SWOT分析/クロスSWOT分析とは。具体例や事例で簡単に学ぼう!

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SWOT分析とクロスSWOT分析を使い倒して経営戦略・事業戦略を立案しよう

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(2016/11/15更新)

経営戦略を立案するには、フレームワーク思考を身につけると効率的だ。フレームワークとは「自分の考えを整理するための枠組み」である。今回は、SWOT分析/クロスSWOT分析について、具体例や事例を用いて説明していく。

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SWOT分析は代表的なフレームワークだ。起業するにあたり事業戦略を立てる上で、書籍で勉強したベンチャー起業家や、これから起業を考えている起業家予備軍も多いのではないだろうか。

一方で、SWOT分析を知識として知っているレベルと実践できるレベルとは大きな隔たりがある。今回は、ベンチャー経営者や起業家、また起業を具体的に考えていて、経営戦略事業戦略立案のプロセスで困っている起業家予備軍のために、市販の本では触れられていない、SWOT分析を使うときのポイントを、実例を交えてまとめた。

SWOT分析とは?

SWOT分析概略図

上図が一般的なSWOT分析の概略図だ。強み(Strength)弱み(Weakness)機会(Opportunity)脅威(Threat)の4つの象限のマトリックスで構成されている。4つそれぞれの英語の頭文字を取ってSWOTと言う。

この中で、強みと弱みは内部環境、機会と脅威は外部環境から抽出する。自社で何とかできるものならば内部環境、リーマンショックなど自社の力では何ともしがたいものは外部環境と考えれば良いだろう。

SWOT分析のポイント

SWOT分析のポイント1|「強み・弱み・機会・脅威」の枠から上限を取り払え

SWOT分析では、まずは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)それぞれの項目について、量を出す。

「SWOT分析の図で自社分析をしてください」と経営者にお願いすると、多くの経営者は4つのマトリックスにそれぞれ1つか2つ、気の利いたことを書こうする。稀に枠内一杯に書く経営者もいるが、それでも無意識に枠の大きさに制約されている。

あなたの会社の強みが10あるのに、枠内で5つしか書くスペースがなければ、残りの5つを割愛してしまっても良いだろうか? 良いはずはない。各象限に枠などないと思って考える。1つの枠に10以上は書き込もう。

また、気の利いたことを書こうなどとは思わずに、頭に浮かんだらどんどん書き込んでいく。量があって、その後で質が上がっていくのだ。

SWOT分析のポイント2|1つの枠に分類せよ

SWOT分析では、次に、1つのことは1つの枠に分類する。

例えば、強みに「ワンマン社長」、弱みにも「ワンマン社長」と入れてしまうことがある。ワンマンで営業力があるからそれは強み。でも下の意見を聞かないのでこれは弱み。一見筋が通っているが、これでは分析にならない。

SWOTでは1つのことは必ず1つの枠に分類する。どうしても両方に書きたい場合は、「社長に営業力がある」、「社員の提案が活かされない職場環境」など、より細かく表現してみるとよいだろう。

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クロスSWOT分析とは?

SWOT分析は、自社と自社を取り巻く環境について、良い面、悪い面を分類・整理しただけに過ぎない。戦略立案にはもう一つ、フレームワークが必要だ。それが「クロスSWOT分析」である。

クロスSWOT分析概略図
上図が一般的なクロスSWOT分析の概略図だ。

前述したように、外部環境とは自社の力では何ともしがたい。創業期のベンチャーだけでなく、どんな大会社でも外部環境に抗うことはできない。経営戦略として、外部環境に内部環境を適応させていくしかない。それを踏まえて、4つの戦略オプションが考えられる。

クロスSWOT:つの経営戦略オプション

  1. 機会×強み → 「積極化戦略」:機会に自社の強みを投入する。起業直後の創業期のスタートアップベンチャーが第一に考える戦略。
  2. 脅威×強み → 「差別化戦略」:脅威に対して自社の強みで切り抜けていく。
  3. 機会×弱み → 「段階的施策」:機会に対して自社の弱みを克服して、取りこぼしをなくす。
  4. 脅威×弱み → 「専守防衛・撤退」:最悪の事態を避けることに注力する。

クロスSWOT分析のポイント

クロスSWOT分析のポイント1|SWOT分析をキッチリやっておく

事前にSWOT分析でオプションをできるだけ多く書き出す
SWOT分析では量を求めた。それはクロスSWOT分析でのオプション(選択肢)を増やすことにつながるからだ。よって、クロスSWOTを上手く活用するための第一のポイントは、事前にSWOT分析をキッチリとやっておくということが挙げられる。

積極化戦略であれば、強みが10、機会が10あれば 10×10 で 100の戦略オプションが考えられる。また、複数の機会と強みを掛けあわせることも考えられる。これが機会が3つ、強みが3つであれば9の戦略オプションしか出てこない。多くの選択肢があってより良い戦略を絞り込むことができるのだ。

クロスSWOT分析のポイント2|戦略のストーリーが成り立っているか?

クロスSWOT分析のポイントとしては、次に「ストーリー(筋)が成り立っているか?」をチェックしよう。 

例えば、積極化戦略であれば、「〇〇〇という機会に対して自社の持つ△△△という強みを活かして、◇◇◇という戦略を採る」という明快なストーリー(筋)になっているだろうか? 

クロスSWOT分析を経営者にやってもらうと、一見もっともに見える戦略が出来上がってくるが、往々にして「〇〇〇という機会を活かしただけの◇◇◇という戦略」だったり、「自社の持つ△△△という強みを活かしただけの◆◆◆という戦略」になっていたりする。必ず外部環境と内部環境を掛けあわせることだ。

クロスSWOT分析のポイント3|戦略は絞り込む

戦略は絞り込む
クロスSWOT分析のポイントとして、さらに「戦略は絞り込む」ということが挙げられる。クロスSWOT分析ではそれぞれの枠には1~3つくらいの戦略に絞り込むことが必要である。

特に、起業直後で創業期にあるスタートアップベンチャーでは、限られた経営資源の中で戦略を立てる必要がある。You can’t have everything. あれもやりたい、これもやりたい、そういう気持ちも分かるが、これは!という1つに集中することが重要だろう。

クロスSWOT分析のポイント4|積極化戦略に集中しよう

では、創業期のスタートアップベンチャーは、どのような戦略をとるのが一番良いのだろうか? もちろん、あなたのビジネスの内容や諸事情にもよるが、起業直後のベンチャーは「積極化戦略」に集中すべきだ。

4つの枠があるからと言って、律儀に総ての枠を記入しなくても構わない。極論すれば、積極化戦略だけを考えるだけでもよい。なぜなら、「機会×強み」の積極化戦略が最も成功する可能性の高い戦略オプションだからである。

実例で学ぶSWOT分析・クロスSWOT分析

実際に経営者のSWOT分析、クロスSWOT分析の実践例を見ていこう。会社概要は下記の通りだ。

S社の会社概要

  • 会社名:S社(東京都)
  • 代表取締役:R社長(中国籍)
  • 事業内容:ITのシステム開発、日本企業の対中国進出支援

R社長は中国北京の出身で今年51歳。1992年に来日し、ITシステム、TVショッピングの会社などにシステムエンジニアとして勤務後、2007年独立・起業。日本にシステム会社、中国に開発部隊の子会社、貿易関係の子会社を2社設立。通販システム、TV電話システムなどを開発するも、日本の通販会社のシステム投資の意欲は低く、ITの業績は余り上がっていない。2012年頃から、日本企業の中国進出支援に事業の重点をシフト。静岡県の天然水メーカーなどと有効な関係を構築。ここ2、3年、自社で中国の水関係の展示会に出展すると共に、静岡県の天然水メーカーの中国展示会出展をサポート。バイタリティあり、いろいろな商品にチャレンジするが、見切りも早い。苦労して開発したシステムは、収益に貢献ないものの愛着は深い。

S社のSWOT分析

S社のSWOT分析

強み(Strength)

  • 日本と中国両方に拠点を持つ
  • 通販系ITシステムを持つ
  • TV通訳センターシステムを持つ
  • 外部リソース活用による低コスト、高オペレーションの提供が可能
  • 2012年9月から中国進出(天然水、浄水器、空気清浄機)
  • 日本製品に対する中国人のアンケートを実施
  • 中国富裕層のビジネスツアー
弱み(Weakness)

  • 日本での知名度が低い
  • 会社規模が小さい
  • 外部スタッフとの連携が多く、事業展開で、時間的制約を受けることがある
機会(Opportunity)

  • 日本企業にとっては中国市場への販路開拓は大きな期待感がある
  • 真剣に中国進出を検討する企業が急速に増えている
  • 中国進出を検討している日本企業は決死の覚悟で臨んでいる先が多い
  • 2020年東京オリンピック
  • 中国からの観光社は昨年の前半と比べると84%の増加
脅威(Threat)

  • 対中国進出のコンサルティング会社が増加しており、競合する
  • 中国は政治を含めて不安要素が多い

S社のクロスSWOT分析

続いてはS社のクロスSWOT分析だ。

S社のクロスSWOT分析

積極化戦略

  • 日本で免税店を開設
  • 来日する中国人旅行者向け物品販売
  • 中国進出を希望する日本企業へのコンサルティング
  • 中国本格進出前のプレマーティング
差別化戦略

  • 北京事務所を活かして、北京に進出する企業にフォーカスする
  • 北京から日本へのビジネスツアー
段階的施策

  • 中国進出希望会社と連携する
専守防衛・撤退

  • 通販システムの営業を中止

S社のSWOT分析・クロスSWOT分析をチェック

S社のSWOT分析、クロスSWOT分析を見た感想はいかがだろうか?納得できるポイントもあれば、「ここはどうしてこうなるの?」というところも多々あったことだろう。

R社長は今までSWOT分析を行ったことはあったが、クロスSWOT分析は初体験だった。それにしては、かなりの出来栄えだと言えるだろう。

S社のSWOT分析では、強みと機会にある程度の量があるが、欲を言うとあともう少し欲しいところだ。ここが少ないと、続くクロスSWOT分析での選択肢が限られてきているのがわかるだろう。

積極化戦略は概ね「機会に対して、自社の強みを活かした戦略」になっているが、専守防衛・撤退では必ずしもストーリー(筋)が成り立っていない。この判断そのものは正解だと思われるが、それを導き出す過程が弱い。なぜ「営業を中止」に至ったか?に説明がついていない。ストーリー(筋)が成り立たないのは、SWOT分析で書き漏れがあったため、結局は量出しが足りなかったからである。

それでもクロスSWOT分析を終えたR社長の感想は「やるべきこととやるべきでないことの区別がはっきりした」とのことである。R社長の感想の通り、経営戦略の立案は集中して取り組むべきことをはっきりさせるものであるが、その裏返しとして、やらなくても良いこともはっきりとさせるメリットがある。

SWOT分析の限界

SWOT分析の限界:大勢でSWOT分析はやるべき
SWOT分析は代表的なフレームワークで、クロスSWOT分析までやれば、効果的な戦略を立案することが可能だ。ただSWOT分析も決して万能というものでもなく、限界がある。

SWOT分析の良いところでもあり、悪いところでもあるが、必ず、良い・悪いの二者択一を迫るということが挙げられる。長所と短所は一つのものを反対から見るようなものなので、その人の視点に左右される。

また、強み・弱みは比較対象をどこに取るかでも変わってくるものだ。自社より小さな会社よりは強い、でも自社より大きな会社よりは弱い、そうすると自社は強いのか、弱いのか、どっちになるのか?これは競合先をどう考えるのかによって変わってくる。

電車が時刻通りに来ることは日本では当たり前だが、外国人から見れば高い評価を受ける。自分では大したことではないと思っているようなことでも、第三者から見れば、会社の強みとして認識されることも多々あるはずだ。

よって、SWOTも1人でやるよりは、複数の人間でやってみると再発見することが多いので有用である。

また、ここでは詳しく述べないが、一つの解決策としては、自社(Corporation)、顧客(Customer)、競合(Competitor)、3 者の分析を行う3C分析というフレームワークを用いれば、SWOT分析の限界をカバーしてくれるだろう。

まとめ

ここまで述べてきた、ベンチャー経営者や起業家、また起業家予備軍のためのSWOT分析のポイントをまとめると、以下のようになる。

SWOT分析のまとめ

  • SWOT分析は環境における自社の強み・弱み・機会・脅威を整理するフレームワークである
  • クロスSWOT分析はSWOT分析をもとに、経営戦略のオプション(選択肢)を出すフレームワークである
  • SWOT分析はクロスSWOT分析までセットで実施する
  • SWOT分析では強み・弱み・機会・脅威の量を出す
  • SWOT分析での量が足りないとクロスSWOT分析での経営戦略のオプションが不足する
  • クロスSWOT分析ではオプションは筋の通ったストーリーに基づいてオプションをつくる
  • 起業直後の創業期のベンチャーはクロスSWOT分析からで導かれる「積極化戦略」に集中すべき
  • SWOT分析・クロスSWOTは客観的かつ多様な切り口から実施すべき

SWOT分析・クロスSWOT分析は「習うより慣れろ」で何回もやってみることが大事だ。スタートアップベンチャーの経営者であれば、起業してからしばらくたって事業が成長してきたら、その時にあらためて分析をやってみれば違う発見があるだろう。創業後の成長ステージにあわせて、節目節目で分析を実施するのも良いだろう。

その時、過去にやったSWOTは稚拙に見えてくることもあるだろう。それは、それだけSWOTに習熟してきた証拠だと言ってよい。

SWOTはフレームワークでフレームワークはツールだ。ツールは知識として知っていても役に立たない。ぜひ使い倒してみよう。

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(監修:城西コンサルタントグループ理事 中小企業診断士 小野靖
(編集:創業手帳編集部)

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