社名のNG例とは?使えない名前のルールと失敗しない決め方を解説
大切な社名で失敗しないようにネーミングのルールを把握しておこう

起業する際、決めなければならないことのひとつに「社名(商号)」があります。
社名は会社の顔であり、ブランド力や信頼性、マーケティング効果を左右する大切なツールとなるため、こだわりのある名前を検討している人も多いかもしれません。
一方で、社名をつける際には法的にNGな名前や登記上の問題など、注意しなければならないことも多くあります。
当記事では、社名のルールやNG例、失敗しない決め方などについて解説します。社名候補が決まったら確認すべきことにも触れているので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
社名(商号)をつける前に知っておきたい基本ルール

社名(商号)をつけるにあたっては、知っておかなければならない基本的なルールがあります。ここでは、社名をつける際の3つの基本ルールについて解説します。
同一住所で同一商号は登記できない
第一に、すでに登記されている同一住所では、社名の登記はできません。
本店の所在地が違っていれば同じ商号での登記申請ができますが、地番まで同じ住所には同一の商号を登記することはできません。
異なる住所であったとしても、同じ社名の場合、商標トラブルや他社との誤認などのトラブルが発生する可能性もあるため、慎重に判断する必要があります。
同一住所で同一商号の登記ができない理由は、取引きや契約手続きなどで混乱が生じるおそれがあるからです。
使える文字・記号にはルールがある
社名に使用できる文字や記号にも制限があり、法務省によって定められた文字・記号のみに限られています。
使用できる文字は、漢字・ひらがな・カタカナの日本文字、ローマ字、アラビア数字です。
使用できる記号は一部で、「&」「’」「,」「-」「.」「・」の6つのみとなっています。
ただし、上記の記号を使っていても、語句を区切るのではなく商号の先頭もしくは末尾の使用はできません。
末尾に使用できるのは、「.」ピリオドのみとなっています。これ以外の文字や記号は、登記が認められない可能性が高いです。
誤認を招く表現は避ける必要がある
社名は、一般的に広く認識されているものと類似する名称は、誤認を防ぐため避けなければなりません。
例えば、株式会社と合同会社の両方が社名に入っていたり、有名企業とは無関係にも関わらず類似した名称にしたりするのは禁止です。
ほかにも、銀行や証券会社、保険会社などのように、資格や許認可が必要な特定の業種を連想させる文字も禁止となっています。
仮に誤認や混同された場合は、不正競争防止法において問題になるおそれもあります。社名を決める際には、事業実態や会社を誤認させないよう、慎重に決めることが大切です。
社名のNG例一覧|避けたい名前のパターン

社名は法的にNGなものも多いですが、法的NGでなくても避けたい名前のパターンがあります。ここでは、社名のNG例を解説します。
使用できない文字が含まれている
先にも述べたように、社名には使用できない文字や記号があります。使用できる文字は、日本語・ローマ字(a・b・c)・アラビア数字(1・2・3)のみです。
使用できる記号は、&(アンド)’(アポストロフィー),(コンマ)‐(ハイフン).(中点)・(ピリオド)のみになります。
一般的な日本語であれば使用可能ですが、アルファベット以外のハングル文字やギリシャ文字、ローマ数字、「」・【】などのカッコ類、スペースなどは使用できません。
株式会社「○○」と「」を使ったり、○○(株)と()を使って株式会社を省略したり、○○・株式会社と・を使ったりするのはNGです。
使用できない表現・言葉が用いられている
使用できる文字であっても、表現や言葉によっては法律上使用できないものもあります。
特に犯罪に関連する表現や反社会的な勢力と誤認されるような言葉、差別的用語、わいせつな言葉は禁止されています。
また、「○○銀行」や「××市役所」などのように、金融機関や公的機関を誤認させるような言葉もNGです。
社名には、株式会社や合同会社などの会社の種類を含める必要があります。
しかし、会社の一部を示すような「○○支店」「××支社」「△△事業部」といった名称は禁止されています。
読みづらい・長過ぎるなど覚えにくい
法的にNGでなくても、読みづらい・長過ぎる名称は避けなければなりません。
読みづらかったり長過ぎたりする社名にしてしまうと、顧客や取引先から覚えてもらえない可能性があるだけでなく、電話対応や名刺交換など、業務上でも支障が出やすくなるからです。
例えば、アルファベットを羅列しただけで何と読むのかわからない「株式会社SUTDFDR」といった社名や、「株式会社インターナショナルITマーケティングホールディングス」といった長過ぎる名称はNGです。
これらは極端な例ですが、社名を考える際には、顧客や取引先が一度見ただけで覚えられるよう、適切な社名を選ぶ必要があります。
ネガティブな意味や誤解を招く表現がある
社名に負け・ボロ・下落・廃止といった衰退的・否定的な言葉や、詐欺・事故・不祥事などの犯罪を連想させるネガティブな言葉を入れるのも避けるべきです。
ネガティブな意味が含まれていると、それだけでブランドイメージが低下しやすく、採用活動が難航する可能性もあります。
社名で検索した際に、ネガティブなキーワードがサジェストされるケースも少なくありません。
また、有名なキャラクターや著名人、他社と酷似した社名を使うのもNGです。
会社として不利になるだけでなく、不正競争防止法や会社法に反しているとされて損害賠償請求されるおそれもあります。
キャラクターや一般名詞を社名に入れた場合、違法かどうかに関わらず有名キャラクターや一般名詞のほうがWeb検索でヒットして、自社が表示されにくくなる可能性もあります。
事業内容とかけ離れすぎて信頼感を損ないやすい
事業内容とかけ離れ過ぎている社名も、顧客や取引先に誤解を与え、不信感を招いてしまうおそれがあります。
例えば、「株式会社○○不動産」という社名にも関わらず、実際は広告代理をしている会社だった場合、社名とは大きく異なるため顧客や取引先との信頼関係が築けない可能性があります。
「○○金庫」という社名で、金融機関ではなくコンサルティング会社だった場合も同様です。金融機関ではない法人が銀行や金庫を名乗ることは法律でも禁止されています。
このほか、有名企業と類似した社名で別事業を営むのも、信頼感を損ないやすくNGです。
社名候補が決まったら確認したい登記・商標・ドメイン

社名候補が決まったら、早めに確認しておくべきことがあります。ここでは、法人登記や商標登録、ドメイン・SNSアカウントなどで確認しておくポイントについて解説します。
法人登記で同一住所・同一商号がないか確認する
法人登記では、同一住所で同一商号を登録することができません。本社所在地として社名登録する場合は、同一住所で同一商号になっていないか確認しておく必要があります。
特に、バーチャルオフィスやシェアオフィスを活用して起業しようとしている場合、すでに同じ住所で法人登記されているケースが少なくありません。
社名(商号)は、法務局の「オンライン登記情報検索サービス」で調べることが可能です。
社名候補が決まったら、まずは同一商号がないか調査し、問題がないか確認が必要となります。
商標登録されていないか確認する
社名が商標登録されていないかも確認すべき重要ポイントです。住所が同一でないからといって、同一の商号や有名企業に酷似した商号は避けなければなりません。
同じ名称で商標登録すると商標権侵害になり、営業停止やブランド変更を余儀なくされる可能性があります。
すでに商品・サービスで商標登録されている場合、既存の会社に訴えられてしまうおそれも十分にあります。
知らずに商標登録している場合も同様で、損害賠償請求や懲役刑が科されるかもしれません。
商標登録についても、登記情報検索のように特許庁の「特許情報プラットフォーム」から調査が可能なので、事前に確認が必須です。
ドメインやSNSアカウントが取得できる名前か
社名候補が決まったら、Webサイトの独自ドメインの取得が可能か、SNSアカウントが取得可能かも確認しておくことをおすすめします。
新たに起業する場合、会社のコーポレートサイトの作成が必要ですが、その際には独自ドメインURLで契約することになります。
しかし、独自ドメインの取得は先着制になっており、すでに使用されているドメインは取得できません。
SNSアカウントも同様で、希望するIDがすでに使用されているケースも少なくありません。
特にSNSは世界的にユーザーが多いため、社名でのアカウントの作成ができない可能性があります。
HPやSNSを使って集客を検討しているなら、社名での取得が可能かどうか確認しておく必要があります。
良い社名にするためのネーミングのコツ

良い社名にするためのコツは、以下の3つです。それぞれ解説していきます。
会社の理念・コンセプトを反映させる
顧客にどのような会社なのか、どのような商品・サービスを提供しているのかをわかりやすく伝えるためにも、社名は会社の理念・コンセプトを反映させたものが望ましいです。
飲食店なら「○○FOODS」、不動産なら「○○不動産」のように、一目で事業内容が把握できるような社名にすることがポイントです。
会社の理念やコンセプトを社名に反映させている例では、ユニクロやジーユーなどのブランドでお馴染みの株式会社ファーストリテイリングが挙げられます。
社名には、「顧客が欲しい商品をファストフードのように早く提供する(リテーリング)」という意味が込められています。
株式会社任天堂の例では、「運は天任せで与えられた仕事に全力で取組む」という意味があります。
覚えやすく、口頭でも伝わりやすい名前にする
社名は、誰でもすぐに覚えやすく、口頭ですぐに伝わりやすいほうが印象に残りやすいです。
馴染みのある言葉や短めの名前、誰でも書きやすい名前にすることで、顧客や取引先など、多くの人に覚えてもらいやすくなります。
覚えやすい・口頭でも伝わりやすい社名かどうかは、実際に声に出してみることで確認できます。
商品やサービスが話題になっても、口コミやSNS上でも社名を取り上げてもらえない可能性があるため、いいにくかったり、長過ぎたりする社名は避けなければなりません。
検索されやすく、見つけてもらいやすい名前にする
すでに商号登録や商標登録されていないか確認した上で、一般的な検索エンジンで検索されやすく、見つけてもらいやすいかどうかも重要なポイントです。
インターネットやSNSの普及にともない、近年は検索エンジンを日常的に活用する人々がたくさんいます。
仮に社名が長く入力しにくい名前だった場合、検索エンジンで入力するのが途中で嫌になってしまうかもしれません。
しかし、わかりやすく入力しやすい社名なら、ホームページにアクセスしてくれるユーザーが多くなる可能性があります。
また、自社を検索したわけでなくても、検索結果にわかりやすくインパクトのある社名が表示されていれば、思わぬ形で会社を知ってもらえる可能性もあるのです。
社名に関するよくある質問(Q&A)

他県に同じ社名の会社があっても使えますか?
同じ社名でも、他県やほかの市町村など、同一の住所でなければ登記できる可能性があります。
しかし、他県やほかの市町村で住所が異なっていても、業種や地域圏の事業が同じ場合は顧客や他社から誤認されるケースも考えられます。
また、商標登録済みの名前を社名にした場合、登記ができても後々トラブルに発展するおそれもあるため、事前に確認が必要です。
商標登録だけでなく、ドメインやSNSアカウントなども状況を確認しておくと安心です。
英語・アルファベットだけの社名でも登記できますか?
英語やアルファベットは社名に問題なく使用できます。「株式会社ABCD」や「International株式会社」といった名前も可能です。
しかし、社名で使用可能なのは、日本文字・ローマ字・アラビア数字のため、それ以外の文字を使うことはできません。
また、記号は使用の制限が多く、自由に使えるわけではないため注意が必要です。使用できる記号であっても、先頭や末尾で使用禁止されているものもあります。
社名は、登記が可能かどうかだけでなく、読みやすさや覚えやすさ、検索しやすさも意識することが大切です。
後から社名変更はできますか?
起業後の社名(商号)変更はできます。会社設立後の社名変更には、株主総会や社員総会などの特別決議や定款の変更で3分の2以上の賛成が必要です。
変更後は、2週間以内に法務局で変更登記を行い、登録免許税3万円を支払います。
また、社名の変更にともない、税務署や年金事務所、銀行での届け出のほか、ホームページや名刺、請求書、契約書の変更も必要になります。
このように、社名の変更は可能ですが、起業前よりも手続きの手間がかかってしまうため、社名を決める際は長く使用できる名前になっているかどうか慎重に判断することが大切です。
まとめ・社名のNG例を避けて長く使える名前を選ぼう
社名(商号)は自由に決められるわけではなく、法律や登記上ルールなどの制限があります。しかし、法的にNGな名前以外にも、避けるべき言葉や表現もあります。
社名を決める際には、読みづらさや長すぎる名前になっていないか、ネガティブな意味や誤解を招く表現になっていないかなど、慎重に検討して長く使える名前を選ぶようにしてください。
創業手帳(冊子版)では、社名(商号)の決定に役立つ情報や起業に必要な手続きや注意点なども丁寧に解説しています。起業を検討している人は、ぜひご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)
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