開業資金はいくら必要?平均額や業種別の目安をわかりやすく解説
開業資金がいくら必要か目安を知ってから準備を始めよう

何かしらの事業を始める際には開業資金が必要になってきますが、最初に「開業資金はどれくらい用意すべき?」という疑問にぶつかる人がいます。
さらに、開業する業種によって開業資金も異なっているため、「平均どれくらい必要なのか」「業種ごとの平均が知りたい」と考える人もいるでしょう。
この記事では、開業資金がどれくらいなのかという平均値に加えて、開業資金の目安、資金を集める方法なども併せて解説します。
開業資金の目安を知りたい人はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
開業資金の平均額・中央値

そもそも開業している人は、どれくらいの資金を用意しているのでしょうか。開業資金の平均額や中央値について解説します。
開業資金の平均額は975万円
| 調査年度 | 平均額 |
| 2016 | 1,223万円 |
| 2017 | 1,143万円 |
| 2018 | 1,062万円 |
| 2019 | 1,055万円 |
| 2020 | 989万円 |
| 2021 | 941万円 |
| 2022 | 1,077万円 |
| 2023 | 1,027万円 |
| 2024 | 985万円 |
| 2025 | 974万円 |
開業資金の平均額は、過去10年間の中で最も多いのが2016年の1,223万円です。
一度2021年に941万円まで下がったものの、その後2年間は増え、2025年度はまた下がったことがわかります。
開業資金の中央値
| 調査年度 | 平均額 |
| 2016 | 670万円 |
| 2017 | 639万円 |
| 2018 | 600万円 |
| 2019 | 600万円 |
| 2020 | 560万円 |
| 2021 | 580万円 |
| 2022 | 550万円 |
| 2023 | 550万円 |
| 2024 | 580万円 |
| 2025 | 600万円 |
開業資金の中央値は大幅な変動がないものの、2016年~2019年では平均額が600万円超えとなっています。
さらに、2025年では2018年や2019年同様の数字になっていることもわかりました。
この中央値はすべての事業を対象にした値であり、多くの事業は開業する際に1,000万円以下の資金で開業していることが理解できます。
【業種別】開業資金の目安一覧

開業資金は業種によって必要な資金が異なりますが、その詳細を知りたい人もいます。そこで、開業資金の目安について解説します。
| 業種 | 資金の目安 | 特徴・ポイント |
| 飲食業 | 500~1,000万円 | 内装や厨房設備が高額で、開業資金が高くなりがち。立地によっても変動。 |
| 小売業 | ~1,000万円 | 仕入れ資金と在庫の確保が必要。特に物販系は初期の在庫コストが高め。 |
| サービス業(店舗型) | 300万円~500万円 | 内装と設備にお金がかかるが、飲食業より抑えられる傾向にある。 |
| サービス業(無店舗型) | 10万円~100万円 | 設備投資が少なく、少ない資金から始められる。 |
| IT・Web関連 | 0円~30万円 | パソコンやソフト、広告費などにお金がかかる。スキル型の場合は初期費用も抑えられ、始めやすい。 |
飲食業
ほかの業種と比較して開業資金が高くなりやすいのが飲食業です。飲食業の開業資金は、主に店舗に関係してくるため高くなりがちです。
ある程度の広さが確保できる店舗の用意、調理場、客席のほかに専用の冷蔵庫や冷凍庫などを準備しなければならないため、まとまった資金が必要になってきます。
客席を十分に保たなければ、繁盛してもお客さんが入りきれなくなり、機会損失が起こる可能性も考えなければなりません。
小売業
飲食店と同様の開業資金が必要になるのが小売業です。小売業も店舗用の建物、土地の費用、商品陳列ができる棚などの什器を用意する必要があります。
さらに、店舗のコンセプトやレイアウトに合わせたインテリアなどを配置して、デザイン性の高さや魅力を打ち出していくと、こだわりのある店舗となっていきます。
しかし、最初に店舗のコンセプトなどをこだわりすぎたり、インテリアデザイナーなどへ依頼したりすれば、その分開業費用も高くなりがちです。
サービス業(店舗型)
サービス業は幅広いジャンルなので、開業資金は業種によって変わってきます。
店舗型のサービス業にはエステサロンやヨガスタジオ、ネイルサロン、美容室などが該当します。
特に美容室では店舗取得に関する費用に加えて、専用品の購入などにも資金が必要です。
また、店舗の内容などにこだわった場合は開業資金が高くなる傾向があり、場合によっては平均値以上になるケースもあります。
このような理由から、店舗や用品を購入して開業する業種は開業資金が高くなりやすい傾向です。
サービス業(無店舗型)
同じサービス業でも無店舗型ではオンライン講師、経営コンサルタント、セラピスト、占い師、フリーライター、フリー通訳者などが該当します。
店舗を用意することがないので全体的な費用を抑えられます。
さらに自宅のパソコンやスマートフォンからホームページの開設、名刺、パンフレットなどを作成すれば開業資金をより抑えることが可能です。
ほかにも、店舗を間借りする形で営業した場合も開業資金が抑えられるため、大きな出費にはつながりにくいでしょう。
今後、店舗を持ちたいと考えている場合は開業当初は無店舗型での営業を中心として、手元資金を貯めるのもおすすめです。
IT・Web関連
最も開業資金がかかりにくいのがITやWeb関連です。開業資金0円からでもスタートできるのが特徴であり、パソコンさえあれば自宅で仕事ができます。
もし、新たにパソコンの購入を検討している場合はその代金が開業資金になるくらいです。
開業資金の内訳

事業をスタートする際に必要な開業資金ですが、どのような内訳で何に対してどれくらい用意すべきでしょうか。ここでは、開業資金の内訳について解説します。
設備資金
開業資金は基本的に「設備資金」と「運転資金」に分けて考えます。
設備資金は、事業に欠かせない設備購入のための費用です。
-
- 店舗の賃貸料や敷金
- 契約費
- 保証金
- 内装工事費
- 客席用の椅子
- テーブル
- 備品
- 車両レンタルや購入費など
上記のものが該当します。
開業のために必要な設備や備品購入のための費用であり、個人なら開業費、法人なら創立費や開業費として計上できるものです。
運転資金
運転資金は事業が軌道に乗るまでの間に必要な資金となり、最低でも3カ月程度の費用を準備すると安心です。
事業を始める際にすべての費用を開業資金につぎ込んでしまった場合、軌道に乗るまでの余力がない状態になってしまいます。
しかし、運転資金を準備しておくことで資金繰りに困った場合でも乗り越えることができるので安心して営業できます。
運転資金は主に以下のものが該当します。
-
- 人件費
- 店舗の家賃
- 光熱費
- 仕入れ費用
- 消耗品費
- 広告宣伝費など
人件費の中には従業員の社会保険料なども含めて考えなければなりません。
予備資金
開業資金を準備する際には、予備資金についても用意する必要があります。その理由は、想定外の事態が起こった場合を考えて対応できる余力を持つことが重要だからです。
急なトラブルが起こった時、対応できる資金がないとせっかく起業したのに軌道に乗らないまま終わってしまう可能性が高く、今までの努力や費用が無駄になってしまいます。
しかし、予備資金を準備すれば融資や補助金などの入金が遅れた場合でも対応でき、事業継続リスクの回避ができるでしょう。
開業後、自分の生活が維持できる保証がないだけでなく、病気やケガなどで一時的に働けなくなる可能性もあります。
しかし、予備資金の準備によって事業をより安定した状態で運転できて安心です。
自己資金はいくら必要?融資審査の目安

創業時に融資を検討する場合、自己資金はどれくらい用意すべきか悩む人が多いです。
ここでは、自己資金として目安にする金額に加えて、審査で注目される内容について解説します。
まず、自己資金を用意する理由は事業に対して計画性があること、本気で事業を始めたいことなどを伝える指標とされています。
創業を目標としてスタートしてから達成のためにお金を貯めてきた事実が、思いつきで始めたことではないと証明することが可能です。
自己資金の用意によって返済能力があること、計画通りに進まなかった場合の備えがあることも表現でき、受けられる融資額にも影響を与えます。
金融機関では、融資リスクの評価として自己資金の割合を参考にしているため、自己資金が多くなれば金融機関側のリスクも小さくなり、希望する融資額を借りるための交渉でも優位になりやすいです。
公庫では、自己資金が1/10あるのが目安ですが、実際には20%~30%あると有利になるデータもあります。
この結果から、自己資金がない状態では審査通過が厳しいこともわかります。
もし、自己資金が用意できない場合は、明確な根拠がある事業計画書の提出や売上げを確実に得られる受注見込み書、返済の必要がない資金援助などがあれば評価される可能性がありますが、確実ではありません。
審査を通過できるような準備がない場合、親や友人からお金を借りてあたかも自己資金のように見せる「見せ金」をした場合、即審査に落ちるので絶対に行わないでください。
開業資金を集める方法

開業資金を集めるには、どのような方法があるのでしょうか。開業資金を集める方法について解説します。
日本政策金融公庫の融資
個人で開業する際の資金調達なら、日本政策金融公庫の融資を最初に検討するのがおすすめです。
その理由は、政府の金融機関となる日本政策金融公庫では個人事業主や中小企業の資金調達支援を行っているからです。
新たに事業をスタートする、また事業開始後おおむね7年以内という場合なら「新規開業・スタートアップ支援資金」が利用できます。
運転資金4,800万円を含めた最大7,200万円を借り入れることが可能です。
銀行・信用金庫の融資
直接融資を申し込むなら、銀行や信用金庫などで申し込むこともできます。ローンを組む場合は必ず審査が必要です。
計画段階で実績がない開業前では審査が厳しくなってしまうものの、信用保証協会で制度を利用したり連帯保証人を用意したりすることで審査の対象となります。
ただし、自己資金や事業計画だけの審査ではなく、健康状態や過去の信用情報なども審査に含まれることを覚えておいてください。
補助金・助成金
国や自治体で事業を支援・援助するのが補助金・助成金です。一定の基準を満たしていれば対象になり、融資とは異なって返済する必要がありません。
ただし、補助金は基本的に後払いになるので受給のタイミングを確認してからの申し込みが安心です。
自治体の制度融資
自治体では、小規模事業者向けの制度融資を設けています。
これは自治体が民間金融機関および信用保証協会との連携によって提供している制度であり、申し込み後に自治体の担当者が審査を行って金融機関に紹介状を提出する流れです。
制度融資では利用できる内容が自治体によって異なりますが、利用しやすいのが特徴です。
クラウドファンディング
近年、クラウドファンディングでの資金調達も積極的に行われています。
クラウドファンディングでは、事業を支援してくれる人を募集して集まった人達の支援金で事業をスタートするものです。
インターネットで積極的に行われていて、審査も厳しくないので活用しやすい方法となります。
ビジネスコンテスト
ビジネスプランやアイデアをプレゼンして競い合うのがビジネスコンテストであり、ここで受賞すればビジネスで活用できる特典や支援が受けられるものです。
主催者は民間や官公庁など幅広く、受賞できなくても専門家からビジネスのアドバイスを受けることもできます。
投資家・ベンチャーキャピタルからの出資
開業資金を得るためには、投資家やベンチャーキャピタルからの出資をしてもらうこともできます。
ただし、投資家にも様々な種類があって実績がまだない企業に出資するエンジェル投資家は、金融機関よりも資金調達がしやすいとされています。
投資家やベンチャーキャピタルからの出資を受ける場合、経営に介入してくる可能性が高く、場合によっては思うような事業ができない可能性があることを視野に入れておいてください。
開業資金と合わせて準備すべき運転資金

開業する際には開業資金も大切ですが、運転資金も必要になります。ここでは、なぜ運転資金が必要かについて解説します。
運転資金の必要性
運転資金は事業実施に欠かせないものであり、取引先などに先に支払うお金などが該当します。
基本的には仕入れや必要経費に充てるものであり、開業後の事業が軌道に乗るまでの間は運転資金で取引きをする必要があります。
現金不足による支払いが滞った場合、事業も思うようにいかなくなることがあるため、運転資金は必要です。
必要な運転資金の金額
運転資金は少なくても3カ月程度は用意すべきとされています。
特に運転資金は、売掛金の回収に左右されることが多く、今後事業の拡大などを視野に入れている場合は先のことを見込んだ金額にする必要があります。
資金ゼロでも開業することは可能?低資金開業の現実

運転資金の重要性について解説してきましたが、資金がない状態で開業できるのか気になる人もいるかもしれません。
正直なところ、資金ゼロでも個人の能力や市場、ビジネスモデルなどによって可能性が大きく変わってきます。
資金ゼロでも開業できる事業としては、以下が挙げられます。
-
- アフィリエイトマーケティング
- クラウドソーシングを利用したフリーランス
- オンラインサロンやサービスの提供
- YouTubeチャンネルでの収益化
- SNSでのインフルエンサー
- 電子書籍の出版や販売 など
資金がない状態でも開業そのものは可能ですが、競合が多いので優れた能力がない場合は収益が出にくくなります。
また、収益化までの時間がかかり、実績や肩書のない状態では信頼も得にくいです。
開業資金で失敗しないためのポイント

開業資金の準備で失敗しないためには、自分が事業の継続を意識して成長させるための事業計画を立てる必要があります。
事業計画を立てている時に多くの起業家は、生活費を十分に確保しない傾向があるため、生活費を甘く考えずにきちんと計算して用意してください。
できるだけ固定費の見直しを行い「借りられる金額ではなく返せる金額」を意識した内容にしていきます。
少し多めに見積もった金額であれば余裕が生まれやすく、事業にも集中しやすくなります。これらの点を意識するのがポイントです。
まとめ・必要な資金を把握し無理のない開業準備をしよう
開業資金を調達する際には事業によって金額が変わってくることを意識して、安定した事業運転ができるような開業準備が必要です。
開業資金は上記の方法を参考にして、最も適したものを見つけ出して融資を申し込んでください。
開業資金で失敗しないためにも、事業に適した方法や計画を立てておくと安心です。
(編集:創業手帳編集部)
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