなたは補助金申請に詳しい中小企業診断士です。中小企業新事業進出補助金の第4回公募を前提に、以下の事業者の事業計画書の骨子を作成してください。
【事業者】合同会社柴田人事労務オフィス 【新規事業】労務管理の知見を活かし、中小企業向けのメンタルヘルスケアSaaSを開発・提供する。 【出力形式】見出しごとに整理し、各項目で審査基準を意識した記述の方向性も示すこと。 |
|---|
事業者像と新規事業の内容を具体的に渡すと、Claudeは審査基準に沿った構成を返しやすくなります。逆に「補助金の計画書を書いて」とだけ依頼すると、一般論にとどまり実用性が下がりました。
出力結果と修正点
Claudeが出力した骨子は、事業計画の概要や新事業進出指針への該当性、SWOT分析、新市場性、収益計画といった項目で構成されていました。新事業進出補助金の審査基準を踏まえた枠組みとしては、十分に使える土台です。


特に「社労士の労務知見を活かした実務一体型サービス」という自社の強みと新規性を結びつける論理は、たたき台として的確でした。
一方で、人間による修正が必要な箇所も明確です。「中小企業新事業進出補助金」では、付加価値額要件として、補助事業終了後3〜5年で年平均成長率4.0%以上を達成する計画が求められます。
Claudeは方向性は示せても、自社の決算書に基づく根拠ある計画値までは作れません。導入社数や単価の前提も、実態に合わせて人間が埋める必要があります。
新市場性の裏付けに関しても、出力内容に不安があります。新市場性を主張するには、その分野の認知度や普及度が低いことを客観的データで示す必要があります。Claudeは「厚生労働省の労働安全衛生調査を参照」といった方向性は提案できても、最新の統計の実数値までは確認しきれません。
やはり、一次情報による裏取りは人間の作業として欠かせません。
【結論】Claudeで補助金申請準備を作ってわかった強みと限界

検証の結論として、Claudeは構成づくりと文章のたたき台で強い一方、数値や独自の強みは人間の追記が必須でした。AIの得意領域と苦手領域を理解して役割分担すると、準備の効率が大きく上がります。
構成の骨子づくりはスムーズにできた
審査項目に沿った見出し構成を、Claudeは短時間で提示できました。新事業進出補助金には複数の審査項目があり、計画書ではそれらを過不足なくカバーする必要があります。Claudeに審査基準を伝えると、抜け漏れの少ない骨子を組み立ててくれました。
文章のたたき台としては使いやすい
骨子に肉付けする段階でも、Claudeは下書き役として機能します。要点を箇条書きで渡すと、読みやすい文章に整えてくれました。完成原稿ではなく「叩き台」と割り切れば、書類の作成スピードを早められます。
また、「物足りない」と感じた箇所に関しては追加で指示を出すことにより、イメージに近い方で文章を生成してくれました。
審査員視点での添削にも活用できる
書き上げた計画書をClaudeに読ませ、「審査員の視点で弱い点を指摘して」と依頼すると、論理の飛躍や説明不足を洗い出してくれます。
これは第三者の目を入れる前のセルフチェックとして有効だと感じました。
具体的な数値や根拠は人間の確認が必要
一方で、AIが生成した数値は鵜呑みにできません。AIには事実と異なる内容を生成する「ハルシネーション」と呼ばれる現象があるためです。Claudeが出した数値は、公式発表や信頼できる情報源で確認することが必須です。
補助上限額や要件の数値は、必ず最新の公募要領で裏取りしてください。
自社ならではの強み・実績は追記が必要
Claudeは一般的な計画は書けても、自社固有の実績や強みは知りません。採択に大きく影響するのは、まさにこの独自性の部分です。

今回のモデルでいえば、社労士としての休職復職対応の実務ノウハウや、既存顧問先という初期の販路がそれにあたります。こうした「自社にしか書けない情報」は、人間が責任を持って追記する必要があります。
感覚としては、「自社の独自性や強み」「競合と比較したときに優位な点」は、詳細に伝えるのがおすすめです。
補助金の申請を成功させるコツ

申請準備でAIを活かすには、情報の渡し方と専門家との併用が鍵になります。Claudeを下準備に使い、判断は人間と専門家が担う体制が現実的です。
効果的な質問をする
Claudeの出力精度は、渡す情報の具体性に比例します。「あなたは中小企業診断士です」「「あなたは補助金の審査担当者です」のように役割を指定すると、専門的な視点を引き出しやすくなります。業種や新規事業の内容、想定する投資額などを詳しく伝えるほど、自社に即した回答が返ってくる印象です。
加えて、ClaudeのProプラン以上では、複数サイトを自動で調べて引用付きレポートを作る「リサーチ機能」も使えます。リサーチ機能は質問を小さなタスクに分解し、Web検索を自律的に繰り返して情報を集め、引用付きのレポートにまとめる機能です。制度の最新動向を深く調べたいときに役立ちます。
不安があれば専門家と併用する
最終チェックは、認定経営革新等支援機関や中小企業診断士などの専門家に依頼するのが安全です。
Claudeは下準備を高速化する道具であり、採択を保証するものではありません。AIで土台を作り、専門家が仕上げる流れにすれば、品質とスピードを両立できます。
まとめ:補助金の申請準備を効率化するならClaudeの活用がおすすめ
補助金の申請準備を効率化したい方には、Claudeの活用がおすすめです。公募要領の読み解きや事業計画書のたたき台作成、審査員視点での添削まで、準備段階の幅広い作業を支援してくれるからです。
一方で、電子申請の操作や提出代行はできず、具体的な数値や自社固有の強みは人間の追記が欠かせません。AIに任せる部分と人間が担う部分を切り分けることが、成功の分かれ目になります。
まずは公募要領の要約や計画書の骨子づくりから試してみてください。最終的な申請操作と判断は人間が担うという役割分担を守れば、Claudeは心強い準備のパートナーになります。
(編集:創業手帳編集部)
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