低金利・無担保無保証枠・自己資金要件なし!中小企業経営力強化資金で融資を受ける

資金調達手帳

中小企業経営力強化資金の特長と融資を受けるときに知っておきたい注意点まとめ

中小企業経営力強化資金で融資を受ける
起業・開業時の資金調達方法で一番メジャーなのが公的創業融資を利用することだ。中でも日本政策金融公庫の創業融資を利用するのは「鉄板」ともいえる。

無担保・無保証で借りられる創業融資として、よく知られているのはこの「新創業融資」だが、実はもっとスゴイ融資制度がある。

中小企業経営力強化資金」だ。

今回は、起業・開業時の理想的な資金調達方法の一つであると言える中小企業経営力強化資金の特長を解説していこう(2014/10/17現在)。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」については、冊子版の創業手帳(無料)で詳しく解説しています。申請に必要な事業計画書を簡単に作ることのできるサービスも紹介しています。(創業手帳編集部)

中小企業経営力強化資金による融資の概要

 
中小企業経営力強化資金による融資の何がスゴイのかというと、

  • 低金利
  • 無担保・無保証枠が大きい
  • 自己資金要件なし

という3つの大きなメリットだ。起業・開業を考えている起業家や中小企業経営者にとってかなり有利な融資制度であり、起業支援の専門家でもまだ知らない人も多いという、知る人ぞ知る新しい融資制度なのである。
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中小企業経営力強化資金の概要|日本政策金融公庫


1. 1.3%程度の超低金利

中小企業経営力強化資金の何が一番スゴイかというと、金利が1.3%程度と超低金利だということだ。新創業融資制度が2.6%程度だから、その半分くらいの超破格金利といえる。

【関連記事】新創業融資制度で資金調達するメリット・デメリット

日本政策金融公庫のスピーディな融資審査というメリットを享受しつつも、さらにこの金利水準で借りることができるので、起業家や中小企業にとっては最高の制度だといえる。

詳細な条件等は日本政策金融公庫のホームページの利率一覧表を確認しよう。

【参考外部リンク】利率一覧表|日本政策金融公庫

2. 無担保・無保証枠の融資が実質的には2,000万円に拡大

新創業融資の融資限度額は、無担保・無保証枠の融資が表面上では3,000万円となっている。ただ、この限度額いっぱいで借りられる人はごく稀だ。というのも1,000万円を超える段階で、日本公庫の融資審査の決裁が支店決裁ではなく本店決裁となり、一気にハードルが上がるからだ。実務上は1,000万円までというのが審査通過のための、ひとつの安全ゾーンなのだ。

一方、中小企業経営力強化資金については、無担保・無保証での支店決裁枠が2,000万円となっている。ということは、新創業融資を利用するよりも、中小企業経営力強化資金の融資制度を利用したほうが、多額の融資を受けられるケースもあるといえる。

表面上の融資限度額では、新創業融資(3,000万円)>中小企業経営力強化資金(2,000万円)だが、日本政策金融公庫の社内決裁事情のために、融資審査のスピードと審査通過の可能性を考慮すると、無担保・無保証枠の実質的な融資額は 中小企業経営力強化資金(2,000万円)>新創業融資(1,000万円)という考え方ができる。

もちろん、担保や保証があれば融資枠をさらに拡大できる可能性があるのは言うまでもない。

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3. 自己資金要件なし!

自己資金が少ない場合は融資による資金調達の方法は限られる新創業融資制度では、創業資金のうち1/10以上の自己資金を用意することが融資の要件となっている。一方、中小企業経営力強化資金ではこの自己資金要件はない。つまり、自己資本が無くても融資を受けられる可能性がある。

金融機関は融資審査で自己資本比率をチェックするので、自己資金が少ない場合は融資による資金調達の方法は限られるのが一般的だ。したがって、起業・開業時に自己資金を多く用意できない起業家にとってはこの融資制度を利用するメリットは非常に大きい。

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4. 認定支援機関(経営革新等支援機関)のサポートが必須

これはデメリットというようり注意点だが、中小企業経営力強化資金を利用するには、認定支援機関(経営革新等支援機関)の助言と指導を受けることが必須条件となっている。

ちなみに、認定支援機関とは、国が認定した中小企業等への支援機関である。税理士事務所などが認定支援機関になっているケースが多い。

この中小企業経営力強化資金の融資制度を利用したい場合は、サポートを受ける税理士や専門家を探す際に、認定支援機関になっているかどうかを必ずチェックするようにしたい。

認定支援期間は中小企業庁の下記のホームページから地域別に検索できるので参考にしよう。
サムネイル「経営革新等支援機関認定一覧|中小企業庁」へのリンク

経営革新等支援機関認定一覧|中小企業庁


税理士は企業の経営において非常に力になってくれます。冊子版の創業手帳では、税理士との二人三脚で経営を拡大させた起業家のインタビュー記事を掲載しています。ご自身に合った専門家がどれほどの力になってくれるのかを知ることができます。(創業手帳編集部)

5. 指定の事業計画書の作成が必要

中小企業経営力強化資金を利用するには、公庫指定の事業計画書の書式を書いて提出する必要がある。新創業融資制度で作成する創業計画書よりもかなり踏み込んだ内容となっており、準備に時間を要する。この事業計画書の作成に手間がかかるのが中小企業経営力強化資金の融資を申請する上での最大のデメリットである。

上述した通り、認定支援機関のサポートが必須になっているので、担当者の助言と指導に沿って、事業計画書を仕上げることになる。

なお、事業計画書は日本政策金融公庫のホームページで確認できる。フォーマットのほか、記入例のサンプルも掲載されているので、新創業融資の申請で必要な創業計画書と見比べておくとよいだろう。
サムネイル「借入申込書等ダウンロード|日本政策金融公庫」へのリンク

借入申込書等ダウンロード|日本政策金融公庫


6. 定期的な報告が必要

中小企業経営力強化資金により融資を受けた場合には、日本公庫に対して1年ごとに事業計画進捗報告書を提出して経過報告をする必要がある。

事業計画進捗報告書はA4用紙1枚程度の簡単な内容である。新創業融資制度よりもやや手間が増えるが、金利などのメリットを考えれば、それほど大きなデメリットとは言えないだろう。

なお、事業計画進捗報告書も同様に日本政策金融公庫のホームページで確認できるので、確認しておこう。

【参考外部リンク】借入申込書等ダウンロード|日本政策金融公庫

7. フランチャイズはダメ

中小企業経営力強化資金は、融資先を新規性、独自性のある事業を対象としている。よって、残念ながら原則的に、フランチャイズに参画する形での起業・開業は対象とならないので、注意が必要だ。

中小企業経営力強化資金での融資のまとめ

中小企業経営力強化資金は、起業家にとって金利や融資額の面で大きなメリットがあり理想的な融資制度だといえる。一方で、申請条件が新創業融資制度よりも複雑に定められているので、申請時に若干の手間がかかる。

税理士など専門家の認定機関(経営革新等支援機関)のサポートを受けながら、大いに制度を活用するとよいだろう。

資金調達方法には、「新創業融資制度」や「中小企業経営力強化資金」以外にもさまざまなものがあります。資金調達手帳では、2年目から利用できる「マル経融資」といった融資制度や、融資以外の支援など、資金調達に関する詳しい情報を掲載しています。また、優秀な税理士や資金調達の紹介も行っています。(創業手帳編集部)

(監修:起業コンサルタント(R)・税理士・社労士・行政書士 中野裕哲
(まるごと起業支援.com|無料相談受付中)」

(編集:創業手帳編集部)

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