「忙しいのに儲からない」を防ぐ。1,000人以上を指南したプロが教えるカフェ開業術|カフェクリエイトラボ

【専門家に聞いてみた】コンセプトと数字で勝つ——カフェ開業の資金・立地・集客のリアル


「いつか自分のカフェを開きたい」——そんな夢を持つ方は多い一方、開業直後に「忙しいのにお金が残らない」と苦しみ、撤退してしまうお店も少なくありません。

その一方で、SNSの普及により多少わかりにくい場所でも「行きたい」と思わせられる今は、個人カフェにとって大きなチャンスの時代でもあります。

明暗を分けるのは何か——資金計画の落とし穴から物件選び、スタッフ採用、SNS・インバウンド集客まで、これまで1,000名以上にカフェ開業を指南してきたカフェクリエイトラボ代表の三瓶さんに徹底的に聞きました。

三瓶 拓(さんぺい たく)
株式会社ビーデザイン 代表取締役/Cafe Create Lab. 代表
大学在学中に東京・高円寺で「cafe&bar+gallery garden」を開業し、自ら現場に立つ。その経験をもとに、未経験からのカフェ開業を支援する「Cafe Create Lab.」を立ち上げる。
全国の個人経営カフェを紹介するメディア「個人カフェ.com」、開業ノウハウを発信する「個人カフェ開業.com」を運営し、全国600店舗以上の個人カフェネットワークを構築。カフェ開業講座「個人カフェカレッジ」などを通じて、これまで1,000名以上にカフェ開業を指南。コンセプト設計を軸に、開業から運営までを一貫してサポートし、「地域に根づき、続いていくカフェづくり」を信条とする。日本最大級のコーヒーカンファレンス「SCAJ」や函館市主催の創業塾、USEN飲食店開業セミナーでの講師実績を持ち、旭屋出版「CAFERES」にて連載中。

「個人カフェにチャンスが大きい時代」——失敗しないための心構え

ー現在のカフェ・飲食業界において、これから新しくカフェを開業する「チャンス」や「強み」はどのような点にあるとお考えでしょうか?

三瓶:物価高や人手不足のニュースばかりで不安に思う方は多いですが、私はむしろ今は個人カフェにとってチャンスが大きい時代だと思っています。

昔は駅前の一等地を取れるかで勝負が決まっていましたが、いまはSNSのおかげで、多少わかりにくい場所でも「ここに行きたい」と目的地として来てもらえる。住宅街の奥の一軒家カフェに行列ができる時代です。

さらに、大手が効率化を進めるほど、個人店の「店主の顔が見える」温度感の価値が際立ってきます。

ー一方で、開業直後に失敗してしまう方に共通する「準備不足」とは、具体的にどのようなことでしょうか?

三瓶:開業直後につまずく方には共通点が3つあります。

①「数字を知らない」まま走り出す
1日何人来て、客単価いくらで、月にいくら残れば生活できるか。この最低ラインを把握していないと「忙しいのにお金が残らない」状態に陥ります。

②「開業すること」自体がゴールになっている
物件・内装・メニューを決めた時点で力尽きてしまう。でも本当のスタートは開店した“次の日”からです。

③「自分の体力・時間」を計算に入れていない
一人で抱え込み、3ヶ月で疲弊してしまう。情熱だけでは続きません。

実際、オープン直後はSNSで話題になり連日満席だったのに、1年ほどで閉めてしまったお店がありました。「忙しさ」と「儲かっている」を混同していたんです。

客単価も席数も小さいと、満席でも売上に限界があり、家賃・人件費・原価を引くと手元に残らない。それなのに、慣れないオペレーションにアルバイトを雇いすぎて人件費が膨らんでしまっていたのです。数字を先に握っていれば防げた失敗です。

ワクワクはそのままに、数字だけはシビアに。この両輪が揃った方は強いです。

先に決めるのは『月にいくら残すか』——コンセプトと資金計画の極意

ー理想のコンセプトと現実的な資金計画を両立させるために、開業前に最もこだわるべきポイントを教えてください。

三瓶:大事なのは順番です。多くの人は「どんな店にしたいか」から考えて後からお金を当てはめようとしますが、それだと予算が膨らみます。

先に「月にいくら残れば続けていけるか」を決め、そこから逆算して「どこにお金をかけるか」を選ぶ。これだけで失敗の確率はぐっと下がります。

その上で最もこだわるのが「コンセプト」です。お客さんはいま、コーヒーそのものより「その店でしか味わえない体験」を求めて来ます。だから私たちは、開業支援の最初に必ず「コンセプトブック」を作ります。

【コンセプトブックとは?】
お店の想いと「誰に・何を・どう届けるか」を整理し、メニュー・接客・空間・発信を一つの世界観につなげる、お店の羅針盤となる冊子。

ポイントは「コンセプトを一言で言えるか」。スターバックスの「サードプレイス」のように、ひと言で店の役割が伝わるのが理想です。

ここがブレるとメニューも内装もぼやけ、あれもこれもとお金がかかる。逆に一本通っていれば「これはウチには要らない」と判断でき、無駄が自然と削れます。コンセプトは見栄えではなく、お金を守る軸なんです。

数字面では、FLコスト(F=Food=食材費、L=Labor=人件費)を売上の60%以内、家賃(R=Rent)を足したFLRを70%前後(高くても75%以内)に収めるのが目安。ここが崩れると、流行っても手元に残りません。

ー逆に、やってはいけないお金の使い方はありますか?

三瓶:やってはいけない初期投資の罠は3つあります。

①内装・厨房機器に最初から全力投資
新品フルスペックで揃えるほど回収に時間がかかり、運転資金が削られます。中古で十分なものは意外と多いです。

②身の丈に合わない好立地・広すぎる物件
家賃は売上に関係なくのしかかる固定費で、FLRが崩れる一番の原因。最初は“少し狭いかな”くらいがちょうどいいです。

③「開業費用」だけ計算して「運転資金」を忘れる
一番怖い罠です。オープン後3〜6ヶ月の赤字を耐える現金を、開業費用とは別枠で必ず確保してください。

お客さんの体験に直結する部分(味・居心地・看板メニュー)にはお金をかけ、見えない裏方は徹底的に抑える。コンセプトで仕分けるのがコツです。

「数」より「質」を見る——明暗を分ける「立地・物件選び」の注意点

ー「家賃が高い=良い立地」とは限らない中、ご自身の足を使った生の情報収集ではどのような点を見るべきでしょうか?

三瓶:立地はいまでも大事ですが、「駅前の一等地=正解」ではありません。いまはSNSのおかげで多少わかりにくい場所でも戦えます。本当に見るべきは「自分のコンセプトに合うお客さんが歩いているか」。そこが立地の良し悪しの本質です。

ネットやAIで下調べは簡単になりましたが、数字だけでは本当のことはわからない。「通行量◯◯人」も参考にはしますが、必ず自分の足でその場所に立ってみてください。むしろ調べやすくなった今こそ、足で確かめる人としない人の差が効いてきます。

しかも1回ではなく、平日と休日/朝・昼・夜/天気の悪い日と条件を変えて見ると、データに出ない「生の空気」が見えてきます。

特に大事なのは「歩いている人が自分の店のお客さんになりそうか」。通行量が多くても、駅へ急ぐ通勤客ばかりでは誰も立ち止まりません。「数」より「質」を見る。これが家賃に見合うかの判断軸です。安くてもコンセプトに合う人が歩く場所なら、そっちの方がよほど良い立地です。

とはいえ「何度も足を運ぶ」のは一人だとやりきれないもの。そこで効果的なのが、近隣の飲食店にお客として行き、お店の人に話を聞くこと。1年その立地で商売している人は、季節ごとの人通りや客層、思わぬ落とし穴まで一番よく知っています。数分の会話で、自分では見えないことを教えてもらえます。

実際、私たちの支援先でも、この方法で聞いた生の声を決め手に物件を選んだ結果、オープン初日から行列ができたお店があります。やはり生の声は大切だなと思った事例です。

ー初期費用を抑えるために「居抜き物件」を選ぶ際、後悔しないための確認ポイントを教えてください。

三瓶:初期費用を抑えられる「居抜き物件」には落とし穴もあります。飛びつく前に、最低限ここは確認してください。

①設備が本当に使えるか
残っていても動かない・古すぎてすぐ壊れるケースは多く、買い替えると意味がなくなります。

②前の店がなぜ閉めたのか
立地や客層の問題なら同じ轍を踏みます。可能なら理由を調べましょう。

③「造作譲渡料」と原状回復の範囲
造作譲渡料とは、前の店の設備・内装を引き継ぐ代わりに払うお金のこと。相場に見合うか、退店時にスケルトン戻しを求められないかを確認してください。

④電気・ガス・水道の容量
やりたいメニューに足りるか。足りないと大がかりな工事で逆に高くつきます。

見た目の安さで飛びつかず、中身を一つずつ確認する。面倒くさがらない人ほど後悔しない物件選びができています。

「作業は機械に、心は人に」——採用・教育と省力化の両立

ー良いスタッフを採用し定着させるための「教育・マニュアルづくり」のコツは何でしょうか?

三瓶:カフェは結局「人」の商売です。いい立地・いいメニューでも、スタッフの空気が悪いとお客さんに伝わってしまいます。

採用で大事なのは「スキルより、コンセプトへの共感で選ぶ」こと。技術や接客は後から教えられますが、「この店が好き」という気持ちは教えられません。

ここで効くのが、先ほどお話しした一貫したコンセプトです。店が何を大切にしているか言葉にできていないと、採用の基準すら立てられないんです。実際、カフェ未経験でも「この店の雰囲気が大好きで通っていた」方を採用したら、誰よりも世界観を理解していて一番長く続いてくれた、ということがありました。

そして定着のカギは「マニュアルづくり」。小さい店ほど効きます。

①「なぜそうするのか」をセットで書く
理由がわかると自分で考えて動けます。

②写真や動画で見てわかる形に
文字びっしりは読まれません。スマホで撮った短い動画一本のほうが何十倍も伝わります。

③完璧を目指さず、みんなで育てる
現場で直していくと、ちゃんと使われるマニュアルになります。

あるお店では、読まれず形骸化していた分厚い文字マニュアルを、ドリンクの作り方の数十秒動画に置き換えたら、新人が一人で立てるまでの時間がぐっと短くなりました。

ー省力化・省人化ツールを導入しつつ、サービスの質を落とさないための工夫はありますか?

三瓶:モバイルオーダーやセルフレジなどの省力化ツールは積極的に使うべきです。ただ「何を効率化し、何は人がやるか」を分けること。

私の考えは「省ける作業は省き、お客さんとの“接点”はあえて人に残す」。ジャンルごとではなく、場面の中で線を引くのがポイントです。

①オーダーはツールに任せる
聞き間違いが減り、ピーク時の負担も軽くなります。

②会計はあえて人がやる
帰り際に顔を見て「ありがとうございました」と言える、最後の接点だからです。

③お水はセルフ+継ぎ足しは人が回る
効率化しつつ「お水いかがですか」のひと声で、気にかけてもらえている感が出ます。

裏方は効率化し、浮いた時間を「お客さんと向き合う場面」に振り向ける。「作業は機械に、心は人に」ですね。

「完璧」より「まず始める」——開業直後から実践できる集客術とインバウンド対策

ーSNSで「行きたい!」と思わせる情報発信のコツや、写真の見せ方のポイントを教えてください。

三瓶:カフェ集客はSNSなしには語れません。しかもお金をかけずに大手と戦えるので、個人店こそ力を入れてほしい部分です(特にInstagramと相性◎)。

やりがちな失敗は「きれいな写真をただ並べるだけ」。大事なのは「中の人の顔や想いが見えること」です。

①コンセプトや想いを言葉でも伝える
「なぜこのメニューか」「どんな時間を過ごしてほしいか」。写真に物語が乗ると行く理由になります。

②お店ができるまでの過程を見せる
開業準備中からの発信は、オープン前からファンを作ります。実際、内装DIYや試作の様子を毎日投稿していた店は、初日から「ずっと楽しみにしていました」というお客さんが来てくれました。

③「映え」より「シズル感」
シズル感とは、湯気や注ぐ瞬間など“おいしそう!”が伝わる臨場感のこと。おしゃれさより、この一瞬が人の心を動かします。

写真はスマホで十分自然光(窓際)で、真上か斜め45度から、湯気・断面・注ぐ瞬間を狙うだけで、ぐっとおいしそうに見えます。

ー小規模なカフェでも今すぐ始められる、効果的なインバウンド対策はありますか?

三瓶:インバウンド対策も、いまは小規模店こそチャンスです。私たちの支援先でも、当初は外国人客がほぼいなかった店が、いまでは来店の半分以上が外国人観光客というケースも出ています。

観光客は有名店より「地元の人が行く小さなカフェ」を求めていたりします。しかも今すぐ・お金をかけずに始められます。

①キャッシュレス・QR決済
必須レベルです。「使えない」と入店を諦められてしまいます。

②メニューに写真と番号
指させるほうが親切で、注文もスムーズになります。

③Googleマップの情報を整える
海外の人はまずここで探します。

④翻訳はスマホアプリで十分
完璧より「伝えようとする姿勢」が喜ばれます。

⑤挨拶だけでも英語で声をかける
先ほどの「半分が外国人」の店も、思い切って英語で挨拶したら反応が明らかに良くなったそうです。「Hello!」「Thank you!」で十分です。

集客もインバウンドも「完璧」より「まず始めること」。小さく始めて、反応を見ながら育てていくのが、開業直後からできる一番現実的なやり方です。

「一人で抱えなくていい」——カフェ開業支援サービス「あんサポ」が解決すること

ー貴社のサービスを利用することで、開業者にはどのような具体的なメリットがあるのでしょうか?

三瓶:カフェ開業は「経営」「調理」「接客」「デザイン」「資金調達」と求められるスキルが幅広く、未経験の方が一人で全部こなすのは大変です。そして何より大きいのが「これで合っているのかな」という不安

だからこそ私たちが提供しているのが、カフェ開業の安心サポートサービス「あんサポ」です。名前の通り、開業や運営への不安を一緒に取り除いていくことを一番大事にしています。

ポイントは、外から指示を出す“先生”ではなく、お客さんと同じチームとして二人三脚で開業作業を一緒に進めること。「何から手をつければいいかわからない」「資金計画が一人でできるか心配」そんな不安を隣で解消しながら進むので、安心して開業に向かえます。

具体的には、コンセプトづくり → 事業計画書 → メニュー開発 → 立地調査・物件選定 → 融資サポート → 内装・デザイン → 開業後のフォローまで、必要な工程をまるごとお任せいただけます。「これはどこに頼めば?」という迷いがなくなるのが大きいですね。

ー実際にサポートを受けて開業された方の事例はありますか?

三瓶:たとえば、カフェ勤務経験もなく「やりたい気持ちはあるけれど、何から手をつければいいか全くわからない」という状態からサポートさせていただいた方がいました。

コンセプトを一緒に言葉にするところからスタートし、事業計画・物件・融資と一つずつ進めて、無事開業までたどり着きました。いまでも連絡を取り合う間柄ですが、「毎日楽しく営業できています!」と言ってもらえるのが何よりの励みです。中でも「まるでチームの一員のように関わってもらえた」という言葉は、私にとって一番嬉しかったですね。

「経営・調理・接客・デザイン、全部を一人で抱えなくていい」ここが専門家を入れる一番の価値です。私たちが伴走することで、開業される方は「本当にやりたいこと」に集中でき、それが長く続くお店につながります。

開業無料相談も随時行っていますので、まずは話を聞いてみたいという方もお気軽にご相談ください。

立ち止まるより、まず一歩。お客さんに育ててもらいながら“自分の店”にしていく

ー最後に、これから自分のカフェをオープンさせようと奮闘している読者に向けて、メッセージをお願いします。

三瓶:ここまでお金や立地、人の話をしてきましたが、最後に一番お伝えしたいのは「カフェをやるって本当に素晴らしい」ということです。

自分の選んだ一杯を「おいしい」と言ってもらえ、「ここに来ると落ち着く」と通ってもらえる。準備や苦労も、その瞬間のためにあると言えるくらい、かけがえのない仕事です。

不安なのは当たり前。むしろ、本気で向き合っている証拠です。最初から完璧な人はいません。みんなわからないことだらけから始めて、お客さんに育ててもらいながら少しずつ“自分の店”にしていくもの。立ち止まるより、まず一歩。動き出せば景色は変わります。

そして、やっぱり1人で抱え込まないことが大事。頼れる人がいるだけで、進み方も心の余裕も全然違います。私たちのような開業支援でも、先輩オーナーへの相談でも、「相談できる相手がいる」だけで開業はぐっと心強くなります。

肩の力を抜いて、その道のりを楽しみながら進んでいきましょう。あなたのお店ができる日を、心から応援しています。

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